Top > 00-W_水曜日氏_05
HTML convert time to 0.006 sec.


00-W_水曜日氏_05

Last-modified: 2008-11-18 (火) 22:00:15
 

「ハハハ…三つ編み、お前は負ける!」
「あっ!ちょっ、待て!」
「エビフライはいただいたぜ!コォォォル!ストレート・フラッシュゥゥゥゥ!」
「あーーー、俺の…エビフライ…」
「これで俺の三勝だな」

 

 デュオはガクリとその場に四つん這いになった。トランプが辺りを舞う。
 デュオが暇つぶしにコーラサワーをポーカーに誘った事が事の始まり。
 只のゲームじゃつまらないと思ったデュオは、今日の夕食のエビフライを賭けて勝負しようとコーラサワーに持ちかけた。
 結果はコーラサワーの発言通りデュオの惨敗。
 因みにイカサマ一切無し。
 流石、驚異の強運の持ち主・パトリック=コーラサワー、こういう事は強い。

 

「何をやっているんですか?二人共」
「カトル~助けてくれよ~俺のエビフライ~」
「カトル、あまり相手にするな。大方コイツの自業自得だろうからな」

 

 買い出しから戻ってきたカトルに泣きつくデュオを引き剥がしながら、トロワが情け容赦無い言葉を投げつける。

 

「だってよぉ、コイツこんなに強いと思わなかったんだよ。なぁ、カトル。俺の代わりにコイツに勝ってエビフライ取り返してくれよ」
「へへん、俺様はパソコンのカードゲームで負け無しだからな」

 

 コンピュータしか相手が居ないのもどうかと思うが。

 

「すみません、僕あまりカードゲームって得意じゃないんですよ。僕なんかより、トロワの方がずっと強いと思いますよ」
「確かに、カトルはカードゲームには向かないな、顔に出やすい。ババ抜きなんて表情を見てるだけで勝てる」

 

 クククっと忍び笑いをするトロワに気付いたカトルは、デュオに顔を向けて苦笑したままトロワの足を思いきり踏ん付けた。トロワの顔が一瞬険しくなる。
 だが実際トロワの言う通りで、知能戦のオセロやチェスなら話は別だが、俗っぽい賭け勝負とは無縁の世界で生きてきたカトルは、勝利の為なら手段を選ばないようなゲームには事弱かった。
 賭け事大好き女王様・マリー=アントワネットも、実際の勝負はからっきし駄目だったそうだし。

 

「じゃあ、トロワでいいからエビフライ取り返してくれよー」
「別に構わないが、条件がある」
「何々!」
「今日は俺が食器洗い当番なんだが、それをお前がやれ」

 

 デュオは苦虫を噛みつぶした様な顔をした。
 たかが食器洗いと思うかもしれないが、プリベンター本部には食べ盛りの男子が8人も居る。
 当然食べる量が増えれば洗う量も増えるわけで、台所の洗い場は空の皿で山盛りになる。
 それを1人でやるのだから、食器洗い当番はトイレ掃除当番の次に敬遠される仕事だった。

 

「しゃーない、エビフライの為だ。頼んだぜ大将」

 

 デュオは渋々了承する事にした。
 大好物の為もあるが、このままコーラサワーに負けたままという事実が自分の歴史に残るのは、デュオのプライドが許さなかった。

 

「おうおう、今度は前髪が相手か? まぁ、スペシャルな俺様の相手じゃ無いだろうが、取りあえず勝負してやるぜ! お前が勝ったらエビフライ、俺が勝ったらそうだな……お前の前髪を切ってやる!」

 

 先程までの勝負で、コーラサワーは少々天狗になってるご様子。
 トロワはフンと鼻で笑うと無言のままコーラサワーと対峙して席に着き、パラパラとカードをきり始めた。
 トロワの方も相当自信があるようだ。
 シャカシャカとまるでマジシャンの様にカードをきるトロワ。
 道化師をやっているだけあって、カード捌きはとても美しい。

 

 カトルとデュオが見守る中勝負は始まった。
 さて勝敗はというと。

 

 【第1ラウンド】
  「コール、ロイヤルストレートフラッシュ」
  「ハハハ、まぐれまぐれ。1回位は勝ちを譲らねぇとな」

 

 【第2ラウンド】
  「コール、ロイヤルストレートフラッシュ」
  「ま、まだまだ俺はいけるぜ!」

 

 【第3ラウンド】
  「コール、ロイヤルストレートフラッシュ」
  「な…も、もう1回だ」

 

 【第4ラウンド】
  「コール、ロイヤルストレートフラッシュ」
  「な、なんじゃそりゃ~。ま、まだだ!まだ俺は…」

 

 【第5ラウンド】
  「コール、ロイヤルストレートフラッシュ」以下略。

 

 「なぁ、なんでトロワの奴、さっきからロイヤルストレートフラッシュしかでないんだ?」

 

 デュオの問いかけにカトルがそっと耳打ちする。

 

「僕も前にトロワが余りにも強いんで聞いてみたんですけど、神業レベルでイカサマしてるみたいです。何でも、昔は戦地でよく大人相手に勝負してたらしくて、もうイカサマが癖になって抜けないそうですよ。何も考えていなくても指が動くみたいで、だから僕なんて勝てた試しがありません」
「成る程ねぇ…」

 

 今や完全にカモにされているコーラサワーを見ながらデュオは頷いた。

 

(まぁ、俺としてはエビフライさえ戻ってくればどうでも良いけど)

 

 でも、トロワとは絶対カードで賭けはしない。そう心に誓った。

 

「まだやるか?」
「俺は…スペシャルで…2000回で…模擬戦なんだよぉぉぉぉぉ!!畜生!覚えてろよ!」

 

 久々の名ゼリフと共に逃げ去ろうとしたコーラサワーの肩をカトルがガシッと捕まえた。

 

「待って下さい、コーラサワーさん。僕からも1つお願いがあります」
「ああん?」
「今から場所取りをしてきて下さい」

 

 カトルはニッコリと微笑んだ。

 

「はぁ?場所取り?」
「はい。桜も開花してきましたし、明日僕の実家に勤めてくれているマグアナック隊の皆がこっちに来るので、僕達と一緒にお花見をする事になったんです。だから、その場所取りを貴方がしてきて下さい。春といってもまだ寒いですから、今日の買い出しで一応ブランケットとお茶買っときました。行ってくれますよね?」
「今からって、晩飯は…」
「メインディッシュのエビフライが無ければ夕食抜きでも変わりませんよ。大丈夫、僕も鬼では無いので1人でとは言いません。デュオ」

 

 カトルはコーラサワーの肩を掴んだまま、今度はデュオの三つ編みを捕まえた。

 

「いっ!なんで俺まで!」

 

 訳がわからないという顔でカトルを見つめる。

 

「君、冷蔵庫に入ってた僕のおやつのプリン食べたでしょ?」

 

 ニッコリと微笑んでいるが、カトルからは黒いオーラが出始めている。

 

「え…あ、あれカトルのだったの!?」
「駄目だなぁ…食べ物の怨みって恐ろしいんですよ。デュオ」

 

 じわじわと黒いオーラが出るカトルに対してデュオの顔は青ざめる。

 

「2人共行ってくれますよね?それとも何か僕に言いたい事でもありますか?」

 

 最終通告として2人に向かって満面の笑みを浮かべるカトル様。
 これ以上彼の機嫌を損ねればどうなるのか、2人は身をもって良く知っていたので、首をブンブンと縦に振りながら

 

「「はい!無いです!」」

 

 と答えてプリベンター本部を出ていった。
 結局デュオのエビフライを食べられない運命は変わらず仕舞いとなった。

 

「良かったぁ、2人共快く承諾してくれて」

 

 トロワは何も答え無かった。
 触らぬ神に祟り無し。
 だが、デュオが居なくなったら食器洗い当番は自分のままだということに、トロワはまだ気付いていない…

 

「それには私も参加して宜しいのですよね?」

 

 声と共にテーブルの下から突如現れたマリナ=イスマイールに、カトルもトロワも目を見開いて驚いた。
 当然の反応だ。普通の人はテーブルの下から出てきたりしない。

 

「マ、マリナさん!いつの間にいらしてたんですか!?」
「今朝サリィさんが出勤した後位でしょうか」

 

 マリナ、半日もテーブルの下で待機していたとは。

 

「一体何の御用で!?」
「可愛いらしいプリベンターの皆さんの日常を観さ…いえ、拝見しようと」

 

 そういうマリナの右手にはビデオカメラ、左手にデジカメが握られていた。

 

「その機材はなんだ…」
「心配しないで下さい。個人的な目的以外では使いませんから」

 

 その個人的な利用が一番恐ろしいのだが。

 

「うふふ、でも今日は良い収穫がありましたわ。黒カトル様は攻めで、五飛さんがヘタレ受け…」

 

 どうやらマリナ、ショタコン+αで腐女子らしい。
 典型的な駄目女である。

 

「で、勿論私も参加して良いのですよね?」
「え、ええ…マリナさんはスポンサーですから」

 

 天下の黒カトル様でも、マリナは苦手というか、天敵のようだ。

 

「楽しみですわ。では、私明日の準備をするので帰ります」

 

 彼女の場合、狙いは花より男子だろう。
 まぁ、それはさておき、マリナが帰るのを確認すると、カトルとトロワは急いでグラハムとガンプラを作っていた五飛と、本日の夕食当番のヒイロを呼び出し、部屋中隈無く調査した。
 結果、室内からは数十子の盗聴機と隠しカメラが発見された。
 一体いつの間に設置したのやら…ガンダムパイロット達は別の意味で自分達が狙われているのを再確認したのであった。

 

          *          *          *

 

 ――同時刻、マイスター運送本社にて。

 

「何故俺が場所取りなのですか」
「しょうがねぇだろ、お前がくじ引きでハズレ引いたんだからよ」

 

 眼鏡の青年(?)と茶髪に眼帯をした青年が話をしていた。

 

「こういうのは普通新人がやるものでしょう!」
「駄目よ、刹那は未成年なんだから」

 

 一升瓶を持ったお姉さんがメガネの青年の意見を却下する。

 

「じゃあお弁当は誰が作るんですか、俺しかまともに作れないのに」
「それもそうねぇ…ティエリアの厚焼き玉子って、日本酒に良く合うし…じゃあアレルヤにしましょうか」
「彼も料理人員です」
『ロックオン!ロックオン!』
「あらハロ、良いこと言うわね。じゃあロックオン、後は宜しく。因みに明日は晴天よー」

 

 そう言うとお姉さん…スメラギ=李=ノリエガは、一升瓶の酒をがぶ飲みして部屋を後にした。

 

「結局俺ですか…」
『ビンボークジ!ビンボークジ!』
「お前のせいだろうが。じゃあハロ、行くか」

 

 一人部屋に残った眼鏡の青年(?)…ティエリア=アーデは、自分以外誰も居ない部屋で叫んだ。

 

「絶望したぁ!何事も適当に決める社員達に絶望したぁ!」

 
 

 今日も地球は馬鹿を除いて平和でありましたとさ…

 

 

【あとがき】
 土曜日から数日たって、大分落ち着いたようなので取りあえず投下。
 私もコーラさんは生きてると信じたい派です。
 来週は季節に合わせて花見話の予定。最終回後だし色んな人登場させたいけど、W・00問わず誰が出てきて欲しいとか希望ありますか?
 では。

 
 

 【前】 【戻る】 【次】