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〜ジオン公国の光芒〜_CSA ◆NXh03Plp3g氏_第15話

Last-modified: 2007-11-30 (金) 18:56:29

 ジオン公国軍によるコーカサス侵攻作戦「シンドバッド」は、オーブとの交渉の為一時中断とされた。
 しかし、この間ジオン軍がまったく動きを見せなかったわけではない。
 スエズ北方要塞周辺に重水分離工場、重水素工場と、それに電力を送る核融合発電所と
直線翼ダリウス・サボニウス型風力発電施設が建設された。前者2者については、空爆に対する備えとして、
要塞内部地下にも小規模なものが設置される予定だったが、こちらはまだ工事中だった。

 一方、食料を開戦時の備蓄、及び同盟国からの輸入に頼っていたジオンは、自給能力をつけるために,
プラント寄りの中立を表明していたエジプトに対しアレクサンドリア、スエズ北方要塞の運河対岸に位置する、
ポートフォードを結ぶ沿岸から、内陸部に向かって70kmのベルト状の範囲を、租借する事を要請した。
 エジプトがこれを拒否するとジオンはエジプトに対し宣戦を布告、短期投入としては圧倒的な戦力を持って
まずアレキサンドリアを占領し、2月28日には首都カイロの首根っこであるエル・ギーザ要塞を陥落させ、
ナイル・トライアングルを占領下に置いた。
 
 これに呼応して、西方からは早期にジオン支持を表明していたイスラエル軍がエジプト領内に侵入。
 シナイ半島では激戦が続けられていたが、本土と切り離されたエジプト軍に対し、『メルカバ(II)』主力戦車と
『ダルグーム』A1モビルスーツを投入したイスラエル軍は、有利に戦闘を進めていた。
 ダルグームA1は、つまり、ウィンダムZeのイスラエル軍呼称である。ウィンダムZeという呼称自体「勝っている状態のジオン」を示す為、
供与先では名称を代えるのが普通だっ た。たとえば日本帝国ではGAT-209ED/J『ジム』、オーブではMBF-M/Z2『ナンヨウ』となっている。
 メルカバ(II)は、ヤキン・ドゥーエ戦役以前、汎ムスリム会議に包囲され孤立していたイスラエルが、C.E.69に開発した主力戦車で、
連合のリニア・ガンタンクと異なり、火薬式の152mm高初速滑腔砲を搭載している。コンポーネントも初代メルカバに通じていた。
 この事態に、プラントは当初ジブラルタル側からのアタッチを試みたが、親ジオンのリビアに領海通過を拒否された。
 プラント本国は強行突破を命じたが、リビアの本格参戦を呼ぶ結果となった。
 リビア領海内にヨーロッパ連邦の海軍が同盟国軍として入り込むという、A.D.時代には考えられなかった事態が発生した。
 ヨーロッパ連邦は連合時代からのダガーLやウィンダム、そしてGAT-209ED/E『テンペスト』など、高性能機ばかりではないが、
モビルスーツを多数保有していた。
 さらに、この戦闘では、ジオン製の新ストライカーパック『ファトゥムストライカー』が初お目見えした。
 言うまでもなく、ジャスティス、インフィニットジャスティスが装備していたファトゥムのストライカーパック版である。
 飛行、戦闘機動の強化と同時に、分離状態で機首に発生させるビーム・ラムによって対艦・対要塞攻撃能力も付加される。
 2月17日に発生したこの戦闘では、ヨーロッパ連邦・リビア連合海軍は投入戦力の50% 近い強烈な損害を受け、
 戦闘そのものはプラント地上軍側の勝利と言えた。だが、プラント側の損害も大きく、アレキサンドリア奪還は断念せざるを得なかった。
 つまり、戦闘ではプラントの勝利だが、戦略的には親ジオン同盟の勝利だったのだ。

  
 機動戦士ガンダムSEED
 逆襲のシン ~ジオン公国の光芒~

 PHASE-15

 
 Mar.10.C.E.79。
 ジオン公国軍MS搭載大型戦闘艦『マリア』は、イスラエルの港、テルアビブに、MS空母『マチュア』『ダルシン』を伴って、
入港、出撃の準備をしていた。
「我が軍のMS3機、着艦許可を求めています。インパルスIIです」
 チーフオペレーター、マーシェ・イズミ少尉の澄んだ声が、艦橋に響く。
「着艦を許可します」
 大公直属特務隊司令兼艦長の、アビー・ウィンザー少将が静かに言うと、マリアの左舷カタパルトデッキの扉が開いた。
 インパルスを先頭に、ガンバレルストライカー装備のゲルググ・ハウント、ゲルググ・イェーガーそれぞれ1機が、マリアへのアプローチに入った。
「お疲れ様です、“大佐”」
 インパルスIIのコクピットから降り立ったシンに、甲板員がそう言った。
「キラ・ヤマトとやり合ったそうですね」
 目を輝かせながら、甲板員は訊ねてくる。
「メインでやり合ったのは俺じゃないよ、クレハだ」
 苦笑気味の笑顔で、シンは言った。
「ですが、最後はアスカ大佐に右腕を斬り落とされて、泣きながら逃げていったって話ですが?」
「おいおい、そんなニュースになってるのかよ」
 シンは更に、困ったような、悪戯っぽいような苦笑をした。

 キラが半ベソかきながらオーブから逃げていったのは事実だが、それはどちらかと言うと、アルテイシア、
つまりフレイの顔を見て、混乱した事の方が大きい。
 もっとも、シンがストライクフリーダムを追い詰めなければ、そんな事態にもならなかったかも知れないが。
「しかし大佐も大変ですね、オーブから戻られたばかりだと言うのに、このまま作戦に従事しなければならないとは」
「ブライトンの中で充分休んだよ」
 甲板員の苦笑に、シンはウィンクしながら答えた。
 ブライトンは現在、スエズ運河を抜けて地中海をテルアビブに向かって航行中。
 シンとレイ、クレハだけがブライトンを飛び立って先行してきた。
「マチュア型は艦は広いし何でもそろってるし、レイとも久しぶりに遊んだしなぁ」
 ただ1つシンに不満があるとするなら、アルテイシアとはオーブで分かれたことだ。彼女はキャサリンと、護衛のSPと共に、
オーブ所有のシャトルでジオン本国、トーマス・シティへの帰途についた。

 アルテイシア用のシャトルはまだブライトンに搭載されている。 ジオン公国が運用するシャトルは、スペースプレーンではなく、
より古い形態の化学ロケット打ち上げによる垂直発射式だった。
これは、ジオンが独立宣言・開戦の段階では地上に拠点を持たなかったことから、エザリアの指示により、
ランニングコストはかさむが、より簡便な施設で運用できる垂直発射式を復活させる事になったのだ。
 改ミネルバ型とマチュア型、それに一部の中規模カーゴは、化学ロケットブースターによる自力大気圏脱出能力を持つが、
これを除けば、ジオンの運用するシャトルは全て、垂直発射式である。
「それじゃ、アビーに顔合わせて来なきゃならないし、俺は行くよ」
 と、シンはブリーフィング・ルームの方へ、キャットウォークを歩いて行った。

 マリア艦橋。
「オーブ行き、ご苦労様でした、シン・アスカ特務大佐」
 艦長席をくるりと回し、笑顔でアビーは言った。
「ただいま帰還しました、司令」
 シンはアビーに向かって敬礼をする。アビーは笑顔のまま、返礼した。
「事実上、これで階級は並びましたね」
「茶化すなよ。俺は別に偉くなりたいわけじゃないんだ」
 アビーが悪戯っぽく言うと、シンは少しげんなりしたような表情で言った。
「でも、働きから行ったら、もっと偉くなってても良いのに」
「将官がモビルスーツ乗って飛び出すってのは、早々まずいだろ、“どっかの誰かさん”じゃあるまいし」
 シンは苦い顔をして、アビーに言い返した。
「それより、仕事の話をしよう」
「そうですね」
 シンが言うと、アビーも表情を引き締めた。

「状況は良いとは言えませんね。レバノン軍とヨルダン軍がイスラエル国境沿いに、拠点になる要害を築いています」
 アビーは言いながら、正面のメインスクリーンにイスラエル周辺の地図を表示させた。
「もっとも、実際に完成した拠点を使うのは、ベイルートとアンマンのプラント軍でしょうけど」
「だろうな」
 アビーが付け加えるように良い、シンも同意した。
「シリアは動いてないのか?」
「不利が判ってるので、シリアは消極的ですし、プラントも強要していないようですね」
 イスラエルとシリアが国境を接する隙間に、ゴラン高原が存在する。この高原の周辺は両国の領土紛争地帯だった。
 両国がここに固執する理由のひとつとして、ゴラン高原の適度な高台が、軍事拠点として好条件なことにある。
ましてニュートロンジャマーによって精密レーダーが使えない現在、むしろその重要性は増した。

 メサイア戦役以前、ゴラン高原はヨルダンの領土だったが、世界再々構築の際、イスラエルは『ユダヤの自由と安全の為』と称して、
手練手管でプラントにゴラン高原とその西側地区のイスラエル編入を認めさせた。
 いざジオンが独立し、L1会戦、イスラエルが態度を翻してジオン支持となっても、今更後の祭り、というわけだ。
「それじゃシリアは当面静観、と。で?『D兵器』をイスラエルに渡したそうだけど?」
 シンは、眉を潜めながら、訊ねる。
 その存在は、核融合MSに比べればそこまで極端な機密ではないとは言え、ジオンの切り札的存在だ。
「ことここに至ってはしょうがないでしょう、同盟国を見捨てるわけにも行きませんし」
「ま、しょうがないか」
 困惑気な表情でアビーが言うと、シンも困ったような顔で同意した。
「で、俺達はどっちへ行くんだ? アンマンか?」
「いえ、我々はゴラン高原を越えて、ダマスカスへ侵攻します」
 アビーの答えに、シンは仰天した。
「おい、イスラエルに3方面作戦をやらせる気かよ!」
 シンが声を上げる。すると、アビーは苦笑気味に笑いながら肩をすくめて、悪戯っぽくウィンクして見せた。
「ご心配なく、我々だって、シンが留守の間、何もやっていなかったわけじゃありません」
 言うと、メインスクリーンの表示を切り替えた。
「レバノン国境にMS2個大隊、自走対空砲連隊を含む特別大隊1個、同様に、エルサレムにMS1個大隊、
ベルボア要塞(ヨルダン国境)にMS1個大隊とビーム高射砲1個連隊、ワジアラバ西基地にMS2個大隊と特別大隊1個、配置済みです」
 これに加え、イスラエル軍自身も、ダルグームや、大西洋連邦払い下げのストライクダガー等モビルスーツをはじめとして、高度に近代化されている。
 一方、対イスラエル・反ジオンのイスラム国家に、モビルスーツを保有している軍は皆無だった。戦闘車両もロクにない。プラントの駐留軍に任せきりだ。

「大盤振る舞いだな、しかし」
 シンはメインスクリーンの配置図を見て、呆れたように言った。
「ゲルググやネモは、完成機はこれでかその次あたりで最終ロットって言われてますから、 在庫一掃大処分セール! って感じですかね」
「そういや、アルテイシア……殿下もそんなこと言ってたっけな」
 早ければ、来週中には次期量産機のコンペティションに決着が付くはずだった。
「でも、レバノンをほっといてシリアか。良いのか、これで」
「それは、私がシンに聞きたいぐらいです」
 シンが呆れ気味に言うと、アビーは、少し不愉快そうに眉を下げて、表情になってそう言った。
「え?」
「シンドバッド作戦の第2段階が、其処にあるのは、シンのせいなんでしょう?」
「あ!!」
 アビーに言われ、メインスクリーンの地図を見直し、間抜けな声を出してしまう。
 
 シリアを無力化し、モスル周辺のイラク北方を制圧する。そしてその先にあるのは────ガルナハン。
 スエズで核融合燃料を確保し、エルサレム(当初の予定ではテルアビブだったが、イスラエルのエジプト侵攻で変更となった)から
ダマスカス~モスル~イラン領タブリーズのラインを確保、対イスラエル・反ジオン勢力圏とヨーロッパ連邦や北アフリカの
親ジオン勢力の間に壁を築いた上で、コーカサスへの橋頭堡を確保する。
 これがシンドバッド作戦 第2段階の嚆矢だ。
「構わないです?」
 アビーはそう言って、ニヤッと笑った。
「まぁ、そ、そういうことだな」
 シンは、決まり悪そうにそう返事をした。

 イスラエルの、3月10日の陽が沈みつつある頃。
「主機関出力正常、全機構異常なし」
「マリア、発進!」
 マーシェと、アビーの声と共に、マリアは発進。一旦海上に出て浮上しつつ、補助翼を 展開する。
 それに、マチュアとダルシンが続く。高度を確保した後、人口密集区を避けて地上に進入、西進を始める。
 同時刻。ゴラン高原の都市、クネイトラの東にあるイスラエル軍拠点に向けて、メルカバ戦車や装輪自走砲を搭載した
大型キャリアトレーラーが、コンバット・タイヤの軋みを上げつつ、幹線道路に長蛇の列を作っていた。
 
 発進したマリアの艦内で、シンはレイの部屋の前へと来ていた。クレハも同室だ。
 いかに保護者代わりとは言え、作戦中の軍艦内で男女の居室が同室というのはシンにとってはいかがな物かと思うのだが、
それを今レイに言うと100%嫌味で返されるに決まっているので追求しない事にしておく。
 ────ま、女の子って言っても顔がキラだしなぁ。
 顔の輪郭は女の子らしく丸いのだが、それ以外は眉は太いしまるっきり若い頃のキラそのものだ。
 オマケにナイムネ。その割に安産型。
 本人の性格が幸いして棘は立たないが、かと言って別の物も立たないだろう、とシンは下品な想像をしつつ、インターフォンの呼び出しボタンを押した。
 
 …………本当はレイは、キラよりも若い頃のシンの方がそっくりだろ、と思っているのだが、自分の胸のうちに秘めている。

 ついでに言えば自分は断じてストレートであると。

「レイ、俺だ」
『シンか』
 レイの声が短く答えたかと思うと、すぐに扉が開いた。
「何か用か?」
 無愛想というわけではないが、相変わらず素っ気ない口調で言うレイ。
「クレハとなんだけど、出撃する前に話しておきたいことがあってな」
「大公殿下だけじゃ飽き足らず、クレハにまで手を出す気か?」
「お前な」
 すっかり保護者気取りのレイに、シンはため息をつく。
「そうじゃないし、できればレイにも同席して欲しいんだ」
 しょげかけた気を取り戻しつつ、シンは言った。
「構わないが、ここではなんだな。談話室の方でもいいか?」
 レイが聞き返してくる。
「ああ、別に構わないぞ」
「それと、俺とクレハが行くのなら、シンもウィングマンを連れて来てくれ」
「へ?」
 シンは一瞬、キョトン、とした。
「戦術の話になるんだろう? だったら、俺達もそちらから話を聞きたい。お前と彼女と共同で、アスラン・ザラを落としているんだしな」
「まぁ、構わないと思うけど」
 不思議そうに、シンは首を振る。
「それじゃあ、コニール呼んでくるから、先に言って待っててくれ」
「承知した」

 数分後、4人は談話室に集合した。長椅子のテーブルを1つ、占領する。
 設置された自販機で飲み物を買う。出撃が近いので、全員スポーツ飲料にした。
「それで、なんであたしまで呼ばれたわけ?」
「いや、レイが呼んでくれって言うか……ら……」
 コニールに訊ねられ、シンは言いながら、コニールからレイの方に視線を移す。
「その、格闘戦について少し話を聞けたらと思っただけだ」
 いつもと同じように淡々と言うレイだが、心なしか頬が紅い。

 ────まさかコイツ。

 シンは、呆れた目でレイを見た。
「手早く本題に入ろう、シンから」
 レイはそれに気付いているのかいないのか、少し慌てたような口調でシンに振る。
「ん、ああ」
 シンは気を取り直し、クレハに向き直る。
「じゃあ、単刀直入に聞くんだけど……クレハ、君はSEEDを持っているのか?」
「しーど?」
 シンの質問に、クレハはその意味が判らないと言うように、オウム返しにして小首をかしげた。
「あーっと、SEEDって言うのは、特定の人間が持ってる能力で……それが発動している間、
知覚能力が、特に空間認識能力が上がるんだけど」
「!」
 シンの説明を聞き、クレハは記憶に思い当たり、目を見開いた。
「発動する時、意識の中では、そう、硬い植物の種が割れるようなイメージがあるんだ」
「あります! それ、私!」
 身を乗り出しかけ、クレハは答えた。
「いつから?」
 シンも真剣な表情になり、クレハに聞き返す。
「この前です、キラ・ヤマトとやりあった時です!」
「キラと……やりあった時……」
 シンは、呟くように、クレハの言葉を反芻する。
「そうか、おそらくキラがSEEDを発動させた時、クレハにも共鳴のような現象が起こったのだろう」
「レイ、お前、SEEDの事知ってるのか?」
 シンは、意外そうな表情でレイに聞き返した。

「キラ・ヤマトの事は徹底的に調べた。メサイアの前にも後にもな」
「そっか」
 シンはレイの言葉に答えた後、再びクレハを見る。
「SEEDってのは普通、発動する時に感情の昂ぶりとか、条件があるんだけど、えーと……」
 少し言いにくそうにしてから、申し訳なさそうに、シンは続ける。
「今まで、キラだけは、SEEDをほぼ自分の意思で発動できたんだ。それはキラがスーパーコーディネィターだからって言われてたんだけど、クレハはどう?」
「うーん……」
 そう言って、クレハは片手で、自分の頭を横から抱える仕種をした。
「……やってみないとわからないですけど、多分できると思います」
 クレハの答えに、シンとレイは顔を見合わせた。
 SEEDを持つ最高のコーディネィターは、唯一の存在ではなくなった。これは大きな事実だ。

「えと、アスカちゅ……大佐も、その、SEEDを持っているんですよね?」
「え? あ、ああ、そうだけど?」
 シンは、少し呆気に取られたような様子で、答えた。クレハが何故それを知っているのかは知らないが、話の流れ上、そういう判断をしたのだろう、と思った。
「さっき、スーパーコーディネィター以外のSEEDの発動には、条件があるって言ってましたけど、アスカ大佐のSEEDは結構簡単に発動してたと思うんですけど」
「え?」
 シンは、一瞬、クレハの言っている意味がわからず、キョトンとしてしまう。
「だって、私がちょん、って触ったら、簡単にパリンッ、て」
「触る!? 俺のSEEDを!?」
 シンは思わず椅子から立ち上がり、素っ頓狂な声を出してしまった。
「はい。あ、もちろん手で直接触ったわけじゃなくて、イメージでの話ですけど……」
「それって、もしかして……」
 聞き返しかけて、シンはゴクリ、と喉を鳴らした。
「俺が、クレハと、ストライクフリーダムの間に割り込んだ、あの時……?」
「はい、そうですよ?」
 クレハは、何気ない事のように言った。
 シンとレイは、絶句して、クレハを凝視した。当のクレハは何で2人が驚いているのか判らず、コニールは既に話題から取り残されていた。
「…………マジ、かよ……」
 それが本当だとすれば、キラどころの話ではない。クレハは他人のSEEDまで、自分の意思で発動させる事が出来る。
 別に細かい条件は、あるだろうが……

『コンディションレッド発令、状況131。コンディションレッド発令、状況131』
 アラートと、事態を告げる放送が鳴り響いても、シンとレイは、僅かの間、それを理解
する事が出来なかった。

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