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第28話〜擦れ違う思い〜

Last-modified: 2013-04-22 (月) 19:32:12

「両肩のブーメランが有ると、シールドの動きに干渉するから無い方が良いですね」
「では、普段は外しておくと?」
「う~ん、どうせなら、幅を詰めてフリーダムみたいにスラスターを設置した方が……」
ジャスティスの、装備換装テストを終えて、プラントに帰還中に問題点の洗い出し……
「それじゃあ、私、ブリッジに行きます」
「ああ、それと、その服装何とかならんか?」
「途中で卒業したから、上着とスカート丈が両方とも短いんですよ♪」
「んな訳あるか!」
「まあまあ、1年もしたら、白ニーソは止めて黒ニーソにしますから勘弁してください」
今は童顔の15歳だから、お気にの黒ニーソは背伸びしてるみたいで似合わなかった。
いや、メイリンは縞ニーソの方が似合うって言ってたし、自分でもそう思ったけど……ほら、身体は
15歳でも、心は30過ぎだから、流石に縞ニーソには抵抗がね。
「色は関係無い! その前にミニスカを止めんか!」
お堅い整備兵と談笑?して、ブリッジへ…………
「さてと……もうすぐ……」
もうすぐ、オーブ解放作戦が……シン……私が守ってあげるから。
最初に会った頃のシンは、凄く怒りっぽくて、よく教官に噛み付いて……変な奴だって思ってた。
それから、一緒にミネルバに配属されて…………なんで、何であの時アスランなんかに!
忌まわしい過去。そんな事をしてたから、ステラに…………
そう。思えば、それが間違い。その前に付き合っていれば良かったんだ。
何度も、そう思った。過去の行為を呪った。部下があの人と寝たって噂を聞くたびに……そして、娘に
嫌われるたびに……ステラは可愛い娘だけど、それでも、あの子とケンカすると過去の傷口が抉られる。
シンが一番辛いときに、他の男を追っかけていた馬鹿な私……
でも、やりなおせるチャンスが来た。シンとやり直せる。そうすれば、ステラともちゃんと向き合える。
今度こそ、親子で絶対に幸せになってやるんだ。
あの日、目が覚めたら若いメイリンが……思わず身構えてしまったが、信じられないくらい素直な子に
……いや、昔は素直な子だった。ただ、最近では会うたびに……
『あら、姉さん。子育て大変ね……って、ラクス様が見てるんだっけ?』
『そんなことより、貴女のご主人、いっそうと髪の毛が薄くなったわね』
…………そんな会話ばっかり。それも、全部アスランの所為だ。
とにかく、自分が逆行したことに気付いた私は、シンとやり直す決意をした。
そして、まず考えたのが……

①オーブに行ってシンの危機を救う謎の美少女。

つまり、オーブ解放作戦で、シンの家族がピンチの時に颯爽と現れ救ってみせる。その時点では名前も
名乗らずに去るが、その後でシンはザフトのアカデミーで同期として再会する。
「き、君は?」
「え? あ、あの時の!」
……みたいな感じ。シンにとっては家族の恩人で、しかもアカデミーでは優秀な成績の完璧超人。
それでいながらシンにラブラブビームの、これ何てエロゲ? みたいなヒロインに……
しかし、これはボツになった。最大の理由は颯爽と現れる美少女を演じるには体力が足りなかった。
なにしろ、この当時の私は、戦争ウゼーとか、ナチュラルとケンカして何が楽しいの? とか思って
人生を送ってたんだから、当然、体なんか鍛えてない。しかも、そんな私が後々ザフトに入隊した事
からも分かるように、家って実は貧乏。だから、エリートのアスランに姉妹揃って惹かれたんだけど、
それは反省した。まあ、兎に角、身体を鍛えたところで、オーブになんか行けない。それもシンの
住所はオノゴロ島。警戒がバリバリ厳しい場所。無闇に出歩いたらスパイ容疑で逮捕される。
そこで次の作戦を……

②颯爽と家族を救った美少女パイロット。

これだ。つまり、ザフトに入隊してパイロットになる。それもアスランの代わりにジャスティスの
パイロットに選ばれるくらいに……そう。シンの家族が死んだ時は、ジャスティスはフリーダムの
捕獲のためにオーブに行っていた。まあ、アスランはそのまま脱走したらしいけど、私はそんな事は
しない。そこで、シンを助けてコクピットから顔を見せる。無事を確認すると、颯爽と去って行く。
そして、ザフトのアカデミーでシンはジャスティスのパイロットの事を知り、そして再会……
「ルナマリア! ニヤニヤと妄想してる最中に悪いが、本部から要請が!」
「ほえ? なんです?」
シンの光源氏計画の作戦立案中に邪魔するなんて………
「連合兵がプラントに潜入! 新型MSを強奪し、ラクス嬢を人質にして逃走中とのこと! 
 この付近を通るから、何としてでも逃走を阻めとのことだ!」
………え? それってヤマト司令じゃ? ついに計画発動の時が来たの!?………あれ?
でも人質って?………何だろ?
「じゃあ、行きましょう。エターナルの進路をそっちに」
…………なんか分かんないけど……行って聞いてみよう。ラクスさまに。

第28話~~擦れ違う思い

じょ、冗談じゃ無い! レールガンの直撃を喰らった……この無茶な動きは間違いなく……
「やはり、ヤマト司令……」
例えヤマト司令でも、この当時なら負けないと思ってたけど、甘かったみたい。でも……
「吹っ飛べ……」
今は丁度真上に……ファトゥムを切り離して、ぶつけながら、その間にランチャーパックに換装。
「どうせ、避けるんだろうけど!」
連結させて、拡散ビームを発射。当たったら死んじゃうだろうけど、戦場に出た以上は、文句は
言わない言わせない。
「やはり、避けるか……でもね」
ファトゥムを操作して後ろから攻撃……さすがに殺すのは不味いし、機関砲にしておこう。
当たって動揺した隙に輸送艦に取り付こう。
「当たって!」
機関砲が直撃! 慌ててるみたい……そうでも無い? 変だな……いくら何でも強すぎる気が?
落ち着いて、観察しながら戦ってる感じだ。なんかヤマト司令の戦い方と違う気が……
だったら聞けば良い。ファトゥムを落してる隙に……輸送艦に接触。そのまま接触回線で通話を……
「ラクスさま、居ますか?」
「はい♪ おりますわ♪」
うん。目茶苦茶元気だ。心配はしてなかったけど正しかった。
「え~と、聞きたいんですが、フリーダムに乗ってるのって?」
「これ、他言無用ですけどキラですわ♪」
他言無用なことを教えてくれるってことは、この人の中で私は完全に自分の手足なんだろうな……
たしかに、世話になってたし、敵に回したく無いから、従順にしてたけど……脱走はしないからね。
……まあ、良いや。それにしてもヤマト司令って、昔は勢いに任せて落としまくる人じゃ無かったんだ。
「ところで、今回の行動は愛の逃避行ですか?」
「素敵ですわね♪ でも残念ながら違いますの。人命救助ですわ♪」
「はあ……」
相変わらず訳が分からない人だ。でも、深く考えたらいけない。この人との正しい付き合い方は、
"勢いに任せろ" それだけ。
「え~とですね。私は誘拐されたラクスさまを救えって命令を受けてるんですが、どうしましょ?」
「無視して下さいな♪」
うん。だと思った。何がしたいかは分からないし、聞く気も無いんだけど……
「わかりました……でも、このまま黙って帰ると怒られるんで、キラさんに言って、ジャスティスの
 両腕を叩き切ってもらえます?」
「はい♪ わかりましたわ。あ! それと今回の件、わたくしは潜入した連合の兵隊さんに強姦された
 上に誘拐された事になってますから、その辺は話を合わせて下さいね」
「はあ、つまりキラさんじゃ無く……え?……あ、あの……」
「どうかしましたか?」
「強姦されたって、言いましたが?」
「はい////とても激しかったですわ♪」
マジで!? あのヤマト司令が!? そんな大胆な!? 意外だわ……ちょっと羨ましい。
早く私もシンと……
「ルナ?」
「あ、ごめんなさい。え~と、じゃあ、ラクス様は無理矢理犯されて誘拐された。私は失敗して逃走を 
 許してしまった。で、良いんですね?」
「はい。本当に申し訳ありませんが……」
「気にしないで良いですよ。正直、本気でやりあって勝てるとも思えないし」
それにフリーダムがオーブに行ってくれないと計画が発動しない。
「ありがとうございます♪ じゃあ、キラに連絡を……あれ?」
「なんです?」
「新しい追っ手?……でもザフト軍じゃありませんわ」
「連合ですか?」
なんで、こんな場所に?
「いえ、違いますわ。一機はジンですが、もう1機は不明……海賊か傭兵みたいです」
傭兵?……ザフトが雇う理由は無い。まして、さっき誘拐されたばかりのラクス様を救助するなんて
仕事なんて、ありえない……だったら、多分海賊。
「ちょうど、良いです。私は正体不明の海賊が無茶な攻撃をして、ラクス様に危害を与えられては
 不味いと判断しました」
「あらあら♪ ナイスアイディアですわ♪」
「では、失礼します。良い旅を」
「はい。ありがとうございます♪」

あれ? ジャスティスが離れる………なんだ?
「ラクス、ジャスティスは?」
「ええ、海賊退治に行きましたわ」
海賊? あれか?……ジンと………M1!? あれってサーペントなんとかじゃ?
「あいつら、ただの海賊じゃ無い!」
直接はやり合った事は無いけど、噂には聞いた事がある。そいつが何故?
「キラ?」
ルナ1人で大丈夫か? 
「キラ、何を考えてるのか知りませんが、急がないと間に合いませんわ」
「わ、わかってるけど……ちょっとだけ!」
ジャスティスに乗ったルナなら大丈夫だとは思うが……でも、放ってはおけない!
バラエーナをジンとM1もどきに照準………
「この距離で当たるか?…………だが、当たらなくても!」
プラズマ収束砲が2機のMS目掛けて……チッ! ジンの足には当たったが、M1もどきは回避したか。
「ルナ、後は分かってるだろうな」
アイツなら無理はしないはず。すでに奴等が海賊なんかじゃ無いって気付いてるだろうし、足手まといを
作ったんだ。
後は俺達が逃げるまで、時間を稼いでくれれば良い。
「急いで、この宙域を離れます!」
今はアラスカのサイクロプスが起動する前に到着すること……それに、この艦にNジャマーが
ある以上は、下手に捨てる事も出来ない。
大気圏突入後は、オーブ領海に着水するように設定して、フリーダムだけで、アラスカに行かなくては
ならない。
「急がないと……」
歴史を変えるために! じゃあなルナ………幸せになれよ。

「お世話になりました」
ラミアス艦長に頭を下げる。私が乗船する船の前まで、アークエンジェルのクルーが見送りに来てくれた。
アークエンジェルは今、艦内待機の命令が出てるから、そう多くは無いけど、それでも嬉しかった。
「パナマに行っても……頑張ってね」
「はい」
ちょっと良い難そうだったな。私が自暴自棄になって無茶をしないか心配なんだろう。
「フレイ……」
ミリアリアが辛そうな表情で声をかける。
「ありがとう。大丈夫だから」
私は、彼女を抱きしめた。キラのことで私が薄情な奴だって誤解した事をずっと気に病んで……
「戦争が終ったら、オーブに行くから……」
「うん……待ってる」
包容をとくと、笑顔を見せる。そしてミリアリアも……大丈夫だ。私達は笑い合える。
「気をつけてくれよ。フレイ……」
「ありがとう……サイ」
サイも笑ってくれてる。でも、彼の場合は、はっきり言っておいた方が彼のためにも……
「サイ、私ね……」
「キラのこと、好きなんだろ?」
「え?……う、うん」
あれ? 考えてみればおかしい。ミリアリアの反応も、それにサイも……何故か私がキラのことを
好きだって気付いてる感じが……
「あの……もしかして、私がキラのことが好きだって、ばれてる?」
「……フレイ……貴女」
「逆に気付かれてないと思ってたのか?」
「それは、いくら何でも……」
うそ?………みんなに気付かれてた?
「う、嘘でしょ!? わ、私、自分で気付いたのも、この間のことなのに!」
認めたくない! だって、それって、何よ!
「嬢ちゃん、俺が散々からかってたろ?」
「だって、少佐みたいなスケベそうなオジサンって、若い男女を見れば誰にだってそんな態度を取るじゃ
 無いですか!」
「ス、スケベそうな……って、ちょっと待て!」
「当たってるわね」
「当たってます」
良かった。最後は笑顔でお別れすることが出来た………ちょっと、恥ずかしいけど。
「それでは、フレイ・アルスター、これより、パナマ基地、第13独立機動部隊に任官しに行きます」
こうして、私はパナマ行きの船に乗り込む。フラガ少佐やバジルール少佐より少し早い出立。
私には簡易量産機のストライクダガーでは無く、105ダガーが与えられる事になってる。多分、そ
の機体に慣れるために早く移動する事になったんだろう。
「バジルール少佐も、後から行くそうだから……身体に気をつけてね」
「ハイ!」

「お兄ちゃん、忘れ物とか無い?」
「大丈夫だよ。じゃあ、しばらく留守にするけど、ゴメンね」
「…うん…平気だよ」
「1週間はかからないから」
「うん。待ってる」
寂しそうな表情だけど、健気に見送ってくれるマユちゃん………本当にゴメンね。
シンがアラスカに行かなかった以上、かなり高い確率でサイクロプスは起動する。
この後は、戦力を失ったザフトが一方的に敗北する。そして、オーブは中立を保つのが難しくなる。
だからシン達を収容して、オーブの守りを固める。それが、マユちゃんを守る手段でもあるから・・・…
「じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい」
さあ、フリーダ…シンとアークエンジェルを迎えに行こう。

続く

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