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月に花 地には魔法_第00話

Last-modified: 2007-11-15 (木) 21:59:10
 
 
 

            「月に花 地には魔法」
from Called ∀ Gundam & Magical Girl Lyrical Nanoha A's

 
 
 
プロローグ 
 
 

 人の欲望、エゴから発する欲望を餌とする赤い目の魔物が構え、
惚れた女の理想に殉じようとした愚直な男が放った光、『カイラス・ギリ』のビームは
二千数百年に及ぶ地球の治癒期間を無へと帰すものであった。
 カイラス・ギリの2発目が地球に直撃すれば、今度こそ北アメリア大陸は壊滅する。
 地球に向かって直進するビームの進路上の空間が歪み、そこから白い巨人の姿が形を成した。

 

 その巨人は地球に生きるモノの力、大地の精気をその体に取り込んで、母なる星を守る力場を形成する。
 やがてその力場に『カイラス・ギリ』のビームが直撃し、
白い巨人は体を崩壊させながらも母星を守るためにその力の全てを開放する。
 やがて白い巨人は大気圏との摩擦熱で発光しながらも、ビームで傷ついた母星を癒すべく光の粉を撒き散らす。
 光の粉は意志を持つかのように地表に降り注ぐ。

 

 それは遥か昔にも行われ、各地で伝承として語られている伝説であり、そして真実でもあった。

 

「枯れ木に花を…。そうか、そういうことか」

 

 白い巨人『ターンA』という機械が持たされた役割を全うさせるために不可欠な、
穏やかな人の意志の媒介。

 

 その意志を持った少年、ロラン・セアック。
 彼はその意志を持って『ターンA』を導き、同時に導かれながら戦った。
 人類の永遠を豪語し、歴史を真実と断定し、未来を志向し続ける兄弟を越えてここまで来た。

 

「終わったのか…」
(そうです。これがこの機械に託された役割。
 復興した人類が再び過ちを犯すなら、その身を砕いて人類の復活を助ける)
「でもたとえ『ターンA』のナノマシンが地球環境を元通りにしても、消えてしまった命は帰ってこない!」

 

 ロランにとって、最も安心できる声で語りかけてくる『ターンA』の思惟に対し、彼は絶叫した。
 多くの命が消える瞬間を知り、多くの命を奪い、そして自分もあの『ターンX』のパイロットのように
機械に意識を誘導されていたのではないかという疑惑に駆られるロランには、
たとえディアナとキエルの声であっても『ターンA』の意志は受け入れられるものでは無かった。

 

 ロランの意志が『ターンA』の思惟と衝突し、飽和する瞬間、
『ターンA』の体が摩擦熱とは異なる光を放ち始めた。

 

 その光はもはや原型を留めていない胸の多目的サイロから発せられ、
母星を守った力場が異なる形で作用しているようだった。

 

(中間に立って、世界を概観できるあなただからできることがあるのです、ロラン・セアック)
「まだ僕に闘わせようというのか、ホワイトドール!!」
(異なる世界、異なる者達を私達の災厄に巻き込むわけにはいかないでしょう?)
「五月蝿いホワイトドール! ディアナ様の声で訳の解らない戯言を言うな!」
(ロラン。あなたなら解る。
 遠い『沖』にある筈の無い夢の街を求めて、埠頭に座り続けたあなたなら…)
「なっ!」

 

 光はやがて『ターンA』全体を包み、
そして核爆発やメガ粒子の直撃から身を守った時のように姿を消した。

 

 そして花咲爺の蒔いた光の粉だけがそこに残った。