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機動戦士ガンダムSeed Destiny -An Encounter with the Trailblazer-_18話

Last-modified: 2014-06-01 (日) 14:43:33
 

「刹那は上手くやれてんのかね」

 

ため息を付くように、ロックオンがぼやいた。
ロックオンたちは今ある部屋で寛いでいる。その証拠に、彼らはあるものを手にしリラックスしている。
『カリッ』 小気味よく何かを齧る音がした、音の主はスメラギだ。

 

「んー!!採れたてのキュウリってどうしてこうおいしいのかしら。
ああ、もぉー。早く刹那たちがおみやげ持ってきてくれないかしら?」

 

酒のいっぱいを引っ掛けたい思いが、スメラギの口をつく。
重力ブロックの一室に、それらは育てられていた。豊富な水が循環し、緑が生い茂っている。
艦のなかで水生栽培でいくつかの野菜を育てていたのだ。手入れをしているアレルヤが苦笑する。
食糧問題を解決するための一環として、プトレマイオスの一部で野菜作りを始めていた。
主にここの管理を行っていたのは、以外にも刹那とアレルヤだった。
幸いにも、GNドライブのおかげでエネルギーは豊富にある。光と水でいくつかの栽培に成功している。
トレミークルーの年長者たちがおのおのに語り合る。

 

「確かにな。このジャパニーズ・ミソをつけるとホント美味いぜ」
「おいおい、ラッセ。そこは塩だろ?」
「あら、二人とも分かってないわね。何もつけないで野菜の瑞々しさを味わうのが通ってものよ」

 

なにやらキュウリの食べ方について語っている。
酒を美味いと感じるスメラギたちとしては、瑞々しい野菜は最高の肴であるようだ。
育てた側のアレルヤは、おいしく食べていることに嬉しそうだ。上手く作ることができ喜びを感じていた。
朗らかな様子のアレルヤのことを、マリーが微笑ましそうに見守り作業をしている。

 

「アレルヤ、ここを摘んでいいの?」
「ああ、そうだよマリー。ところでロックオン、刹那たちがミッションに失敗すると思ってるのかい?」
「ん?ああ、そっちじゃねぇよ」

 

手にしている野菜をさらにひと齧りする。今度は真っ赤に熟れたトマトだった。
瑞々しさと心地よい酸味が口の中に広がる。「こいつは美味いな」 ロックオンは思わず唸り、アレルヤに答える。

 

「そうじゃなくて、フェルトとのことだよ。彼女持ちの癖に、鈍いねぇ」
「そ、そうかい」

 

どもりながら口ごもるアレルヤに対し、ロックオンは口元にニヤリと意地悪い笑みを浮かべている。
マリーはこういったことに対し耐性が無いのか、頬を赤らめ野菜の手入れをすることでごまかしていた。
のんびりと休んでいるクルーたちは、未だ初心な二人に対し色々と思うところがあった。

「そろそろ二人はくっついてもいいと、ミレイナは思うのです」
画面越しにいるティエリアと情報収集システムの構築に当たっていたミレイナがいきなり喰いついた。
彼女は人の恋路が気になる年頃である。いきなりそんなことを言い出したミレイナに対し、ティエリアは
どうしていいか頭を抱えている。肉体は無いのに、こういったポーズをするあたり、彼の人間らしさが垣間見える。

 

「そうね。あの鈍感はともかく、フェルトの恋路は応援してあげたいわね」
「母親として?」
「お姉さん、としてよ!!」
「でも、本当にどうしたらいいのかしら?」
「心配せんでも、年頃の男女が一つ屋根の下にいるんだ。何とかなるだろ」

 

スメラギの一言に、ラッセが口元にからかうように笑みを浮かべている。
そんな二人をよそに、本当にどうしたものかしらね、と頬に手を当てながらリンダが考え込んだ。
そしてイアンの一言に、ついに全員が押し黙ってしまった。
本当にそれぐらいのことで、あの刹那がフェルトの想いに気づき、応えるのだろうか?
誰かが答えを出す前に、ミレイナの手にしている小型端末にテキストの通信が入る。

 

『ユニウスセブンの破壊を確認、これより地球に降下する。 フェルト・グレイス』
シンプルに書かれたそれを見て、スメラギは嘆息した。無事にミッションを完了することが出来たか。
彼女は寝そべるように深く腰掛けていたソファーから立ち上がり、全員に指示を下す。

 

「みんな、聞いて頂戴。もし私の推測が正しければ、この後、世界はかなりの規模の争いに発展するわ」
全員が重苦しく頷く。ティエリアが作ったシュミレーションと、自身が想定していることをすり合わせながら
スメラギは仲間に説明する。今後、コズミック・イラはプラントと地球に二分した争いに発展していくはず。
そう、今回のテロ事件で民衆は知ってしまったのだ、とある恐ろしいことに。

 

「イアン、ガンダム各機の修復状況はどうなってるの?」
「サバーニャ、ハルートともに3割の修復状態だ。ラファエルに関しては4割組みあがっている。
擬似GNドライブの整備の方も順調に進んでいる。ケルディム、アリオスともにいつでも出撃可能状態だ」
「そう……。ロックオン、アレルヤ。今後、出撃してもらう機会があるかもしれないわ。準備しておいて」
「りょーかい」「分かりました」
「ティエリア。世界の推移と情報収集の方、お願いね」
『了解』

 

デブリベルトに光学迷彩を張り身を隠している限り、トレミーを見つけることは容易ではない。
そのことを加味し、スメラギは今後起こりうる事態に対処すべく、どう戦力を割り振るのか考えた。
彼女の思考が、ある答えにたどり着く。ガンダムを1機、プラント方面に派遣することを決定したのであった。

 
 

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