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グラハム・エーカーが異世界に介入するようです_007

Last-modified: 2011-12-14 (水) 00:38:20
 

台湾解放作戦は地球連合が一丸となって進めた初めての軍事作戦だった。

 

大西洋連邦はまだ出来たてのMSを大量投入し、
東アジア共和国は人員を含めてかなりの負担をしてくれた。
ユーラシア連邦も地上ではまだMSの提供が間に合わず人員を提供した程度だったが、
次回以降の作戦に備えて大西洋連邦から提供されたばかりのMSで必死に訓練に明け暮れていた。
ジンよりも遙かに格上のスペックを持つ機体にパイロットは軍用ナノマシンで
並のコーディネーター程度の能力を得ていた。
そしてナチュラルでも容易に動かせるように動かせるように組まれたOSは
パッと見ただけでは新兵とは思えない動きをしていた。
第一次作戦後に港湾部を制圧した後にカリブルヌスと共に第一陣として来た部隊は
順次港から各地の戦地へと移動を開始して行った。

その後各地に作られた仮設の滑走路にサイパンで訓練を積んできた部隊が大型輸送機で続々と到着し、
解放への準備は着々と整いつつあった。

 

その最中ザフトは司令官を交代させたとの情報が統合参謀本部に入った。
そして司令官が交代してまもなくザフトは段階的に占領地から撤退を始めた。
それを見た一部部隊が追撃を試みたところ手ひどい目にあったのであった。
大型の落とし穴を作られて落ちたり、MSのセンサーなら誤魔化せないと進軍を停止すると
ワンサとザフト兵が出てきて装備を鹵獲されたりと酷い有様だった。
幸いMSはナノマシンを投与されたパイロット以外に乗ることは出来ないため鹵獲はされていないが、
コクピットに爆薬を仕掛けられて救出に来た部隊がハッチを開けた際に負傷する事件も発生した。

これまでのザフトのある意味潔癖症的な戦い方は鳴りを潜め、
ゲリラ的な戦い方に方針を転換してきたのは新司令官の影響なのだろうか?
仮設の駐屯地にも深夜などにディンでの嫌がらせの攻撃が度々あり、
その際に戦闘機をスクランブル発進させるが既に逃走した後であり空振りに終わることが殆どであった。

 

駐屯地によっては深夜にMSを使っての夜間の巡回監視を始めるところも出てきはじめた。
しかし幾らMSを月やデトロイトの工場で作ろうともそれを動かす人間には限界というものがある。
パイロットもローテーションを組んで巡回監視を行ってはいたがそれは本来の任務とは異なるものである。
軍用ナノマシンの効果もあり多少の無理は効くもののやはり人間は夜間には眠る動物である。
少なからず兵士同士のいざこざやトラブルが起こり始め、
現場の悲鳴を聞いた上層部は作戦の前倒しを真剣に検討しはじめた。
一方ザフトはマスドライバーのある高雄に基地を構えて籠城の体制に入っていた。
衛星軌道はほぼ地球連合宇宙軍が抑えてはいるものの、
ジャンク屋などの宇宙船は書類のチェックのみで通していた。
それが後に手ひどいミスとなって帰ってくるのであったが・・・

 

それにしても籠城は本来救援を当てにして行うのがスジである。
カーペンタリアからの救援は遠く、宇宙も地球付近は抑えている。
ジャンク屋や中立国からは基本的には武器は売買の対象外な筈だ。
嫌がらせ攻撃も時間が立つごとに頻度も減っていき、
来るMSもかなり外観から見てもくたびれはじめて来ている。

こちらも嫌がらせ攻撃にも慣れてきて「また来たよ改造人間乙w」とか
「新人!当てないと飯無しだぞ!」等と賭の対象にするほどだ。

本当に人間は逞しいものだ。

「敵の物資の不足は目に見えている!叩くなら今しかない」
と言う意見が統合作戦本部でも多数を占め、作戦の実行が決まってしまった。

 

教導隊も参加が決まったのでカリブルヌスは今までの4機に加えて
ケア大尉の1ガンダムを臨時に指揮系統に入れてもらえるようにエーカー中佐に要請をした。

エーカー中佐は

「もちろんかまわないが4つある混成旅団それぞれがバラバラにMSを運用するのも考え物だな。
 君の指揮下に入れるようアズラエルに話してみよう。」

と言ってくれた。

確かに混成旅団は元々の国家の影響を受けるところが大きくあり、
MSを運用している部隊はともかく上層部は私たちカリブルヌスの事を快く思わない人も少なくない。

「大西洋連邦は一体どれだけ隠し球があるんだろうね~。
 いやあ優秀なエンジニアと兵がいる所は何とも羨ましいよ。」
等と嫌みを言われることも度々である。

 

一体どんな手を使ったのか混成旅団からMS部隊を抽出し、
統一運用するという案は後日の作戦会議で決定された。

便宜上統合作戦本部からサザーランド准将が上官として来るものの
彼はアズラエル理事と懇意にしている軍人であり、エーカー中佐とも顔見知りであるという。

「まあアズラエル理事もグラハムも無茶をするからね。
 理事には明日から准将だって言われたよ。ハハハ・・・
 ま、まあ君はとにかく被害を抑えて戦果を上げてくれたまえ。」

そう言ってくれた准将の手にはCB印のよく効く胃薬があった。
思わずサザーランド准将に合掌したくなってしまった。

 

数日後海上は小舟さえ通さない程地球連合海軍の艦船が付近の海域を封鎖し、
空には航空機がひしめいている。

ザフト軍の高雄基地を取り囲むように地上軍があらゆる車両、MSが今や遅しと作戦の開始を待っていた。

作戦開始前にオープンチャンネルと拡声器で改めて投降を促す放送を流したが返事はなく、
逆にそれを合図にしたかのようにハンガーからジンや本来水中用MSであるグーンまでもが
偽装したハンガーから出てきた。

さらに港湾付近から艦艇が基地近辺に居る地球連合軍へと攻撃を加えて来た。

地上軍は危険なため歩兵を一時下がらせ、装甲車両からのミサイル攻撃でザフトのMSの足止めを試みた。

足下に落下したミサイルにバランスを崩したグーンは転けそうになるもなお歩みを止めず、
強引に付けたであろうシグーのバルカン砲を乱射しながらゆっくりと地上軍に近づきつつあった。

装甲車両でも荷が重いと見た司令部は装甲車両も下がらせ
カリブルヌスにMS部隊を指揮してザフトのMSを排除するように命令が下った。

 

キャノンダガーは今回から75ミリレールガンから75ミリ高出力ビームカノンに装備を更新し、
遠距離から脅威になるであろうMSを狙い撃っていった。

射角が取れない敵にはフライトダガーのビームサブマシンガンと
脚部に追加されたレーザー誘導マイクロミサイルが襲いかかる。

それでも射撃できない位置で頑張っている敵にはアサシンダガーが強引にバーニアを吹かし、
地上を滑空するように近づきバスターソードで一撃で撃破した。

イメリア少佐のアドバンスダガーは高性能の複合センサーと上空の管制機の情報を統括し、
サザーランド准将を経由して混成旅団の事実上の指揮を執っていた。

カリブルヌスの指揮下に入ったMS隊も伏兵などに警戒しつつ基地の敷地内に進出し、
ハンガー内のMSや港湾施設から緊急発進しようとしていた艦船をビームライフルで破壊した。

かろうじて港から離脱できた艦艇も鹵獲されるか沈められるかのどちらかしか無く、
少なくとも無事に離脱できた艦艇は皆無だった。

 

ザフト軍基地の本部は極力攻撃を避けるように命令が下っていたものの、
屋上からミサイルや重火器の攻撃に対して応戦したため半壊状態になっていた。

戦闘が小康状態になったため、歩兵を基地内部に入れて生存者の探索などを行うものの
殆ど発見することは出来なかった。

本部の入っていたビルは幸い基地指令の部屋は無傷であったが
探索に入った兵士が見たものは拳銃で自決した司令官の姿であった。

傍にはパソコンが起動したままになって置いてあり、
上層部に対する不満や家族に自決することへの謝罪の言葉などが書いてあった。

さらに本部内を探索した別の部隊から、医務室に重傷者が10名ほど生きているとの連絡が
作戦本部へと伝えられると医療スタッフを乗せた大型ヘリが急遽派遣され
応急処置を施した後に後方の病院へと搬送された。

以前であればコーディネーターなぞ問答無用で殺してしまえと思っただろう。

しかし味方に見捨てられ裏切られた彼らを見て死んでしまえとはとても思えなかった。

 

基地指令のパソコンの中の書類にはザフトの地球生まれのコーディネーターに対する侮蔑が読んで取れた。

ゲリラ戦への転向も本国からの補給が途絶えたために仕方なく方針を転換したようだ。

パソコンのデータを見る限り基地指令は投降も考えていたようだ。
しかし投降した場合兵士の家族に累が及ぶことを危惧して実現には至らなかった。

本国との交渉で負傷者をカーペンタリア基地へ移送する事は何とか認めさせて潜水母艦を手配し、
脱出の手助けとして陽動作戦を行い脱出には成功したが負傷者全員とは行かなかった。

その際にカーペンタリア基地からある程度の補給品が持ち込まれたため
これまで基地の活動が維持出来たらしい。

その後我々の海上交通路遮断が厳しくなりカーペンタリア基地から出た潜水母艦も
台湾付近に近づけず補給も兵の脱出もままならなくなってしまった。
プラント本国でも兵を撤収させるか増援を送るべきと言う意見があったようだが結局まとまらず
我々の解放作戦の方が先に発動され台湾全土は制圧された。

 

「希望を持たせたあげくにこのザマではザフト兵も死んでも死にきれないだろうな」
等と考えていると空気を読まずに携帯無線でケア大尉が話しかけてきた。

何でも近海にザフトの潜水母艦が数隻発見されたということだ。

念の為に簡易整備に入っていた機体の中から整備が終わった機体を
順次警戒配備に付かせる様に指示し私も機体へと足早に向かった。

整備場ではフラガ大尉がしきりに「何かイヤな感じがする。」と言っていたが
そのカンは悪い方向へと当たっていた。

 
 

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