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デカルト漂流記 in Cosmic Era 71_8話

Last-modified: 2013-04-18 (木) 19:55:44
 

CE71年3月27日0844時
地球連合海軍第7連合艦隊旗艦『ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ』CIC内部

 

『第七観測所より報告。VF-141飛行隊より指向性発光信号、「方位二○一高度二一○ヨリMSホカ多数接近、ディンタイプ16ト『突撃型』20ヲ含ム編隊。母艦ハ認メラレズ」』
『第一観測所より報告。戦艦USSモンタナより発光信号、「測距儀ニテ方位二○一ニ敵編隊ヲ確認」』
「副長より伝達。全艦、敵母艦はボスゴロフ級潜水機動戦艦と認識。対空対潜対MS戦闘プランE7にシフト。ドッグ収容中の艦の乗組員は本艦第二兵員待機所に集合せよ。
本艦に収容されている強襲揚陸艦搭載の全機甲部隊全車両は第六機甲甲板に待機、但しエンジンは切るな」
『観測塔より報告。敵編隊第一陣ディンタイプとのエンゲージまでTマイナス300S、「突撃型」は更に120、他とは50!』
大規模基地司令部程の広さを持つCICは情報の海の中にあった。
既に僚艦と観測所が敵編隊を捕捉、対空戦闘態勢に入っている。
そのCICの最上段、艦長席に立ち状況を静かに見つめる白髪の男の背後に、二人の士官が近付いて来る。
「艦長!」
士官の声に、艦長が振り向く。
「貴様か、新顔の大尉は」
「デカルト=シャーマン大尉、本日0200より赴任致しました」
もう一方の士官に確認すると、彼は敬礼で答える。様式は地球連合とは違うが、その敬礼は訓練された軍人のものだ。
「ユナイテッド・ステイツ艦長、チェスター・Y=アルフレッド中将だ。貴官の赴任を歓迎する。裏の噂通り、徒者ではないようだな」
「左様で。それより、状況は?」
「MSと突撃型、といっても貴官は知らぬだろうな。ともかく、複数の敵機が接近している。貴官、実戦は」
「こちらでは未だ…」
「構わん。本艦搭載の試験機の使用を許可する、迎撃ついでに実戦慣れをしておけ。120秒で出撃せよ」
「…了解」
これだけの短い会話で、二人はCICを去る。
この状況では、それだけで十分な会話だった。
「…見せて貰おう、異邦人の力」
小さく呟く。一瞬見せた笑みは、老いを感じさせない、活気溢れたものだった。
「艦長より全艦に伝達。いつも通り、死人は出すな!!」

 

CICから後方のチューブに入ると、ものの数秒でMSデッキに着いた。昔のアニメのような、艦内移動手段だった。
「しかし、デッキの方も準備が速いな。50秒でコックピットまで行く間にパイロットスーツまで着用とは…」
『ここのクルーは練度はトップクラスだ、MS程度なら数分で発進させられる』
機体を起動させながら、こんな会話をハイネマンと交わす。
どうやらハイネマンは海兵隊のトップエースかつ初期生産機のMSパイロットらしく、GAT-01のアメリカ軍採用予定仕様『MSA-X01-12 ライトニング』のカスタム機に搭乗している。
デッキの脇には日本軍採用予定仕様『71式試作機動機 雷電』、イタリア軍採用予定仕様『MI-1X-7G ドゥリンダナ・フォルツァート』等の姿も見える。どうやら、この艦は各国の採用予定仕様の試験所か何かを保有しているらしい。
『時間だ。各機、出撃るぞ』
「了解。」
ハイネマンのライトニング・カスタムに続き、デカルトも乗機『GAT-X102-1デュエル』を甲板に揚げる。ライトニング、雷電、ドゥリンダナ・フォルツァート数機もそれに続く。
ライトニングはGAT-01のサイドアーマーにビームサーベルと背後にハードポイントが付いた、換装型汎用機。ハイネマンの機体は背後にX字状の大型ブースターユニットを装備し大型ビームライフルを携行する高機動機だ。
雷電はカメラアイをデュアルタイプに変更し左側頭部にブレードアンテナを追加、背後に折り畳み式の45口径36.5cmキャノン砲、右腕に155mm連装ライフルを携行する重砲撃機。
ドゥリンダナ・フォルツァートは軽量な『ドゥリンダナ』本体に追加装甲と指向性散弾を着るように装備し、左腕に大型シールド、右腕に75mm速射ライフルを携行する重防衛機だ。
各機を眺めている間に甲板に着いた。全機上がったところで、ハイネマンが各機に指示を出す。
『ライトニングゼロより各機、敵編隊とのエンゲージまであと120を切った。展開後は対空射撃及び船体防衛に専念、下手に飛び出してやられるな!四肢をやられても最低でも胴体は守り抜け!』
『ライトニング2了解』
『ドゥリンダナ1了解』
『雷電、一番二番了解した』
「…デュエル了解」
『よし。全機散開、状況を開始せよ!』 ハイネマンの号令と共に、各機がそれぞれの持ち場に着く。
このクラスの艦を守るには機数不足は否めない。だが、まだ動かせる機体がこれだけの数しか無いのが実情だ。
何せ、機体の制式採用自体まだなのだ。開発基地たるユナイテッド・ステイツにある機体が、現在各国が所有しているMSのほぼ全てだった。
「方位二○一…あれか」
こちらに向かってくる機影を、メインカメラの超望遠モードで視認する。
一見して戦闘機のようだが、一瞬で変形した。どうやら相手は可変機、高速巡航形態から運動性重視のMS形態に変形したらしい。その機構は、何となくフラッグに似ていた。
「…あれが、ディンとかいう奴か。」
遠方で駆逐艦が巡洋艦が速射砲を打ち上げる。だが、三次元的な動きを見せるディンには掠る弾すら少ない。
『僚艦による撃墜は無いものと考えろ、恐らく一度に6機は向かって来る。引き締めろ!』
「…やはりMSに当てるのは困難か…」
しばらくして、数機が飛行速度を落とす。対空砲火で足止めされているようだ。
「ハイネマン、射撃許可は」
『射程圏内に入り次第、各個に迎撃を開始。遠方で戦闘中の友軍機への誤射にくれぐれも注意せよ』
「了解」
見る見るうちに敵機が近付いて来る。
射程圏まであと2000、1600、1200、800、400…
「敵機、射撃可能圏に到達。デュエル、デカルト=シャーマン、迎撃を開始する!」
デュエルのビームライフルが先頭を行くディンに火を噴いた。

 
 

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