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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第30話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:20:04

「ムウ・ラ・フラガ出るぞ!!」

ガクン!!とカタパルトから射出される衝撃で、
メビウス<ゼロ>のオレンジの鋭角な機体がオレの身体と共に振動する。

まっしぐらにカタパルトデッキから射出されたオレは、その衝撃とGに耐えながら制御する為の動作に集中する。

両腕は機体の操縦をする為の操縦桿を握り締め、
両足は<ゼロ>の脚とも言うべきスラスターの制御を担う。

オレは機体を安定させると一気にメインスラスターと『ガンバレル』に搭載されたスラスターも火を噴く。

『ガンバレル』のスラスターはそのまま本体のブースターをも兼ねており、
メインスラスターを合わせて圧倒的な加速性能を発揮する。

ゴォォッ!!

背後にはオレ達の母艦『ジョージ・ブッシュ』がみるみるうちに遠ざかっていく。
気が付くとオレの両脇をケインとラッセルのメビウス<ゼロ>が並ぶ。
斜め後方には他の二人のメビウス<ゼロ>が続く。

前方には先に出撃した連合の主力機動兵器である、TS-MA2mod.00はTS-MA2『メビウス』を数機、発見した。
ついで、ケインから切迫した通信がオレに入る。

『兄貴! 急ごう! かなり、やばいみたいだ!!』

ラッセルは冷静の中にどこか不安を含んだ口調でオレに注進する。

『隊長……コントロールから、先鋒のMA中隊は全滅したようです……』

基地警護の『ミストラル』の部隊に続き、第3艦隊所属の先鋒のMA中隊が全滅したとの事だそうだ……

マジかよ?!一瞬、ゾッとした。
違う……何かがこの戦いは違う!
いや……余計な事は考えるな!ムウ・ラ・フラガ!今は戦いのことだけを集中、集中!!

『……コントロールより『クリムゾン』及び各小隊へ!! 『アイスブルー』小隊が敵MS隊と接触! 戦闘に突入したとのことです』

ノイズ混じりのオペレーターの姉ちゃんの声が聞こえる。

やはり距離が離れると通信がしにくいぜ!!
後続から接近する戦艦の足はオレ達の脚には追いつかない!!

ニュートロンジャマーいう余計な”モノ”が撒かれた為に,、戦いの趨勢は、ほんの少し前から完全に様変わりしてしまった。
『ボタン戦争』というものが消え去り、直接、敵を見つけて互いを叩き合わねばならなくなったのだ。

その為に、超大国『大西洋連邦』を含めた『地球連合』は国力で圧倒的に勝りながら、
プラントに手も足も出ない状態となってしまった。

『MS』と呼ばれる新型機動兵器は絶大な威力を発揮し、『地球連合』を苦しめているのだ。
しかも、困った事にこの『MS』とやらは『コーディネイタ―』しか扱えないときた。

オレ達、普通の『ナチュラル』には歩かせる事はおろか、真っ直ぐに飛ばす事さえも満足に出来ないときてる。

以前鹵獲したMS『ジン』に乗ったことがあるが、こいつはとてもオレに扱える代物じゃなかった。
諦めてオレ達、『ナチュラル』の連合の兵士達はMAで頑張るしかないということなのだ。

そのMSに対抗するために創られ、結成されたメビウス<ゼロ>部隊。
誕生してから各戦場でその力を見せ付け、MSと互角以上に戦い、ザフトの連中を恐れさせて来たんだ!
今もその力見せてやろうじゃないか!!

だが……やはり、嫌な予感がする。

現在、『ウインターズ』隊長が率いる、『アイスブルー』小隊が戦闘に突入したとの事だ。
歴戦のウィンターズ大尉達がそう簡単にやられるわけが無いと思うが……  

ドォォォォォォォォォォォォン!!

「なんだぁ?!」

オレが思考に耽っていると突然、月の大地が揺れ、オレのメビウス<ゼロ>にもその振動が伝わる。

『月震』か?!と咄嗟にオレはそう思ったが……いや……違う!これはまさか!!
オレの脳裏に最悪の想定が浮かぶ。そこにケインの悲鳴が通信機越しに響いた。

『どういうこった!! こりゃ!! どう見ても基地の方角だぞ!!』

『まさか……これは……冗談じゃない!!』

ラッセルが叫ぶ。その声をケインが聞きとがめた。

『どういうこった?! ラッセルよ!!』

『こいつは……』

咄嗟に口篭もるラッセルにオレは一気に奴が言いたい事をズバッと言い放つ!!

「――この基地内部のエネルギー反応は……!! 『サイクロプス・システム』だ!!
 上の連中!こいつを暴走させオレ達を敵もろとも『電子レンジ』でチン!!するつもりだぞ!!」

『サイクロプス・システム』とは本来はレアメタルの混ざった氷を融解させるための装置であり、
その原理はマイクロ波で水を急速に加熱するというもの……はっきり言えば、巨大な『電子レンジ』だ。

その『電子レンジ』の構造はニュートロンジャマーで範囲を限定されたマイクロ波はその強度を増加させ、
有効範囲内にいる生物は体内の水分の沸騰により悉く死に至る、悉くだ!!

ついでに、その時の輻射熱によって装置そのものや設置された建物も破壊される!

そして、その周辺にある『宇宙戦艦』は無論の事、『モビルアーマー』に積まれている弾薬や推進剤等、
水分がわずかでも含まれているので加熱し誘爆を起こすため、その場にある兵器の殆どが破壊されちまう!

『マジかよ!! 兄貴!!』

『正気か!! 上の連中!!』 

ケインもラッセルもオレの答えを聞き、愕然としている。

シット!!こいつは、便所の蝿にも劣る『ブルコス野郎』ども仕業だ!!
オレの勘がそいつを告げている。

この戦争の半分以上はあの糞どものイカレタ『宗教』の所為で行われたんだ!!

『くそったれ!! あいつら、『ブルーコスモス』の連中ぶっ殺してやる!!』

『その前に俺達がお陀仏だぞ!!』

ケインが罵りの声をあげ、ラッセルはこの状況は絶望的だと判断する。
オレもそうだ!!

「畜生!! あの糞溜め野郎ども!! おいッ! 全機、基地上空から離脱しろーッ!!」

オレ達はこの状況へ追い込んでくれた連中に対して心の中で罵りながら、
全部隊に緊急退避を指示する!クソッ!!

だが……もう遅い!!
この辺り周辺は、ばっちりと『サイクロプス』の範囲内だ!!

『がぁぁ!! 兄貴!! 駄目だぁ!! もう間に合わねぇ!!!』

『クッ!! 上の連中!! 俺達ごと!!』

ケインとラッセルから悲鳴が聞こえる。
おしまいだと……誰もが思っただろう……

実際、オレもこの時はもう駄目だと思った。
だが、後になって振り返ってみると、この後にもっと凄まじい地獄が待っていたのだ……

ドゴォォォォォォォォォォン!!

後方から、基地ど真ん中を巨大な火柱が上がった!
『サイクロプス』の劫火は広がらず……『エンディミオン』の基地上空にとてつもない火柱が上がった!

まるで月の天空を貫くかのように……
その火柱は火山の噴火のように一直線に天に上ってゆく……

こいつは……『サイクロプズ』の暴走じゃ……ない……のか?
オレ達は、呆然と『エンディミオン』の中央から立ち上る火柱を見上げていると――

――猛烈に吹き上げる火柱の中が一瞬、白い『閃光』が輝いたのか?と思うと、
次の瞬間、ズゴォォ!と凄い勢いで『何か』異形な物体が飛び出して来た。

そいつは一瞬で月の天に向かい上昇し、一気に急降下し始めると、
オレ達の第3艦隊の艦列に突っ込んでいったのだ……

……信じられない事だがオレには、『そいつ』が白い光を放ちながら瞬間的に尾を引き、
まるで『流星』か?或いは『彗星』にも見えたのだ。

そして、更に自分の目を疑う事になる……
オレの視力2.0の抜群の性能を誇る(妙齢の女性を見ると更に性能が上がる)2つの目ん玉は……

次の瞬間に、第3艦隊所属のネルソン級(250m級宇宙戦艦)、ドレイク級(130m級護衛艦)が、
それぞれ瞬時に爆散し、,粉々に砕け散る様を網膜に焼き付けるのだった――

後に、連合の全ての将兵から『白い悪魔』と恐れられた存在が、今まさに第3艦隊を蹂躙し始めたのだ……

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