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00-W_水曜日氏_01

Last-modified: 2008-10-23 (木) 20:02:43
 

「そういえばよう、お前等って似てるっていうか、キャラが被るんだよな」

 
 

 ソファに寝そべり草加煎餅をバリボリと食べ、安い玄米茶をゴキュゴキュ飲みながらコーラサワーは呟いた。

 

「似てるって、誰と誰がです?」

 

 コーラサワーとは違うソファでトロワとお茶をしていたカトルが答えた。
 因みにカトル達のお茶菓子はゴデ○バのチョコレートに最高級のダージリンティーである。

 

「そらあよぉ、お前とそこでガンプラ作ってるナルハム野郎だよ」

 

 コーラサワーは楽しそうに作りたてのガンダムエクシアにポーズをつけさせているグラハムを指差した。

 

「何を言い出すかと思えば、またしょうもない事を。大体カトルとあの変態の何処が似てるっていうんだよ」

 

 パトロールから帰ってきたデュオがカトル達のテーブルに置かれているチョコレートを口に含みながら茶化した。

 

「はっはっは。ちゃんと根拠なら有るんだぜ!
  その一、二人とも金髪の男。
  その二、二人共金持ちのボンボンそう。
  その三、これが一番重要だが、俺と違っていまいちこの世界ではキャラが立って無いってことだ!!」

 

 そう言うとコーラサワーはソファの上に立って手を腰に置きエヘンとポーズをとってみせた。
 本人は恰好つけているつもりだが、口の周りに煎餅カスがついているのでまったく恰好がついていない。
 尤も、コーラサワーが何かをやった所で恰好が良い訳がないのだが。

 

「お前のその理論だと、世の中の金髪でお金持ちの男性は大抵キャラが被るということになるな」

 

 あくまで冷静な突っ込みをいれながらトロワは紅茶を口に含む。

 

「まぁ、コーラサワーさんがどう感じようと、僕もグラハムさんもお互い普通に生きてるだけですからどうしようもないですね」

 

 コーラサワーに馬鹿にされても、大人の余裕でカトルは聞き流した。
 このバカ相手に本気になるのは疲れるだけだ。
 そう宇宙の心が教えてくれたので。
 だが、この男は違った。

 
 

「何を言っている炭酸男!」

 
 

 グラハムがエクシアをテーブルに置いて立ち上がった。
 その時エクシアのポーズが崩れないよう細心の注意をはらったのは言うまでもない。

 

「否、断じて否。このグラハム=エーカーと、カトル君が似ている訳がなかろう!ガンダム!」
「はっはっは。だったら俺みたいにきちんとした根拠を挙げてみせろよ!!」

 

(お前の根拠のどこがきちんとしているんだ?)
 グラハムとコーラサワー以外の全員が思ったが誰も口には出さなかった。
 言うだけ無駄というやつである。

 

「ああ、あるとも。私はカトル君のように女々しくない!」

 

”女々しくない”
 この言葉を聞いた瞬間、カトルの眉がピクッと動いた。
 同時にデュオとトロワの肩もビクリと動く。

 

「やべぇ…地雷だ」

 

 デュオが思わず言葉を漏らす。
 何も言わないが、トロワもテーブルの上にあるお茶のセットを片付け始めた。
 そんな事には全く気付いていないバカ二人はそのまま話しをつづける。

 

「バーロー。お前だって『乙女座センチメンタル』とか気持ちわりぃ事言ってをじゃねぇか」

 

 コーラサワーにしては少しまともな発言である。

 

「ぐ…別に発言の問題ではない。まず、私は彼と違って身長が高い。そして男性的で素敵なテノールボイスだ。この阿修羅すらも凌駕するバランスのとれた筋肉質なボディも違いの一つだな。それに女性が着るようなパステルピンクのシャツも着ない。私と比べたらカトル君はか弱きプリンセス。そう、まるで眠り姫だな!」
「そうか、そんなに違ったか!たしかに金髪はお前と違って守られキャラだもんなぁ!あっはっは、悪かったなぁそりゃ。でも筋肉なら俺だって負けねぇぞ」

 

 バカ二人は互いの筋肉を見せ合いながら張り合っている。
 小学生か!お前等は。と突っ込む気持がデュオにはもう残っていなかった。
 これから起こる惨劇を想像するだけで背筋が凍る。

 

 ユラリとカトルがうつ向いたまま立ち上がった。

 

「カ、カトル…」
「トロワ…それ以上近づかないで」
「あ、ああ…」
「トロワ、俺達も巻き添えくらうぞ」

 

 デュオにいわれてトロワもデュオと一緒に部屋を後にする事にした。

 

「お二人共……言いたい事はそれだけですか?」

 

 筋肉について張り合うコーラサワーとグラハムの間に入り、カトルはゆっくりと言葉を発した。
 物凄い低い声で。

 

「「あ?」」

 

 カトルの存在に気が付いた二人は声と顔の動きを揃えてカトルの顔を見た。

 

「確かに、僕は声も高いし、背も低い。おまけに筋肉質でも無ければ体重も軽い。WのOPでもパステルカラーの洋服を着せられたし、後期OPではパステルカラーの背景だし、リリーナさんと横顔の女々しさを比較される。EWではサンドロックまでパステルカラーにされましたよ」

 

 カトルのただならぬオーラをようやく二人も察したが、もう後の祭である。
 顔が青くなる二人等気にせずカトルは話続ける。

 

「小さい頃から姉さん達のお下がりのスカートを面白半分で着せられて『まぁ、可愛らしい事』とか『本当の女の子みたい』とか言われましたし、未だに僕の実家のコロニーでは僕を女の子だと勘違いしてる人もいますしねぇ……ああ、そうそう。ヒイロ達にも女の子と勘違いされた事もありましたっけ……まぁ、そんな事はどうでも良いんですよ。ただねぇ……女々しいって言われて嬉しい男はいませんよねぇ?」

 

 カトルは二人に向かって思いっきり微笑んだ。俗に言う『天使の微笑み』。
 だが逆に怖い。物凄く怖い。

 

「うふふ、ふはははは、あははははは!
 僕はねぇ、『女の子みたいだ』と言われるのが大っ嫌いなんですよ!!
 僕は決して忘れない、そして、決して忘れさせないよ、この日の事を!
 ふふふふふふ、あはははは、はははははははっ!!」

 

 そういってカトルはテーブルに置かれたエクシアを掴みとると、笑顔のまま

 

 バキッ

 

 と真っ二つにへし折った。いや、へし割った。

 

「「ひぎゃーーー!!」」

 

 哀れエクシア、君は何も悪くない…

 

          *          *          *

 

 その頃隣の部屋では……

 

「ああ、すまない救急車を二台だ。ああ、何時もの通り命に別状は無いと思う。では頼んだ」

 

 五飛がいつものように、いつもの病院に電話をかけていた。

 

「あいつら、よりによってカトルをキレさせるなんてなぁ。バカを通り越して今回は同情するぜ」
「カトルの攻撃は、死ぬほど痛いからな」
「早く優しいカトルに戻ってくれればいいが…」

 

 ガンダムパイロット達は今回ばかりは少しだけ、本当に少しだけ二人に同情していた。

 

「貴方達、過去にカトル君を怒らせた事があるの?」

 

 サリィの問いかけには誰も答えなかった。
 隣の部屋からはカトルの笑い声とバカ二人の悲鳴、何かが割れたり落ちたりする音が半日続いたという……
 幸い2人は驚異の再生力で直ぐに退院したが、カトルの事を「カトル様」と呼ぶようになったとかならなかったとか…

 
 

 今日も地球はバカを除いて平和でありましたとさ。

 
 

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