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00-W_土曜日氏_40

Last-modified: 2008-10-25 (土) 20:28:01
 

「ふああああああ、よく寝たぜ」

 
 

 パトリック=コーラサワー。
 29歳、男。
 元AEU軍人、現統合政府直属組織プリベンターのメンバー。
 性格は甚だしくマイペース、さらに自信過剰気味、若干天然。
 特技は模擬戦、好きなものも模擬戦、趣味も模擬戦。
 座右の銘は「俺のおかげ」、尊敬する人はかつての上司であるカティ=マネキン元AEU大佐。

 

「ん! 晴れだな今日は! はっはっは、間違いなく俺のおかげだぜ!」

 

 コーラサワーの朝は早い。
 ズボラで通っており、遅刻常習犯の彼だが、実は寝覚めが物凄く良くて起床を苦にしないタチ。
 何せ幼い頃は休日となれば六時七時に友達の家のチャイムを押すような早起き少年だったわけで、ついたあだ名が『ニワトリ殺し』、もしくは『太陽の申し子』というもの。
 こういうタイプ、学校がある日や仕事がある日は重役出勤がお約束なのは、賢明な諸氏の明察する通りである。

 

「今日も元気だ、ミルクが美味い! ってか!」

 

 今は今とて五時半には起き、まずは冷蔵庫から牛乳(ビリー牧場産)をゴキュゴキュと一気飲み。
 コーラサワー、実は牛乳に対するコダワリは強い。
 もっとも、それ以外に関しては結構大雑把だったりするが。
 添加物がどーだの期限があーだのと文句つけない辺りは、さてさて大物の証と言ってしまっていいものやら。

 

「うっし! それじゃあまずは朝の模擬戦いってみようか!」

 

 元来怠け者の彼であるが、模擬戦と恋愛だけは身を入れて取り組んでいる。
 後者は生来オンナスキーであると片付けることも出来るが、では、何故前者は不満も言わずにやっているのか。

 

「プログラムは砂漠戦、敵は砂地仕様のサーペント5機、味方はナシ……」

 

 慣れた手つきで、コーラサワーはシミュレーターに条件を打ち込んでいく。
 今にも鼻歌でも唄いださんばかりにノリノリである。
 なおこのシミュレーター、○ニーと任○堂とマイク○ソフト、
 ついで○ガとボー○ングとホ○ダとヒュ○ダイとソフト○ンクと集○社が共同で開発したもので、軍に訓練用として制式採用されたものだったりする。
 めっちゃ高性能なわけだが、それを何故コーラサワーが持っているのかというと、軍を辞める時にかっぱらってきたんだろうというのが専らのウワサになっている。

 

「こちらはイナクト、エネルギー残量75%、被ダメージ10……」

 

 言ってみれば、模擬戦は彼にとって自己を確認する作業なのかもしれない。
 また、この方面に才能が豊かだったのもあるだろう。
 腕っ節は正直卓越したものがないが、一旦MS(これはモビルスーツね)に乗ってしまえば、体格も腕力も関係ない。
 純粋に技術のみの勝負となり、パイロット養成学校から軍に任官してこっち、本人も度々吹聴しているように模擬戦二千回腐敗……じゃない不敗という記録を打ち立てる程のテクニックであるからして、やっててつまんないわけがないのである。
 だって相手をボッコボコに出来るわけだし、いっつも勝つわけだし。
 いつでも負けないパチンコなら誰だってやりたいってもんである。

 

          *          *          *

 

「おらぁ! どらぁ! てめぇ! 落ちろ! くらえぇ!」

 
 

 うるさい。
 正味の話、うるさい。
 模擬にしろ何にしろ、熱くなって思わず言葉を発してしまうことはあろうが、何もシミュレーターでぎゃあぎゃあ騒ぐことはあるまいに。
 叫ばないパイロットはMS乗りにあらず、というのがガンダム世界のお約束とはいえ、コーラサワーの場合は無意味に吠えまくりなのでたまらない。
 しかし、ただでさえ広くないこのマンションの部屋、シミュレーターの音量だけでもかなりの大きさだが、これが何と隣近所から怒られたことがない。
 何故か?
 答は簡単、彼以外に誰も住んでないからである、マンションに。
 ボロボロじゃない綾○レイのマンションを想像してもらえれば、多分それが一番近かろう。
 じゃあ何で誰も住んでないかというと、これも答は簡単簡単、欠陥住宅だから。
 耐震構造を偽って建てられ、だーれも入居者が入らなかったところをコーラさんが借りたという次第だ。
 まぁ、コーラサワーが住んでる限りは潰れないでしょう。
 コクピットの真下を貫かれて生きてる男です、多少の災害はそれこそ敵じゃありません。

 

「人様の領土に土足で踏み込んどいて、ただですむと思ってねーよなぁ! はははは!」

 

 叫ぶコーラサワー。
 しかし、シミュレーター相手に言う台詞ではない。

 

「この俺を、AEUのエースと知ってのことかぁ!? 模擬戦二千回無敗の、パトリック=コーラサワーとなぁ!」

 

 だからシミュレーター相手に言う台詞(略)。

 

「おおう!? てめぇわかってねえだろ! 俺は! スペシャルで! 二千回で! 模擬戦なんだよぉお!」

 

 あ、ミスってやがる。

 

「俺としたことが何というケアレスミスリセーット!」

 

 ここでコーラサワー、シミュレーターをリセット。
 こうすれば戦歴は記録されない。
 成る程無敗、お手軽ナンバーワン。
 ジャ○ネットた○たもびっくりです。
 奥さん今ならイナクトもついてきてお値段そのまま、超オトクですよ。

 

「ふう、俺は何も見なかったぜ。だから皆も忘れろ」

 

 だから誰に言ってんだよこの人。
 もう少し落ち着けよ、来年三十路なんだろ。
 それにちょっと台詞に五飛分が入ってるぞ。

 

          *          *          *

 

「……さて、いい汗かいた。ちょっとシャワーでも浴びっか!」

 

 かいたのは冷や汗じゃないのか、というツッコミはさて置きつつ。
 着ているものをポンポコ脱いでシャワー室へコーラサワーは直行する。
 せめてシャワー室の手前で脱げばいいものを、シミュレーターの前で素っ裸になったものだから、何というかこれはまんま裸族である。
 文字通りぶらぶらさせながらシャワー室に向かう彼を見て、果たして何人が元AEUのスペシャルエースだと見抜けるだろうか。
 断言してもいいが、まず皆無であろう。
 看破出来たらそれこそマネキン大佐の域に達しているので、ただちにこの男を引き取りに来た方がよろしい。
 返品は一切不可ということを付け加えておく。

 

「ふんふんふん~、俺はスペシャル~、とくらぁ」

 

 上機嫌のコーラサワー。
 さっきシミュレーターでヘグったことなどすっかり脳みそから追い出している。
 鳥でももうちょっと覚えているはずで、まったくいい性格と言う他ない。
 得てしてこういう奴がとんでもない大金星を拾ってくるわけだが、それは対デュナメス戦で皆さんご存じの通り。

 

「さぁて、今日はどう過ごすかね? 久し振りに大佐に連絡でもしてみてもいいな」

 

 元AEUのエース、パトリック=コーラサワー。
 彼は今、こっちの世界でとことんマイペースに生きている。
 個性的な仲間に囲まれながら―――

 

 

【あとがき】
 達者な職人諸氏が参入されて実に心強い限りですコンバンハ。
 名無しのままでは今後色々と差し障りがあるかもしれないので今後このコテでいきますサヨウナラ。

 
 

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