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機動戦士ガンダムSEED  閃光のハサウェイ 第36話

Last-modified: 2007-11-29 (木) 21:23:25

ネルソン級(250m級宇宙戦艦)を、輪斬りにした俺は、その最後の盛大な爆発を見届けずに、
直ぐ様、次の獲物を仕留めようと、まるで盛りが衝いた猟犬のように次を追い求める。

『ガンダム』は俺の憎悪に感応してなのか、その双眸は憎しみの紅の輝きへと変貌していた。

俺は一旦、艦隊の上空へと滑走し、先程撃破したネルソン級と
並行に伴走していたドレイク級(130m級護衛艦)を目にした。

同時に、ガンダムは俺の意思を先読みでもしたかのように、敵艦へと襲い掛かる。
これは、俺が無意識に操縦していたからのだろうか?
それとも『ガンダム』が、ダイレクトに俺の脳波を読み込み感じたのだろうか。

左肩の基部にマウントされた状態のビーム・サーベルの刃が大きく広がり、激しい赤光の閃光を放つ。
『ガンダム』雄叫びを上げながら、ドレイク級(130m級護衛艦)へと襲い掛かる。

――オォォンン!!

俺が先程、奇襲を仕掛けた事によって、恐慌状態となった地球連合軍の第3艦隊は、
この時から、戦艦各艦が狂ったかのように、一斉に対空砲撃での反撃を始めたのだった。

それは全く統制が取れておらず、各自勝手な反撃の砲撃をする為に、一部の砲火は、
味方の艦船やMA部隊へと飛びかい、それによって被弾し、
戦場は連合軍側の流れ弾が、飛び交って、混沌とした状況へと戦場は変貌していく。

俺にとっては全く願い難い状況へと戦場の状況が変わりつつあった。
こんなチャンスは滅多に無い事だ。

しかし、これが地球連合軍の正規部隊とすれば、錬度の低さに驚いてしまう。

――それとも、想定外の事が続け様に、発生した事が幸いしたのだろうか?
雄叫びを上げ『ガンダム』は、背部のメイン・バーニアを全開にして、
一気にターゲットとの距離を詰める。

背部の白い羽根のようなウィング・ユニット部は、高速状態の最高速の為に全開となっている。

両肩からは羽のように赤いビームサーベルが広がり、更には背部の白いウィング・ユニットの形状もあり
外からこの光景を眺めれば、4枚羽根の天使なのだろうか?
それとも、やはり『白い悪魔』なのだろうか?

その勢いに乗せて、ドレイク級(130m級護衛艦)を艦橋の狙い、
左肩の基部にマウントされた状態のビームサーベルは、激しい赤光の閃光を、放なちながら、

ズワシューァンン!!

と、一息に艦橋を引き裂いていった!

艦橋部の金属素材は、超高熱の刃の為に溶けながら歪んでゆき、捻れながら両断された!

――斬り掛かる寸前に艦橋の様子が、ありありとわかった。

引きつる顔。恐怖と絶望に彩られた顔。腕を顔の前に出して庇おうとする無意識の行為。
人間は、最後の最後まで足掻こうとするのだ。

――生命が消え逝く瞬間。ヴィジョン。断末魔……

『ニュータイプ能力』を備えた俺の無意識の知覚を、重箱の隅に引っ掻けるようにムズ痒くする。
これは、戦場では日常の光景だ。
今更、俺はその程度では動じなくなっている。

――殺し、殺されるのが戦場の倣いであり、ルールだ。
敵を生かして返せば、その敵は更に武器を持ち味方を傷つける事になるだろう。

だから、俺は武器を携帯する敵に対しては、一切容赦はしない事にしている。
どちらかの息の根が、止まれば戦いは終るのだ。
――護衛艦の艦橋を切り裂き、そのまま勢いの乗った俺は、艦の胴体部へと、刃を食い込ませ、
一気に艦底まで大きく引き裂いていった!

『ガンダム』のビームサーベルは戦艦の内部にメガ粒子の火花を散らし、艦内の各部を破壊してゆく。

――艦内は阿鼻叫喚の地獄であろう。

艦内を焼き尽くしながら、運が悪い乗組員を男女問わずに引き裂き、蒸発させ焼き尽くしてゆく。
直接ビームの刃に触れて消滅した方が、まだマシな部類だろう。

ビームサーベルの破壊エネルギーによって生じた艦内では、爆圧によって吹き飛び、
千切れ跳んだ者達や破片や瓦礫で、押し潰され圧死した者なども、無数にいる事であろう。

『ガンダム』に肩部に装着したままのビームサーベルで、護衛艦の胴体斬りを終えた俺は、
そのまま急速に殺戮現場から離脱してゆく。

離れると同時に、背後から閃光と爆発音が生じる。
そして、無数の生命が悲鳴を上げながら虚空へと、砕け散ってゆく。

命の砕け散る音を背景に俺は、次の標的を狙おうとする。
が……

――突如、脳裏に警告が響き渡る。

――ピキィィィン!!

今の自分の頭部と、なっている『ガンダム』の額の、サイコミュシステムを通して、
新たな『敵』の出現を感知した。

戦艦2隻を瞬時に沈めた『ガンダム』をやっとの事で、『敵』と認識したのだろうか?
『モビルアーマー』の編隊が、こちらに向かってやって来ている。

そして、メカであるセンサーが今更ながら、遅れて爆発の熱源以外のモノを感知した。

連合の主力機動兵器である『TS-MA2』。
独特のフォルムを持っている地球軍の戦闘機型モビルアーマー。
通称――『メビウス』。

俺の知識にある『モビルアーマー』とは、コンセプトが完全に違う。
宇宙用の機動戦闘艇と、いうものになるのだろうか?

開戦の初期から、地球連合の宇宙軍主力兵器として、活躍している機体なのだそうだ。
機動能力も、良好の部類に入り、直線機動なら『ジン』の追随を許さない程の速度がある。

だが、ご大層な割には『ジン』との戦力比が5:1という、とんでもない『飛ぶ棺桶』でもあるらしいのだ。
小回りが効かない状態てMSと戦うなど……死んでくれと、言わんばかりのものである。

この『ニュートロン・ジャマ―』と呼ばれる、『ミノフスキー粒子』と似て非なるものが、
『この世界』でのレーダー通信機能を麻痺させているのだ。

よって、『この世界』でも有視界戦闘がメインとなりつつある。
メカを介しての、索敵全般が、『NJ』のお陰で困難となっていた。

そして、これからは超感覚というべき、空間認識を持つ者や、虫の知らせや勘とも呼ばれる、
第六感を持つ者が、戦闘を有利へと導いてゆくのだ。

『ニュータイプ』とは差し詰めその点では、スペリャリストなのであろう。

遅れて、メインモニターに敵位置の予測と到達予想時間が表示される。

俺の感覚を通して、サイコミュとセンサーが、連動している『ガンダム』のコンピュータが、
導き弾き出したものだ。

周囲の視界認識しながら、戦闘をする俺は、
『ガンダム』で対空砲火を回避しつつ、加速させながら、精紳を集中してゆく。

『敵』の『プレッシャー』を感じ得る為だ。

機体を旋回させがら、もう1隻の手近な敵戦艦へと接近してゆく。

そのドレイク級(130m級護衛艦)から放たれる対空砲火を
『ガンダム』は右急速上昇をして上手くかわす。

そして、かわすと同時に俺は、急速下降試み、
ミサイルを撃ち放つ!

――『ガンダム』の左腕上腕部からミサイルが放たれる!

ミサイルは、左腕が指し示した方向である敵護衛艦の艦橋部分へと、
一直線に向かって直進する!

途中ミサイルは一旦、無数に別れ目標へ向かってランダムにバラ撒かれる事なる。
対空砲火で幾つか落とされるが、他の物は狙い誤らずに艦橋とその周辺へと直撃した!

ドォォオォーッン

ミサイルの破壊力によって艦橋は消し飛び、そしてその爆発は、胴体甲板部のあちらこちらに飛び交う。
そして、主砲や小型砲にもミサイルの破壊エネルギーが飛び散り、誘爆を始める。

ズゴゴォォォ……

ドレイク級は艦全体を大きく傾きながら、月面へと向かって大きく墜落してゆく。
そして、小型のクレーター付近へと、墜落すると大規模な爆発音と共に、
バラバラに砕け散っていった・・・・・・

無論、俺は其処までの確認はしていない。
そのような状況になったという事が、俺が『分る』だけだ。

俺は、次のターゲットへと攻撃を仕掛けようとする。
――キュィィン!

脳裏を閃光が駆け抜ける。
先程、感じたモビルアーマーの編隊が到着したのだろう。

極微弱な『プレッシャー』を幾つかを感じる。
……数は17。
難敵ではない。

「よし!」

『ガンダム』は背後に右腕を廻して、最後の一丁のMMI-M8A3 76mm重突撃機銃を取り出す。

弾奏はシールドに予備を搭載していたのだが、基地から噴出した際の奔流の衝撃で、
シールドを使用した際の、防御行為での衝撃でロストしていた。

重突撃機銃の弾丸を使い切ったら、頭部バルカン砲かビームサーベル等の近接戦闘。
中距離戦闘では爆撃用ミサイル、メガ粒子砲を使用する事となろう。

爆撃用ミサイルは『ファンネルミサイル』とは違い、一度、方向を定めて発射すればお終いのタイプだ。

このミサイル攻撃方法が爆散タイプなので、一機だけを狙うような単発型には向かず、
近接戦闘や中距離戦闘が多い戦闘には、使用し難いものでもある。

そして、シールドは歪み切っているがまだ使える。これならば、MAの攻撃を防ぐ事が可能であろう。
MAの攻撃などで損傷する程、『ガンダム』の重装甲はヤワではない。
それに……

「――当たらなければ、どうということはない!……だろ?」

俺は、『ガンダム』に向かって語りかけてみる。

これは、金色のMSに乗っていたエースの口癖だったらしいのだ。
ウィン!と一度だけ軽快な駆動音が鳴ったのが返事の代わりだろう。

――いける!

この世界で『ガンダム』が、初めて体験する機動兵器とのドックファイトになるのだ。

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