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戦後シン×ミーア_番外編1

Last-modified: 2008-03-19 (水) 10:29:51

シンがミーアの護衛に付いてから一週間目。
初めてのビデオデータ回収日がやって来た。
データチップの容量を考えると、24時間繋ぎっぱなしだとしてもまだ余裕があるはず
なのだが、この一週間のミーアの映像データを確認する役割の人間がいる。
その為一週間に一度のデータチップ交換が必要となり、シンは現最高評議会議長に本日
提出する義務があった。

ミーアと対面した初日にカメラが設置されている事が彼女にばれているわけなのだが、
それは「撮影者」に気付かれてはならない事だ。
ミーアはカメラの台数の確認はしたが、何処にカメラがあるのかは探すつもりは無いら
しい。
シンが居ない夜中の行動までは分からないが、昼間の行動だけ見る限りでは、カメラの
場所を気にした行動は一切していなかった。

気にしたところで盗聴器もある。
ミーアの病室で隠し事は出来ない。

ミーアは毎日朝食後に回診が行われ、その後着替えてからリハビリを行う。
リハビリは同じフロア内にあるリハビリ専用室で行っている。
時間によって利用者が決められているため、同じフロア内の人間と会う事は殆ど無い。

そして、病室には誰も居なくなる。

この時間を利用してシンはデータチップの交換を行う。

ミーアのリハビリの内容は下半身の筋力の低下の為の歩行練習と、そして記憶回復の為
の問答だ。
ミーアは歌手だった事もあり、腹筋の回復が早く、そして座る事が出来れば手のリハビ
リの方が早く出来た。
一時は頑張って月で歩行練習を行っていたようだが、ラクスとアスランと共に帰れない
事が決まってからは歩行練習もおざなりになっていたらしい。
どうしてプラントに戻ってからは歩行練習を欠かさず行っているのかはシンにも分から
ない。
ただ、ミーアは決められた時間、きっちりとリハビリを行っている。

 

そろそろ回診の時間も終わり、リハビリルームに向かっている頃である。

 

本日の予定の確認をして手順を確認する。
手に入れたチップは何処のカメラ、何処の盗聴器のものかをケースの所定の場所にセッ
トする必要がある。
名刺ケースサイズのセラミックケースを開き、場所を確認しながら何気なく病室のドア
を開けた。

そして何歩か踏み進み、セラミックケースを閉じてから顔を上げたところで。

 

何故かミーアと目が合った。

 

続いて気付く。

 

背中を向けた状態から振り返ったのか、背中が見えた。
今からブラジャーを着けようとしているのか、肘にブラジャーの紐が掛かっていた。
因みに色は薄いピンクだった。

 

腕に紐が掛かっているという事は、当然まだ装着されていない訳で。

 

二の腕と背中の間に見えた(見ようとして見た訳ではないと思う)胸に、シンは勢い良
く後退りした。
それでも胸から目が離せなかったのは、何処に視線を向ければいいのか咄嗟に分からな
くなったからだ。
どうしてこういう時ほど思考は混乱しているのにブラの色やら、どんな風にブラが肘に
掛かっているのかという情報はしっかり記憶されるんだろうと、シンは心の中で半泣き
になりながら思う。
ミーアもまた直ぐに対処出来ないのか、シンの姿を目に映したまま動けないで居る。

 

「な・・・・?」
「え・・・・?」

 

次第に思考がハッキリしてきたのか、ミーアが口をパクパク動かし始めた。
それを見たシンは、いつの間にか止めていた息を吐き、無言で首を横に振り始めた。

 

高速で。

 

「な・・・な・・・な・・・・」

 

漸くミーアが己の胸を隠した。急激に頬が染まっていく。
シンの頬も染まり、今度は息を呑んだ。

 

「いやっ!これはっ・・・!!」
「な・・・んで!?」
「うわぁぁあぁ!こっち向くな!!」
「馬鹿―――――――――――――!!」

 

しっかりと胸を隠そうとすると今度は谷間が強調され、大きさが明確になる。
これまで特に気にしていなかったのだが、改めて見ると確かに大きい。

慌てて両手を振ってミーアに前を向くように促すと、シンも逃げるように病室を出た。
大きな音を立てて扉を閉めると、シンはその扉に凭れ掛かってその場に座り込んだ。
立てた膝の間に顔を落とし、右手で顔を覆う。

 

目を閉じると綺麗に思い出してしまうから目を閉じられない。

 

いや、目を閉じなくても思い出してしまう。

 

全て見えた訳ではない。
それでも想像力が働いてしまう。

 

腕と背中の間に見えた僅かな空間に、しっかりとした質量があって。
咄嗟に振り返ったミーアの腕に潰された胸の谷間が強調されていて。
真っ白な肌が恥ずかしさに背中まで染まっていくのも見ると、その気が無くても意識し
てしまう。

 

右足を床に「タンタンタンタン」と、リズム良く打ち付ける。
そうしなければ今にも熱が溜まりそうな下半身が素直に動きそうだからだ。

 

押さえろ、忘れろ。押さえろ。忘れろ。押さえろ、忘れろ。

 

顔を覆った指に力が入る。
腰がなんだかむずがゆい。

此処で理性が負ける訳には行かないと、シンは更にリズムを上げて足を床に打ちつける。

そろそろ落ち着いたかと思った頃中からミーアの声が掛かり、シンは気まずさにどうし
ようかと思ったが、諦めて中に入る。

「いつもノックしてくれてるじゃない!」
「いつもだったらもうリハビリ室に居るだろ!」
「だって、今日はちょっとお話が伸びて!」
「それはっ・・・!悪かったけど・・・!」

目を見られない。

これ以上続ける言葉も見つからない。
しかし、何か話題を探そうとしなければ、ミーアの体を思い出してしまう。

 

何か、話題を。

 

「あ・・・アンタだって、処女だろ!」

言った瞬間、「しまった」と、顔を顰めて思わずミーアを見てしまった。
どう考えても失言だ。
ミーアの反応を見た時から思った事だったとはいえ、それを口に出す必要まではなかった。

 

「ち、ち、ち、ち・・・・違うわよ!」

ミーアは頬どころか首まで真っ赤に染めて全力で否定した。

シンには嘘をついているようにしか思えなかったが、そこを否定して何になるんだろう
かと思うとこれ以上墓穴を掘るのは控える事にした。
ミーアは恥ずかしさで目の端に浮かんだ涙を拭い、車椅子を引き寄せて固定するとシン
が気付いてミーアの体を抱き上げ、車椅子にそっと下ろした。
意識して胸は触らないように、二の腕を掴むようにした事をミーアも気付いたかもしれ
ない。

ミーアが腰の位置を落ち着けるとひざ掛けを渡すのも忘れない。

「・・・そういえば、看護士さんは?」
「着替え終わってから呼ぶ予定だったの。もうさっき呼んだから来ると・・・思う」
「・・・そっか・・・・。・・・・あの・・・・ごめん」

 

泣くと、思わなかったから。

 

シンの謝罪にミーアは再び目尻に浮かんだ涙を拭った。

「・・・・・・・じゃあ、交換条件」
「・・何?」
「今度はシンの裸見せて」
「は!?」

何を言っているんだと、シンがミーアを凝視すると、ミーアは眉間に皺を寄せてシンを
見上げた。

 

「あたしだけ見て「ごめん」だけで済ませるつもりじゃないでしょ!?」
「いや、おかしいだろ!どう考えたって!」

つい不注意で偶然見てしまったが、自分はミーアの前でわざわざ脱がなくてはならないのか!?

シンの叫びにミーアは頬まで膨らませて睨みつけてきた。

「あたしだけはずるい!」

それは尤もだとシンも思う。
しかし、だからといって「脱げ」と、女から言われて脱ぐなんて考えられない。

何処の痴女だ。
羞恥プレイか?
この流れはSMか?
だったら俺がMになるのか!?

色んな考えが巡り、シンは直ぐに応えられなかった。
結局何の決着もつかないまま看護士がやってきてミーアはリハビリ室へと移動する事に
なった。

 

このやりとりも全部カメラに収められたのかと思うとそれだけで憂鬱になる。

 

自分の不注意とはいえ、これで呼び出しを食らって厳重注意なんて受けようものならど
うしたらいいんだろうかと、シンは暫くチップを替えるのも忘れてその場に座り込み、
一人反省していた。

 

そしてこれからシンは何かとミーアに「脱いで」と、命令される事になるのだが、シン
は今のところその言葉に従ってはいない。