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『ONE PIECE』VS『SEED』!! 514氏_第01話(補注)

Last-modified: 2013-12-24 (火) 04:15:41

 フーシャ村はその日、昼間から村中がお祭り騒ぎのようだった。
 なぜかと言うと、ついにルフィとシンの旅立ちが翌日に迫っていたのである。
 村から海賊が出ると言うのに騒ぐとはなにごとじゃと村長はご立腹の様子だったが、それほど大きくはないこの村において、この二人は知らぬものがいない有名人であった。二人との別れを惜しむ者、特にシンをご贔屓にしていた女性陣を中心に、この村をあげた送別会は半月ほど前から企画されていたのである。
 ルフィは幼い頃からの友人達と騒ぎあい、シンもこの村で過ごす最後の一日を楽しんでいた。
 するとそこにマキノがやってきた。

「どう、シン君。楽しんでる?」
「はい、おかげさまで」

 シンがこちらの世界に来てからと言うもの、住む場所や働き口など生きていく上で必要なもののほとんどを提供してくれたのがマキノだった。そのため同盟国の首長だろうが直属の上司だろうが、気に入らなければ誰にでもタメ口をきくシンも、彼女が相手のときは敬語の知識を総動員して喋っていたりする。
 いくらか二人で談笑すると、彼女は持っていた袋をシンに手渡した。受け取ってみるとなかなか重い。

「なんですか、これ」
「今まで働いてくれた分のお給料。無一文じゃ冒険もできないでしょ」
「そ、そんなのいいですよ。俺もルフィもしぶといんですから、魚をとって食いながらでも航海します。
これ以上迷惑かけられませんよ」
「あなたのおかげでお客さんがいっぱい増えたんだから。こっちがお礼をしたいくらいなの。だから受け取ってちょうだい。ね?」
「いや、ですけど・・・・・・」
「いいから、いいから」

 結局、押し切られてしまった。

「あ、これも渡さないと」

 マキノはさらに包みを取り出した。こちらは今の袋に比べるとかなり軽い。開けると中には刃渡り20cm程度と思われる折りたたみ式ナイフが二本入っていた。
 シンは一本を取り出してみる。
 重すぎず軽すぎずよく手に馴染む。柄には作者のイニシャルだろうか『Y.V』と彫ってあり、つくりの確かさから考えても大量生産されたものではなく、職人の手により作り出されたことは間違いない。
 熱心にナイフを観察しているシンの様子にマキノは微笑んだ。

「気に入ってくれたみたいね。どう? いいナイフでしょう」
「はい。でも、なんでマキノさんがこんな・・・?」
 シンがそう尋ねると、マキノはフッと目を細めた。

「今から十年位前にある海賊がこの村を拠点にして冒険をしていた時期があったの。『赤髪のシャンクス』ってルフィから聞いたことないかしら」
「ああ、何回かありますよ。たしかあいつの理想の海賊で、麦藁帽子はその人からの預かりものなんですよね」
「うん。それでね、その人たちは海から帰ってくるといつもうちの酒場で宴会をしててね。この村からいなくなるときに、今までのお礼って言って船長さんからもらったのがそのナイフなの」
「じゃあ、そんな大事なものいただけませんよ。シャンクスって人がマキノさんにあげたものなんですから、俺が勝手にもらうわけにはいきません」
「でもね、シン君。もともと海賊が持ってたナイフだもの、私なんかが持ってるより、あなた達といっしょにまた海にでたほうがこの子達もうれしいと思うわ」

 それでもシンにはこのナイフを受け取る決心がつかなかった。彼女がシャンクスのことを話すとき、そこに何かしらの特別な感情が表れているように見えたからだ。一体それが何なのかまでは人生経験の乏しいシンには見当もつかないが、自分が簡単に手にしてしまっていいとは思えない。

「ならこうしましょう。ルフィが帽子を返すときに、あなたもこのナイフを自分が使っていいかあの人に聞いてみる。それでお許しが出たら晴れてあなたのもので、それまでは私が貸してるだけ。それならいいでしょ」

 さすがにそこまでいわれると受け取るしかない。

「わかりました。大切に使わせてもらいます」
「ええ」

 刃を開くと、美しさすら感じさせる刀身の表面に、今度は『レイザー』と銘がうってあった。もう一方を見てみると、やはり同じ装飾が施されている。

(フォールディングレイザーナイフ、か)

 それは奇しくも彼の愛機だったMSインパルスに装備さていた対装甲ナイフと同じ名前である。たしかに、自分が使うには丁度いいかもしれない。
 そしてシンはマキノに礼を述べると、新たに増えた荷物を整理するため家に帰っていった。
 この時、後に自分が巻き込まれることになる『運命』の一端が、すでに目の前に現れていたことをシンはまだ知らない。

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