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第五話

Last-modified: 2011-12-21 (水) 22:24:20

  第五話

 

 「しっかし厄介なところに落ちちまったねぇ。」

 「・・・すみません。」

 「いいのよ、ナタル。指示をしたのは、私だしね。」

 こう話しているのは、アークエンジェルトップ3
 ムウ・ラ・フラガ少佐
 マリュー・ラミアス少佐
 ナタル・バジルール中尉
 の三人。
 ちなみに、以前は階級が大尉×2と少尉だったのだが、ハルバートン提督の計らいによって昇格した。
 そして、キラ・ヤマトは少尉、他の志願兵は二等兵となっている。

 「どうすんだ?ボウズがいなけりゃ、この艦を守れる自信はないぞ。」

 「そうですね。」

 「現在の戦力はスカイグラスパー八機ですからね。」

 「艦長!」

 そんな物々しい雰囲気の中、格納庫から通信が入った。

 「どうしたの?」

 「いや・・・・さっき出撃した偵察機なんですがね・・・。とにかく大変なんです。すぐ来てください。」

 その整備長・コジロー・マードックの切羽詰まった声が、事の重大さを感じさせた。

 

 「こりゃぁひでぇな・・・。」

 帰ってきたスカイグラスパーのありさまは、宇宙用モビルアーマー・メビウス・ゼロをボロボロにした、
 ムウに、こう言わせるほど酷かった。
 翼はひしゃげ、コクピットは穴だらけ。火器は内蔵ミサイル以外は発射不能。エンジンも一個のみ・・・。
 このような状態で帰ってこられたのが奇跡だった。

 「・・・・。」

 ナタルは黙ってパイロットに事情を聴きに行った。

 

 「なんだと・・・!」

 ナタルの顔は、ここ最近見ないほど青かった。

 「・・・これが・・・今回の偵察の・・・成果です。」

 そうパイロットは言った。

 今パイロットが話したことは、驚愕に値した。

 

 偵察仕様スカイグラスパーパイロット、ライサル・ライブリアンは、
 アークエンジェルから50キロほど離れたところにいた。 

 「偵察か・・・ニュートロンジャマーがあるからなぁ。」

 ぼそっと愚痴をこぼす。
 その時、大量のレーザー照準感を知らせるアラートが鳴り響いた。
 それと同時に、大量のミサイルが視界に飛び込んできた。

 「え?ミサイル?」

 体に染みついた生存本能が操縦桿を引かせたのが幸いだった。
 ミサイルは小回りの利くスカイグラスパーについていけず、互いにぶつかって爆発した。

 「うわ!くぅ!」

 爆発の衝撃と強烈なGで、ライサルはうめく。
 そして、またアラートが鳴り響き、ミサイルの接近を知らせる。

 「またか!しかし、不意打ちじゃないなら!」

 そして、ライサルはスカイグラスパーを巧みに操り、ミサイルをよけると同時に、機首を下に向ける。

 「ミサイル発射元は・・・いた!」

 そこでライサルが見たものは、

 陸上戦艦・レセップス
 陸上駆逐艦・ピートリー、ヘンリー・カーター

 「レセップス?・・・相手は「砂漠の虎」か!」

 一瞬で相手を特定すると、アークエンジェルへ帰還しようとする。

 「うわ!」

 そこに立ちふさがったのは、

 大気家内飛行用量産型モビルスーツ・ディン二機
 モビルスーツ支援用戦闘ヘリ・アジャイル六機
 大気圏内用垂直離着陸(VOTL)戦闘機・インフェトゥス五機

 たかが偵察機一機に対しては、大部隊だった。

 「・・・!!知られちゃぁいけないのか!だとすると、相手の狙いは・・・奇襲か!うわ!」

 結論を出した瞬間、ディンの90mm対空散弾砲が主翼をかすめた。
 機体が大きく揺れる。

 「うう・・・。」

 激しく揺さぶられ、一瞬動きが直線的になる。
 その隙をザフト軍を見逃さなかった。
 スカイグラスパーの目の前にアジャイルが舞い降り、機関砲をコクピットに向け、撃った。

 「う・・ぐぁ・・・!」

 数発の弾丸がコクピットに当たり、そのうち二発がライサルの肩に直撃する。
 肩からの出血と、衝撃で朦朧とする意識。
 だが、彼は痛みに打ち勝ち、目の前のアジャイルに向け、20㎜機関砲を打ち込んだ。
 4つの砲口から放たれた弾丸の嵐がアジャイルをとらえ、撃墜する。
 そして、Gを無視し、神が買ったかったような操縦を見せる。

 「う・・・うおおおおぉぉぉ!」

 痛みをこらえ、大型ビームキャノンを発射する。
 それはインフェトゥス二機と、ディン二機を撃墜する。
 そうしてできた包囲網の穴を抜け、ライサルはアークエンジェルに向け、離脱した。
 これはのちの世のSEEDである。
 ここに、新たなSEED覚醒者がいた。

 

 「・・・・そうか。」

 ナタルは床に目を落とした。

 「・・・・・・・副艦長、早く戦闘配備を・・・来ます。」

 「っ!・・・・そうだったな。」

 そうしてナタルは我に返る。

 「感謝する。ライサル・ライブリアン軍曹。」

 そうしてナタルはマリューに事を知らせに行った。

 

 「んん・・・。さっきの偵察機落とせなかったねぇ。」

 「はい。」

 夜の砂漠に響く声

 「んーいい味だ。」

 「はぁ。」

 砂漠に立つ二人の男。

 「コーヒーが旨いと気分がいい・・・。よーし。」

 彼らの後ろにそびえたつ四本足の巨大な機械の犬。

 「戦争をしに行くぞ!!」

 コーヒーを飲んでいた男の物騒な言葉で、隣の男が大声で指揮を執る。

 「目標、敵新造艦!総員出撃!」

 すると、巨大な犬がモノアイをぎらつかせ、ディンが、アジャイルが飛び立った。

 

 砂漠の一角は、戦場になろうとしていた。

 

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