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シン死亡エンド 不快な権力闘争

Last-modified: 2014-03-10 (月) 15:38:38

ラクスによる演説が行なわれていた。
今はその演説の途中であった。
演説を聞いているのはプラントの関係者、
そしてラクスの政治上の相手となる地球各国の関係者である。

 

ラクス 「……はっきり申し上げておきますと、
     私たちはイメージをもたれています。
     どういうイメージか? それはラクス教とでもいうべきイメージ。
     私、ラクス=クラインを崇拝するもののみが正しいというイメージ。
     私、ラクスを信じないものは人にあらずというイメージを」

 

そう言われて聞いていた者たちは皆がやがやと言い出した。
皆、ラクス=クラインが、
そういう発言をするとは思わなかったからである。

 

ラクス 「皆様、お静かにお願いいたします。
     ……私はメサイア攻防戦以後、
     プラントを代表する立場として活動してまいりました」

 

ラクス 「しかし少なくとも私の影響力はプラントはともかく、
     地球側、皆様方の国では取るに足らない小さなものです。
     それにプラントが、ラクス=クラインを崇拝するもののみが
     正しいということになっているなどあるわけはありません。
     同様に現在、プラントが私を信じないものは
     人にあらずということになっているなどあるわけはありません。
     それは大いなる偏見といえるでしょう」

 

そこまでラクス=クラインは話して一息入れた。
そしてまたすぐに話をしだした。

 

ラクス 「昨今報道されていますように、
     私たちは確かにオーブで暗殺されかかりました。
     私たちは生きるために戦いました。
     そしていつまでもオーブにいてはダメだと思いました。
     私たちは生きるため、そして正義のために戦ったのです。
     私たちを始めとする皆が平和に暮らせる世界を願う。
     正義のためとはこういうことですわ。
     皆様は正義のため、私たちプラントと協力していただきたい」
     聞いていた者たちは皆、またがやがやと言い出した。

 

ラクス 「皆様、お静かに。
     皆様の中には、私をまるで女王のように見るものもいるでしょう。
     私は女王ではありません。しかし女王と見られても結構。
     私は覚悟があります。
     皆に批判を浴びてでもやらなければいけないという覚悟が。
     むしろ私は女王になりたい。
     ……もちろん公的な意味ではなく、たとえとしての意味ですが。
     ではなぜ女王になりたいのか。正義のため。
     では、具体的には何か。
     私は、地球圏統一国家の構想の実現を希望することを宣言いたします。
     もちろんたとえではありますが、私はプラントの女王として、
     地球圏統一連合の一端を担いたいと思います」

 

ラクス 「先の戦いで議長派は敗北しました……。
     ロゴスを必要以上に悪と宣伝し、
     あのわけのわからないデスティニープランの発表。
     人が生まれながらの遺伝子で差別されるなど
     あってはならないことだと、普通の人ならわかりそうなこと。
     しかし、もはや議長は行方不明。
     あのザフトの象徴であったシン=アスカですら
     処刑されたということを、今この場で発表いたします。
     シン=アスカは敗れました。彼の細君もまた。
     そして夫妻は責任をとったのです。
     ……私は勝者になりたい。
     この正義のため、理想の実現のために、
     私たちは敗北してはならないのです。
     以上で私の発言を終わらせていただきます」

 

聞いていた者たちがラクスの演説に対しああだこうだという中、
ラクスは一人、その場から退席していた。

 

ラクス 「私がプラントの女王……。
     本当は私が地球圏統一国家の女王として、
     『正義のため』に動くことができればいいのですけど。
     クイーン・ラクス……。フフフ。
     プラントは人口が少ないですから、パイロット不足を補うための
     自動で動くモビルスーツ……、モビルドールの研究を急がせませんと。
     モビルドールはパイロットなしでも自動で戦えますから……。
     さて、オーブの方はどうなっているでしょう、フフフ……」

 
 
 
 
 

オーブではクーデターが発生していた。
それは無血クーデターであった。
クーデターで追い落とされる対象になったのは
たった一人、カガリであった。
今、カガリの部屋で彼女を囲んでいるのは
数人の名もなきオーブ兵、そしてキラとアスランである。

 

カガリ 「なぜだ! なぜ、私が辞めなければならないんだ!」
キラ  「カガリ。今のカガリには政治的な能力はない。
     たとえ政治的に重要な立場にいたとしても」
カガリ 「何だと!」
キラ  「将来、政治的な能力が成長するかもしれない。
     それを十分に発揮できるかもしれない。
     だけど今の時点では政治的なセンスがないと言わざるを得ない。
     代表を引退して、結婚して家庭に入った方がいい。
     その方が、みんなのためだから。……ラクスも同じ意見だった」
カガリ 「しかし!」
キラ  「あのわけのわからない結婚式からカガリを連れ出した時、
     すでに自分はそう思っていたよ。
     カガリが結婚して家庭に入った方がいいと思ったから、
     連れ出したっていうのもある……。
     アスランから聞いたよ。指輪、もらったんだって?」
カガリ 「お前、そんなことを言ったのか!」
アスラン「……ああ」
キラ  「もう、ここは身を引くべきだ」
カガリ 「ダメだ!」
キラ  「それにカガリには責任がある。
     あの時、オーブは混乱していた。その時の責任は、ある。
     政治的なことはともかく、それでも悪く言われなかったのは
     オーブの人たちがカガリに敬意を持っていたからだ。
     今だって、カガリに危害を加えようとするオーブ兵は一人もいない。
     ……責任を取って辞めるべきだ」
カガリ 「キラ! ……アスラン! 
     お前、私には政治的なセンスがないというのか!」
アスラン「俺は……。だがもう遅い。完全に屋敷が包囲されている。
     仮に抵抗したところで捕まるのが見えている……」
オーブ兵「お話の途中、失礼します。
     私たちオーブの者は皆、カガリ様に敬意を持っています。
     私たちとてこのようなことはしたくはなかった……。
     しかし私たちは、カガリ様の政治的センスに疑問を持っているのです。
     はっきり言いまして、このクーデターの計画が
     オーブ兵の間に伝わった時、疑問を持たない者はなかったのです。
     そのため今、この屋敷を包囲している数は
     すごいものとなっています」

 

カガリ 「それでも嫌だ! 
     私はオーブを守らなければならないんだ!」
オーブ兵「すでにカガリ様の引退後の仕組みは考えられ、出来上がっております。
     今よりも議員の権限、力は強化され、
     司法、立法、行政のバランスが取れた、
     今よりももっと民主的な国家になるでしょう。
     現時点でのオーブは、たとえ善政であったとしても
     本当にごく少数の者が政治を動かしていたことに違いありません。
     それならば、今のうちにカガリ様が引退なされたほうが良い。
     もちろん政治から引退されるだけです。
     後をどうこうしようという気はありません。
     君臨すれども統治はせず、ということです。
     そして本当にオーブが困った時のみ、政治に復帰していただく」
カガリ 「お前たちはそれでいいのか…? 私は……」
オーブ兵「それが、私たちの総意です。
     実はオーブの軍の中でクーデターを起こす前に
     投票を…、多数決を取りました。
     クーデターを国の全兵士に投票をさせて
     起こすかどうか決めるなど、歴史上他にあるのでしょうか?
     そんなバカなクーデターが、実際起こったのです。
     結果は圧倒的多数で、無血クーデターを支持するものでした」
カガリ 「そんなバカな! それはもうクーデターではない!
     ……そんなバカな。私は…」
キラ  「どうする?」
カガリ 「…わかった。私は代表を引退する。
     私の予定では、オーブについての仕事をこなしつつ
     アスランと結婚しようと思っていたが……、
     ちょっと予定が早まったようだ」
キラ  「……よかった。
     本当は、決断するのにもっと時間がかかると思っていたんだ」
アスラン「……」

 
 
 
 
 
 

プラントに帰ってきた、キラ=ヤマト。
彼は今、部屋でラクスと二人きりで会っていた。

 

キラ  「そういうわけだからよかったよ」
ラクス 「ええ、本当に良かったですわ」
キラ  「これでカガリもアスランも幸せになるよね」
ラクス 「ああ、そのことですか。
     それは物事の一部、表面に過ぎませんわ」
キラ  「え、だって、ラクスは言ったじゃないか。
     今のカガリには、政治的なセンスはないって。
     将来成長して政治的なセンスを発揮できるかもしれないけど、
     それだったら引退させた方がいいって。
     それは僕も前からそう思っていたし。
     二人が結婚して幸せになってほしいし」
ラクス 「それは私もそうですわ。
     ただ、さっきも言いましたように、それは物事の一部、なのですわ。
     ……オーブの政治が変わるのは、私にとって両刃の剣なのです。
     確かに今の彼女に、政治的センスはない。
     それに比べればオーブの新しい政治に携わる人々は
     はるかに政治的センスを持っているはずですわ。
     その政治的センスによって、私たちが考えもしないところで
     プラントはオーブに助けてもらうことがあるかもしれません。
     しかし、政治的センスがないことにも良い点がある。
     それは一言で言えば操り人形に、
     かいらいにしやすいということです。
     まして彼女は私たちと大きいつながりがある。
     指示さえ出しておけば、私たちの思い通りに動くのです。
     新しくできる政権は彼女に比べれば
     私たちの思い通りに動かないといえるでしょう」
キラ  「え、じゃあ何で……?」
ラクス 「理由はアスラン、ですわ。
     彼はザフトの人間。
     しかし、いずれは結婚して
     代表の結婚相手という立場になったでしょう。
     そうなれば彼はオーブの人間として影響力を持ち、行使したはずです。
     彼は誰かさんよりはよっぽど政治的センスがある人間です。
     彼がオーブにいる間、私たちはオーブでかくまわれていました。
     そして彼がオーブにいる間、二人で宇宙に行った……。
     議長と接触するために。
     今までの報道で、ザフトの新型モビルスーツが
     強奪された事件があったことは知られています。
     二人があの時に議長と会っていたことははっきりしていますわ。
     そのようなことはカガリの政治的センスの良さを示すものだ
     という説もありますの。
     たとえばインターネットのウィキペディアにおける記入ですとか……。
     あの時、彼女に宇宙に出ることをすすめたのは
     アスランだったとしても不思議はないですわ」

 

ラクス 「そして彼の政治的思想……。
     彼はあの時、あなたの説得に応じなかった。
     私たちの主義、主張に組みしない……。
     実際彼がザフトを脱走したのは議長が彼を殺そうとしたから、
     処刑しようとしたからに他ならないですわ。
     それは今までの報道で明らかなことです。
     彼は議長の強硬派な部分、例えば私たちの暗殺への暗躍……、
     そういったことを嫌っていたようです。
     しかしそれ以上に
     私たちの主義、主張を嫌っていた部分が大きい……。
     メサイア攻防戦に参加したのは、
     議長が彼を殺そうとしたからということ、
     それに代表されるような議長の強硬派な部分、
     そしてあのわけのわからないデスティニープランに
     よるものが大きいのですわ。
     ……彼は私たちの主義主張に組みしない。
     彼は私たちの思い通りには動かない人なのです」

 

ラクス 「アスランは私たちと
     プライベートで仲がいいから誤解されますが、
     実際には彼が望む未来は私たちとは別のものですわ。
     オーブの新しい政治とアスランと、
     私たちへの危険を考えた場合、どちらをとるか……。
     裏から手を回した甲斐があったというものですわ。
     間違いなく私と敵対する人物がオーブの代表さんの隣にいる。
     そしてオーブの方は信じられないぐらい彼女に忠実……。
     そんなこと、私が防がないとでも思っていたのでしょうか……。      
     もう、オーブの体制がどうなろうとも
     実権は私が握るということに話はついていますわ。
     オーブのクーデターの主要な方はすべて私の息のかかった者たちばかり。
     屋敷に突入したオーブ兵にも工作員が多数まぎれこんでいるというのに。
     私もその場で二人の顔を見たかったですわ……、フフフ……。
     あ、二人がいる屋敷の警備は厳重にしないと。
     逃げられては元も子もないですわ」

 
 
 
 
 
 

オーブ。アスランとカガリ。

 

カガリ 「おはよう」
アスラン「ああ、おはよう」
カガリ 「昨日は大変だったな」
アスラン「ああ……」
カガリ 「ほら、今日の新聞だ。
     今日の一面はオーブのクーデターとラクスの演説の記事だな」
アスラン「そうか……」

 

カガリ 「私たちのことはどう書かれているのかな。
     あ……。そうか。シン=アスカついに処刑される、か」
アスラン「何だって? どうせ、中止さ。
     今までだって延期につぐ延期だったろう?」
カガリ 「いや、本当だ。処刑された後だ。
     ラクスの演説で、そういう話が出た」
アスラン「何だって!?」

 

カガリ 「ほら。ここに書いてある。
     処刑の証拠をプラントは出したのか……」
アスラン「そんなバカな!? まさか!?」
カガリ 「お、おい! アスラン! どこに行く!」
アスラン「プラントへ連絡だ! 
     ラクスの側近、メイリンに連絡しなければ!
     俺がオーブの戦後処理に時間をかけている間に!
     くそ! あそこでシンの身柄を、オーブに移していれば!」 

 
 
 
 
 
 

通信室のモニターを通して会話が行なわれていた。

 

アスラン「どういうことだ! シンが処刑されるとは! 本当なのか!」
メイリン「結局、世論には対抗できなかった。それだけのことです」
アスラン「しかしそういう話ではなかったはずだ」
メイリン「……」
アスラン「君は自分の姉と
     その彼を窮地に追いやったことになるんだぞ。
     これではまるで……」
メイリン「確かにシンに関していえば、今は後悔している気持ちがあります。
     しかし彼が殺されるまでは……、どうしても許せない相手でしたから。
     姉に関しては、私は複雑でした。最初から……、捕まえられた時から。
     今は後悔しています。シン以上に……」
アスラン「君は……」
メイリン「もうやめて下さい。もう亡くなったんです。
     二人を駒に使う話はもう……」
そう話すと通信モニターが黒い画面になった。

 
 
 
 

いつのまにか通信室の壁に寄りかかってカガリが立っていた。

 

カガリ 「……通信モニターを切られたな」
アスラン「……ああ。
     まさか殺されまいと、タカをくくっていた。俺が悪い」

 

カガリ 「アスラン。なぜあいつにそれほどこだわるんだ。
     私だって無駄な血は流したくない。
     あいつ、以前私に殴りかかってきた奴だろう?
     だからといって、シン=アスカが殺されたと聞いて、
     私はいい気持ちはしないさ。
     だけど……」
アスラン「……」

 
 
 
 
 

アスランは黙ったまま新聞の記事を見た。
シン=アスカの処刑に対する評価。
それはあるプラントの住民による
あいつは死んで当然だったという意見から、
ある地球側の住民の
シンが殺されるなんておかしいという意見まで
幅広く意見が載っていた。

 

アスラン「……カガリの夢は何だった?」
カガリ 「お前と暮らすことか?」
アスラン「もう一つ、オーブのことだ」
カガリ 「ああ、オーブを守ることだ」
アスラン「そう、オーブを守ること。
     具体的にはオーブを中立の立場に置くことだ。
     地球連合からも、プラントからも。
     今現在はプラントよりの中立ということになるのか……?」
カガリ 「ああ、そうだったな。
     だがそれがシン=アスカとどう関係するんだ?」

 

アスラン「シンは、はっきり言って強い。
     少なくともモビルスーツのパイロットとして、俺以上に強い。
     しかもあいつは成長し続けている。
     今オーブ軍の中にいれば、あいつは頼れる味方になったはずだ。
     しかもあいつはザフトの象徴になった。
     今のプラントではあいつの評価はガタ落ちだが、
     そんなのは報道の仕方で何とでもなる。
     あいつが今までやってきたことによって、今度はオーブの象徴になりうる。
     しかもオーブはプラントからの移住者、コーディネーターが多い。
     彼らにとって、シンは英雄になりうる。
     しかもあいつはオーブ育ちのコーディネーターだ」

 

カガリ 「お前はまさか……」
アスラン「ああ、シンをオーブに来させようとしていた。」
カガリ 「しかし、あいつはオーブを憎んでいたんじゃないのか?」
アスラン「俺は今なら、シンを説得できるための自信があった。
     あいつがオーブからプラントに行ったのは、
     そうしなければ生きていけなかったからだ。
     オーブで生活できるなら、あいつはオーブに戻ってきただろう」

 

カガリ 「でもあいつはミネルバにいたじゃないか」
アスラン「それはあいつが
     ミネルバの仲間、ザフト軍の仲間を大事にしていたからだ。
     カガリ。今、ミネルバのクルーが皆、どこにいるか知ってるか?
     ……イザークたちのところだ。もうすでにあいつらはとは話がついている。
     仮にプラントで騒ぎが起きた時、ミネルバのクルーを引き連れて
     オーブに来る、ということになっていた」

 

カガリ 「アスラン、お前……」
アスラン「言い換えればシンは死んだ人間より
     生きている人間を大事にするということだ。
     カガリは知らないだろうが、
     あいつは死んだ妹のことばかり考えていた。
     だから周囲から誤解されやすい。
     だが実際は生きている人間を大事にする。
     でなければとっくにミネルバから、
     いやザフト軍からあいつは出ていたかもな」
カガリ 「アスラン。お前はあいつをそんなにかっていたんだな。
     そしてシン=アスカをオーブ軍の象徴にしようとしたんだな。
     オーブを地球連合からもプラントからも独立した
     中立の国にするために」

 

アスラン「ああ。シンを軍の象徴にするというのは、もともと議長の発想だがな。
     議長はあいつをかっていたからな。
     中立な国として動くために強い戦力を持っている……、という方法。
     安直だが、あいつにとってもオーブにとっても良い方法だったはずだ。
     シンは俺とは違って、歴史の主役になることができる男だ。
     ……そして俺が裏からそれを操る。
     ……生きていればな。くそ! しまった!」

 

カガリ 「アスラン。お前、そこまで部下思いの奴だったのか……。
     元気だせ。ほら。
     私は元気があるお前の方がいいな」
アスラン「……ああ。ありがとう。……部下思いか。そうか。そうだな。
     そういう風に見えるのか。
     カガリがそう思うのならそうかもしれないな。
     ……続きの記事を読ませてくれないか?
     ……ルナマリアも。……そうか」
カガリ 「この人は? あまり覚えがないが?」

 

アスラン「なあ、俺は知っていたんだ。
     シンとルナマリアがそういう関係だってことに。
     気付いたのは俺が軍を抜ける少し前だ。
     メサイア攻防戦で俺はシンを倒した。だがシンを殺さなかった。
     殺せたはずなのに。
     それは俺がその時すでに、
     あいつらをオーブに来させることを考えていたからだ。
     二人を殺させるわけにはいかなかった。
     俺ほどではないがルナマリアもパイロットとして一流だし、
     オーブ軍に入って活躍できたはずだ。
     だがそれだけじゃない。
     シンは死んだ人間より生きている人間を大事にする。
     そう、死んだ妹よりも。
     ルナマリアはシンに対していい人質になったはずだ。
     そしてシンはここで最大限に力を発揮したはず。
     戦力になったはずだ。
     そうすれば俺は……、いや、いいんだ……」
カガリ 「ああ。もう、いいんだ。もう……」

 

アスラン「カガリ。すまない。
     俺は夢をかなえられない。
     オーブを中立に保つことはできそうにない。
     俺にもっと力があればよかったんだ。権力さえあれば……」
カガリ 「いいんだ。私にはお前がそばにいるから。
     それにオーブの中立なら、キラやラクスが守ってくれるさ。
     あいつらは今、プラントの人間だけど」
アスラン「お前はまだそんなことを……。いや、いいんだ。
     そう言う方がカガリらしい……。
     俺はそういう部分が好きなのかもな……」