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機動戦士ガンダム00 C.E.71_第05話

Last-modified: 2011-04-05 (火) 01:27:00

『危ないカマルさん!』
アークエンジェルから飛び出すや否や、キラからの警告と共に凶暴な光柱が白いジンに襲い掛かった。
刹那はその事態を予想していたかの様に、ジンの半身を捻って左肩のシールドを用いてそれを防ぐ。
『対空監視が甘いぞ!カマル機、損傷は?』
「問題無い」
既に敵が展開している中での出撃の場合、最初に出撃する機体より後続の機体の方が狙われ易い。
キラを先に出撃させたのもそれを危惧しての事だったが、用心しておいて正解だった様だ。
『パイロット各位へ。敵部隊の編成はジンが3機、それと・・・X303、イージス!』
「もう実戦に投入するのか!?」
ナタルの苦虫を噛み潰した様な声と同時に、奪取された赤いガンダムがモニターに映る。
『あれは、アスランの!?』
刹那に言われた通り甲板に陣取った筈のストライクがバーニアを吹かして甲板を離れると、
そのまま敵部隊の方に向かっていく。
「キラ、どうした!」
突然の行動に、刹那はジンをストライクの前に出る様に動かす。
「何をしている、死にたいのか!?」
『あれには・・・イージスにはアスランが・・・!』
ストライクの前にジンを回り込ませて問い詰める。しかし返ってきたのは全く要領を得ない答えだ。
ナイフを抜いた赤服のザフト兵の事を言っているのは何となく分かったが、
今はそんな事を気にしている暇は無い。
敵部隊の先頭、先程刹那に向けてビームを放ったジンが、重斬刀を抜いて急加速を掛けた。
「ちっ!」
『うああっ!?』
刹那はジンにストライクを蹴飛ばさせる。
そのまま振り向き様に、急迫してくるジンの重斬刀をシュベルトゲベールで受け止める。
『さっきのビームを防いだ反応といい、今の切り替えしといい、やっぱり只者じゃないなてめぇ!』
「貴様は!」
接触回線から聞こえてきたのは、サイ達を人質にしていたジンのパイロットの声だった。
他のジンよりずんぐりとした体格のジンのモノアイが怪しく光る。
『そうだ!てめぇに鉄筋なんてふざけた物で茶々入れられた男だ!絶対に許さないぜ。回線、5・8・2だ!』
吠えるジンのパイロットに言われた通り、指定された通信回線を開ける。
すると、ジンのパイロットの声が通常回線からクリアに聞こえてきた。
『だが今度はそうはいかない。
 このミゲル・アイマンが、ジンAS(アサルトシュラウド)でズタズタにしてやる!』
「くっ!」

 

ジンAS。ジンの強化装備であるそれは、肩にガトリング砲、腕部にグレネイドランチャー、
脚部にミサイルを装備。更に装甲を強化し、増えた重量分に勝る推力を得た機体である。
ミゲルは、それにバルルス改 特火重粒子砲を装備させていた。
鍔迫り合いの恰好のまま、ジンASの肩に装備されたガトリング砲が火を吹く。
刹那はそれを紙一重で躱したものの、その隙に2機のジンの侵攻を許してしまう。
「しまった!」
直ぐ様追おうとするがジンASからの砲撃に阻まれてしまう。
『てめぇの相手はこの黄昏の魔弾だよ!』
「貴様に構っている暇は、無い!」
再び振り下ろされる重斬刀をシュベルトゲベールの腹で逸らす。
空かさず腰に下げた重斬刀を左手で抜くと、
思い切り振り下ろしたせいで体勢が崩れたジンASの脚部を横薙ぎに切断した。
そこに更に蹴りを入れて、ジンASを大きく吹き飛ばす。
『なにぃっ!?』
その反動を利用して、アークエンジェルに肉薄しようとするジン2機に急迫。
反応が遅れた1機の腹にシュベルトゲベールを突き刺した。
『このぉ!』
ジンの背中からシュベルトゲベールを引き抜く。
その間に足を失って落下するジンASから、無数の弾丸、榴弾、ビームが発射される。
機体を損傷しても照準が狂わないのは流石という所か。
ジンの機動性では後方からのそれは流石に回避し切れず、左肩のシールドで防ぐが、
弾幕の威力に耐えられずシールドが破壊された。
「くっ!」
シールドが破壊された衝撃で、大きく機体が傾ぐ。
その隙を見逃さなかったもう1機のジンが、巨大なミサイルが懸架された右手を刹那のジンに向けた。
防ぐ事も避ける事も出来ないタイミング。しかし、それは下方からのビームによって防がれた。
予想外の砲撃に、ミサイル付きのジンは大きく後退する。
「キラか!」
『さっきはすいませんでした!援護します』
刹那がやられそうになったのを見て正気を取り戻したのか、キラからの援護射撃が開始される。
ランチャーパックのガンランチャーと、ビームライフルからの弾幕の厚さに、
ミサイル付きのジンは更に後退を余儀なくされた。
その代わりに、今まで目立った動きを見せなかったイージスが前進してくる。

 

『イージスは僕に任せて下さい!カマルさんはジンを!』
「・・・大丈夫なのか?」
『確かめたい事があるんです』
刹那の問いに、今度はしっかりと答えるキラ。明確な意思が、脳量子波を介して刹那に届いた。
「・・・分かった。これを持って行け!」
『有難う御座います!』
承諾すると同時に、ストライクに向かってシュベルトゲベールを投げる。
ガンダムとの1対1において、格闘武器がアーマーシュナイダーだけでは心許無い。
ストライクはそれを受け取ると同時にイージスに向かってバーニアを吹かした。
刹那もミサイル付きのジンのいる方に向かう。
『マジリフ機、そのジンはD型装備だ。本来要塞攻略の為の装備が、
 民間用の脆いコロニー内で威力を発揮したら取り返しの付かない事になる。留意しろ』
「流れ弾など・・・させるものか!」
ナタルからの情報に耳を傾けながら、後退するD型装備のジンを猛追する。
バーニアの出力では、実験用ジンはザフトのジンに劣る。
しかしジグザグに逃げるジンを、より無駄の無いコースで追う事で刹那は距離を詰めていく。
D型装備のジンは、脚部に装備されたミサイルを苦し紛れに乱射するが、
それは例外無く重斬刀で斬られ、役目を果たさず爆発した。
付近で咲く爆炎に照らされて、白いジンのモノアイがまるで人間の目の様に、D型装備のジンを射る。
2機のジンがヘリオポリスのメインシャフトに近付いていく。
すると、D型装備のジンは有ろう事か、左腕部に懸架した大型ミサイルをメインシャフトに向けたのだ。
メインシャフトの崩壊に乗じて逃げようと考えたのだろう。しかしそれは、刹那の怒りを買う結果となる。
「そんな事・・・させるかっ!」
刹那のジンが、メインシャフトに向けられた大型ミサイル目掛けて重斬刀を投げる。
それをあざ笑うかの様に回避するD型装備のジン。
目標を見失った重斬刀はそのまま失速し、地表へと向かうかに見えた。

 

しかし、その重斬刀はまだ死んではいなかった。
刹那がジンの腕を巧みに操作すると、重斬刀はまるで生き物の如く、
勢い良く標的のミサイルに斬りかかったのだ。
油断していたD型装備のジンは、ミサイルごと腕を斬り落とされ、
更に斬られた大型ミサイルの爆風を至近距離から浴びる羽目になった。

 

何故避けた筈の重斬刀に斬られたのか。激しい爆風に煽られながら、ザフトのパイロットは確かに見た。
投げられた筈の重斬刀が、白いジンの手元に戻っていくのを。
もし彼がもっと近くでそれを見ていれば、腕と重斬刀を繋ぐワイヤーの存在に気付いただろう。
ミストラルに装備されていたワイヤーを使って巻き戻された重斬刀を受け止めるや否や、
白いジンが急加速を掛けて突撃してくる。
残った右腕の大型ミサイルを向けるが、白いジンは既に向けた腕の内側に潜り込んでいた。
モニター一杯に、怒りの形相をしたモノアイが光る。
白いジンは残った腕を掴むと、片腕を失った胴体を思い切り蹴った。
反動で腕がもぎ取られる。遂に両腕を失ったジンに、しかし白いジンは容赦しない。
もぎ取った腕を投げ捨てると、今度はジンの頭を掴み、重斬刀で腰からジンを真っ二つに切断した。
巨大な刃物が、コクピットの真下を通過する。
パイロットは恐怖のあまり、ジンの自爆装置も作動させずにハッチを開いて脱出した。
躊躇無く飛び降りたザフトのパイロットは、直ぐにラウンドムーバーを展開させると
そのまま一目散に飛んでいく。
刹那はその背中を追わず、上半身だけとなったジンの残骸を投げ捨てるとアークエンジェルに通信を入れた。
「D型装備のジンは片付けた。ストライクはどうなっている」
・・・・・・ご・・ろうだっ・・・・キ・・・・・イー・・交・・・・
刹那の通信に、少し間を置いてから不鮮明な返答が返ってきた。
現在ヘリオポリスは、ザフトによって広く撒かれたNジャマーによるジャミングが発生していた。
この通信の不明瞭さは、D型装備のジンを追いかけてアークエンジェルとの距離が離れてしまった為だ。
「Nジャマーによる通信不良だ。そちらとの距離を詰める」
なっ・・・っ!?・・・・・カマ・・ラ・・・退・・ろ!・・・・ト艦・・・・・・砲・・だ!
突然通信の声色に緊張が走る。ヘリオポリス全体に激震が走ったのは、その直ぐ後の事だった。

 
 

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