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00-W_土曜日氏_79

Last-modified: 2009-03-15 (日) 16:57:54
 

「と、言うわけで」
「はいはい、おめっとさん」
「やっと出ましたねー」

 

 プリベンターは今日も暇だった。
 昨日も一昨日も暇だった。
 一週間前も暇だった。
 二週間前も暇だった。
 三週間前も暇だった。
 四週間前も暇だった。
 五週間前も暇だった。
 六週間前も暇だった。
 七週間前も暇だった。

 

 なに、仕事がないのを嘆くことはない。
 プリベンターの暇は世界の平和の証明だから。
 で、まあ。
 今日も暇っちゃ暇なのだが、その暇具合がいつもと少し違っているのだった。
 そいで、その暇も今日までで終わるのだが、ま、それはおいおい。
 とにかく今は。

 
 

 良かったね、二期初登場―――

 
 

   ◆   ◆   ◆

 

「イヤッホウウウウウウ! ついに真打登場だぜええ、ぬははははは、人気者は辛いぜぇぇ」
「ああ、やっぱり予想通りだけどさ」
「舞い上がっちゃいましたね」

 

 プリベンター本部はほこほこ温かくなっていた。
 原因はただ一人、コーラサワーがげっらげらと笑っているからだ。
 そりゃまぁ、やっと二期に出れたんだからなあ、コーラじゃなくともにこやかになるわなあ。
 つうか今日の回はもう「これ何て腹筋耐久ゲーム?」だったわけだが、
 不死身いやぁ人気者! パーティ! 女装! ダンス! ゴスロリ! 息子嫉妬! 怒るビリー! イノベ祭り! ところがぎっちょん(二回目)!
 お腹痛くてたまらんち会長だったですよ、まったく。
 あとビリーはね、ありゃしょうがないよね。
 目の前ににっくきソレスタの人間がいたら、普通怒鳴るわ。
 だけどここまで混沌とすると(グダグダとも言うが)あと十何話で終われるのかとも思うよね。
 つうか刹那、素顔で潜入すんなこのオバカ。
 あと『無垢なる歪み』ってナニ? それコーラさんのこと?(違う)

 

「で、俺たちの賭けは結局全員外れか」
「誰か一人は当たると思ったんだがな、ヒイロがニアピンか」
「賭けはまぁ、当たるも八卦当たらぬも八卦ですし」
「そもそもここまで引っ張られるのが異常なのだがな」
「だがここまでは正味の話、出てこられる展開でもなかったのは事実だ」
「何だヒイロ、奴の擁護か?」
「いや五飛、違う。憐みだ」
「憐み?」 
「ああ、ここまで必要とされなかったということは、今後も本筋にはそうそう絡めまい」
「……確かにな」

 

 ぶっちゃけた話、00という物語の芯に関わったのはしょっぱなのエクシア乱舞、マネキン大佐との出会い、あとはロックオンに突撃くらいしかなかったりする。
 他は全部なくても無問題、別に筋に影響ナッシングなのである。
 モラリアでなんじゃそりゃがなくても別にどこにも波がいかない。
 タクラマカンは別にコーラじゃなくても、それこそ誰でも「ガンダムピンチにトリニティが!」の図は変わらない。
 ダリルとのシーンだって、なくたって全然困らない。
 ナドレと相撃ちと言っても、ティエリアはコーラ本人を意識してないからライバルにならない。
 もう再考すればする程に、『コーラサワーさん漬物説』がより強固なものになっていくばかりである。
 ご飯のお供にお漬物、あれば食卓にアクセントが付くが、なくても別にちょっと寂しいくらい。
 そして漬物単独では食事にならない。
 ふむ、今度千枚漬けにでもコーラをかけて食べてみよう(嘘)。

 

「はははは、照れちゃうなぁ、やっぱりカッコイイ男はここぞって時に来るもんだぜぇ!」
「ここぞって時だったかな、あれは」
「シッ、せっかく上機嫌なんだからほっときましょうよ、デュオ」
「奴の言葉を茶化せば、今までが『真打未登場』だったからな」
「今日一日くらいは調子づかせておいてやってもいい、か?」
「うっとうしいがな」

 

 空気の読めるガンダムパイロットたち。
 実際、ここまでずーっとガン無視され続けてきたコーラサワーを、ちょっぴりだが「かわいそう」だと思ってはいたのだ。
 いや本当にほんのちょっぴり、0.01ミクロンくらい。

 

「しかし、まだマシだったと思うべきなのか」
「何がです、トロワ?」
「いや、あれでミスター・ブシドーとやらがあのパーティに出ていたら、きっととんでもない騒ぎになっていただろう」

 

 はい、ミスター・ブシドーことグラハム・エーカーは久し振りの出番なし。
 ここまで小刻みにパスを繋ぐワンタッチサッカーの如き出番を繰り返していたが、さすがに今回はそのワンマンアーミーぶりを見せつけるお話ではなかったということか。
 あ、しつこいようだがこっちのこの物語ではあくまでブシドー=グラハムでいきますんで。
 ね、本編はまだ一応正体不明になってますけどね、あんなモロバレ、99.999999999999999%彼ですからね。

 

「で、そのブシドーとやらは今どこに?」
「あっちだ、ヒイロ」
「どこだ、五飛?」
「ベランダで夕方でもないのに黄昏ている。素顔で」

 

 スッピンのブシドー、グラハム・エーカーは五飛が言ったように、ベランダでただ一人空を見上げて独り言タイム中。
 ブツブツと「私がいなくても話は進むのだ、口惜しいなあガンダム」「おのれカタギリ、私を差し置いてあの少年と再び生身で」などと、どーにも病院行った方がいいんじゃない的な愚痴を呟きシロー・アマダしている。
 手にタバコでも持っていたら、ちょっとは絵になったかもしれない(が、決定的に背が足りない)。
 あ、ついでにアラスカ野ことジョシュアは現在不在である。
 ミレイナ・ヴァスティが『あっちの世界でやっとコーラサワーさん復帰おめでとうパーティ』を開くですぅーとか言って、ヒルデと一緒に荷物持ち係として(ジャンケンで負けた結果である)連れていかれてしまったのだ。
 コーラさんと相性はあまり良くないが、ヒルデのようにあからさまに態度に出して嫌わない辺りは、結構ミレイナもノリ重視の天然系ではある。
 自分の都合主体で動いている、他人のことを深く考えていないとも言えるかもしれんが。
 まぁまだ14歳だし彼女……って、ガンダムパイロットやヒルデと一つ二つしか違わんか。
 うん、今回もアレルヤとソーマに恋人ですか攻撃やってたし、やっぱ素の性格か。

 

「とにかく、お前ら見とけよ!」

 

 歓喜のクネクネダンスから一転、不意に真面目な(ある意味不真面目でもある)顔になり、ガンダムパイロットに向けて人差し指をビシィ! と向ける我らがコーラサワーさん年齢上限33歳。

 

「ん、急にこっちに話が来たな」
「QHKか」
「キュウにハナシがキタので」
「儚くもエイキュウではない出番のハナシ」
「シャレですか、デュオ」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる!」

 

 とうっ、と床からジャンプすると、トリプルアクセル気味に回転し、ガンダムパイロットのすぐ前にスタッと着地するコーラさん。
 トロワの視線が一瞬厳しくなったのは、そういった動きの大家である自負があるからだろうか。

 

「これから俺のターン! 味方を犠牲にして不死身の男を召喚! 俺限定でやられても1ターンで復帰出来る!」
「味方を犠牲にしちゃダメだろ、だから当て擦りだと言われるんだ」
「自分を召喚する前に溜まった物語的負債を償還するべきだな」
「そしてミスをして正規軍から召喚される、というわけか」
「ショウ人カン居して不善を成すと言いますし、まぁお手並み拝見じゃないですか」
「カトル、お前結構キツイことを言うな」

 

 賑やかなプリベンター本部。
 だが、良いことばかりというわけでもなかった。
 この時、サリィ・ポォはレディ・アンに呼ばれて彼女の執務室に赴いていたのだが……

 

「……中東に、謎の武装集団が?」

 

 レディから手渡された報告書には、中東のアザディスタンの最奥にあるとある古い石油採掘施設を根城に、
怪しげな連中が集まりつつあるとの情報が記載されていた。

 

「いったい誰が、何の目的で……?」

 

 パラリ、と次のページをめくったその瞬間、サリィは絶句した。
「集まった者たちは、皆手に異臭のする靴下を持っていた」という一文を読んで。

 

 異臭靴下、この単語から連想出来る人物は一人しかいない。

 

「まさか!?」

 

 デパート占拠事件からカツオノエボシ事件に至るまで、過去何度もプリベンターの前に立ちはだかり、オバカな騒動を起こしてくれたあの男、PMCトラストの残党、天下のいらんことしい、韓流ドラマ大好き、別名ゲイリー・ビアッジ……

 

   ◆   ◆   ◆

 

「ボスゥ、こいつをどうしますう?」
「おう、ハンガーに固定しとけ。傷つけんじゃねーぞ!」
「しかし、よくミカンエンジンなんて手に入れることが出来ましたね」
「へっ、俺の人脈をナメるんじゃねーぜ! とにかく、これでプリベンターのクソヤロウどもとも対等だ!」

 

 たくましく鍛えられた肉体、好戦的な目、男くさい無精ひげ、そして粗野な言葉遣い。

 

「MS(ミカンスーツ)、ソンナコト・アルケー……こいつは強力だぜ!」
「ボスゥ、第一装備はどうします?」
「決まってんだろ! 今集めてるモン、あれが主武装だ!」
「りょーかいっす!」
「へっへっへ、さぁ始まるぜ、俺の全力のいらんことがなぁ! ぎっちょーんてかぁ!」

 

 パトリック・コーラサワーが目出度く本編に復帰した今日、
 その本編で一か月近くコーラより早めに再登場した男、今日もCパートで元気に喧嘩を売っていた彼がこっちの話でも復帰する。
 はい、今回で『その日暮らしが泣くコーラ・暇つぶし編』は終了、次回より新章突入なり。
 いや、ぜんっぜん展開を考えてないけど、それでも突入突入。
 考える前に動け、悩む前に走れ。
 ね! 人生きっとそうだよね!
 また同僚が辞めてさらに仕事キツくなったけどね!
 何とかなるなる、きっとなる!
 ナ○ルはアラブの大統領!

 
 

「イヤッホーウ! 来週もきっと引き続き俺のターン! 新型が出てきて俺がパイロットに選ばれるに決まってらあ!」

 

「本当の真打、アリー・アル・サーシェス様がおもしろくしてやるってんだよぉ、まさかとは言わせねーぜ!」

 

「ふふふ……いいのだここまで出番が数分でもこれから私の大逆襲ドンドンドリフの大爆笑的な気合いで居合で興が乗らんで」

 

 パトリック・コーラサワーとアリー・アル・サーシェス、グラハム・エーカー。
 彼らの新たな戦いが始まる。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の第二期はようやく始まった―――

 

 

【あとがき】
 コンバンハ。
 今日はもうこれ以外何も言うことないでしょう、お帰り我らのコーラサワー! でサヨウナラ。

 
 

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