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機動戦士ΞガンダムSEEDDestiny166氏_幕間2

Last-modified: 2008-10-15 (水) 20:41:32

インド洋東端 地球連合軍空母〝ジョン・ポール・ジョーンズ〟艦上

 

水平線の彼方に沈み行く夕日が真っ赤に染め上げる、空母の広大な甲板上で二人の少年がバスケットボールに興じている。
水色の髪の少年と、背の高い緑の髪の少年――年相応な情景ではあった――それが行われている〝場所〟が、そんな処でさえなければ……。
二人の少年の傍らでは、膝を抱えて座り込んだ金髪の少女が、そんな楽しそうに跳ね回る彼らの姿を眺めている。

 

ぱっと見にはごくごく普通の少年少女にしか見えない彼らが、こんな軍艦の上に居ると言うのは奇異に見える。
だが、もちろんそんな彼らが〝普通の〟少年少女であるわけが無かった。

 

ブルーコスモスがコーディネーターに対抗する為に〝造り上げた〟エクステンデッドと呼ばれる強化人間。
幼少期からの薬物投与と洗脳、特殊訓練を繰り返して完成した、まさに戦う為だけの存在だ。
一度スイッチの入った彼らは、とたんに凄まじい兵士、またMSパイロットにと変貌するが、前大戦で活躍(?)した――有効性は実証しもしたと言うべきか――ブーステッドマンの欠点の是正も企図された、現時点でのナチュラル側における最上級のスペックを持った兵士達だった。

 

生まれながらにして遺伝子操作を行って生まれて来る人類であるコーディネーター。
そのコーディネーターに対抗する能力を与える為だけに、遺伝子操作以外のあらゆる非合法な強化処置を試みた存在である、
ブーステッドマンや彼らエクステンデッドと言った「この世界の」強化人間達。

 

遺伝子さえ弄っていなければ〝健全〟などと言う、ブルーコスモスの連中の思考感覚の歪さはとうてい理解の範疇を越えているし、
生理的な嫌悪感しか抱かないとハサウェイ達「マフティー」の面々は思ったものだったが、そんな彼らにもいよいよ
この世界の歪さを体現した様な存在の一つである者達との対峙の時が迫りつつあった……。

 
 

J.P.ジョーンズの艦橋の一角から、そんな〝かわいい部下達〟の様子に仮面越しに優しい眼差しを注いでいたネオ・ロアノーク大佐は、

 

「司令!」

 

と言う背後からの呼びかけの声に振り返った。

 

そこに立っていたのはこの艦の情報参謀の士官で、持参した報告を小脇に抱えたまま敬礼し、言った。

 

「インド洋方面艦隊旗艦空母インドミタブルより、報告電が入電致しました。航海は順調、明朝〇八〇〇までには各艦所定の配置を完了する見込みとの事であります」
「ん、ご苦労」

 

ネオは答礼を返して頷き、士官に問い返す。

 

「それで、連中の運んで来た戦力はどれくらいなんだ?」
「は、こちらになります」

 

士官が差し出した、艦隊の搭載しているMS戦力表にネオは目を落とす。

 

プラント本国を狙う宇宙軍の動きと連動して、開戦直後にカーペンタリア基地の攻略を図ったものの撃退され、
喪失した戦力の補充の意味合いで、新たに地球連合(世界安全保証条約機構)軍に加盟した汎ムスリム会議や赤道連合にも兵力を供出させて再編成った、
連合海軍のインド洋方面艦隊を今回、ミネルバ討伐任務の為に駆り出して、ここでその迎撃戦を仕掛けようと彼は目論んでいたのだった。

 

「4隻の空母(スペングラー級)で、MSが50機超か……」
「はい。本艦の艦載機と合わせますと60機を軽く超えます。戦力としては、いささか過剰なくらいでは?」

 

半分疑問を呈する様に言う士官の言葉に、しかしネオは頷かなかった。

 

「確かに、機数自体は揃っちゃいるがね……。艦隊の空母の内、大西洋連邦とユーラシア連邦からの3隻は搭載機が全てウィンダムかダガーLだからいいとして、
〝ヴィクラマディチャ〟の方は半分以上がストライクダガーだろ?海空戦には使えないからな……」

 

どうするか?
僅かな黙考の末、ネオは戦力徴発の当てを思い付く。

 

「よし、だったら基地設営隊付のMS隊も出させよう。あっちは全機ウィンダムの三個MS隊も揃っているんだからな。遊ばせておく手はない」
ネオはそう決めた。

 

それは今回の作戦実行の為の情報収集の過程で接した情報の中の一つだったが、偶然にも連合軍が対カーペンタリア再攻略戦を睨んでの前進基地をこのエリア
――新たな加盟者である赤道連合に、早速一つ〝誠意〟を見せさせると言う意味合いも兼ねて、その勢力圏の東端に位置する多島海の小島の一つ――
に、島の住人達を労働力として強制徴用しながら建設中だと言う事だった。

 

カーペンタリア基地を至近に望む、一夜城よろしい重要拠点と言う事で、その防衛用に配された戦力もこの地域の水準からすると異例の、
最新鋭量産型MSであるウィンダムだけで構成された30機もの戦力が与えられているのだ。

 

これは利用――もとい、活用しない手はないと言うものだった。

 
 

『馬鹿を言うな、手持ちのMS隊を全て出せだと!』

 

案の定、ネオの〝命令〟を受けた前進基地設営隊の総司令官は、通信機の向こうからそう返して来る。
もちろんそんな反応は予測されたもので、ネオも負けずに言い返す。

 

『馬鹿を言っているのはどっちだ?相手は〝あのミネルバ〟だぞ! まさかオーブ沖の戦いの事を、知らない筈はないよな?』
『う……』

 

あからさまに言葉を詰まらせる司令官。

 

地球連合軍の南太平洋方面艦隊が文字通りの〝壊滅〟を喫したオーブ沖での海戦の始終は、
もちろん厳しい情報統制が行われていたものの、兵士達の間では尾ひれの付いた噂となって士気を低下させる一因となっていたし、
――ただし、ことこの場合に限っては下手をすると〝噂〟の方が、なお〝実際〟には追いついていないと言う部分すらあるのだったが……――
そしてまた逆に、その脅威の実体と言う機密に接せられる立場にいる者達にはもちろん、著しい脅威だと言う畏怖の感情を呼び起こしていた。

 

よりにもよって、そのミネルバが来るだと!?
司令官の驚愕を見逃さず、ネオは畳みかけるように続けた。

 

『しかも、ボズゴロフ級のおまけ付きでな。だからこそ、持てる戦力は出し惜しみなく使う必要があるんだろうが!
分かったらとっとと30機全部出せ!』
『い、いや……しかし、だからと言ってだな、幾らなんでも全機と言うのでは、この基地の守りは…』
『心配するな、代わりにストライクダガー隊とガイアを置いていってやるよ。
命令だ。(準備)急げよ!』

 

間髪入れずにそう告げて、ネオは一方的に通信を切る。

 

地上戦で卓越した能力を発揮するガイアも付けるとは言え、
確かにストライクダガー9機と最新鋭機ウィンダム30機との交換では、レートが合わない。

 

だが、そんな無理をも押し通せるのが、ブルーコスモス直属の非合法特殊部隊として通常の地球連合軍に対しての絶対優越権を持っている、彼らファントムペインの立場と言うものだった。

 

あの司令官だとて、それは分かっている筈だ。
こっちをまだ〝若造〟と見てゴネて見せていただけで、こちらが本気だという事を分からせさえすれば、結局は黙って従うだろうと言うのは簡単に察せられた。

 

「さて、これだけの〝歓迎〟の準備をしておいて、あの「マフティー」とやら言う部隊が来なかったら、とんだ肩すかしだよなぁ、これは……」
そうひとりごちて呟くネオ。

 

飄々とした口調で言ってはいても、彼は決して相手の事を甘く見てはいない。
通常ならば、たかだか二隻の敵艦隊に当たるには明らかに過剰過ぎる程の戦力の結集を図り、なりふり構わずそれを実現する辺り、
あるいはこの時点での地球連合軍側の関係者達の中では、ネオは最も「マフティー」の実力の程を〝直感的に〟認識していたかも知れない。

 

戦<や>るからには当然のこと、必勝を期す!
「マフティー」なる集団まで加わった、敵艦ミネルバの部隊への戦術的な工夫をより見出すべく、
ネオはオーブ行政府経由で届けられた先日の海戦の記録映像をじっくりと見始めるのだった。

 
 

衛星軌道上 宇宙ステーション・〝アメノミハシラ〟

 

「オーブの影の軍神」の二つ名でも呼ばれる、現在はどの勢力にも属していないこの宇宙ステーションの主は、明晰な理知を浮かべたその表情をほんの僅か、興味深そうな笑みに包んで
眼前のにがりきった表情の男と向かい合っていた。

 

「まさか、お前の口からそんなセリフを聞くとはな……。いささか驚いておるよ、〝情報屋〟」

 

いかにもおもしろげな口調で言う彼女、今やカガリの他には唯一の旧オーブ五大氏族最後の生き残りにして、
「天空の宣言」と言う高邁な理想を掲げ、何者も恐れず、何者にも媚びず、ただ己が道を突き進まんとする女傑、ロンド・ミナ・サハク。

 

そのミナと向き合って、世界一を自任する情報屋、ケナフ・ルキーニは心底忌々しそうな口調で、斜めを向きながらミナに答える。

 

「茶化すなよ。俺の様な〝人種〟にとって、〝それ〟を口にするって言うのがどれ程屈辱的な事なのか、判らないアンタじゃあるまい?」
「…………」

 

無言で情報屋の言葉を首肯するミナ。
彼の内心をおもんぱかる事が出来るが故に、何かを口にする事で相手の内心を更に傷付けるが如き事はしない。
もう一人の「最後の生き残り」とは、実に好対称な彼女であった。

 

ルキーニを苛立たせているのは――それがミナが彼を呼んだ理由でもあったわけだが、
突如として姿を現した「マフティー」なる組織についての情報を求めての事だった。

 

オーブ沖にて鮮烈に登場し、その後はザフトの最新鋭艦ミネルバに合流してカーペンタリア基地に入ったと言う事は判っている。
そして異様にガードが堅い状況ながら、そいつらはナチュラルのみで構成された武装組織であると言う話と、
その連中に会う為にプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが、非公式にではあるが自らわざわざカーペンタリアを訪問し、協力体制の確立に努めた様だ~
と、言うのは確実性の高い情報として掴んではいたルキーニだったが(それ自体は確かに彼の情報屋としての非凡さを示すものであるのだが)、

 

逆に言えば(プラント議長を動かすと言う)それ程の〝連中〟の存在と言うものの痕跡――オーブ沖での表舞台への登場する以前の、その連中に関しての情報と言うものが「完璧に」、何一つとして掴めない。
はっきり言えば、ありえない「異常さ」だった。

 

カーペンタリアでの動向については、(その価値はさておき)少なくとも情報は得られているのだから、彼らの実在については確認出来る。
オーブ沖の海戦の展開の実際を知れば、そこに突如参戦した「反地球連合組織マフティー」を名乗る連中の持つ〝力〟は、それまでの世界のパワーバランスを根底から揺るがしかねない程の代物である可能性さえ感じられるが、
それほどの装備や技術を持つ驚異の勢力であるならば、それを支える恐るべきバックボーンが存在する筈であるのに、そう言った者達の動きの影すらも踏めないとは……。

 

「お手上げだぜ……」

 

まさに断腸の思いで、ミナに対してルキーニは〝現実〟を口にしていたのだった。

 

情報屋に取って、「判りません」などと言う言葉を口にするのは、自己のアイデンティティを崩壊させかねない程の苦痛と恥辱であるのは言うまでもない事ではあるが、
それでも〝現実〟を否定すると言う精神的な逃げ道に向かうには、ルキーニのプロ意識は高すぎた。

 

絶対にあり得ない筈の事が、しかし実際に現実となっている……。
ルキーニの苦悩が深くなるのもむべなるかな、ではあった。

 

「少なくとも、そいつらの〝背景〟は全くの不明だ……。異常だぜ、この件は。本当に奴らは何の前触れも無しに〝忽然と現れた〟としか言いようがないんだ」

 

悔しさを全開に滲ませて――それを取り繕う事すら忘れている~と言う辺りが、ルキーニの内心の様子をもっとも良く体現していたかもしれない。

 

だが、ルキーニの言葉に何故かミナは納得したかの様に頷いた。

 

「ふむ……忽然と現れた、か…」
「あぁん?」

 

それはどういう意味だ? それとも、アンタは何かそいつらの正体に心当たりでもあるってのか?
と、目と表情で問いかける情報屋に対して、ミナはいかにも彼女らしく、悪びれもせずに堂々と言う。

 

「お前が〝お手上げ〟だと言っているのに、それ以上の事が我に判る筈があるまい?
だが、少なくともその者達は現実に今、確かに存在しているのだと言う事実。今はそれが判れば充分と言うものであろうよ」
「…………」

 

納得するルキーニ。
同時に彼の内面では、何としてでも「マフティー」なる連中のバックを掴んでやる!と言う闘志が再びふつふつと沸き上がって来ているのだった。
――残念ながら、ことこの件に関する限り、それは絶対に返って来ないやまびこと言うものであるのだが……。

 

「その者達がこの後どのように動くのか? 今しばらくは興味深く見守らせて貰おうではないか」

 

その言葉通りの表情で言うミナだったが、一旦言葉を切り、情報屋から別の相手に目を転じ、続ける。

 

「もっとも、これを知ったならばあの男――〝野次馬〟は躊躇うことなく追いかけるのであろうがな」
「ええ、〝彼〟でしたら、きっと」

 

ミナの言葉に、ベルナデット・ルルーは笑い返しながら言う。
彼女とも因縁浅からぬフリージャーナリストの青年の事を考えると、自然とそんな笑顔になるのだった。

 

「ふむ……」

 

そんな彼女を見て、ミナは一言呟くと一瞬の間を置いてから、ルルーに向かってある事を尋ねた。

 

「あの男が動くのであれば、お前も共に行ってはどうかな? あの時から見れば情勢も大分変化した。ここでの〝休暇〝も有意義だったではあろうが、そろそろお前も現場に〝復帰〟しても良い頃合なのではないか?」

 

そう、ルルーに向かって笑いかけながら言うミナ。

 

今時大戦の開戦直前のプラントと地球連合双方の緊張感がじわじわと高まって行く情勢の中、政治的な配慮からプラント政府は
プラントが秘密裏に保護していた南米独立戦争の英雄、〝切り裂きエド〟ことエドワード・ハレルソンの身柄を拘束し、連合側に引き渡すと言う、融和の意志を示す行動を行って見せた。

 

無論、それは多分にプラント側は戦争を望まないと言う事をアピールするパフォーマンスの一端であるのが実際で、
いざ開戦となった暁には再び自分達の有力な味方にもなりうる存在であるエドワードを、処刑される事が明白な連合側に本当に引き渡すなど考えられないと言う事であり、
彼を乗せたシャトルは〝その途中、不慮の「事故」で宇宙のもくずと消える〟と言う事になっていた。

 

そしてその「事故」が〝本物〟である事の証明となる状況作りとして、
プラントの人気キャスターであった彼女、ルルーもまた、エドワードをプラントに密入国させた罪を問う~と言う名目で連座して、彼と共に連合側へと引き渡されると言う事にした上で、
二人には一度、「死んで貰って」いたのである。

 

そうして、公式には「幽霊」となった二人の身を寄せる先として、筋書きを書いたデュランダル議長とミナとの交渉であらかじめここ、アメノミハシラが用意されていたと言うわけだった。

 

そのまま迎えた再びの開戦の後、混乱に紛れてエドワードは懐かしい故郷・南アメリカ合衆国へと極秘裏に帰還を果たし、
恋人の〝白鯨〟ことジェーン・ヒューストン以下、南米独立戦争を共に戦った同士達と合流していた。

 

情勢を見極めての事にはなるが、当然ながら再びの対地球連合抵抗運動の再開の可能性も想定されてはいる。

 

そしてルルーの方はと言えば、アメノミハシラに滞在していたルキーニに師事する形で、情報収集の様々なノウハウを身に付けていた。
それを活かして、〝野次馬〟ことジェス・リブルの手伝いをする処から始めてみてはどうかなと、ミナはそう勧めていたのである。

 

元々、ルルーは地球へと降りる事を希望していたわけだったので、こうして一時潜伏させたのもただ単にほとぼりを冷ますと言う事だけではなしに、
その為に必要でもある意識の改革や、ジャーナリストしてのトータルな意味合いでの〝腕〟の向上の機会とさせたその上で、どのような道を行くのか選ばせる。
その辺りを見てみようと言うのも、議長の考えた今回の構図の一つの考えでもあったわけなのだが……。

 

「見守るとは言っても、信頼できる人物の目が間近に見る〝それ〟の姿としての情報に接するにしくはないと言うことだな」

 

ミナのその言葉に、ルルーもその表情に決意を新たに浮かべ、頷いた。

 
 

プラント 軍事工廠内

 

「これは……!」

 

眼前にそびえ立つまだ未塗装のMSの姿に、ハイネ・ヴェステンフルスはそう声を上げた。

 

ザフトMSのベーシックデザインであるモノアイ型を採用した頭部の、露出した動力パイプやセンサー能力を高める〝角〟状のアンテナなど、全体のデザインラインは彼も愛用していた〝ザク〟系MSと酷似してはいたが、
目の前のこの機体はザクに比して、シャープさをより際立たせた様なスマートさと言う印象を感じさせた。

 

ハイネの問いに、ここへと彼を自ら誘ったデュランダル議長は微笑み返し、彼の言葉に応えてその正体を明かす。

 

「うむ、このMSはZGMF-X2000グフイグナイテッドと言う。ウィザード(バックパック)の換装によってより汎用性を高めたザクに対して、本機は近接対MS戦を主に想定した機体となっている
――ザクで言えば、スラッシュウィザードの近接戦能力に、ブレイズウィザードの高機動性を併せ持たせた様なものかな?
大気圏内での単独飛行も可能であると言う事で、新たな任地に地球上の友軍の支援を希望してくれた君に、はなむけとして用意させて貰った機体だよ、ハイネ・ヴェステンフルス」

 

君ならばこの新型機も存分に使いこなせよう?
と、議長は笑みを浮かべたままに言う。

 

「はっ、光栄であります」

 

こちらも嬉しそうに、やや芝居がかった大仰さで応えるハイネ。

 

特性上、ザクに比べるとどうしても扱いにはクセがあるであろう機体の実戦(実践)試験も兼ねて、フェイスたる自分に預けるのだと言う事は無論、理解している。

 

「本来ならば、君にもセカンドステージシリーズの機体を託したい処なのだがね…。残念ながら、〝現状では〟間に合わない様だ」

 

すまないと、詫びる様に言う議長。

 

「いえ、そのお言葉だけでも充分です。自分も状況は理解しておりますし」

 

だが、ハイネの方は屈託もなくそう言う。
実際、ザクには無いMS単独での飛行能力を持っていると言うだけでも、大気圏内での運用に付いては大きなアドバンテージだったし、
ブレイズウィザード装備のザクを総合的には凌ぐ高機動性は彼の好みにも合っていた。

 

「ありがたく受領致します! 本機での戦果にどうぞご期待下さい」

 

議長に向けて感謝の念を込めた敬礼を送るハイネ。

 

「うむ、期待しているよ。ミネルバのフェイス達、それに頼もしき〝同盟者〟と共に、より良き世界を目指してくれたまえ」
そんな彼に、議長は頼もしそうに頷いた。

 
 

新たなる味方と敵と、そしてその戦いを〝見守る〟者達と。
それぞれの立場において「マフティー」と関わる事になる者達もまた、動き始めている。

 

かくして、役者は揃いつつあった。