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◆BiueBUQBNg氏_GジェネDS Appendix・番外編_04(終)

Last-modified: 2014-03-10 (月) 16:00:08
 

 <Chapter 11>

 

 目の前を敵影が横断しつつある。チャンスはこれしかない。自分の合図で開始されることになっている。なんと言おうか迷っていたが、気が付いた時にはサイド3で少し覚えた、響きを気に入っていたドイツ語の単語を絶叫していた。 

 

「ファイエル(発射)!」

 

 ほぼ同時に、俺とジュドー君とガロード君がトリガーを引く音がした。眼には見えないが強烈なマーク・レイが宇宙空間を画する。マーク・レイというのは機動演習時にビーム砲の代わりに使用されるレーザーである。演習の時には各モビルスーツに専用のセンサーが付けられ、当たったマーク・レイが実際のレーザー砲だった場合どの程度の損害を蒙るかを乱数を用いたプログラムによって計算し、モビルスーツの挙動に反映させることになっている。これは実弾演習だから本来は不要のはずだが、流石に死人を出す訳にもいかないので強力なビームに限ってマーク・レイで代用することになっている。そして、この時放たれた攻撃はいずれもマーク・レイに取って代わられていた。即ちダブルゼータのハイメガキャノン、デンドロビウムのメガビームキャノン、そしてガンダムXのサテライトキャノン。
 シミュレーションではここでプリベンターの全モビルスーツの4割が撃墜判定を受け、戦線を脱落していた。が、次の瞬間レーダーに映ったものはあまりにも意外だった。
 その場で停止するはずの撃墜判定を食らったと思われる敵モビルスーツが、何故かこちらに向かってきた。

 

「エラーか?それにしても、数が多すぎるな」

 

 その疑問は即座に解決され、俺は色々とイヤになった。ガロード君の声がコックピットに響いたのだが

 

「じゃ、この機体は頂いてくよ。みんな、もう当分の間会うこともないだろうけど、元気でな!」

 

 ハァ?と思ってレーダーに目を落とすと、ガロード君のGXとティファちゃんのゲーマルクが戦線を離脱し、後退していった……ジェガン4機とリック・ディアス3機と思われるモビルスーツ群を引き連れて。
機体を分捕られたプリベンター側パイロットの文句だの絶叫だの悲鳴だの愚痴だのが五月蝿く、無線の周波数を切った。ミノフスキー粒子が濃いから彼らの声はアークエンジェルには届かない。だからといって救出に向かえば折角の好機を逃すことになる。無視することにした。
……因果応報。
 後で分かったのだが、ガロード君の手口は非常に単純、かつ巧妙なものだった。どんなモビルスーツにも自動着艦プログラムが組まれている。モビルスーツ等の密度が比較的高い母艦近辺で事故の発生を防止するため、母艦の官制コンピュータに操作を移すのだ。パイロットの目視ではどうしてもデブリや物陰などを認識しきれない故の措置である。ガロード君は非常時に母艦が強制的に操作を奪い、着艦を誘導するプログラム・レーザーを照射したのであった……サテライト・キャノンの大容量エネルギーを使って。
 誠に大胆かつ繊細な手口で、ガンダム試作2号機を奪取した以上の手並みだと後でガトーが悔しがっていた。とはいっても、お陰でロンド・ベルとプリベンターとの関係は険悪極まりないものとなった。
 それと俺が一つ怪しんでいることがある。マハー・カーラーを偵察に行った時にジェガンのみで構成された小隊があった。サイド3にジェガンがあるなんて変だと思ったが、もしかしたら。

 
 

 <Chapter 12>

 

 ともあれ、その後は極簡単なものではあった。

 

「突撃!」

 

 誰もが絶叫していた。混乱の極みにあったプリベンターMS隊はロンド・ベルにいいように蹂躙される一方だった。
だが、古来より英雄とは、このような絶体絶命の窮地においてこそ初めて現れるものであった。

 

「我々の負けですね、師匠」
「なぁに、負け戦こそ面白いのよ!」
「……同感だ」
「若造が、言うようになったではないか!」
「その意気やよし! では死ぬ気で付いて来い!」

 

 文字通り、薙ぎ払われた。アークエンジェルを討ち取ろうとした小隊に属する機体全てのモニターに"DOWNED"(被撃墜)の大きな赤文字が表示され、活動を停止させる。彗星のごとき一個小隊が飛び出したかと思うと、そこら中のロンド・ベル機が停止する。中には握りつぶされたように破壊されているものもある。
 プリベンター、いや人類における最精鋭小隊であった。「マスター・アジア」こと東方不敗、その弟子にして「キング・オブ・ハート」ことドモン・カッシュ、そしてヒイロ・ユイ。ロンド・ベル陣に突撃するための先鋒として編成された小隊は、予定通り我が方をウイングゼロのバスターライフルで蹂躙し、マスターガンダム&ゴッドガンダムの格闘戦で屠りつつ突撃を開始した。目標は、当然ラー・カイラム。
 プリベンターの残存部隊も彼らに空けられた穴を広げようと続けて突入する。だが、ここで俺の2つ目の仕掛けが炸裂する。
 突入の起点がトリエとキラ君、アスラン君の小隊から離れていたのは幸運だった。そして、彼らは予定通りの行動を取ってくれた。小隊は敵の突入を阻むように割ってはいる。即座に囲まれる。中にはアークエンジェルにプリベンターの主力であるアレキサンドリア級もある。

 

 奴らは再び、罠にはまった。
 トライアのフィールド・インペリウムとフリーダムのハイマット・フルバーストが同時に発動した。プリベンターの残存勢力はほぼ全てがドモン隊に引き続いて戦果拡大を果たすべく集中していたので、もうひとたまりもない。

 
 

 <Chapter 13>

 

 が、精鋭はどこまでいっても精鋭だった。散開しつつもなお前進を継続する。

 

「よいか、敵の後方を蹂躙し、戦艦を全て沈めた後にさらに後方で集結するのだ、さすれば勝つ!」

 

 東方不敗の叱咤が飛ぶ。ミノフスキー粒子の濃度は充分だったはずなのだが…。あの辺の連中は全てにおいて
常識を超越している。

 

「やらせるかぁーっ!」

 

 燃料がカラになるのを覚悟で、俺は彼らの後方にとりつくべく最高速度を出した。と思ったら、近接警報が鳴った。

 

「出来ること、やれること、すべきこと……全て同じだろ?ハウメアの加護があらんことを!」

 

 赤いガンダム、ストライクルージュか。認識したとたん、妙に腹が立った。
プリベンターのシン・アスカ君とは一度話をしたことがあるが、アスハ家の非暴力主義で両親と妹を亡くした事、そのくせ現当主であるカガリ・ユラ・アスハはモビルスーツで戦っているという欺瞞に憤懣を禁じえないでいた。俺も同感だ。戦おうとする意欲のない人間は負けるだけだ。
それがいやだと言うのに、看板は下ろさない。

 

「この、日系人の恥がぁーーーーーっ!!!!」

 

 俺は絶叫していた。瞬時に向きを変え、ビームサーベルを取り出し、接近する。ルージュもそうだ。Iフィールドを搭載しているデンドロビウムにライフルは利かないから、向こうとしても渡りに船である。サーベルで切り結ぼうとする体勢をとって
いるが、無駄だ。間合いに入る前に残っているエネルギーを全てサーベルにまわした。サーベルの長さは、ちょっとした戦艦ぐらいになっている。突き出し、頭部を破壊した。

 

「こんな……私はこんな……くそぉっ!」

 

 頭の悪い声でキンキン絶叫するのが聞こえて頭に響く。腹立ち紛れにルージュの手足を根元から切り落とし、ついでにマイクロ・ミサイルを発射しておく。結局、ルージュは修復不可能だったそうだ。
 一番近いゴッドガンダムに接近するため再び加速する。敵影はもはやレーダーには映らない。わけが分からん原理で黄金に輝く姿が見えた。マイクロミサイル、爆導策、メガビーム砲、全て発射するがことごとくかわされた。格闘戦では明らかに不利だから離脱しないと……

 

 ―その時点で、エネルギーが切れた―

 

 ルージュがウザいからといってサーベルにエネルギーを使わせすぎた。でもドモン君は容赦してくれませんでした。

 

「俺のこの手が真っ赤に燃える……」

 

 死刑宣告を座して聞くしか、なかった。赤熱した掌がメインカメラ一杯に広がる。
 俺は生まれて初めて心の底から震え上がった…真の恐怖と決定的な挫折に…恐ろしさと絶望に涙すら流した……
これも初めてのことだった……

 
 

 <Last Chapter >

 

 そこで俺の記憶は途切れる。向こうもエネルギーを使い果たしたらしく、ラー・カイラムに撃沈判定を与えたところで活動が停止した。危ういところで、ロンド・ベルの勝ちとなった。
 俺の撃墜状況については、結論だけ書いておく。修復は可能だったが、試作とはいえ開発と運用に一般的なモビルスーツの100倍のコストを要したデンドロビウムの修理にかかった費用はそりゃもう莫大なものだったそうで、主計将校に何度も嫌味をいわれた。
 3度目の長い説教の後で俺は退職の意図を固めた。部屋から出るところでトリエと遭遇した。その時一つ思い出したことがある。初めてトリエに会った時、百式のコックピットの中でバニング隊長と交わした会話だ。

 

「この名札は妙だぞ。【D-Trial】って、まるで何かの実験台みたいじゃないか」
「書き間違えたんでしょう。書いた人もきっと緊迫してたんでしょうし。本当の名前は……トリエルってんじゃないですか?ディー・トリエル。うん、可愛い名前ですよ」

 

 あてずっぽうではあったが、彼女はその名前を気に入ってくれた。レギオンに誘拐され、ジェネシスで俺たちの敵に回ったとき

 

「私はディー・トリエル!道具なんかじゃない!」

 

 といった。エゥーゴに入るきっかけでもあるし、俺とは縁が深い。彼女にだけは打ち明けておこうと思った。

 

「ロンド・ベルを辞める事にしたよ。君とも会わなくなるけど、元気でね」

 

 といっておいた。すぐにその場から立ち去ったが、まだ嫌味を言い足りないらしく部屋をでた主計将校によると、その時のトリエは例に無く青ざめ、慌てた様子だったそうだ。全く、自分の鈍感さに腹が立つ。彼はトリエに、困ったことがあったらブライト臨時司令にいうといいよと助言したそうだ。…感謝するべきなのか?
 そして俺はアムロ大尉に呼び出され、サイド3で彼女の面倒を見るように仰せ付かったのだ。

 
 

 書き終えた所で、トリエに袖を引っ張られた。向くと、不機嫌そうな顔をしている。

 

「ごめんごめん、演習のときの記録を書いてたんだよ。もう終わったから、散歩にでも行こうか」

 

 即座に顔がほころんだ。現金な娘だよ。可愛いからいいけど。

 

「……ン、コ……ヒ、イレ、タ……」

 

 マグカップを差し出された。中には真っ黒な液体が入っている。飲んでみる。……俺より淹れるのが上手いじゃないか。

 

「ド……ナツタベ……トキ、イツモ……イレ、テタ……」
「今度から、僕の分も淹れてくれるかな?」
「……ン……」

 

 返事したかと思うと、突然頬を赤らめ、目を閉じて控えめに唇を突き出してきた。
 ……もしかしてあれか?プロポーズとでも思ったのか?でもそれは味噌汁で……けどまあ、悪くはない。
 2度目のキスは、俺からだった。

 
 

 <Fin>

 
 

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