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第23話〜予定は未定〜

Last-modified: 2013-04-22 (月) 18:54:51

アークエンジェルの甲板の上に立ち、フレイと一緒に離れていくオーブの地を見ていた。
さっきまで懸命に手を振っていたマユと、寂しそうなキラさんも、もう見えない。
「見えなくなっちゃったね」
「ああ、でも良かったのか? マユにトリィあげても?」
「元々、アンタのでしょうが。私はアンタが放置して寂しそうにしてるから面倒見てたの」
「まあ、そうだけど。シンにも懐いてたし……」
ある意味、本当の飼い主の下に戻れたんだな。
「……あの2人と一緒の方がトリィも喜ぶか」
「そうね……って、聞くの忘れてた…」
「何が?」
「いや、ちょっと気になってたのよ。ほら、ヘリオポリスで私と一緒に救助された人たち。
 何で、あの人たちが無事だったからってシンが泣くの?」
「ああ……」
俺が拾った救助ポッドに乗ってたヘリオポリスの人々、彼等の乗ったシャトルは本来なら、
メネラオスが沈みそうになったため、戦闘中に戦場の真っ只中を離脱発進する事になったらしい。
そして、それをイザークが沈めた。その事はキラさんの心に、大きな傷を残す事になった。
しかし、今回はメネラオスが無事に戦闘を脱したため、当然ハルバートン提督もシャトルも無事。
戦闘を終えて、安全になってから降下しオーブに無事辿り着いた。
ちょうど、キラさんと一緒に居るときに、オーブ政府からその事を聞いた艦長が伝えに来た。
俺が提督の事を気にしていたから、艦長も気を利かせたんだけど、一緒に居る子供に泣かれて
かなり慌てていた。
でも、事実を言うわけにはいかず、その場は誤魔化してたけど……
「……さあ、知り合いでも居たんじゃない?」
「ふ~ん……彼女とかかな? って事は私も知ってるかも」
「……た、楽しそうだな?」
「え? 興味あるじゃない。あの天才君が好きな子って、どんな子だろ?」
「さ、さあ……気の強い子とか?」
「イメージ違うな。多分、大人しい子の方が合うと思うな」
「そ、そうか……」
……キラさん。道は険しいみたいだぜ。アンタの事、全然眼中に無いんだけど……
「まあ、オーブに戻ったら聞いてみれば?」
「え?……うん」
「……このまま連合の軍人を続ける気か?」
「……そのつもり」
やっぱりな……オーブに行ったらザフトと戦い続ける事が出来なくなる。
「キラは、オーブに戻った方が良いよ。うん……」
「お前も、俺と一緒に来ないか?」
「え?……だって…」
「俺は、フレイと一緒にオーブに帰りたいな」
「だ、だって…!…」
辛そうな顔……ここでオーブに戻ったら、今まで何のために訓練をしてきたか分からなくなるから。
「ね、ねえ……アンタは私と……一緒が…」
フレイがそっと俺の肘を握る。潮風と一緒に近付いた彼女の香り……香水では無い。でも…良い香りだ。
「フレイ……」
「……良いのかな?」
絶対にいける! でも、キラさんとの約束もあるし、それ以前に彼女は火遊びではすまないタイプ。
アーサーが言ってた。遊ぶ女は選ばないとバッドエンドになるって……ぶっちゃげ刺される。
もう少し、お嬢色が抜けて、恋愛に夢を見なくなるまで我慢だ!
「考えておいて欲しい……連合に残るか、俺と一緒にオーブに行くか」
「……うん……考えとく」
「じゃあ、そろそろ機体に乗り込んでおこうか」
「そうね……って、キラは行かないの?」
格納庫に行こうとしたフレイが、動かない俺を不信に思って聞いてくる……でもね…
「さ、先に行っててくれ。俺もすぐに行くから」
「気分悪いとかじゃ無いよね?」
「大丈夫。気にしないで」
「……じゃあ、先に行くから」
……今は動けない。
今は手すりに肘をかけて、身体を曲げてるからいいが……溜まってる故の生理現象の所為で股間が痛い。
真っ直ぐに立って歩きにくかった……今夜当たり夢精かな?

第23話~~予定は未定

「間もなく領海線です」
ブリッジからの連絡が機体の中に居る俺達の耳にも入る。
「さてと、オーブの天才少年の話だと、襲ってくるそうだが?」
「間違い無く」
「そうね。あの子の話から、その変態、間違い無くアスランよ……ぶっ殺す」
「おいおい……」
「嬢ちゃん、気合入ってるのは良いけど、無茶すんなよ。最近、MSばっかり乗ってたんだから」
「嫉妬ですか?」
「違う!」
「フレイ、少佐の言う通りだ。アスランを舐めるな。変態だが腕は確かだ」
「そうね……アンタ以外には」
あ、あのな……まあ、からかいたくもなるだろうが、今回は注意しておきたい。
「フレイ……真面目な話なんだ。お前に死んでもらっては困る。帰って答えを聞かせろ」
「う、うん…」
「ひゅうひゅう♪ 熱いね」
「煩いです。少佐」
「はいはいと…まあ、俺と嬢ちゃんはバスターを優先しよう。ボウズ、それで良いな?」
「はい」
「レーダーに反応! 数4!」
その時、ブリッジから連絡……
「機種特定、イージス、バスター、ブリッツ、デュエル!」
「艦長! 戦場は確保出来るか!?」
「近くに小島があるわ! そこならストライクも動ける!」
「よし! 到着するまで、俺と嬢ちゃんで踏ん張るぞ!」
「はい!」
逃げながら勝てる相手では無い。だからストライクが使える戦場を選んだ……ここで倒すため。
「ムウ・ラ・フラガ、スカイグラスパー1号機、ランチャー装備、出るぞ!」
「フレイ・アルスター、スカイグラスパー2号機、ソード装備、行きます!」
……絶対に死ぬなよ!

「キラ・ヤマト、ストライク、発進する!」
小島に到着する直前でエールストライクを発進させる。
「ブリッツはどこだ?」
ジュール隊3機のコンビネーションで、厄介な…要はブリッツだ。アイツを先に倒せば……
「キィィラァァァァ!!!」
……無視。
「キラ! 目を覚ませ! お前はフレイって女に騙されてる!」
……居た! ブリッツ!
「落ちろ!」
ビームライフルを撃つ……簡単には当たらないか! だが……
「今回は仕留めさせてもらう!」
スラスターを全開にして接近……これで…
「…どうだ!」
下からの射撃、グゥルで見えにくい分、避けにくい。ビームはブリッツの乗ったグゥルを貫き、
グゥルが爆発。
「これで…・・・チッ! やってくれる!」
爆発で、一瞬視界から見えなくなる隙にミラージュコロイドで姿を消した。
「使えるか?」
「キラ?」
イージスに取り付く……これで攻撃を……
「ぐあっ!」
「ダメか!」
イージスの右腕が吹き飛んだ。続いて左足……もうアスランを盾に使う戦法は使えない。
「だが!…」
アスランのイージスはこれ以上戦闘は出来ないダメージだ。正直、あの人の爆発力は厄介だから、
居ない方が助かる。何をするか分からないし……でも、これで残り3機に集中できる。
それにイージスの撃たれた方向から、ブリッツの居る方向は検討が付いた。
「少佐! フレイ! デュエルとバスターの足止め!」
2人に牽制を頼むと、ブリッツが居ると思われる方向にイーゲルシュテルンをばら撒きながら接近……
「宇宙じゃ無くて残念だったな!」
宇宙空間、上下の動きも出来れば闇雲に撃っても、このレベルのパイロットに当てるのは困難。
しかし、地上に降り立った今なら……
「あそこか!」
無造作に放ったイーゲルシュテルンでもPSをダウンした状態で受けるのは危険。
そのため、当たりそうなら嫌でもミラージュコロイドからPS装甲に切り替えねばならなかった。
「今度こそ!」
ビームライフルを撃つ……第1射、避けられる…第2射、頭部を破壊、まだだ…第3射、今度こそ
コクピットを…わずかに横に避ける、左肘に当たった。もうサーベルの距離…
「チッ!」
ライフルを捨てて、サーベルを抜いた瞬間、バスターの牽制射撃……だが!
「せいぃっ!」
体勢を崩しながら、ビームサーベルを一閃、この状態でコクピットをシールドで防御しているのは流石。
だが、その下を横薙ぎにして両足の付け根から両断する。
「誘爆は!?……」
転げてしまったが、すぐに立ち上がりながらブリッツを確認……運が良いな。
ブリッツは力無く地面に転がっているが、爆発もしなかったし、パイロットも命に別状は無いだろう。
「あと2機!」
バスターとデュエル、優先したいのはバスターだが……
「やはり、アンタが来るか! イザーク!」
ビームサーベルを抜いたデュエルが怒涛の勢いで突っ込んできた。
奴の性格から言って、仲間をやられて黙ってるはずが無い。
「貴様ぁぁぁ!!! よくもニコルをおぉぉぉ!!!」
エールの推進器の高さを生かして、ビームライフルを取りに行く……
「させるかぁぁぁ!」
レールガン!? 掴む前にライフルが破壊された。
「接近戦が望みなら……やってやる!」
俺のサーベルをシールドで止め、反撃の横薙ぎ……さらに距離が開いたところにレールガン。
PS装甲には通じないが……こっちのバッテリーを先に無くす気か? やってくれる! 
機体の性能差をよく考えている。最初から撃ち合いでなく斬り合いを選び、しかもPSに負荷を与え
こちらのバッテリー切れを誘う……対ストライク戦の戦術を考えてた。おまけに腕も上がってる。
……分かるよ。アンタが俺を倒すために、今までどれだけ頑張ってきたか! だが…
「フレイ! パックを代える!」
「了解!」
エールの推進器を全開にして上空へ上がる。レールガンを撃ちたきゃ撃たせてやる。だが……
「空中で換装だと!?」
「おまけにバッテリーも回復した!」
空中でエールからソードストライクに換装を終えると、わざとイザークに聞こえるように、
こちらの状態を教える。少しは慌ててもらおうか。
「フレイ、もう終わりだとは思うが、エールの充電を!」
「分かった!」
ソードパックからエールに付け替えたフレイのスカイグラスパーが、一旦アークエンジェルに戻る。
バッテリー切れを狙っていたイザークにとっては悪夢だろう。
「くそぉぉぉう!」
イザークが叫びながら、シヴァを連射する。通じないと分かってるのに、それでも撃つなんて冷静さを
失ってる証拠。こっちが地上に降り立つのを待って斬り合いに挑むべきなのに……
だが、冷静さを欠きながらも、レールガンの射撃は正確……やってくれる!
「だが、アンタもう終わりなんだよ!」
マイダスメッサーを投げ、続いてシュベルトゲベールを抜いた。
イザーク相手に、ビームブーメランなんかが当たるとは思っていない。……が、体勢を崩せば充分。
「チィィッ!」
「うおぉぉぉぉっ!」
落下しながらの斬り降ろし。寸前でイザークは左に飛んだ……だが、一瞬だけ遅かった。
デュエルは右肩が斬られレールガンと一緒に手持ちのサーベルも失う。
「クッソォォォ!」
苦し紛れに左肩のミサイルを発射するが、こちらにダメージは与えられない。まあ、衝撃で頭が
クラクラするけど……
「観念しろ! 降伏したらどうだ!」
「誰が! そんなマネ…出来るかぁぁぁ!」
左手でビームサーベルを抜き、構える。
「だったら……死んでもらう!」
俺もシュベルトゲベールを両手で構えた。

……しぶとい! 斬り合いを始めてから、もう結構発ってるのに、未だに粘ってる。
「随分と腕を上げた!」
「貴様を……倒すためだ!」
「それは無理だ! 現に防戦一方だろう!」
「黙れ! クソッ! 何故だ!? 何故貴様はそんなに!」
「悪いな! 俺は10年以上MSで戦ってるんだよ!」
「そんな馬鹿な話があるかっ!」
チッ…ちょっとは動揺するかと思ったら……流石に信じないか。まあ良い…
「ところで、そろそろバッテリーが危ないんじゃ無いか!?」
「五月蠅い! 黙れ!」
「もう1度言う。降伏しろ」
「黙れと言った!」
「この防戦で、どうする? 時間稼ぎでもする気か!?」
「俺が貴様を食い止めれば、ディアッカが足付きを沈める。その後は…」
「無理だな! バスター1機でアークエンジェルが沈められると思っているのか!?」
「思う! 俺はディアッカを信じる!」
「あれでか!?」
そこには明らかに苦戦しているバスターの姿。アークエンジェルよりバスターが先に落ちるだろう。
別にディアッカとバスターが悪いのでは無い。相手が悪いだけだ。
アークエンジェルの対空防御は半端では無い。しかも少佐とフレイのスカイグラスパーが狙ってる。
「ま、まだ分からん!」
「どうかな?」
しかも、良い具合にバスターが右肩に被弾した。幸いミサイルは撃った後だったらしく誘爆は免れたが、
大きく距離を取っている。
「諦めろ! このままだと仲間も死ぬぞ!」
俺はキラさんと違い、別に命を取りたくないわけじゃ無い。だが、無理に殺したいわけでも無い。
正直、ここまで粘られるとは思わなかった。ここは降伏してくれた方が楽。降伏しなくても動揺
してくれれば良い。
「俺は! ザフトレッドだぁぁぁぁ!」
闇雲に突っ込んでくる。降伏はしなくても動揺はしてくれたか……
「だったら死ね! なっ!?」
……甘いのは俺の方だったか!?
俺が斬り降ろすタイミングで、デュエルはアサルトシュラウドのパーツを強制排除した。
「俺を舐めるなぁ!」
身軽になり、動きの種類が変わった!? 俺の剣をギリギリでかわすと、懐に飛び込んでサーベルを
一閃させる。
「くうぅぅっ!」
後ろに下がり、直撃は避けたもののシュベルトゲベールと一緒に右腕を持っていかれた!
「形勢逆転だな!」
「そうかな!?」
現状は右腕を失った同士だが、デュエルの左手にはビームサーベル。それに対し、ストライクの腕には
ロケットアンカー……確かに話にならない。だったら、こちらも武器を。
「フレイ! エールを!」
「させると思うか!」
だが、イザークがそれを許すわけが無い。だが…
「思わないさ!」
ロケットアンカーをデュエルの足元に放つ。デュエルがそれを避け、ロケットアンカーの爪が地面に
刺さった。
「当たるものか!」
「当てるつもりなんか無い!」
ロケットアンカーの元部を外しながら左腕を大きく振る。
地面に突き刺さったロケットアンカーを軸に、旋回した元部との間にデュエルが入り、ワイヤーが
絡まった。
「こ、こんな物で!」
すぐにワイヤーを斬ろうとするが、僅かな時間があれば充分だった。俺は背中のパックも外すと
それをデュエルに投げる。
「オマケだ!」
デュエルに当たる直前にパック目掛けてイーゲルシュテルンを撃ち爆破する。
「ぐあぁぁぁっ!」
爆炎に包まれるデュエル。ダメージは少ないだろうが、間に合った。
「キラ! エールストライカー、受け取って!」
「よし!」
フレイが落したエールストライカーを装備し、ビームサーベルを抜く。これで……
「ボウズ! 避けろ!」
え?…少佐?
「があぁっ!」
背中に強烈な衝撃……エールパックが爆発!? さらに背部全体に被弾!……何処から!?
「バスターか!」
遠距離から撃ったバスターの対装甲散弾砲にやられた。
フレイが離れた隙に、イザークを守ったか……本気でこいつら強くなってる。
謎の連携だけじゃ無い。俺がフレイやオーブ軍を鍛えてたように、コイツ等は自分を鍛えていたんだ。
俺を倒すために。
「尊敬するよ。まったく!」
ダメージをチェックしながら、ストライクを立たせる。
「キラ! 大丈夫!」
「平気だ! それよりフレイはバスターを!」 
「で、でも!」
「言う事を聞け! 今のを見ただろ!? コイツ等は強い! 最後まで油断するな!」
「りょ、了解!」
バッテリー、パックが無くなったから、こっちも余裕は無い。それに各所にダメージが……全体的に
動きが悪くなってる。
「だが……向うも似たようなモンだろ?」
立ち上がるデュエル。お互いに装備は左手のビームサーベルとイーゲルシュテルンのみ。おまけに隻腕で
バランスも悪い。
細かいダメージはどうだ? 今までの攻撃で向うはかなりの損傷を受けたはず。一方の俺は先程までは
右腕を失った以外は気にするダメージは無かったが、バスターの一撃は大きすぎた。
「どっち道、やるしかない!」

共に片腕でバランスが悪くなった機体。だが、それなら俺の方が有利。こっちは馬鹿でかい対艦刀を
振り回してたから、バランスの悪いのには慣れてる。
「いい加減に…倒れろ!」
「まだだ! まだ、負けていない!」
だが、しぶとい。こちらが一方的に攻勢だというのに、未だに落せず、追っかけている内に、
アークエンジェルから随分と離れた。だが…
「さあ、追い詰めたぞ!」
後ろは崖。もう逃げられない……と思うけど、どれくらいの高さかは、ここからじゃ見えない。
でも、正直バッテリーは少ない。多分向うは、もっとヤバイはず。
とにかく! この向こうが主人公のような展開を早く終わらせたいんだ俺は!
今の状況は、友を信じて耐えるイザークを、俺が一方的に攻めてるんだ。
まるで俺が悪人みたいじゃないか! 
「あれ?」
そう思ってたら、デュエルのサーベルからビームが消えた。続いてPSがダウン。
「……さて」
ここで安心するほど、俺は目出度くは無い。バッテリーが危ないのは間違いないが、これは最後の攻撃に
賭けた誘いの可能性もある。
イーゲルシュテルンを使えば簡単なんだが、実はお互いに弾切れ。
「だったら!」
俺は手近にあった石…MSが持つんだから実際は岩のサイズ…を掴むと全力で投げつけた。
PS装甲はPSダウンした状態だと発砲金属以下。例え石でも馬鹿には出来ない。しかもMSが
全力投球した加速だ。
「キ、キシャマァァァ~ッ!!!?」
デュエルのPSが再び戻る。流石に石をぶつけられて負けるのは嫌らしい。
「そ、そんな攻撃をををを!!!」
「戦いとは非常なものさ」
「字が違うでゃろぉぉぉ!!!!」
いや、合ってる。常識に囚われてはダメだ。つーか、字に突っ込むな。
でだ。
「一発で終わりだと思うな!」
もう奴のエネルギー切れは目前。俺は石を投げ続けた。
だが、俺も石で仕留められるとは思っていない。
そう。これは罠。イザークがブチ切れて突っ込んでくるのを待っている。……本当だって。
「どうした! イザーク!」
「ク、クソォォォォ!!!」
「あれ?」
突っ込んでくるどころか、後ろに飛んだ……後ろは崖だぞ?
警戒しながら近付き下を覗き込むと……
「思ったより低かった」
海面まで10メートルくらい。奴は無謀な突撃より撤退を選んだようだ。
後はバスターだけか……
「こ……アー…エン…ェル、キラ、聞…える?」
「ミリィ?」
Nジャマーの干渉が酷くて聞き取りづらい。
「どうした! そっちはどうなってる!?」
「ち…っと! 大…な…出さ…いで」
なんだ? 向うは聞こえると思うが……
「こっちは聞こえないんだ! それで!?」
「バス…ーは倒し…わ。パ……ットは投…した。そっ…は?」
バスターを落したか……そうだ。フレイは? 無事だったんだろうな?
「こっちはデュエルを倒した。それでフレイは!?」
ここでフレイに何かあったら、俺も辛いし、キラさんに殺される。
その上マユに、キラさんの欲望が向かう可能性が……
「無…よ」
「聞こえない! フレイは! フレイは大丈夫なのか!?」
何だか、向うで笑っているみたいだが? 大丈夫なのか?
「大……よ。ピ……ンしてる。そん…にフ…レイ…心……んだ?」
「え!?」
「も…。フ…イ、…事し……って…」
「さっ…か…五…蠅い…カ! 恥…か…いで……うが!」
フレイの声?……そうか、大丈夫で良いんだよな。うん。
「良かった。安心した」
これで、後はアラスカでの工作に専念…

「そんなにフレイが好きかぁぁぁぁ!」
アスランの声? 生きてた? 何処に?
「イージス!?」
突然、茂みから現れたイージスが飛び掛りながら変形すると、巨大なクローと化した手足にストライクが
拘束された。
うそ……完全に油断していた。だって、あの状態では戦闘の継続なんて出来ないと……
でも、今の状態は紛れも無い現実。
「キラ! 何でお前は騙されてると気付かない!」
イージスのMA形態で掴まえられている……左腕が動けば……
「ダメか! クソッ!」
しかもバッテリーも残り少ない。
「もう、俺の声は聞こえないんだな」
迂闊だった! コイツの爆発力を甘く見ていた!
あるいは落ち芸人としての……
「こうなったら、生まれ変わって一緒になろう!」
ちょっと待て! なに言ってる!?
「だが! お前を誑かしたあのフレイという女は許せん!」
「え? おい?」
「だから……先に逝って待っててくれ」
「ま、待て!」
アスラン、MSから脱出してる? これってキラさんから聞いてたパターン?
待ってくれよ……俺はアラスカに行かないと……フレイが……このままじゃラクス…
「それだけはヤダァァァァ!!!」
イージスから溢れる閃光がストライクを包む。
ア、アスラン!…アンタは…俺べっ!

続く

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