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機動武闘伝ガンダムSEED D_SEED D氏_第五話(後)

Last-modified: 2007-11-10 (土) 21:15:30

「あの少年が動く、と?」
「は、ですがいつどのように動くかは何も…」
「ほう…何を考えているのか、奴は」
「わ、我々に聞かれましても…! そもそもあれに任せたのはミナ様ではありませんか!
 最初から、あのようなものを信頼してはいけなかったのです!」
ミナの声に圧され、所長は大声を上げる。思えばこれは自分の失態ではなく、ミナの失態だと気付いたからだ。しかし…
「吠えるな、見苦しい」
所長の喚き声を一言で封じ、ロンド=ミナ=サハクは思案する。
(奴が我々を裏切ることなどありえんが…)

ウミネコ達が陽光の中で鳴いている。
風になぶられながら、ナタルはパンの欠片を小さくちぎり、ウミネコ達に投げていた。
いつからだろう、この日課さえ機械的にこなすようになったのは。
自由に空を舞う鳥達に憧れ、自由を失くした自分を蔑み、惰性のままに生きて。
空を見上げる。今日は珍しく青空だった。ウミネコ達の白い翼が舞い散る。

約束の時間になった。
作業終了後、シンはソキウスと共に歩いていた。
「もう一人拾いたいんだが、やれるか」
「問題ありません」
「何するつもりなんだよ?」
「それは…」
かっ、とソキウスが目を見開く。獣のような咆哮を上げ、拳ですぐ傍の壁をぶち抜いた。二の腕までめり込んだ。
「なっ!?」
咄嗟のことに仰天したか、看守の行動が遅い。その間に、ソキウスは壁の中から金属製の筒を引きずり出した。
「この燃料パイプに、火を点けます!」

――大爆発。

この瞬間、収容所全体が揺れた。アラームがけたたましく鳴り響き、非常ランプが狂ったように明滅を繰り返した。
地上では燃料タンクが爆発し、倉庫の一部も誘爆して、大量の物資とたまたまそこにいた職員が吹っ飛ばされた。
一体何が起こったのかと考えている暇も無く、軍人と職員が必死に秩序を回復しようとする。
消火と、囚人の脱走を防ぐため、管理側の人々は駆けずり回り、チャンスと見て取った囚人たちは必死に脱走を試みていた。
小規模な爆発が繰り返され、怒号と悲鳴が交錯する中を、一台のトラック型エアカーが突っ切っていく。
乗っているのは、この混乱を引き起こした張本人たちだ。

「無茶なことを…げほ…するなっ、お前達!」
「出られたんだから文句言わないで下さい、ナタルさん!」
赤鉢巻に赤マント、いつもの格好に戻ったシンが荷台に座って、同じく荷台のナタルに怒鳴る。
「文句は言わんが! その布切れで私を一本釣りするとはどういう発想をしている! 死ぬかと思ったぞ、あれは!」
「はぁ? 鉢巻が武器になるのは常識じゃないですか」
「どこがだっ!?」
「あまり暴れないで下さい。バランスが崩れます。車体に余計なダメージは積ませたくありません」
運転しているのはソキウスだ。我に返ったナタルが叫ぶ。
「だが正面は海だぞ!?」
「問題ありません。しっかりと掴まっていてください」
あくまで淡々とした物言いだが、口調とは裏腹に、ソキウスは思い切りアクセルを踏んだ。
加速がつく。慌てて荷台の二人は縁に掴まる。
収容所正門を体当たりで弾き飛ばし、エアトラックはついに海に出た!
「これは…」
呆然と、シンが呟く。
「こ…凍っている。そうか、昨日の寒さで凍っていたのか!」
ナタルが歓喜に震えて吼える。

北国の海は、寒波に耐え切れず、固く凍り付いていたのだ。視界のどこまでも、氷の煌めきが満ちていた。
夕日の光を浴びて、うっすらとした冷気の霧はオレンジ色に照らされ、光輝を溢れさせている。
それは束縛から自由への、輝かしい道とナタルには思えた。
「出られた…はは、はははははは! 出られた! 私は、私は自由だ! はははははは! 自由だぁっ!!」
氷上をひた走るエアトラックの上で、嬉しさの余りナタルはシンに抱きつき、叫び続けた。嬉し涙まで出てきている。
「あ、その、ナタルさん…」
少々まごつきながらも、シンはされるがままになっていた。

「レーダーに反応が戻った!?」
急いでルナマリアはコアスプレンダーのエンジンをかける。
「シンの馬鹿! 見つけたら心配かけた分とっちめてやるんだから!」

「脱走だと!? 奴は何を考えている!?」
ネオロシアの収容所管理室では、所長が処理に追われている。
ミナは深い笑みを浮かべ…一転、鬼の顔になった。
「ボルトガンダム!」
鞭の音が寒気に響き渡る。
半壊した倉庫の天井から、轟音と共にガンダムが首を突き出した。

「もう少しで街だ。あそこまで行けば、とりあえずは…!」
「いえ、そうも行かないみたいですよ」
「何?」
シンの言葉に誘われるように、ナタルは後ろを見上げた。そのままで固まった。
頭上に、巨大な人型兵器がいる。
「ガンダム…」
ナタルは呻く。恐れや焦りとは違う何かを滲ませて。
「来るのが早すぎる! ナタルさん、まさかあいつらに…」
「違う! 私がそんな破廉恥な人間に見えるか!?」
「……見えません、はい」
という会話を荷台でしていると、頭上のガンダムが攻撃を仕掛けてきた。バルカンの一連射がエアトラックをかすめる。
「きゃあああっ!?」
「ち…このぉっ!」
シンはナタルを左に抱え、荷台から飛び降りた。右手が輝いた。
雨のように降ってくるバルカン。それを真正面から見据え――
「てぇぇぇらぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
気合一声。ばらばらと弾丸が周囲に落ちる。
向かってくるバルカンの弾を右手で受け止め、弾き返したのだ。
「……君は人間か?」
「それ以外の何に見えるんですか!」
「いや、こうも常識を破られると、どうも…」
「俺の知り合いに少なくとも一人、同じこと出来る奴がいますよ」
「…………」
とやっている間に、エアトラックはスリップして氷上を疾走、いくらも離れないうちに爆発炎上した。
はっとする。まだソキウスは乗っていたはずだ。

振り返れば、エアトラックは派手に炎を吹き出していた。それをバックに起き上がるのは色素の薄い巨漢。
表情は変わらず、能面のまま。
「まさか、あいつがスパイ…?」
シンが呆然と呟いたところに。
「シ――――――――ン!!」
聞きなれた声とエンジン音が近づいてくる。
滑空してくる小型戦闘機と、操縦席からのぞく赤毛は!
「ナイスタイミングだ、ルナマリア!」
「あったりまえでしょ、こっちはずっと待ってたんだから! …誰、その人」
「ナタルさんだ。俺と同じく捕まってた。頼む」
「…後で事情聞かせてもらうわよ!」
「こっちこそ、その無駄に高そうなコートの件は聞かせてもらうぜ」
「し、仕方ないでしょ! 防寒着が…」
釈明は皆まで言わせない。
「出ろぉぉぉぉっ! ガンッダァァァァァァム!!」
氷の世界に、小気味良い指の音が響き渡る!

「そうか、わざと脱走させてガンダムを出させたのか。人形と侮っていたが…やるな」
司令ヘリの中で、ミナは呟く。
「よくやった、フォー・ソキウス。あとはこちらに任せて…」
『申し訳ありませんが、ミナ様』
「む?」
『この戦いは、私に任せていただきたいのです』
「何だと!?」
ミナは目を剥いた。
ソキウスが自分に任せろと言った。それも、自分の命令に抵抗してまで。
「フォー・ソキウス! 何を考えている!」
『分かりません。私にも分かりません。ですが、彼と戦いたいのです。それだけなのです』
「いかん、命令に従え! ネオロシアの利益を妨げる気か」
『私の勝利はネオロシアのためになります』
「…………」
そう言われてしまえば、ミナには返す言葉はない。

澄んだ音を立て、ビームチェインが弾け飛ぶ。
ロンド=ミナ=サハクは、自分の要望を受け入れてくれたのだ、と理解した。
通信回線を切り、フォー・ソキウスは目の前に出現した敵を見据えた。
随分と華奢で地味だ。
通信が入ってくる。ネオジャパンファイターの顔が映る。
『ソキウス!』
「…………」
『礼は言っておく。やっぱりお前もファイターだったってことだろ? お互い、小細工はなしで行こうぜ!』
好戦的な赤い瞳が光っている。
「同意します。シン=アスカ」
ソキウスは答えながら、自分が笑っていることに気がついた。
『ガンダムファイトォォォ!!』
「レディィィ! ゴォォォォォ――――ッ!!!」

「始まったか! ガンダムファイト!」
「ナタルさん、こっちこっち! 潰されちゃうわよっ!」
「すまない、ルナマリア」
「……あたし自己紹介したっけ?」
「シンが君をそう呼んでいただろう」
「あ…ああ! そっか」

シンは突進をかけた。
ボルトガンダムが肩の鉄球を飛ばす。右手に握った筒からビームチェインが伸び、分離した鉄球につながる。
そのまま頭上で振り回す。
『グラビトン・ハンマァァ――ッ!』
気合と共に繰り出された鉄球を、横に飛んで避ける。ハンマーが氷を突き破り、海に沈む。
「今っ!」
短く息を吐いて、シンはボルトガンダムに肉薄した。攻撃を外した敵は、バランスを崩している。対応も遅い。
「もらったぁぁ!」
勝利を確信し、シンはボルトガンダムの頭部に拳を入れた!
「ヒットォ! ……お?」
『…………』
全く傷ついていない。
それどころか、シンの非力さを嘲笑うように、軽く首を動かし、音まで鳴らしてみせた。
中のソキウスにしてみれば、ただ調子を試したかっただけであるが、その動作がシンの焦りを煽る。

「嘘!? インパルスのパンチが効かない相手なんて!」
『ふ、我がネオロシアの技術を甘く見るな』
「盗人が言うことか、貴様ぁ!」
「ぬ、ぬすっと? どういうこと、ナタルさん」
「……後で説明する!」

「そ、そういえばこいつ、あのときも」
シンは思い出す。最初に脱走しようとしたときも、奴の腹筋に阻まれて何のダメージも与えられなかった。
ボルトガンダムの顔は、当然ながら無表情だ。だがシンにはソキウスの無表情さが重なって見えた。
彼が両手を組む。振り下ろされるそれを、眺めることしか出来ずに…
「……って、同じ手でやられてたまるかぁ!」
シンは慌てて自分の両手でガードした。
圧が来る。ガードが完全に間に合わず、ダメージを流しきれない。
シンは小さく呻いた。バランスが崩れる。インパルスの足が氷を少しだけ踏み砕く。
『……!』
そのままボルトガンダムはインパルスの右腕を掴み、思い切り捻じ曲げた。肘がきしむ。
痛みに耐え切れず、シンは咆哮した。左手でボルトの腕を外そうとするが、圧倒的にパワーが足りない。
『ここまでですか』
「何!?」
『ここまでなのですか、シン=アスカ。ソキウスである私に戦いたいと思わせたあなたも、所詮はここまでの人間なのですか』
「な…何言ってる…意味分かんないぞ…!」
『私はフォー・ソキウス。四番目のソキウスです』
「四番目…!? ソキウスって、あんたの名前じゃ…」
『ソキウスとは戦闘用コーディネイターの名称です。我々はネオロシアに作られ、ネオロシアのために働きます。
 ネオロシアの不利益となることはできません。そう作られているからです』
「……!」

シンは理解した。目の前の男が、自分達コーディネイターどころでなく、まさしく『作られた』人間であることを。
『我々はネオロシアのためになることならば何でもします。今回のことも、そのままミナ様にお任せすれば、
 確実にネオロシアのためになったでしょう』
「…………」
『ですが、私はあなたと戦いたいと思ってしまった。その欲求が抑え切れなかった。
 ですから、勝てばネオロシアのためになると結論付け、あなたを逃がしたのです』
「…………」
『ですから…あなたがこの程度であれば、ネオロシアの利益になります…それは嬉しい…ですが…』
ふとシンは、ボルトガンダムから映像が来ているのに気がついた。痛みと、思わぬ話のショックとで気付かなかったのだ。
画面の中で、ソキウス――フォー・ソキウスは、複雑な表情をしていた。
『ですが、私は……期待して…いえ…ネオロシアを裏切りかねない行動を…いいえ…
 ですが倉庫の爆破はネオロシアの被害に…しかし…』

妙に歯切れが悪い。何を言いたいのかも伝わらない。
上手く考えがまとまっていないのだろう。だがシンは、考える時間を与えるほど優しくもなければ余裕もない。
それに、ネオロシアと連呼する彼の言葉のほとんどは雑音と思えた。
ただ一つ、最初に言いかけすぐさま打ち消した『期待』という言葉のみ、理解できた。
「それなら今から…楽しませてやるよッ!!」
叫ぶと同時、思い切り頭突きを食らわせる。
フォー・ソキウスが怯み、力が緩んだ。その隙にシンは右手を引く。
肘関節が悲鳴を上げているが、やるしかない。普通の力でボルトに打撃は与えられないというのなら!

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶっ!!」

気合とエネルギーが右手に流れ込む。何かが腕の中で暴れているような感覚。
(もってくれ、俺の右腕!)
この一撃に全てを賭けるしかないのだ。

「砕けぇっ! 必殺!
 パルマッ! フィオッ!! キィィィナァァァァァァッ!!!」

「とらえたっ!」
ルナマリアが歓声を上げた。確かにインパルスの輝く右手が、ボルトの顔面を鷲掴みにしている。
「いや、相打ちだ」
「え?」
冷静なナタルの声に現実に引き戻され、よく見ると、ゆっくりとインパルスの右手から光が消えていく。
「右腕の回路がもう限界だろう。あれ以外の手段で、ネオロシアのガンダムに有効打を与えられるなら話は別だが」
「…………」
そんな武装はインパルスにはない。パルマフィオキーナの一撃に全てを賭けている、と言っていい機体なのだ。
「……ま、いっか。無事だったんだし」
ルナマリアは笑った。

ボルトガンダムが氷の海にゆっくりと倒れ、沈む。
「回収班急げ」
短く指示を出すと、ミナはボルトガンダム…いや、フォー・ソキウスを見下ろした。
とても面白そうに。

ネオロシアの回収班が、ボルトガンダムを引き上げていく。
「……噂だけならば、聞いたことはあった」
中から出され、連行されていくフォー・ソキウスを見ながら、ナタルは口を開いた。
「コーディネイターの究極を目指し、逆らうことのない優秀な兵士を量産する……誰の子供でもないから
 誰にも気兼ねすることはなく、初めから作られた命だから破棄するにもそれほど良心は痛まない……」
脇で聞くルナマリアは、複雑な思いをしていた。
「ネオロシアへの絶対服従なんて…それじゃただの人形じゃないですか…」
「人形か。そういえば昔コーディネイターもそう呼ばれていたな」
「…………」
「奴は生まれたときからネオロシアの囚人なのだろう。人工的に作られたファイター…
 奴こそがコーディネイターとガンダムファイトの行き着く先なのかもしれん」
そのナタルの言葉に、ルナマリアは返す言葉を持たない。

「お前、名前はないのか?」
「固体名は存在しません」
「不便だな…フォー・ソキウスって一々呼ぶのもな…」
「ソキウスで構いません」
「それじゃお前一人を呼んでることにならないじゃないか。んー…フォウ、でいいかな」
「いけません」
「なんで?」
「以前ミナ様に『それだけはやめろ』と釘を刺されています」
「あ、そう…それじゃ…」
と言っている間に、ネオロシアの軍人達がフォー・ソキウスを連れて行く。
「あ、待てよ! まだ話途中…」
「身の程をわきまえろ、シン=アスカ」
「う!?」
見れば、ヘリの近くで、黒髪に黒マントを羽織った女性がこちらを見ている。
視線が重い。
「このままお前を収容所に放り込むことも出来るのだぞ」
「……だから感謝しろってのかよ」
「少しは場の空気を読めと言っている。ネオロシアの勢力下にいるのは変わらんのだからな」

シンは目をそらし、舌打ちを一つした。だがそれだけでは終われない。
このまま圧されっぱなしでたまるか。
懐に手を入れ、写真を掴む。ミナの目を見据え、近づいていく。
ミナの目元が、「面白い」とでも言いたげに動いた。構わず、シンは写真を突き出す。
「こいつを探してる。あんたたちのところで捕まえていないか」
「ふむ?」
ミナは写真を受け取り、少し目を細めて、答えた。
「キラ=ヒビキ、か」
「知っているのか!?」
勢い込むシンに目を戻し、ミナは続ける。
「遺伝子工学の権威、ユーレン=ヒビキ博士の一人息子だろう。
 キラ=ヒビキ自身もまた優秀な科学者と聞く。そちらの世界の人間ならば知っている顔だ」
「あ…」
意表を突かれたように黙り込むシン。それを見て、ミナは写真を返した。
「最も、私は会ったことはないがな。今どこで何をしているのかも知らん」
「……ならいい」
シンは写真を受け取り、懐に戻した。
「そういえば…」
シンの動きが止まる。
「何だ!? 何か思い出したのか!?」
「いや、大したことではない。ユーレン=ヒビキ自身の子供は確かにキラ一人だったが、
 養子として他にも子供を育てていたな」
「!!」
「名前は確か…シンとマ」

ドガッ!!

何の前触れもなく、シンはミナを殴り飛ばした。黒髪が広がる。
ヘリの外壁に衝突し、ミナは苦鳴と共に肺の中の空気を吐いた。
一斉にネオロシア軍人の銃がシンに向けられる。
「何をする、貴様! ミナ様に向かって!」
「黙れ! こいつは人の触れてほしくないところに踏み込ん」
パン、と間抜けな音がした。
頭を鋭い衝撃が襲う。
シンが知覚できたのはそこまでだった。

「ごめんねナタルさん、こんなことさせて」
「いや…彼には恩があるからな。しかし…」
言葉を濁しながら、ナタルはルナマリアに拳銃を返した。
「しかしゴム弾とはいえ、こんなもので止めろとは」
「全くよねー。うちのメカニック、あたしが射撃が苦手だって事分かってて、こんなの渡すんだから」
「いや、そういうことじゃなく…」
気楽に言うルナマリアに、ナタルは訂正をしようとして、やめた。
コーディネイターの基準なんて分からない。そう思った。
「で、ナタルさんはこれからどうするの?」
「私は…逃げるよ。逃げて、逃げて、自由を手にするまで逃げ続ける。
 私もまた自由を諦めてしまったファイターだったことを、思い出してしまったからな…」
自嘲気味に笑うナタル。
それでも、広がる空の下、夕日に照らされた彼女の笑顔を、ルナマリアは綺麗だと感じた。

次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    ネオジャパンのコロニーに送り返されたシンを待っていたのは、恐るべきテストだった!
    写真の男、キラ=ヒビキとシンとの関わりは何なのか!
    最強最悪といわれる、デビルフリーダムとは!
    シンとルナマリア、二人の旅の真の目的が、今、明らかになるッ!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『闘えシン! 地球がリングだ』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」

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『レディィ… ゴォォォ――――ッ!』

ステラ「うぇーい! おつかれ!」
ルナ「今回はわりかし楽だったわねー」
シン「お前だけなっ!」
ルナ「あ、あはは…だってほら、シンは主人公だし! いろいろ障害があって当然でしょ?」
シン「う? た、確かに…」
ドモン「主人公の一言で容易く誤魔化されるとは、修行が足りんぞシン!」
レイ「ドモン師父が言えたことでは…」
ヨウラン「……で、ノロウイルスおさまったの?」
ヴィーノ「さあ」
レイ「名前を出してしまった以上、次はキラ=ヤマトを出すしかない。アスランのように降板させるわけにもいかんな」
タリア「もしもの場合、キラ=ヤマトに関しては、ピンチヒッターを確保しているわ。あなたたちは自分の演技に専念しなさい」
一同『ピンチヒッター?』

メリオル「ミネルバから通達です。第六話の撮影日は念のために空けておいてくれ、と」
カナード「第六話… 奴の件か。報酬は?」
メリオル「傭兵部隊『X』全員にステーキ定食、だそうです」
カナード「…………」
メリオル「いかがいたしますか」
カナード「待機のみの場合、俺達全員にステーキ定食と杏仁豆腐。実際に演じる場合は寿司とフカヒレ追加だ」
メリオル「了解。通達します」

アビー「ひ、人の足元見くさってぇぇ!!」

女二人の交渉合戦の結果、待機のみでステーキ定食、実際に演じれば寿司追加、で落ち着いたらしい。

「今回の分だ」
「こっこれはっ! あの『鉄の女』ナタル=バジルールの赤面顔!」
「素で驚くナタルさん、かーいーよかーいー!」
「鬼監督タリアのしごきに若干涙目のナタルさんハァハァ」
「ローエングリン! 照準盗撮集団! てぇーっ!!」

どかーん

「いやあ、大人気だね君」
「黙って下さいアズラエル理事! こうなるから出るのは嫌だったんですっ!」