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第41話〜決戦準備〜

Last-modified: 2013-04-23 (火) 00:07:31

今日は遅くなってしまった。バリーの化け物め……ん?
「誰だ?」
人の気配を感じ、声をかける。
「よく気付いたな」
2人組か……1人は色付きのメガネをかけた青年。もう1人は優男風。だが顔にキズのある。
まさか、コイツ等……
「で、傭兵がオーブに何の用だ?」
「俺達を知ってるのか?」
「聞いてるのはコッチだ」
「……なるほど、確かに厄介な男らしいな」
「で?」
「他意は無い。ただ興味があっただけだ。フリーダムを奪った男に」
「何の事かサッパリだ」
「警戒するな。いや、構わんか。ただ俺達はクライアントに全ての事情は聞いている。俺達の任務は
 ドレッドノートの見張りだったからな」
なるほどね。キラさんにドレッドノートの経緯を聞いてたから分かったが……じゃあ、クライアントは
シーゲルで、事の顛末は理解している。オーブに来たのもドレッドノート、正確にはNジャマー
キャンセラーをオーブがどうするか確認していたってことか。
「……そのクライアントに伝えておけ。娘のしつけくらい、ちゃんとしろとな」
「一応は伝えておくが……本人は傷付くだけだぞ」
「……やっぱり良い。俺も追い討ちをかける趣味は無い」
「助かる。家族の愚痴を聞くのはゴメンだ」
コイツも大変だったんだな……そう言えば
「ところで、ジャスティスのパイロットは?」
「負けたよ。甘く見たつもりは無かったが」
「違う! アイツは俺を盾にして…そうでなければ劾が負けるものか!」
「それでも負けだ。しかも本気を出したとも思えん。若いと聞いてたが、随分と老獪な戦いをしていた」
「それ、本人と会ったら言わない方が良い」
本当に若いなら、老獪とか言われても怒らないけど、本当は……
「何だ? 知り合いか?」
「いや。女だって聞いてるだけだ」
「……まあ、良いさ。それより、ついでに聞いておきたい。キラ・ヒビキとはお前の事で合ってるのか?」
「……隠してもしょうがないか。ああ。キラ・ヤマトはキラ・ヒビキでもある」
「そうか、だったら忠告だ。ユーラシア連邦がお前を狙ってる」
「ユーラシア?……何故、あそこが?」
「正確には、ユーラシア連邦が狙っていたようだが、お前がオーブに居ると聞いて命令を中止した。
 だが、そこの特務部隊のパイロットが命令に背き、個人的にお前を狙ってる」
ユーラシアのパイロット? 何故だ?
「じゃあ、伝えたぞ」
「待て、ソイツは警戒するほどの相手なのか?」
「俺も少し交戦したが、かなりの腕だったぞ」
サーペントテールのエースが褒める腕か……
「……ジャスティスのパイロットに比べたらどうだ?」
「……分からん。先程も言ったが、そもそも、ジャスティスのパイロットは本気を出したとは思えんし、
 そのユーラシアのパイロットも少しやり合っただけだ」
「状況は?」
「ああ。まずは……」
状況を聞いて呆れた。そいつ狂ってやがる。まあ正確な腕は不明か。ルナを基準に考えようにも、
元の世界のルナに比べると、身体が成長してない所為か、前に戦ったルナは少し弱かった。コイツも
ルナが本気を出してないとは言ってるが、コイツこそターゲットは俺だったし、ザフトの最重要機密の
ジャスティスを潰すわけにもいけないから本気は出せなかっただろう。つまり、お互い様子見。
「そうか……分かった。忠告は聞いておく。感謝するよ」
「ああ。それでは失礼する」
個人的な恨みか? まあ、どっちにしろ警戒しとくか……いや、普通なら、オーブで大人しく
しておくんだが、話を聞く限り随分とイカレた男らしい。下手すればオーブとユーラシアでもめる事に
成りかねない。
「さて、どうする?」

第41話~~決戦準備

「流石にスウェン達のチームは連携が取れてるな」
「でも、スティング達も頑張ってますよ」
3対3の模擬戦をやらせている。今はスウェン、ミューディー、シャムスのチーム対スティング、アウル、
ステラのチーム。
現状ではスウェン組が優勢。まあ、個人の平均ではスティング達が上だが、チーム戦だと隊の要の
パイロットの技量に大きく左右される。
つまり、スウェンに比べるとスティングは、まだ甘い。翻弄されぎみだった。
「それにしても、MSの編成が同じだと、パイロットの技量が分かりやすいな」
「そうですね」
MSはスウェンとスティングがエール装備のダガー。ミューディーとステラはロングダガー。
シャムスとアウルがバスターダガー。
実力はスウェンが抜き出ていて、スティング達が同格で続く。シャムスとミューディーは弱冠劣る。
「でも、これで連携の大切さが分かってくれるので、スウェンには感謝ですね」
「確かにな…お? アウルが追い詰められたな」
ステラがシャムスに足止めを喰らい、スウェンがスティングと対峙しながらアウルに牽制攻撃。
そして、ミューディーが一気に踏み込み、アウルに接近戦を挑む。
バスターダガーで、ロングダガーに接近戦を挑まれたら終わりかな。アウルも頑張って逃げてるけど……
「ん?」
アウル……ミューディーから逃げながらシャムスに近付いてる……
「あ? アウルがミューディーに背中を取られた」
「甘かったな」
「いや、スティングが」
スティングがミューディーに牽制射撃…でも、スウェンに背中を取られて……
「あれ?」
「避けた? 完全に背中を取られたと思ったが?」
「ですよね?」
死角からの必殺の一撃になると思ったけど、それをスティングが避けた。
「だが、アウルの奴、ああもシャムスに近付いて何を?」
「多分……やっぱり」
アウルはシャムスに近付くと、腕のビームサーベルを抜いて突進。普通なら支援機で突っ込む馬鹿は
居ない。でも、そこがシャムスに不意打ちになった。
「ほう…シャムスが落ちたか」
背中からアウルに斬りかかられ、ダメージを受けた所に、砲撃の雨から解放されたステラが猛進。
結局、対処しきれずアウルのビームサーベルで撃墜。
更に、そのままステラがミューディーに接近。しかもアウルの支援放火付き。これにはミューディーも
長くは持たずに撃墜。まあ、一騎打ちだったら、ステラの方が上だしね。
「驚いたな……」
「でも、殊勲はスティングですね。よく最後まで、あのスウェンを足止めしました」
「そのスウェンも、流石に1対3ではな」
「時間の問題ですね」
「おや? スウェンさんが押されてるんですか?」
「アズラエル理事?」
模擬戦を見ている私達のとこへ、アズラエルさんが顔を出す。
「こんにちは、アズラエルさん。ええ、ミューディーとシャムスが先にやられました」
「驚きですね。初めてじゃないですか?」
「ええ。スティング達は、スウェン達にまだ一度も勝った事がありません」
「若いだけあって、成長が早いですね。それとも指導者が良い所為ですか?」
「煽てたって何も出ませんよ。それより、今日は何の用です?」
「ええ、届け物です」
「届け物って、その手に持ってる?」
どう見てもケーキか何かの箱……
「まあ、このケーキと…」
「終わったな」
スウェンがステラのビームサーベルに片手を奪われ、続いてスティングのライフルの直撃を受けた。
「随分と粘ったわね。スウェンが流石なのか、スティング達がまだまだなのか」
「お厳しい評価ですね」
「だったら、アズラエルさんが褒めてやって下さい。それにステラは喜びますよ。お土産」

「フレイ!」
MSから降りてきたステラが抱きついてくる。
「勝ったよ♪ スウェン達に勝った♪」
「うん。良く頑張った」
頭を撫でてやってると、他のメンバーも集まってくる。
「さて、今日の敗因は?」
「アウルの馬鹿が支援のクセに突っ込んでくるから、不意を喰らっただけだ!」
「何で突っ込んだらいけないんだよ? ちゃんとサーベル付いてるじゃん」
「あれは接近された時、いざって時の防衛のためだろ!」
「止めなよ。見っとも無い。負けは負け。ただ同じ手は食わないよアウル」
ミューディーがアウルの頬を突付きながらシャムスを諌める。
「分かってるよ。今回のが奇策だってことくらいは」
それにアウルもナタルさんとミューディーの前では素直になる。年上フェチ?
「それより、今回はスティングの動きが良かった。それが一番の敗因だ」
「そうね。ところで、スティング。アンタ後ろからの攻撃、見えてたの?」
「え? 後ろからって、何だよ?」
「ほら、アウルがシャムスに突っ込んで、ミューディーに狙われた時、アンタがフォローしたでしょ。
 その時、スウェンが後ろから撃ったんだけど」
「それは俺も気になった。確実に背中を取ったし、仕留めたと思ったんだがな。あれで調子が狂った」
「そう言われてもな……そんな変な事した覚えはねえんだが…」
変ね。明らかに死角からの攻撃だったし、勘で避けたか予測したかと思ったんだけど……でも、それなら
意識しての行動だし、本人が気付いてないって事は無いはず。
「もしかすると、スティングさんには空間認識能力があるのかもしれませんね」
「空間認識って、フラガ少佐の?」
「ええ。強さに関しては個人差がありますが、話を聞く限りでは、死角なんて関係無しに全体が
 見えてるとしか思えませんね」
「そうか? 俺は普段、後ろなんか見えねえぞ」
「だったら、今度からは少し意識してみたら? これが出来れば凄い能力よ」
「マジかよ? だったらやってみる」
「うん。頑張りな」
「ところで、もう1チームの成績は?」
「何だよ」
「こっち見んな」
「ウゼェ」
「……戦績はスティングチームが2勝0敗、スウェンチームが1勝1敗です」
「ダメダメですねぇ」
「うっせえよ」
「それに1対1なら負けねえ!」
「だからダメだって言ってんのよ! この馬鹿どもぉ!!!」
「フ、フレイさん……」
「アンタ等が単なる実力不足なら、しょうがないわよ! でも実力はあるの! それが何で負けるのよ!」
「知るか」
「知りなさいよ! オルガ、アンタは何べん言ったら味方を撃たなくなるの!?」
「しょうがねえだろ。邪魔だし」
「死ね! 次にクロト、アンタは味方が砲撃してるのに突っ込むな!」
「良いじゃん別に、避けるから」
「当たったでしょうが! そしてシャニ、せっかくの防御力、味方を庇いなさいよ!」
「メンドクセー」
こ、こいつ等……
「あの、フレイさん、実は渡すものが…」
「そんなの後! アンタ等、言って分かんないなら、体に叩き込む」
「待て! そう怒んな」
「うっさい! さあ! MSに乗んなさい!」
「いや……だって、テメエ対艦刀でぶん殴るだろ? TP装甲でも衝撃は…」
「だからやってんのよ!」
「鬼だ……」
「……あの、ステラさん。フレイさんを呼んでくれます。これ、お土産のケーキです」
「うん♪……フレイ、ムルタが呼んでる」
「え?………何ですか?」
「……ステラさんの言う事なら聞くんですね……まあ、良いです。実はみなさんのMSが用意出来ました。
 持って来てるんで、見てもらえます?」
「本当ですか?」

アズラエルさんが乗ってきた輸送機の中にはMSが詰めてあった。
「まず、スティングさんとステラさんはダガーです。ただ、かなり内部を弄ってますので、GAT-X
 シリーズに匹敵する性能ですね。それにステラさんの希望通り、フレイさんと同じストライカーパック
 を用意してます」
「うん♪ 一緒」
「アンタ、使えるの?」
「だいじょうぶ♪」
「う~ん、まあ、エールに対艦刀持たせたと思えば良いか」
「そして、アウルさんにはバスターダガー。これも内部を強化済みです。先程のような接近戦にも
 対応しやすくなってます」
「良いんじゃない」
「そして、スウェンさんにはストライク、シャムスさんにバスター、ミューディーさんにデュエル」
……ストライクか…スウェンが乗るんだ。
「え? 普通のバスターだと接近戦が出来ないし、俺はバスターダガーの方が良いかな」
「アンタ、なにアウルと張り合ってんのよ。根に持ってんの?」
「そうじゃねえが、俺が砲撃しか脳が無いと思われるのはシャクだ」
「ですが、今回の区分けには攻撃面より防御面を考慮してフレイさんに依頼されたんですよ」
「どう言うことだ?」
「うん。現状ではザフトの主力は、まだジンとバクゥがメインでしょ? だったら、ラミネート装甲の
 ダガーより、PS装甲が良いのよ。
 でも、ゲイツが出てきたらPS装甲よりラミネート装甲のダガーの方が優位になる」
「じゃあ、俺たちがジンやバクゥを、スティング達がゲイツを相手するってことか?」
「出来ればそうしたいと思ってる。まあ、戦場で好きな相手とだけやれる保障は無いからね」
「まあ、そうだな」
「で、私のは?」
「ええ。これです」
こ、これって……
「要らない」
何で、よりにもよってイージスなんか持ってくるの!
「なに言ってんですか!?」
「これ嫌い」
イージスなんか乗りたく無い。これって、あの変態が乗ってた奴だし、それにキラを……
「で、ですが、元のイージスとは随分違うんですよ」
「何処が?」
「サイドアーマーを見てください」
「ん?……何かスカートみたい」
大きくなってる。それに形もなんか変わってて、後ろに向いてないで、真下に広がりながら
スラスターが展開してる……
「ねえ、フレイ、何か随分と子供みたいな口調になってない?」
「ああ。そうだな」
……ヤバイ。イージスを見て、アスランと一晩明かした思い出が……再び幼児退行してしまった。
気を取り直して……
「アズラエルさん、あのサイドアーマーは、どんな意味が?」
「………コホン、まあ、元々イージスのサイドアーマーは大型スラスターを兼ねてましたから、
 それの強化したものです。それと、言い忘れてましたが、これの改造はキャリーさんの提案です」
「キャリー少尉が?」
「今は大尉ですよ。フレイさんの目論見通り、第13独立機動部隊の生き残りは、今や大西洋連邦の
 中核です。そして、キャリー大尉は、その中核。何時までも少尉にしておけなくなったんですよ。
 まあ、実際にあの方は、本来なら、疾うに少佐くらいにはしとかないと不味かったので。
 それにキャリーさんを高い地位にした方が、彼と話すときに名分が立ちますからね」
「つまり、コーディネイターと親しくしても、相手が上官だからって、言い訳出来ると?」
「はい。それでフレイさんにどんなMSが良いか相談したら、こうなりました」
「基本設定をキャリー大尉が?」
「まあ、そうですね。機動力のアップと武装の充実。これが好きだと聞きましたが?」
「……せ、正解です」
何か趣味を知られたみたいで恥ずかしい……
「それで、機動力アップにサイドアーマーの大型化。普段はスカートみたいですが、結構動きますよ。
 それに背中にも可動式のスラスターを追加してます。実質、これ以上の機動性を持つ機体は、今は
 連合にはありません」
「エールよりも上なんですか?」
「比較になりませんね。お陰でエネルギーを喰いすぎるってことで、TP装甲に変更してます」
「あ、そう言えば最初から赤いや」
「それで、武装なんですが、シュベルトゲベールはグリップエンドからビームが出る設計ですが、
 特別に剣先の方にも発射口を付けてます」
「あの、峰の方にある穴ですか?」
「はい。それで刺突の際にも銃口からビームを出すことで、銃口を守れるようになってます」
「じゃあ、ビームライフルに持ち代える必要が無くなったんですね?」
「そうですね。これだけで、充分ビームライフルの代わりが務まります。他に、パンツァーアイゼンの
 ロケットアンカーにはレイダーのクローと同じものを使ってますから、掴むだけで無く、プラズマ砲
 も使えますし、サーベルにもなります」
「おお~」
あれ欲しかったんだ♪ なんか面白そうだったし……
「パンツァーアイゼン事態も大きくなってますが、対艦刀を振り回すのに邪魔になるサイズでは無いので
 左右に付けてます。あとはサイドアーマーにマイダスメッサーを1本ずつ。どうです?」
「好みの武装です♪」
どうせ速さや正確性では、私はコーディネイターのトップクラスには及ばない。だから、こういった
武装が充実してると助かる。
よし、早速、試してみよう。
「オルガ、訓練を…………あれ? オルガ達は?」
そう言えば、さっきから姿を見かけない。
「あいつ等なら、ここに来る前に逃げたぞ」
「フレイ♪ ケーキ貰った。食べよ♪」
「ステラに俺達の分も食って良いから、フレイを引き付けろって言ってたな」
「フレイ♪ ケーキ♪」
ア、アイツ等……何でこんな時だけ、気があってんのよ!
「フレイ……ケーキ」
「わ、分かった。食べよう」
そんな泣きそうな目で見られたら……オルガ、クロト、シャニ……後でシメル。

続く

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