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鬼ジュール_オムニバス-13

Last-modified: 2007-11-11 (日) 21:19:29

「シンの彼女ってどんな人?」
「俺彼女居ないよ」
「嘘ばっかりー。居るじゃない。端末に大事に画像取ってる人が」
「うわっ。ルナ何勝手に人の端末弄ってるんだよ!」

シンは案外不精なところがある。
特に端末の中の整理は苦手な部類に入る。
片付けたという実感があまり持てないものに関しては結構どうでもいいのだ。
しかし、たった一つだけ大事に整理されたフォルダがあり、その中に入っているのはミーアと一緒に写っている写真ばかりだ。
偶然見つけたらしいルナマリアの言葉にシンは深く眉を寄せたが、だからといって文句を言っても仕方がない。
ミーアの写真は以前ルナマリアやレイには見せた事があるのだし、今更煩く言っても仕方ない。

よくよく考えればルナマリアとミーアは同じ年であったと思い出し、ルナマリアに視線を遣ってから深く溜息を吐いた。

「ルナと同じ年齢なんだけど、あいつもさ、ルナ位しっかりしてたら俺も心配しなくてもいいのにな」

少し重症のようにも思える溜息の深さにルナマリアはそれ以上聞けずにシンと同室であるレイに視線を向けた。

「そんなにシンの彼女って問題ある人?」
「魅力的で可愛い人だったがな」

レイの評価にルナマリアは目を見開く。
外見を見る限りでは到底可愛いとは思えない。
シンとレイの美的感覚がおかしいのだろうかとさえ思った。
女という生き物は産まれた時から女であり、知らない女と対面した時にはまず自分と相手の外見の優劣を決める。
その時点でのルナマリアのミーアに対する評価は「可哀想に」であり「あたしの方が断然勝ちかな」である。
なのに目の前の男二人はルナマリアに対して高い評価の言葉など一度も言った事はないのに、シンは異様にミーアを心配するし(彼女であれば当然だろうが)、レイも「可愛い」と評価する。
シンの彼女がどんな女の子であろうが構わないが、これは正直気持ちの良い物では無かった。

「あ~っら。そんなにシンの彼女って間の抜けた人な訳?」

嫌味の一つでも言いたくなる。
しかし、ルナマリアの嫌味をそのまま受け取ったシンは、心底心配だとばかりに溜息を吐いた。

「間が抜けてるな。というか、やっぱり危機感が無いんだよな。少しは男に対して警戒心なり持ってればいいのにそんなもんは欠片もないし、自分がどれだけ可愛いのかとかも丸っきり自覚無しだし、
ちょっとスタイル強調した服着た時に色んな男に見られてるのとか全然気付いてないし、店に来る男の何割かはミーア(の歌)目当てだっていうのだって、俺だって知ってるのに当の本人はお世辞だと思って信じてないし、
護身術だって少しは教えておいてやろうと思ってこっちは親切で、心配で言ってるっていうのに本人だけ自分を狙う変質者なんていないって信じてるし、俺がこれまでミーアと一緒に住んでて
どれだけ理性と戦ってたのかなんてまるで気付いてなくて大胆な事するし、俺が居ない間にミーアに何かあったらどうしようとか毎日毎日心配してるこっちの身にもなれって言うのにこれまで何も無かったら大丈夫とか言うし!
これまで大丈夫なのはミーアの運が良かったってだけで、これからもその運が続くとは限らないんだぞ!?それなのに平気で色んな人間に『最近また胸が大きくなっっちゃった』とか言って回るし!
自分から襲われるような事言ってどうするって言うんだよ!襲われたいのか!?それはそれで俺を誘ってたとでも言うのかよ!だったら俺がって思っても!!・・・っ痛っ・・・。何だよルナ!」

「知らないっ。シンの馬鹿」

次第に熱くなって行くシンの様子に馬鹿馬鹿しいとすら思ったルナマリアはジュースの空の容器をシンに投げつけた。
シンはその容器が頭に当たった事で漸く言葉を止めると、ルナマリアは不機嫌そうにシンを睨み付けた後踵を返して早急にその場から立ち去った。
心なしか肩が怒っている。
シンは何かあったのだろうかとレイに視線を移したが、レイの視点から見てもミーアを心配するシンの言葉の最中、ルナマリアに何かあったとは見えなかったので首を傾げる。

「さぁ。・・・話が長かったからじゃないのか?」
「何だよ、自分から話振っといて」

落ちた容器を拾い上げながらシンは頬を膨らませ、女心のわからない二人はルナマリアの背中をただ見送り、一気にミーアに対する不安や不満を吐き出した事で心配になったシンは、今夜ミーアに通信を入れるようにしようと心に決めるのだった。

<終>

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