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00-W_土曜日氏_96

Last-modified: 2009-04-11 (土) 23:23:56
 

♪シュワ コーラ 迷いはしない いつも素直なままに
 シュワ コーラ 今始まる 新しいストーリー Just for you
 最愛のLady 展開に紛れ
 一途なLove call 繰り返している
 強がりなFace マジでタフで 撃ち落とされても
 そのオーラは 不死身な色 隠しきれない
 シュワ コーラ 弾けまくって 君の信じた愛
 シュワ コーラ その想いを 貫いたから
 シュワ コーラ 迷いはしない いつも素直なままに
 シュワ コーラ 今始まる 新しいストーリー Just for you♪
 (元ネタ:SA○A)

 
 

 女神、空にしろしめす。
 なべて世はこともなし。
 まったくもって世界は平和である。
 まぁ今のとこはねー、という但し書きが付くが。

 

「ふああああ、暇だなあ」
「そ、そうですね」

 

 人界が平穏だということは、すなわちプリベンターも出動がないということになる。
 とは言え、火急速やかなる解決が求められる事件がなくとも、仕事自体がまったくゼロというわけではない。

 

「何にもやることねー、まったく」
「はあ……」

 

 今日この日、プリベンターの本部には二人の男が詰めている。
 我らが愛しき英雄、パトリック・コーラサワー。
 そしてもう一人は。

 

「あ、お茶でも淹れ替えましょうか」
「おー頼むぜ、坊ちゃん」

 

 ぼっちゃん。
 蛙飛び込む池の音、ではない。
 カトル・ラバーバ・ウィナーである。

 

   ◆   ◆   ◆

 

 カトル・ラバーバ・ウィナー。
 アラブの豪商、ウィナー家の現当主代理にして次代当主である。
 代理で次代という肩書きは、父親がまだ存命中であり、後継ぎたる男子が彼しかいないからに他ならない。
 ガンダムパイロットの五人の少年のうちでは最も温厚で礼儀正しく、感受性も高い。
 もっともマジでブチ切れると一番怖かったりするけれども。
 なお姉が全員で29人いたりするが、まぁこの物語では出てこない(はず)のでそれは関係ない。

 

八女の玉露があるんですよ、家から持ってきました」
「ほー」

 

 で、何故この二人なのかと言うと、答は簡単で他は仕事で出払っているからに過ぎない。
 レディ・アンは相変わらず政府のお偉いさんと頭を突き合わせて難しい会議のど真ん中だし、ミレイナ・ヴァスティも秘書であるからして一緒にお供をしている。
 サリィ・ポォは今度新たに稼働を始める太陽光発電システムの除幕式に呼ばれ、デュオ・マックスウェル、張五飛、ヒイロ・ユイ、トロワ・バートンも警護を兼ねてくっついていっている。
 ヒルデ・シュバイカーは連絡要員として本部に残っていたが、ついさっき「必要な資料を持ってこいと言われた」とレディのところへ出かけていってしまった。

 

「ふーん、いい香りだな」
「最高級ですから」

 

 ま、そんなわけでこの二人が居残り組という次第。
 普段ならコーラサワーの相方(と呼ばれると本人は凄く嫌がるが)はデュオなのだが、今回もそうじゃなかったのは、厳正なるクジビキの結果ゆえ。
 神はカトルに微笑まなかった、と言うとさすがにコーラサワーに失礼かもしれない。
 ちなみにグラハム・ブシドー・エーカーさんだが、盟友のビリー・カタギリが新型MS(ミカンスーツ)のデータを開陳してからほとんど彼の研究所に入り浸っており、本部には朝と夕方しか顔を出さない。
 おそらくビリーの背後に立って「まだかカタギリ!」と急かしていることであろうと思われる。
 アラスカ野ことジョシュアも一緒だが、これは新型が待ちきれないと言うより、グラハムに無理矢理引っ張っていかれていると言った感じである。
 あ、前回ビリーがホロ・ソフトに入れ忘れたアラスカ野君のMS(ミカンスーツ)だが、名前は『紅鮭』であるからよろしく。
 ミカンは一切関係ない。

 

「しかしよ、ポニテ博士もひでーよな。データだけでまだ完成していないって」
「そうですね」

 

 はい、そいでコーラサワーとカトルだが、コーラとデュオ程には会話のキャッチボールが長く続かない。
 やはりデュオはツッコミの盟主、じゃない名手であることが図らずも証明された形である。
 何度も言うが、そんなんで褒められても間違いなくデュオは喜ばないが。

 

「なあ坊ちゃん、茶菓ないか?」
「岩おこしがありますよ、生八つ橋も」
「おー、どっちも貰う」

 

 何つーか、漫才にならない。
 フツーの会話になってしまっている。
 カトルは素で穏やかな性格なため、どうあってもぶつからないのだ。
 これがヒイロやトロワならおそらくコーラサワーがただひたすら喋るだけになるだろうし、五飛なら最初の一言で後ろ回し蹴りをコーラサワーの後頭部にぶちかましているだろう。
 成る程、ガンダムパイロットのまとめ役の地位は伊達ではない、カトル。
 ウィナー家の代理当主として商談をまとめたりもするので、レディやサリィを除けば、『社会人適正』は間違いなくプリベンターの面子の中で最高であると思われる。
 プリベンターが今後も隠密同心として世界を裏から守り続けるなら、次のリーダーは彼になると考えて間違いない。

 

「しっかし暇だよなー、早引けして大佐のところに行こうかな、でも怒られるかなー」
「カティさんはお仕事ですか?」
「大佐は今、仕事を全部休んでるんだよ」
「そうなんですか」
「当たり前だろ、何せ結婚するんだからよ、この俺と!」

 

 何が当たり前なんだろう、とカトルは思ったが、そこはデュオではないのでツッコまなかった。
 あとこれも何度でも繰り返すが、こちらの世界ではカティ・マネキンの最終軍歴はAEU軍の大佐である。
 連邦正規軍准将ではない。
 正味の話、昇進はあるかもしれんなーと思っていたが、最終話では今更こちらに反映させられんので。

 

「カティさん、歌がとてもお上手ですよね」
「当たり前だ、何せ大佐だからな!」
「何だか懐かしい感じがするんですよ、昔、ずっと聞いていたような」
「当たり前だ、何せ大佐だからな!」

 

 何が当たり前なん以下省略。
 が、何げにメタ的発言である、カトル。

 

「お茶、もう一杯頼むわ」
「はい、どうぞ」

 

 プリベンターは平和である。

 

「あ、八つ橋、まだあるか?」
「ええ、ありますよ」

 

 多分、当面はこんな感じに。

 
 

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――

 

 

【あとがき】
 映画まではさすがに続けられるかどうかわかんなコンバンハ。
 ラノベ風味もいい加減どうにかしなきゃサヨウナラ。

 
 

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