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機動海賊ONE PIECE Destiny 601氏_第28話

Last-modified: 2008-11-01 (土) 20:48:06

クロコダイルをぶっとばせば良い、そう言ったルフィの試みは、結論から言えば、失敗だっ
た。
 超人系とも、動物系とも違う悪魔の実の能力。スモーカーやエースと同じ、自然の構成物そ
のものに体を変化させる、自然系悪魔の実のひとつ、スナスナの実の能力者であるクロコダイ
ルには、まともに攻撃が通用しなかったのだ。
 結果、サンジとチョッパー、ビビを除く一味全員と――執拗にシンを追跡していたナタルは
レインベース地下の海楼石を仕込んだ檻に閉じ込められる結果となっていた。

「何故、貴様がこんな所にいる!」

 同じ頃、地上でペルと言うアラバスタの衛士がミス・オールサンデーに向けてそう叫んだの
と同じ感想を、シンもまた、彼女に対して抱いた。
 ペルをあしらい、遅れて現れたミス・オールサンデー、すなわちニコ・ロビンに対してでは
ない。
 彼女に伴われて自分たちの前に現れたその女性、コードネーム「ミス・エイプリルフール」
に対してだ。
 その女性の本名は――

「何でアンタがそんな所にいるんだよ! ミーアさんだろ、アンタ?!」

 シンの叫びに、周りの皆は首をひねり、呼ばれた女性、キャンベル・ミーアはびくりと肩を
すくめた。

「待てシン君。彼女は、ラクス・クラインではないのか?」
「色々と、複雑なんですよ、その辺は」
「むう……」

 ラクス・クラインならば面識もあるナタルではあったが、ミーアと言う名前には聞き覚えが
なかった。

「あなた達、知り合いだったの?」
「……知りません。私は、何も知りません」

 だが、ニコ・ロビンに問われたミーアは、シンの方を見ようともせず、かたくなに首を振る
ばかりだった。
「こう言ってるわよ、赤服君?」
「ミーアさん! 解ってんのかアンタ?! そいつらはなあ!」
「黙ってよ! 知らないわよアナタなんか! 知らない! 知らないわ!!!」
「ミーア……さん」
「何でよ? 何でアナタなの? 何でアナタなんかなのよ!! 何で、何でアスランじゃなか
ったの?!!」
「――!!!」

 絶句するシンに、ロビンが「ふられちゃったみたいね?」と苦笑を漏らした。

「くだらねえ話はその辺にしとけ」

 始終つまらなそうにしていたクロコダイルは、そううそぶくと、シン達に向かって死刑宣告
を下した。じき、この地下室は水没すると。
 遅れてやってきたビビをあざ笑い、檻の鍵を巨大なバナナワニに飲み込ませ、何をしてもお
前たちは自分には勝てぬと宣言さえして見せた。

「お前らは無力だ」

 そうあざ笑い、ロビンとミーアを伴って、クロコダイルは立ち去っていった。

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「シン……さっきの人って、アンタの知り合いだったの?」
「ミーア、と言っていたな。見た目はほぼラクス・クラインその人だったが」

 ナミとナタルの問いに、膝をついていたシンは、ゆっくりと立ち上がりながら答えた。

「彼女、影武者だったんだ」
「影武者ねえ……なんだ、その、ラクスとか言うののか?」

 ゾロの言うのに、うなずいて続けた。

「俺のいた国にはさ、歌姫って呼ばれてる人がいたんだ。共和制だから本物のお姫様って訳
じゃないんだけど、偉いさんの娘でさ、歌手をやってて、国民にも大人気でさ」
「なるほど……でも待てよ? ただの歌手に影武者なんて用意するかあ?」
「ウソップがそう思うのも当然だ。実際、彼女はただの歌手じゃなかった。ギルバートさん、
覚えてるだろ? あの人が元首になる前、大きな戦争があったんだ。ラクスって人は、その
戦争で大きな役割を果たしたんだよ。カリスマって言うのかな、大勢の兵士がその人の掲げた
言葉に従った」
「確かに、彼女ほどカリスマと言う言葉が似合う存在も珍しかったな」

「え、ちょっと待って。少佐さんも知ってるの?」
「まあ、私もその戦争に参加していたのでな。まだ、海軍に入る前だが」
「ところがだ。その戦争が終わった後、彼女は行方をくらましちまったんだ。これは、ナタル
さんも知らないだろうけど」
「……初耳だな、確かに」
「そりゃいくら何でも無責任じゃねえのか? カリスマって事は、旗頭に立ってたんだろ、そ
の歌姫とやらは」
「ゾロもそう思うよな。実際、当時のお偉方は皆困った。何しろ、国の精神的な柱になる筈の
人がいないんだから。いくら共和制だって言ってもさ。影響力がでかすぎた。だから――ギル
バートさんは、一計を案じたんだ。ラクスと良く似た声の持ち主を、手術で顔を変えて、ラク
スに仕立てよう。ラクスの役割を演じさせようって」
「それが、あのミーアって人なのね」
「けどよお、顔を変えるって、あのオカマ野郎じゃあるまいし、そんな簡単に」
「まあ、手術だからな。その辺の技術はあったんだ、あの国は」
「チョッパーが聞いたら血相変えて行きたがりそうな所ねえ」
「アスランってのは、何者なんだ?」

 ゾロの問いに、ぴくりとシンの体が痙攣するような動きを見せた。

「ちょ、ちょっとゾロ!」
「そうだよお前少しは考えて発言しろよ!」
「あー、とりあえずお前らが思ってるような関係じゃあないから」
「アスラン・ザラ……ラクス・クラインの婚約者だったな? いや、婚約は解消したんだった
か?」
「解消ですね。実際、アスランは別の国のお姫様とねんごろになってますし」
「……それもまたどうかとは思うがな」
「アスランは、俺にとっては元上司で、裏切り者で、敵……と言うか、相棒の仇、そんなよう
なもんだな」
「穏やかじゃねえな、ずいぶんと」
「実際あの頃はそうとうトサカに来たよ。散々説教されたし、殴られもした相手が、いきなり
寝返ってアークエンジェルに行っちまったんだから」

 いっそさばさばした表情で言うシンの言葉に、皆一様に首をひねった。
 ナタル一人を除いて。

「待て。今なんと言った? アークエンジェルだと? あの艦が何故そこで出てくる!」
「何故って、そりゃあラクスのエターナルなんかと一緒に行動してたからですよ」
「連合に返還されていなかったのか?! 幾らなんでもそれは無茶だぞ!」
「いやあの、俺に怒鳴られても」
「誰だ。誰があの艦をそんな私物化まがいのまねをやらかした! どこの馬鹿だ!」

「えーっと……確か、前の戦争と同じだったんじゃないかな。確か、マリューだかマニューだ
か、そういう名前の」

 シンの言葉に、ナタルはぐらりと体をよろめかせた。

「と、だ、大丈夫すか? 海楼石の影響すか?」
「な……何をやっているのだ、貴女は……あの牛女が!」

 周囲の皆を置いてけぼりなそんな会話の直後、一切合切を洗い流しかねない素っ頓狂な叫び
が響き渡った。

「ナミっすわぁ~ん!!! アナタのプリンスが今助けに参りましたよ~!! って、何やってんだお前ら。ああっ!! こちらにはいつぞやお見かけした美しいお姉たま!!」

 珍妙眉毛プリンスのあまりにせわしない登場に、全員が返した反応はほぼ一致していた。

『良いからちったぁ落ち着けこの面白眉毛!!!』

To be continued...

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