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00-W_不定期氏_05

Last-modified: 2008-12-01 (月) 18:46:56
 

 山里の春は少し遅れてやってくる。

 

「爺さんや、お茶がはいりましたよ」
「おお、婆さん。気が利くねえ」

 

 縁側に座布団を置き、湯飲み茶碗に注がれた番茶と煎餅、あられをお供に春まだ浅い山里の陽がやさしく降り注ぐ中、老夫婦は縁側でのんびりと、花が咲き始めた庭の植物に目をやった。
 遠くで鳥たちの鳴き声。

 

「春ですな。爺さん」
「そうですな。婆さん」

 

 ずずずずーーーーーー。
 番茶をすする縁側の老夫婦、ほのぼのとする一服の光景である。

 

「ところで、爺さん、3軒となりの権助さんところの休耕田で不発弾が見つかったそうじゃの」
「ほう、まだそんな物騒なものがあったのかね、婆さん」
「今度高速鉄道の用地に引っかかって、基礎工事のボーリングはじめたら、地中からごっそり発見されたそうじゃ」
「昔の話じゃが、誤って爆弾を落としたものがあったとは噂にきいてたが。こんな山里にも戦争の爪痕があったんじゃな・・・」

 

 そんな話をしていると、役場の広報車が知らせにまわっていた。

 

『こちらは、○○町役場広報車です。一昨日高速鉄道工事現場におきまして不発弾が多数発見されました。爆発物処理班が本日処理作業を行います。半径1キロ以内には処理作業終了までちかづかないでください』
「ほう。こんな山里までごくろうさんじゃのう。して処理はだれがやってくれるんかのう」
「なんでも、世界統合政府の方から派遣されてくる《プリベンター》って昔ガンダムパイロットやってた少年たちの集団と監督役の女の子と訳のわからん変な男3人の集団だそうで」
「ふーーん。ずいぶん変わった集団じゃのう」

 

 そんなこんなで茶飲み話をしていると、作業用MSとプリベンターの面々を載せたトラックがゆっくり通りすぎっていった。

 

「ほう、かわいい子らじゃわ。こんな少年たちが宇宙で戦闘しとったとは」
「美少年や美少女には目が早いな。婆さん」

 

          *          *          *

 

 作業現場での作業も終わり、お日様も西へ傾きかけたころ、プリペンターの面々はトラックに分乗して、あの老夫婦の庭先の道路を帰ってきた。

 

「ほんにえらい子らじゃのう。わが身を世界のために献身する作業をやってくれているとは。ところで、あそこの大人はなんといったかのう」
「なんか、パトラッシュとか、パトレイバー=コーラサワーとかいっったんじゃないですか。あの目のきつい男は」

 

 そんなことを話していると、一台のトラックが止まり、一人の男が猛然と茶の間の老夫婦のところに飛び込んできた。

 

 「俺は、犬や警察のロボットの名前じゃねえ。 俺は! スペシャルで! 二千回で! 模擬戦無敵の! パトリック=コーラサワーだ!!」
「はあ、あんたが頭がパンパカパーンでどんなに墜落しても生き残ってくるので有名なお人かね」
「誰が、頭の中で漫画トリオのネタをやるんだ!! パトリック!! パトリック=コーラサワー!! それにおれは墜落なんかしてねえぞ!!」
 「あ、悪かった。あれは墜落じゃなかったの。撃墜じゃったの。それにしても、よく体持つのう、感心感心」

 

 悪気があるのかないのか、癇に障るるようなことをいわれて、コーラサワーの顔は赤いのを通り越して、紫色になっている。

 

「てめえ・・・!! 俺の癇に障るようなことをいいやがって、勝負だ!!」

 

 嘗てはエースとよばれた男とはとても思えない言葉を放つコーラさん。
 チンピラじゃあるまいし。

 

「ほう、貴様がわしと勝負と・・・な?」

 

 爺様の目の奥が不気味な光を放った。

 

「ひっ!!」

 

 その鋭い眼光に思わずたじろぐコーラさん。

 

「年寄りじゃと甘く見ているようじゃな・・・・お前はわしを怒らせた!!」

 

 もはや爺様の顔は、北斗○拳を放つときのケ○シ○ウのようになっている。
 そして、コーラサワーを片手で持ち上げ、首を締め上げた。

 

「ぼ、暴力反対!!」

 

 コーラさん、さっきまでの勢いはどこへやらすっかりびびりあがっている。

 

「成敗を受けよ!!!!!」

 

 爺様はコーラを上へ放り投げると、驚くような速さで拳を放った。

 

「はあああああああ……ギャラクティカ・マグナム!!!!!!

 

 カル○ス=ゴーン、じゃなかったドッゴーン!!!!!とすさまじい音とともに、哀れコーラサワーの体はお空の遠くにきれいな煙を残して、空中へと消えていった。

 

          *          *          *

 

「あ、あれは?」
「また、あいつか……今度は何をやらかしたんだ?」
「なんか、ど○く=まんさんが描く人間の飛び方ですね」

 

 なかなかコーラサワーがこないので戻ってきたプリベンターの面々は、彼のきれいな飛び方を見て、頭を抱えて溜息をついた。

 

「爺さん、久しぶりにヒットしましたな」
「やあ、まだまだ体は若いですぞ婆さんや。ははは」

 

 お互いハイタッチしていると、サリィ=ポォとプリベンターの5人の少年が入ってきた。

 

「あの……申し訳ございません。うちの者が大変な粗相をしたようで……」
「いや、なになに、謝られることはありませんぞ。少し、この老いぼれと遊んでもらったのじゃから。久々にいい運動になりましたわい。それにしても今日はご苦労様じゃったのう。これで安心してこの山里に住めますわい。どうですかな?彼が帰ってくるまで、お茶菓子でも」
「はあ……そうですね。ありがたく頂戴いたします」

 

 サリィと5人はお茶菓子と番茶をいただき疲れを癒していた。
 さて、我等がコーラサワーさんどこまで飛んでいったのか、その日の夕方の天気予報で気象衛星《ひ○わり》にきっちりととらえられてたそうです。
 ああ、哀れなり(笑)、そして、彼の超人的な体の造りに感謝しましょう。

 
 

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