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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第21話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:14:32

――秘密基地(ドック)・作戦司令室――

部屋には俺とギルバート、ラウ、サラの4人がいる。
中央に作戦指揮用の卓盤があり、その周りを思い思いに、各人が座っている。が……
俺は一応、組織の『リーダー』ということで、右端の『戦隊長』の席に座らせられていた。

何故か、ギルバートが中央の『総司令官』の席。
ラウはその隣の『副指令』の位置にいる……

隊員の席は空っぽ。
俺は自分が、座る席は本当にここなのだろうか?と、首を傾げながら、彼女の美麗で流暢な声に耳を傾けている。

サラは有能な副官の如く、これからの作戦内容の要であり、組織の最大戦力である『Ξガンダム』ついての経過報告をまとめて、
部屋の奥にある中央ディスプレイに、その表示を俺達に見せながら報告をしてくれる。

「……問題の武装なのですが……『ビームライフル』のデータの解析と修理を急がせています……ですが、今回の戦闘には間に合わないかと……」

「他は?」

俺は、サラの報告を聞きながら『ガンダム』の『ビームライフル』について考えていた。
『ペーネロペー』との戦闘で腰に携帯して置いたおかげで、転移の際にかろうじて損失は免れたが……

あの『ビーム・バリヤー』に引っかかった時に、小破してしまったらしい。

お陰様で使用不能だ。
更に修復と解析にまだ時間が掛かるということらしい。

「ならば……今回の作戦では、『ジン』の”MMI-M8A3 76mm重突撃機銃”を複数携帯することがやはり、ベストだろうな?」

二丁装備にするか?取り合えず両手に一丁ずつ携帯しよう。交換用弾奏も多く携帯しなければ……
だが、そこでギルバートが異議の声を上げる。

「まて! 私が企画し、設計、発注した特注品の『大型試作01重突撃機銃』はどうしたのだ? それを携帯させれば良い」

「……」

「……」

「……」

部屋の温度が氷点下以下に下がった気がした。
俺もラウもサラも黙っている。
しばらくして……

「――マフティーのおっしゃる通り、今回はそれが、もっとも有効な手段だと愚考します」

「ギルバート。実際に戦う俺の身にもなってくれ。ど素人のお前が企画した『ガラクタ』なんか誰が使うものか。無駄な労力ばかりしやがって!」

「――うむ。我々、兵士は高性能な試作機より性能が多少、落ちることになっても、安全、実績のある機体を優先するものだろう。そして、それが生き残る最も賢い方法だな」

「そんなに言わなくても……」

三者三様の応対に、ギルバートはすごすごと引き下がった。
そして、それを華麗に無視したサラの話は続く。

「後、『シールド』ですが……こちらも解析させて頂き、『レプリカ』を幾つか作製させて頂きました……
 ですが、 『本物』の10分の1以下の強度しか結果が得られませんでした……」

サラは申し訳なさそうに語った。

元々、『ビームライフル』も『シールド』も消耗品だ。戦闘中に破壊されるの事は、必然でもあり仕方がないことなのだ。
しかし、予備が無いのは非常に心許ない。もしかしたら作戦終了直後に、次の戦闘が始まるかもしれない。

今回の作戦で損失すれば、次回からの代えが効かないなど、正直ゾッとしない。
何はともあれ、備えは万全がいいだろう。

だから模造品だろうと、何だろうと、無いより遥かにマシだ。
今回は、有難く使わせてもらおう。
と心から、サラを拝みたい気分になる。

そして、サラは一番の懸念を挙げた。

「それとやはり、一番のネックが『ファンネル・ミサイル』ですね」

俺はその問題について、自分なりの代案を述べる。

「元々、『ファンネル・ミサイル』は宇宙戦闘用のものではない。それに、今回の作戦は月面だ。
 だから、今回の戦闘では通常のミサイルを搭載すればいい。元々、拠点爆撃用としても積んでいたんだ」

『ファンネル・ミサイル』の代わりに、広範囲で破壊力のあるミサイルを搭載してもらう。
拠点破壊と戦艦の撃破に有効に働くだろうし。MAに対しても有効だろう。
その俺の意見を耳にして、『してやったり』と目を輝かせて彼女は嬉しそうに答える。

「はい、通常『ミサイル』の搭載は既に完了しています」

「よし。それでいい」

何か問題点を指摘すれば答えを的確に出してくれる。
打てば必ず響く。
恋人にするはどうやら、無理そうだが……有能な副官&技術者を手に入れたのは、幸いであり喜ばしい事だ。

「――それともう一つ。データを頂いたビーム搭載型『ファンネル』ですが……
 こちらは現時点では、完全に『オーバー・テクノロジー』ですね。『こちら』での実用化は、まだもう少し時間が掛かるかもしれません」

「――ならば、有線でも別にかまわない。『あちら』では、『インコム』という有線式のビーム砲台があった。
 こちらでは『ガンバレル』というものが、連合にあるそうじゃないか?」

俺は彼女が最大の問題点だと、考えている『ファンネル』について別に角度で答えを出すように求めた。

それは……
連合軍が開発したMAであるメビウス・ゼロ。

武装は機体中央モジュールのリニアガンに加え、胴体の上下左右に
『有線式ガンバレル』と呼ばれる兵器が合計4機搭載されている。

ガンバレルは本体から切り離し、有線誘導による遠隔操作を行うことが可能で、
母機から離れた位置に射出し、予想し得ない方向から敵機に、攻撃を加えるオールレンジ攻撃により、
高い攻撃力を有しているそうだ。

ラウによると、こいつらについて、ザフトも頭を痛めてるそうだ。
そして、相当の被害が出てるらしい。
ならば、その頭痛の種とやらを、俺が取り除いてやろう。

映像でも確認したが、そう大したモノではない。この程度のオールレンジなど鼻歌交じりで避けれるし、逆に言えば楽に撃ち落とせる。
紐が付いた『ガンバレル』の動きなど『ファンネル』に比べれば、スローすぎて欠伸が出てしまう。

しかも、こいつがを扱えるのは特殊な空間認識能力を持つという輩に限られ、連合軍内でもそのパイロットの存在は希有なのだそうだ。
そいつは、どうもご愁傷様だ。

どうやら、こいつらの殆どは今度の攻撃目標の基地に配備されてるらしい。
俺の前に現れたら、こいつらの命運も決まったも同然だ。

全員、地獄の片道切符をプレゼントしよう。

そして、奴らの為にも俺の前に出て来ない事を祈ってやろう。
無駄だと思うが……

ならメビウス・ゼロの部隊を血祭りに上げる事を、作戦の項目の一つに加えておこう。
俺は、心の中で新たな予定表を書き加えながら、サラの話の続きを聞く。

「はい……その線で開発をしてみましょう。ビーム兵器の小型化の実用化がまだですが……実弾タイプなら何とか」

サラは話を締めくくった。
取り合えず連合の『エンディミオン・クレーター壊滅』の目処が立った。

俺と『サラ博士』との楽しい質疑応答の時間が終了すると、
ラウの方から俺とサラに質問をしてきた。

「『ファンネル』というものだが……『ガンバレル』と違う点は、有線か無線ということだけなのかね?」

「頂いたデータからしますと……『ファンネル』は、脳波システムによってコントロールされているようですね」

サラが『ガンバレル』よりも戦術の幅が広く、複雑な攻撃が可能ですと答える。
具体的な例が良く分からない、ラウに対して俺はその後を継いで簡単に説明を付け加えた。

「簡単に言えば『ニュータイプ』専用の兵器だと考えてもらえればいい。こいつを、うまく操作すれば単機で戦場を支配する事も可能だ」

『ファンネル』は脳波システムである『サイコミュ』を用いて、モビルスーツ又はモビルアーマーから分離し、
意思の力で無線で遠隔操作され、搭載されているビーム砲を用いて攻撃を行う小型兵器である、と説明する。

そして『ファンネル・ミサイル』はそのシステムでミサイルを『サイコミュ』でコントロールすることにより地上では有効な攻撃兵器だ。

「……それは……凄いな。私にも扱えるのかな?」

「無論。コツがあるが、それは俺が教えてやるよ」

「ならば私は、どうかね?」

横からギルバートが口を出す。

「お前は無理だ」

無常に俺はそれを切り捨てる。

ラウは感心して、自分にもそれが扱えるかと?俺に尋ね、
俺もファンネルは使えるのでコツの伝授をしてやると請け合いをする。
そこに、ギルバートも交えて雑談が始まる。

それは、『エンディミオン・クレーター殲滅戦』と呼ばれる戦いが始まる前の、僅かな平穏でもあった。

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