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00-W_水曜日氏_08

Last-modified: 2008-12-03 (水) 19:30:39
 

 雲一つ無い青い空、ぽかぽか暖かい陽気。
 時折小鳥達のさえずりも聞こえてくる。
 そんな外でのお茶にぴったりな午後3時。
 ドーリアン邸のテラスにてお茶を楽しむ少女が2人。

 

「ねぇ、ドロシー」
「なんですの?リリーナ様」

 

 リリーナ=ドーリアンとドロシー=カタロニアである。
 戦中は色々とぶつかりあった2人だが、同世代の同性で、お互いの本音をぶつけあえた唯一の相手である事もまた事実。
 『喧嘩する程仲が良い』ではないが、こうして戦争が終わった後は、気が付けば親友として互いの空いている時間を一緒に過ごして遊ぶようになっていた。
 最も、普通の十代の若者達の遊びのような、ショッピングやレジャー施設に行くわけでは無く、貴族らしく優雅にお茶というのが彼女達の遊びなのだが。

 

「ヒイロは……どうすればヒイロともっと仲良くなれるのかと思って」

 

 少し頬を染めながらリリーナが言った。
 いくら表舞台では有能な外交官とはいえ、リリーナも花の十代、色恋はやっぱり気になるお年頃なのだ。

 

「そうですわねぇ…普段2人で居るときは、どのような事を話しているんですの?」
「私がコロニーと地球の話している時はヒイロは黙って聞いていてくれて、ヒイロは…最近プリベンターでの話をよくしてくれます。コーラサワーさんという方についての話がとても面白いの」
「じゃあ、リリーナ様が話している時はヒイロ=ユイはずっと黙っているのね」
「ええ」

 

 リリーナからの返答を聞くと、ドロシーは自慢の眉毛をピンと指で弾き、アールグレイの紅茶を口に含んだ。

 

「それ、それは駄目だわ、リリーナ様。ヒイロ=ユイも笑わないと」
「え…?」
「リリーナ様のお話もきっととても楽しいのでしょうけれども、それだけじゃパンチが足りないのよ。もっとこう、過激に刺激的なお話しをして、彼を笑わせるべきだわ。笑いにはその場を潤滑にする効果があると思うの。だから、笑いよ」
「笑い…」

 

 リリーナはドロシーに言われた事を復唱した。

 

「まずは、バライティ番組を観て少しお勉強するべきだと思うわ。でもリリーナ様には少し俗っぽすぎるかしら…」
「いいえ、ドロシー。ヒイロと仲良くなるためでしたら、私なんでもしますわ。そうと決まれば善は急げ、私『お笑い』についてお勉強します」
「その意気ですわ、リリーナ様。頑張って!」

 

 リリーナとドロシーは手と手を取り合いにこやかに笑いあった。

 

          *          *          *

 

 こうしてリリーナの猛勉強は始まった。
 まず暇さえあれば、バライティ番組を観、シャトルの移動時間も録画した番組のチェック。
 お笑い芸人専門の雑誌も買い漁り、御忍びで気になる芸人の生ライブも観に行った。
 毎夜一心不乱にノートにお笑いについて纏める姿はまるで受験生のようだった。

 

 そして2週間ぶりにドロシーとリリーナはお茶会を開く事になった。
 今回はカタロニア邸。

 

「ドロシー。私、この2週間で様々な事を勉強しましたわ。ボケとツッコミ、そのテンポ…。そして気付いた事がありますの」
「なんですの?」
「やっぱり、観ているだけじゃ駄目だと思うの。ドロシー。私と漫才コンビを組みましょう

 

 リリーナはそう言うと優雅にコーヒーを一口飲んだ。

 

「ええ、そうね。…って、ええっ!?」

 

 急な申し出に、ドロシーはガチャリとコーヒーカップをテーブルに落とした。
 幸い中身が入っていなかったので中身が溢れることは無かったが、相当びっくりしたのか、ドロシーの表情は口をポカンと開けたまま固まっている。

 

「心配しないで、ドロシー。もうコンビ名も考えてあるわ」
「そ、そういう事じゃなくて、リリーナ様…」

 

 ドロシーの声が聞こえていないのか、リリーナはそのまま話を続ける。

 

「勉強の結果、売れているコンビというのは、シンプルだけどインパクトのある名前が多い事が分かったのです。ですから、私達のコンビ名は『リドリロ』
「リド…リロ?」

 

 多分2人の名前を掛け合わせたであろう名前を不安気に復唱するドロシー。
 リリーナはなおも話を続ける。

 

「これ以外にも、リリード、ドロリード、リドシリー等を考えたんですが、リドリロが一番しっくりくると思ったのです。ドロシーはどう思いますか?」
「え、ええ…リリーナ様が考えたのが一番だと思いますわ…。リリーナ様、当初の目的は…覚えていますの?」

 

 突然話を振られ、ドロシーは声を上擦らせながら答えた。

 

「勿論、ヒイロを笑わせる為です。その為にも、私達はM○グランプリの頂点を目指しますわ!衣装と小道具についてはパーガンに発注させておきました。明日には届くそうです」
「そう……なんですの……」

 

 ふぅとドロシーは溜め息をついた。
 ちょっと人よりぶっとんだ少女リリーナ。
 当初は『ヒイロと仲良くなる事』が目的だったのだが、何時の間にやら『漫才の頂点を目指す事』が目的になったご様子。
 元はといえば、自分の蒔いた種だが、これにはドロシーも溜め息を漏らすしかなかった。
 恋人と仲良くなる方法として笑いのある会話を薦めたら、まさか自分が漫才コンビを組むなんて誰も想像出来ないだろう。
 でも、それをやっちゃうのがリリーナ・クオリティ。
 そして、それがどこかずれてるのもリリーナ・クオリティ。

 

「そうと決まれば明日から早速練習を始めましょう!場所は私の自宅で、ネタは取りあえず私が考えましたので、それを実践してみましょう」
「え、ええ…そうしましょう」

 

 『ネタ帳』と書かれたノートを握りしめニコニコしているリリーナを前にしては、こう答える以外ドロシーには選択肢が無かった。
 こうして、リリーナとドロシーは漫才コンビを組む事となったのだった。

 

 次の日、1人の少年が悪夢を目撃する事になるのだが、これはまたちょっと別のお話…
 これからもっと大勢が、彼女達、というか主にリリーナ様に振り回されるのもまた別のお話…

 
 

 今日も地球は馬鹿を除いて平和でありましたとさ…

 

 

【あとがき】
 書いてる途中で模範氏の投下があったので、後半は模範氏の話に繋がるようにしてみました、こんばんは。
 もう暫くお嬢様言葉はお腹いっぱいです。
 最近、金髪碧眼の二次元モノ(人形は三次元だけど含む)が、全てカトル様に見えてくる位、カトル大好きなんですが、1回目の投下程活躍させられなくて不完全燃焼気味です。
 00では察しの通りビリー好きです(少し自重せねば)。
 コーラさんも勿論好きですw
 5月以降は私情で水曜日投下じゃなくなるor午前中投下になるかもしれませんが、今後もよろしくお願いします。
 では。

 
 

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