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109◆NEO―GETTER―DESTINY_第0話

Last-modified: 2007-12-02 (日) 17:35:25

           “命を燃やせ!怒りを燃やせ!”



              “今がその時だ!”



             NEO―GETTER―DESTINY

        ―――――― End of The World ――――――

                    

                        ソラ

          遥か遠き未来、人類は宇宙へと飛び出し、

          自らの在り様すら操るようになった時代

         そして、“調整者”と“自然者”、その両者が

          果てしない戦いを繰り広げる混迷の時代



          “風の唸る大地から 遠い星を見上げてる”



            “この蒼い地球に明日は有るか”



             その時代の影で蠢くものたち

             “蒼き楽園”を騙る死の商人

             人々を狂熱に誘う妖しき歌姫

             それに付き従う盲信の白騎士



         “夢を奪い去るものは どんな奴も許さない”

       

              “魂が震える・・・・・・”



             それに立ち向かうものたち

        赤き瞳に怒りを宿し、白騎士に復讐を誓う少年

     大いなる力の導きで世界を渡った、知性の下に狂気を宿す鬼才

 呪われた運命をその血脈に刻み込まれながらも、必死にそれに抗う青眼の麗人



              “立ち上がるんだ!”



       “勇気はあるか 希望はあるか 信じる心に”



           “明日のために戦うのなら”

            燃えろ竜の戦士たちよ

            戦うと言うのならば・・・



            “今がその時だ!”







第0話「隼人が来る!」



 その建物は広い草原の真中にあった。

幾つもの尖塔を備えた大きな建物で、尖塔や建物の屋根には何基ものパラボラアンテナが備え付けてある。

建物の周囲は高い鉄柵と有刺鉄線で囲まれており、随所随所には自動小銃で武装した警備兵が配置されている。

鉄柵で囲まれた敷地の中には、滑走路のようなものや、倉庫や格納庫らしきものも見受けられた。

 この建物の中に、1人の男がいた。年のころ、おおよそ25、6。

長身痩躯で、その体を上手く着こなしたブランド物のスーツと白衣に包んでいる。

長髪で、その長い特徴的な髪型の下には、美しい、しかしどことなく酷薄な印象を感じさせる顔があった。

 男のいる部屋には彼以外には誰もいなかった。

その部屋は、様々な計器や、コンピューター、パイプ、そして用途の良く分からない機械に埋め尽くされている。

そして、男の前に、種々パイプ類の殆んどが接続された、大きな試験管のようなものがあった。

男は、そのある種の猛禽、いや蛇を思わせる瞳で目の前の大きなガラス管を見つめながら、ガラス管の底部、

そして数多くのパイプ繋がっている大きな機械部分に備え付けられたコントロールパネルのようなものの中にある“つまみ”の一つを

慎重にひねった。

パネルの上に取り付けられているモニターに表示された幾つものグラフの数値が上昇し、ガラス管の中に、淡い緑色の、

何故か“生命”の片鱗と、名状し難い“おぞましさ”を連想させる一筋の光が走った。その光を睨み付け、横目にモニターのグラフも

確認する。そして、つまみの目盛りを何度か上げ下げするのを繰り返した後、一旦つまみの目盛りを0に戻し、傍らに置かれた

クリップボードに何かを書き込み始める。

書き込みが終わった後、それをモニターの上に無造作に置くと、機械類の合間置かれていたパイプ椅子に腰掛けた。



(いつだ、いつまでこんな事を続けていけばいい・・・・・・・・)

 男はふと、そんな事を考えた。彼がこの“奇跡の光線”、「ゲッター線」関わってから随分長い時が経っている。

様々なことを経験してきた。恐怖を、歓喜を、情熱を、そして・・・・・・・・・・戦いを。

(結局・・・・・俺は・・・・)

 突如彼の前に現れた異形の者ども、「鬼」。人を喰らい、人を“侵し”さらに巨大な化け物“鬼獣”すら呼び出してきた敵。

その鬼どもの総帥にして人にあって人にあらざるもの、鬼道を事とする陰陽師、安部清明。

そして・・・・・

(あれから何一つ解かっちゃいない・・・・・・)

自らを“神”と呼ぶ、清明すら遥かに越えた力を宿した四人の巨人。

ゲッターを憎み、その殲滅を望みやって来た者たち。「ゲッターの使徒」、流竜馬によって倒された者達。

(竜馬や早乙女に見えたものが、どうして俺には見えてこない・・・・・)

結局のところ彼らは何者だったのか。何処からやってきたのか、何故ゲッターをあそこまで憎むのか。

(奴らのことだけじゃない、俺はまだ・・・ゲッター線についてすら良く解ってはいない!)

奴らとの最終決戦の時に見たあのゲッター線の満ちた宇宙は結局なんだったのか。

それに、あの“名状し難きおぞましさ”を備えた巨大なゲッターロボ。

まるで竜を思わせたあの魔神は?いや、そもそもゲッター線とは一体何なのか。

ただのエネルギーないのは確実だが、では、だとしたらあれは一体何だ。まるで意思を持っているかのごとく彼を、早乙女、全てを導いたあの光線の正体は一体何だというのであろうか。


(何だ、何が足りない。竜馬は改良型ゲッターのコックピットで、早乙女はあの地下の研究室で“何か”を、恐らくゲッターの本質に通ずる何かを掴んだ。どうすれば俺もそこに到達できるっ!)


 彼は今は空っぽのガラス管を穴が開くほど見つめた。そんな事をしても何の前進もしない事は解っていてもそうせざるにはいられない、それほどまでに、彼のゲッター線の本質究明の研究“は”行き詰まっていた。








この北アメリカ大陸の中部某所にある「アメリカ合衆国国立ゲッターエネルギー総合開発研究所」ではゲッター線をありとあらゆる方面から研究していた。

ゲッター線それ自体の研究、ゲッターエネルギーの産業、そして軍事技術への転用の実験を行っていた。

ゲッター線自体の研究はどの研究者も行き詰まりを見せているにも関わらずゲッターを動力とする様々な兵器の開発は着々と進んでいた。しかし・・・

(やはりゲッター線の本質を掴むには「ゲッターロボ」が不可欠なのか・・・・)

合衆国政府の高官たちはゲッターロボの建造だけには最後まで首を縦には振らなかった。

新宿における清明との決着の時の、そして早乙女研究所の辿った末路の惨状が、そして核エネルギーとは異なり本質の究明が進んでいないゲッター線の制御の不安定さが、軍事大国アメリカにすらその使用を躊躇わせているのだ。


(だが、現状のままでは研究に進展は有り得ない。やはりゲッターロボはゲッター線の力を最大限に生かしきれる唯一の存在だ・・・・)

これではアメリカまでわざわざ飛んできた意味が無いではないか。男はそう考える。

 あの早乙女研究所の壊滅、そして戦いの終結の後、日本ではゲッター研究は下火になった。

ゲッターに関わって日本が被った犠牲はあまりに大きすぎた。

原爆による被害が今なお日本の国民に深い核アレルギーを植え付けているように、ゲッター線に対して、日本国民は深い恐怖と疑いを抱いていた。ただ、完全に研究が凍結されたわけではなく、規模こそ縮小されたものの防衛庁において極秘に研究が続けられていた。


早乙女ミチルは今はそこで研究を続けているはずだ。だが、彼はそこには呼ばれなかった。

もともと、彼はテロリストのリーダーとして活動していて、たまたま早乙女博士にその才能を見込まれて無理やりゲッターのパイロットをさせられただけすぎず、法的には正式な肩書きを何も持ってはいなかった。

ゲッターロボのパイロットとしての貢献度から、テロリストとしての活動には罪を問わないことになったものの、さすがに防衛庁に登用されるまでにはいたらなかった。







しかし、そんな彼に眼をつけた連中がいる。アメリカ政府だ。何処で彼のことを知ったかは知れないが、かつて日本のゲッター研究の中枢にいながらも今は研究に関わる事が出来ず、万学に通じる深い教養と高い知性、過激派のテロリストを束ねた優れたリーダーシップ、そして中学高校時代には体操で優秀な成績を残し、あのゲッターロボを操縦しこなした強い肉体とあらゆる面で真に優秀な彼は実に魅力的な人材だった。


彼にしてみても、自分の生涯をかけて取り組もうとしているゲッター線の研究さへできるならば、自分の生まれ故郷である小さな島国などになんの未練も感じない。両者の利害は一致した。


(・・・・・・)

 ゲッター線。それは神秘にして奇跡、恐怖にして戦慄たる存在。自分の運命を捻じ曲げたもの。

そして、初めて自分を満たしてくれたもの。

 ゲッターに出会うまで満たされた事などなかった。彼の他者よりもあまりにかけ離れた才能にはあの島国は小さすぎた。

だから満たされる事の無い胸のうねりは無意味な破壊へと噴出しのだ。

 だが、そんな日々もゲッターとの出会いで変わった。自分の全てをかけて打ち込むに足るゲッターとの出会いで確かに彼の人生はかわったのだ。だが、それも今は行き詰まりを見せている。


 (・・・・・ゲッターよ、俺には何もかたりかけてくれないのか・・・・・)







そんなことを考えたからだろうか。突如ガラス管の中があの蛍の光のような燐光で満たされる。

「!・・・・・・つっ!!!!!?!!?!!!!!?」

つまみは一切動かしていない。にも関わらず、ガラス管の中の光は徐々に輝きを増し、モニターのグラフはその数値を急速に高めている。

「何だ、何が起こって・・・・・っ!むぐあああ?!?」

それは突然だった。ガラス管の中の光が急に強まったかと思うと、それはまるで爆発するかのように、ガラス管の中から溢れ出した。

「があああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!」

光は部屋を一杯満たし、男はその中に飲み込まれていった。

 突然現れた光は、現れたときと同じようにすぐに何事も無かったのように消えた。

部屋の中に何の変化はない。ただ、部屋の中にいた男の姿が忽然と消えてしまった事を除いて。

 



それは、ゲッター線の導きなのであろうか。男は、神隼人はこの世界から消えた。 






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