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00-W_土曜日氏_36

Last-modified: 2008-10-12 (日) 17:52:49
 

「よう! お前らよろしくやってるかあ!」

 
 

 パトリック=コーラサワーは元気だった。
 普段から暗い部分は見せない、いや見えない男であるが、今日に限っては底抜けに明るく見える。

 

「よろしくも何も、お前遅刻だ」
「お? そうかそうか、ちょっと準備に手間取っちまってな」
「準備って何だよ」

 

 コーラサワーと会話をするのがすっかりプリベンター内での役割になってしまったデュオが探りを入れる。
 漫才でも何でも、コーラサワーと意思の疎通が出来るという優秀な技能持ちなので仕方ないところではある。

 

「いやあ、実は今日、愛しの人に会いにいくんだよ」
「愛しい人? どこの誰で通算何人目のだ?」
「通算とか言うな! 大佐はなあ、大佐はなあ……美人で理知的でちょっと厳しいけど凄くいい人なんだぞ!」
「大佐?」

 

 ハテナマークを頭の上に浮かびあがらせるデュオだが、これは無理もない。
 『大佐』ことカティ=マネキンの存在をプリベンターで知っているのは、リーダーのレディ=アンくらいのものだからだ。
 頭脳明晰、後方前線合わせて見事な功績を上げ、女ながら三十代前半でAEU軍の大佐にまで上り詰めた才女であり、OZが引き抜こうと思ったことも二度や三度ではない一流の軍人だった。
 今は軍を退役して、一市民として母国フィンランドで暮らしている。

 

「花束なんぞ持って、さらにキチンとAEUの軍服まで着てるのはそのせいか……しかし、女癖悪いな」

 

 ちなみに、いつものコーラサワーはAEUの新橋色パイロットスーツである。
 本人曰く、慣れると普通の服を着るのが面倒臭くなるくらいに着心地がいいらしい。

 

「ふっふっふ、愛した女は数多けれど、心の伴侶は大佐一人だけだぜ」
「お前、絶対いつか刺されるぞ」
「大佐への愛がある以上、どんな困難もちゃらへっちゃらだ!」

 

 身勝手な理屈を述べるコーラサワーだが、ここで以外な援軍が横からやってきた。
 乙女座センチメンタリストのグラハム=エーカーさんである。

 

「その気持ち、わかるぞ」
「お? 何だよナルハム野郎」
「私も抱きしめたいぐらいにガンダムを眠り姫で縁結びの神様を凌駕するくらいゾッコンだ!」
「おう! ぜんっぜん何言ってるかわからんが俺の意見に賛同してくれていることだけはわかった!」

 

 ガッシと握手を交わす変態一号と変態二号。
 デュオを筆頭に皆一様に溜め息を吐きつつ頭を左右に振るが、もちのロンで二人がそんな空気に気づくはずもなく。

 

「有休申請書、後で出すから! それじゃ行ってくる!」

 

 シュタ、と手を上げて意気込みを見せるコーラサワー。
 だが、いざ出陣というまさにその時。

 

「ちょっと待って」
「んあ?」

 

 コーラサワーを呼びとめたのは、プリベンターの現場指揮官であるサリィ=ポォだった。
 右手に、カード型の通信機を持っている。
 この通信機は所謂現在の携帯電話がもの凄く進化したものと思ってもらって差し支えない。
 イ○テルは入ってないけど。

 

「今、シーリンから連絡があったわ」

 

 シーリンとは、レディ=アンの秘書的な働きをしているシーリン=バフティヤールのこと。
 スタイルはなかなかのものながら、キツネ目で眼鏡で皮肉屋というなかなかキッツイねーちゃん(注:27歳)である。

 

「誘拐事件発生、プリベンター出動よ」
「そんなぁ!? てか、誘拐事件で何でプリベンターなんだよ! そんなのポリの仕事じゃねーか!」

 

 グズるコーラさんだが、サリィは無視して話を続行。
 だんだん彼女もコーラサワーの扱いに慣れてきた感がある。

 

「誘拐されたのは絹江=クロスロード、ジャーナリスト。誘拐したのはPMCトラスト」
「PMCトラストというと……OZにも協力していた民間の軍事会社の共闘組織じゃないですか」

 

 カトルの言葉に、サリィは頷いた。
 そして、全員を見回すと、ハッキリとした口調で告げた。

 

「そこが絹江=クロスロードの身の安全と引き換えに、交渉を要求してきたわ。……プリベンターにね」

 

 本部の空気が一挙に緊張したものに変わった。
 ただ一人、コーラサワーの周囲だけぞ除いて。

 

          *          *          *

 

「ふっふっふ、ふが三つに小さいつが二つでふっふっふ」

 
 

 場所は変わって港にある寂れた資材保管用の倉庫。
 そこに、一組の男女がいた。
 男は野獣のような雰囲気を漂わせた三十過ぎの人物で、スーツ姿ながらお天道様の下で光を浴びて生きてきたようには見えない異質な存在感を持っていた。
 女は二十歳そこそこ、細見で気の強そうな印象の目鼻立ちをしているが、ロープでぐるぐる巻きにされて床に転がされている。

 

「ちょっと! 私をどうするつもりなの!?」
「なあに、奴らをここにおびき寄せるエサになってもらおうと思ってね」
「エサ?」
「アンタ、この前プリベンターのレディ=アンにインタビューをしたな?」
「えっ!?」

 

 女は驚いた。
 まったくの事実を言い当てられたからだ。

 

「あ、あなた何者なの? どうしてそのことを知っているの?」
「せっかちなお嬢さんだな、そうだな……まだ時間があることだし、話してやってもいいか。ただし、ひとつづつな」

 

 悪役の典型的行動を見せる男。
 まったくもって、時代劇でも映画でも悪役程よく喋るものである。

 

「俺の名前はゲイリー=ビアッジ。ま、本名じゃないが普通はそれで通ってる」
「ゲイリー=ビアッジ……?」
「ほう、知ってるか?」
「た、確かPMCトラストの……!」
「さすがはジャーナリストを自認してるだけはあるな。その通り、PMCの一員だよ」

 

 ネクタイとシャツの一番上のボタンを外すと、男は首をコキコキと鳴らしてほぐした。
 彼にとって、スーツは所謂戦闘服ではないらしい。

 

「今じゃ商売あがったりなPMCの、な」
「そ、それでどうして私を?」
「なあに、アンタを選んだのには特に大きな理由はない」

 

 ここで男は顔をしかめた。
 ポケットの中からタバコを取り出したのだが、箱の中身が空になっていたからだ。
 舌打ちをひとつすると、箱を投げ捨てる。

 

「プリベンター関係者をさらうより簡単だからな。特に正義感の強いジャーナリストなんぞ、赤子の掌を捻るようなもんだ」

 

 言葉の端々から、過去の悪行がにじみ出るような感じの男。
 実際、彼はPMCで様々な、人に言えないような仕事をこなしてきている。
 凄腕なのだ。

 

「まったく無関係な者じゃあプリベンターも表には出てきてくれないしな。ま、そういうこった」
「わ、私をどうする……?」
「そうだな、スマキにして海にドボンとか?」

 

 ひっ、と低く女は呻いた。
 彼女も立場上覚悟を持って取材をしてきたのだが、さすがに目の前に命の危機が迫っていると、それも脆い。

 

「ふっ、冗談だ。連中が交渉に乗ってくれるまでは拘束以上のことはせんさ」

 

 つまり、その後はどうなるかわからない、ということである。

 

「ま、そういうことでおとなしくしててもらおうか? 突撃好きな絹江=クロスロードさんよ?」

 

 ニヤリと男……ゲイリー=ビアッジは笑った。
 その肉食獣めいた表情を、絹江は正視出来なかった。
 恐怖を覚えて。

 
 

「……そろそろ時間だ。っと、やって来たようだな。さすがは世界の溝さらい、時間に正確ってか?」

 

 ゲイリーは絹江から離れると、大型の照明をオンにするためにスイッチへと歩みよった。
 悪役の典型的行動その2、とかく演出に凝ると言うか、舞台を作るのが大好き

 

「さぁて、誰か一人をよこせと言ったよな? 誰だ? ガンダムパイロットか? それともリーダーのプリベンター・ゴールドか?」

 

 光の先、浮かび上がった姿は。

 
 

「はーっはっはっはあ! スペシャルな俺、パトリック=コーラサワー! 剣山! じゃねえや、見参!」

 
 

 ……ゲイリーは固まった。
 石像のように――

 
 

「おらぁてめぇか! 俺と大佐のデートを潰してくさった極悪人はあああ!」
「な、なん、何だお前は!」

 

 仰天のゲイリー。
 そりゃそうであろう。
 プリベンターを呼んどいて、誰が新橋色の軍服を着た長髪の男がやってくると思うものか。

 

「あああん? 人質とって呼びつけておいて、お前何だとは何だ! お前こそ何だ!」
「お、俺はPMCトラストのゲイリー=ビアッジだ! お前はいったい」
「……こいつは知っている。アリー=アル=サーシェス、PMCの前にKPSという組織で色々とやってきている男だ」
「トロワ、知っているのか?」
「俺も裏の稼業が長かったからな、ヒイロ」
「って、一人じゃねーのかよっ!」

 

 コーラサワーの後ろからぞろぞろと現れるガンダムパイロット&サリィ&グラハム&アラスカ野。
 あっさり本名までバラされて、ゲイリーことアリー一気に立場逆転。

 

「お前ら、一人で来いって言っただろうが!」
「ああ、だから最初はコーラサワー一人で行かせた」
「で、後から俺たちが入ってきたって寸法さ」
「うわ、お前ら屁理屈好きな一休さんか!」
「何とでも言え、別に要求には『なお、時間差で多人数やってきてはいけません』なんて注意書きなかったろ」
「理屈と膏薬はこういう時に使うもんですね」

 

 しゃあしゃあとアリーを論破するガンダムパイロットたち。
 アリーの名誉のために言っておけば、彼が悪いのではない。
 これはガンダムパイロットがこましゃくれているのだ。

 

「さあて、ここに至っては多勢に無勢だ。彼女を解放して投降しろ、アリー=アル=サーシェス」
「そうだそうだ! 今なら俺がまだデートに間に合う!」
「今ならの後に続く言葉が間違ってると思うが?」
「うっせーよナルハム野郎! あ、こら笑うなアラスカ野!」
「何なんだお前らあああ!」

 

 アリー、顔真っ赤。
 先ほどまで絹江を脅迫していた人間と同じとはとても思えない豹変ぶり。
 裏の道で名を馳せた彼にして、さすがにこれは相手が悪かったというべきであろうか。
 何せガンダムパイロットに変態が三人揃っている。
 こんなもん、アムロ=レイでもキラ=ヤマトでも勝てはしない。
 東方不敗なら違うかもしれないが。

 

「観念しなさい、もう逃げ場はないわ! 要求とやらがあるなら牢屋でじっくり聞いてあげます!」

 

 サリィの言葉とともに、ジリッとメンバーがアリーに近づく。
 思わず後ずさるアリーだったが、ポケットから何かを取り出すと、絹江に突きつけて叫ぶ。

 

「こ、これ以上近寄るようならコイツをこの女の鼻にくっつけるぞ!」
「……何の真似、それ」
「これはなあ、俺の靴下だ! 先週ずっとはきっぱなしで、洗濯もしてねぇ!」

 

 確かにそれは靴下だった。
 カカトと爪先の部分が黒ずんでおり、それ以外も少し茶ばんでいる。

 

「むっ、成るほどあれは危険だ」
「わかるのか? ナルハム野郎」
「彼の言うことに偽りなないようだ。まさに臭気の集大成、汚れた靴下の大吟醸と言ったところだ」
マンカインドかよあいつ」

 

 呆れるプリベンターの面々だが、確かにこれでは身動きがとれない。
 強烈な臭気を持つその靴下を鼻先に寄せられたら、下手をすれば絹江の意識どころか記憶まで飛んでしまいかねない。

 

「よぉし、そのままでいろよ。それと銃器があるなら床に捨てろ! 早くしやがれ!」

 

 なんかすっかり小物の悪党と化しているアリーだが、あっちの世界ではボスクラスでもこっちのギャグな世界じゃこんなもんである。
 繰り返すが彼が悪いのではない。
 ガンダムパイロットとコーラサワーが規格外なのだ、ここじゃ。

 

「よし、武器を捨てる。だからお前も彼女に危害を加えるな」

 

 そう言うと、五飛はまず拳銃を捨てた。
 次に青龍刀、手裏剣、ヌンチャク、トンファー、かんざし、三味線の糸……と足元に置いておく。
 どこにそんなもんが入ってたかは謎である。

 

「よし、そこにじっとしてろ……来い!」
「キャッ!」

 

 アリーは絹江を抱えると、背後のガレージのシャッターを開けた。

 

「おらあ! 出て来いアグリッサ!」
「! 何と!」

 

 シャッターの向こうからその大きな姿を現したのは、モビルアーマーだった。

 

「バカな!? 統合政府が出来てからは全ての戦闘用MSは廃棄されたはず!」
「へっへーん! お前らだって残り物を壊してまわってんだろ? それにこれはMAだ! MSじゃねえ!」
「俺達に屁理屈とか言っておきながら、お前も屁理屈かよ!」
「うるせぇ! 目には目を、庭にはニワトリだ!」

 

 絹江を抱きかかえたまま、アグリッサに飛び乗るアリー。
 ライトアップされたアグリッサの姿は、ゴツくてなかなか壮観である。
 実に悪役にふさわしいと言えるだろう。

 

「ここで必殺の電磁フィールドをお見舞いしてやろうか! ええ!」
「アホか! こんな狭いところで使ったらお前もただじゃすまないぞ!」
「はははは! 大丈夫だ! 改修で出力が弱められているから、肩こりや腰痛にちょうどいいシビレ具合だ!」
「それじゃ俺らにとっていいことじゃねーか」

 

 デュオ、もはやテンションだだ下がり。
 どうしてこうバカな奴しかいないのか、と言いたげな顔になっている。

 

「へっ、お前らが出しゃばってくれるおかげで戦争屋の俺としちゃあ商売がやりにくくてしょうがねえんだよ!」
「何か勝手に話し始めたぞ、アイツ」
「悪人は高いところに上がると演説したくなるんですよ」
「ちょっとほっておいて、要求とかも含めてアイツの言い分聞くか」

 

 なんかめっちゃ舐められてるアリーだが、コーラさんと似た理由でアリーもまた気づかない。
 得な性分なのかそれとも損なのか、はたして。

 

「MSがなきゃあよ、ドンパチ出来ねえだろ? だからお前らを呼び出そうと思ったのさ!」
「何故だ? やつ当たりか?」
「へっ、サーペントやリーオーの設計図は全て破棄されて新たなMSは作れねえ。だったらよ、いっそガンダムを作っちまおうと思ってなぁ!」
「……そうか、それで僕たちを?」
「そういうこった! お前らの頭の中にあるガンダムの全て! このねーちゃんの命と引き換えに全部教えてもらおうか!」

 

 凄むアリー。
 ここらあたりは、さすが悪役の面目躍如といった感じがする。
 しかし、しつこく言うようだが、相手はガンダムパイロットに変態である。
 上がる土俵が間違っているのだ。
 ハナから勝てるわけがない。

 

「おい、アラスカ野」
「……五飛、お前まで俺のことをそう呼ばないでくれないか」
「ちょっとこっちへ来い」
「へ?」
「行ってこい」
「へ、な、ちょ、おわああああああああああああああああああ!!!」

 

 五飛必殺、人間魚雷発動。
 ジョシュアの襟首を掴むと見事なフォームでアグリッサの上に乗っているアリー目がけて投擲。

 

「のわあああああああああああああああああああ」
「おわ!? 何だ! おま、正気かこら!」

 

 見事、アリーと絹江の間にジョシュアはストライク。
 驚きと衝撃に、アリーは思わず絹江を抱える手を離してしまう。

 

「よし、次だ」
「次弾は確保してある。心おきなくいけ、五飛」
「すまんな、トロワ」
「おわああ、こらあ前髪野郎離せ! なっ、五飛やめろ! 俺はこの前やっただろ! ナルハム野郎にしろ!」
「嫌だ。お前にする」
「何で! 俺は、俺は大佐とスペシャルなデートを! 模擬戦じゃないデート!」
「黙れ、舌を噛むぞ」
「だーかーらー! 何でおれええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

 

 再度、人間魚雷発射。
 きり揉みしながらアリー目がけてコーラさん、一直線。

 

「えええええええええええええああああああああああああ!!!!!」
「二人目だとぉ!? ふざけてやが、ほぐわああああああ!!!」

 

 さすがは五飛、拳法の達人。
 寸分の違いもなく、アリーにコーラ弾ヒット。

 

「……何でお前か、だと?」

 

 パンパン、と服の埃を払うと、ニヤリと笑って五飛は呟いた。

 

「投げやすいからだ、お前が」

 

 その言葉をコーラサワーは聞いていなかった。
 いや、聞けなかった。
 脳天をしこたまアグリッサのボディにぶつけて目を回していたので。

 
 

「ふんぐわああああっ、ところがあ、ぎっちょぉぉぉん!」
「! 何だと!」

 

 二つも人間ミサイルを食らい、昏倒していたはずのアリーが突如復帰。
 これには手ごたえを感じていた五飛も驚いた。

 

「奴め、コーラサワー以上に頑丈だと言うのか!」
「いや、違うな」

 

 身構えるガンダムパイロットの横で、一人冷静に事態を分析するグラハム。
 冷静に、と言ってもあくまでグラハム流なのでよろしく。

 

「鍵はあの靴下だ」
「靴下!?」
「そうだ。二度目の人間魚雷を受けて確かに奴は気絶しただろう。だがその時だぞガンダム!」
「ガンダムはいいから」
「うむ、そして偶然にも手にしていた靴下が自分の鼻に触れたのだ!」
「そうか、それが気つけ薬の代わりになって!」
「滅茶苦茶だな」

 

 ヒイロがボヤくが、実際そうでもない。
 これ以上のご都合展開なぞハリウッド映画を漁ればそれこそ百は出てくる。

 

「てえええい!」

 

 アリー、コーラサワーとジョシュアを蹴り落とすと、コクピットへ。
 絹江も同時に転げ落ちたが、これは五飛がすかさず受け止める。

 

「くそっ覚えてやがれ、次は必ずギャフンと言わせてやるからな!」

 

 何という時代遅れな悪役台詞、ギャフンという死語まで使って完璧である。
 ここまでパターンだともう憎たらしいとかそういう問題ではい。

 

「それじゃあプリベンターのガキども! あばよ!」

 

 海の上をホバーで逃げていくアリーのアグリッサ。
 何故か足の部分もジャカジャカと動いており、どこかでっかいゴキブリを連想させてキモチワルイ。
 しかし、あばよってお前は柳○慎吾か。

 

          *          *          *

 

「くそ、逃げられたか」
「次は必ず、だと? ふん、それは俺達の台詞だ」

 

 遠ざかるアグリッサの後ろ姿を、悔しそうに見つめるガンダムパイロットとサリィ。
 ついでにグラハム。
 ジョシュアは完全に目を回してヘタレ気絶しており、そして我らがコーラサワーさんは。

 

「とおおおおーっ! スペシャルリターンッ!」
「あ、復活した」
「おらああ! どこだ! クソ野郎! 俺がこんな目にあったのもてめぇのせいだ! うおおおおお! たいさああああ!」

 

 頭に大きなタンコブをこさえて、周囲を見回しながら叫ぶコーラさん。
 ハッキリ言ってマヌケである。

 

「おい、タンコブ出来てるぞ。えーと、他にケガはないか? お前」

 

 デュオが問いかける。
 こういった気遣いが、彼をコーラサワー担当にしている要因でもあるのだが。
 そして、そんなデュオにコーラサワーは胸を張って答えるのだった。

 
 

「はん! ないぞ!」

 
 

 即答で。

 
 

 プリベンターとパトリック=コーラサワーの心の旅は続く――

 

 

【あとがき】
 はい! コンバンハ。
 ないです! サヨウナラ。

 
 

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