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109◆NEO―GETTER―DESTINY_第04話

Last-modified: 2007-12-02 (日) 17:41:23

第四話「星屑の中へ」



「“アビス”、“カオス”・・・・っ!ステラは失敗したのかっ!?」

モビルアーマー“エグザス”のコックピッの中で地球連合軍特殊部隊にして、ブルーコスモスの私兵部隊「ファントムペイン」の隊長、ネオ=ロアノークは驚いたように言った。敵新型機種“セカンドステージシリーズ”の強奪任務にあたったのは三人とも連合側の次世代強化兵士「エクステンデッド」だ。並のコーディネーターなど相手にならない戦闘能力を保有している。予定の時間よりも大幅に遅れていることから、何か不測の事態が起こったのではとは考えていたが、まさかステラがしくじるとは完全な想定外だ。


「いったいぜんたいどうし・・・!・・・・あれ・・・か?」

アビス、ガイアが続けざまに“アーモリーワン”外壁に空いた穴から飛び出してきたのを追う様に、“それ”は飛び出してきた。大きさはおおよそ22、3メートル。白い尖り頭に、右手の原始的な三本爪のアーム、そして左手のドリルが非常に特徴的な“ロボット”だった。そう、こいつはMSでは無い。見るものが見れば一目でわかるほどそれは明らかに機体の構造がMSとは根本的に異なっていた。


「やれやれ・・・・・・まさかあんな物を作っていたとはね・・・これは俺のミス・・か・・・」

よほどの機密にされていたのか、こちら側の情報網にまるでひっかからなかった。だが、もともと機密にしているものを探すのが自分の仕事。言い訳はできない。

(・・・それにしても、コイツは・・・・)

ネオはこの白い巨人に底知れぬ恐怖感を抱いていた。彼はもともと妙に勘が鋭いと言うべきか、他人には感じ取れないものを感じ取る第六感のようなものが備わっていた。その鋭敏な感覚が、“白いやつ”から何か不吉なものを感じ取っていた。だが、


「“オトシマエ”はちゃんとつけななきゃな・・・」

そう呟くと、ネオ=ロアノークはガーディールーにレーザー通信で通信文を出し、続けてコバンザメの様に張り付いていた“アーモリーワン”外壁から飛び出した。



「シンが、カオス、アビスを追って宙外に飛び出しました!」

「っく!」

メイリンの報告に思わずタリアは唸る。ゲッターがそう簡単にやられるとは考えにくいが、それでも単独操縦での敵の深追いはやはり危険だ。そう考えていたまさにその時、


<グラディス艦長!ミネルバを発進させてくれ!>

ブリッジに突然に精悍な男の声が響いた。

「ジン長官!?」

モニターに髪の長いサングラスをかけた男の顔が映る。ハヤト=ジンNISAR局長だ。ただ、モニターに映っているのは彼だけではなかった。

「!ジン長官、その子は!?」

モニターにはハヤトに所謂“お姫様だっこ”をされた、額から血を流している少女が映っていたのだ。どうやら意識はないらしく、目をつむったままだ。

<詳しい話は後だ。それよりも早くミネルバを発進させてくれ!>

「ちょ・・・ジン長官!いくらなんでもそれは・・・」

横やりを入れてきたのはアーサーだ。なるほど、心情的には理解可能だ。なんせ彼らはまだ実戦はおろか、進水式すらやっていない。だが・・・・

<シンはよくやっているがこれ以上は限界だ。ゲッターまでやられるわけにはいかんだろう!>

「・・・・わかりました。ミネルバ発進させます!」

「か、艦長!」

ブリッジにざわめきが起こる。だが、現状ではほかに取るべき道はない。

「・・・頼む、タリア・・・」

タリアと目のあったデュランダルも苦い顔をしながらもうなずく。

「ミネルバ、発進シークエンススタート!本艦はこれより戦闘ステータスに移行する。」



「レイ!発進準備はできているな?」

「隊長!いままでどちらに?」

格納庫に入ってきたのはハヤトだ。まっすぐべーア号へと向かってきて、ハッチを開けた状態で待機していたレイに問いかける。

「野暮用だ!それより、ミネルバが発進し次第すぐに出るぞ!」

「!・・了解しました。」

「イーグル号の誘導は俺がやる。出たらすぐにゲッター2にチェンジだ。シンを援護するぞ。」

「はっ!」



「くっ!くそっ!コイツっ!」

シンは突然どこからともなく現れ、襲いかかってきたMAに苦戦していた。赤紫色のその機体は、すさまじいスピードでゲッター2の周りを駆け巡る。無論、スピードで負けるゲッター2では無い。だが、単独操縦で、しかも慣れないゲッター2での戦闘。必然的に動きは鈍くなる。しかも、


「・・・!っく、がああああ!」

右肩にビームが着弾する。また敵の“アレ”だ。宇宙の闇を変幻自在に駆ける四つの小さな影。おそらく、カオスの兵装ポッドとよくにた代物だろう。だが、その巧みな動きは、さきほどのカオスのパイロット―――あれは、あれで一流のパイロットだったが―――とはけた違いだ。まだまだ“ゲッター乗り”としては未熟なシンではうまく対応できない。ゲッターの並はずれた装甲がなければ、今頃はすでに宇宙の藻屑だっただろう。


(どうする・・・このままじゃじり貧だっ!何か・・・何か・・・・!)

敵の兵装ポッドを見て瞬時に閃くシン。そして・・・・・・

「オォォォォプゥンゲットオオオオオオッ!」

ゲッター2は再び三機のゲットマシンに分離した。

「うまくいくか?・・・・・けど、やるしかっ!」



<システムコントロール全要員に伝達。現時点をもってLHM-BB01“ミネルバ”の識別コードは有効となった。“ミネルバ”緊急発進シークエンス進行中。A55M6警報発令、ドッグダメージコントロール全チーム、スタンバイ・・・>


発進シークエンスが進む。それに合わせて、ミネルバの船体は徐々に下方へと沈んでいく。ミネルバの船体が発進ゲート内に完全に入り込んだ。

「発進ゲート内、減圧完了。いつでも行けます!」

「機関始動。ミネルバ発進する!」

漆黒の宇宙へと、“知恵のフクロウの女神”の名をもつ白亜の戦艦は飛び出して行った。



「・・・・外に出た様ね・・・。」

ミネルバの医務室。その中で、ミネルバに配属されている女軍医、リエコ=タナカはつぶやくように言った。彼女の傍らのベッドでは、頭に包帯を巻いた金髪のかわいらしい少女が寝ている。服装から判断するに軍人ではない。だが・・・


(“あの人”がただの民間人をわざわざ助けて連れてくるはずもない・・・・)

恐らくこの少女には“何か”あるのだろう。そう考えて彼女はため息をついた。

実は彼女はNISARに所属しており、今回このミネルバに乗り込んだのも、“ゲッター乗り”のサポート、そしてゲッターロボの人体に与える影響の調査のためだ。故に、彼女はミネルバの軍医でありながら、タリアではなくハヤト=ジンの指揮下にあった。


「この子を看ていてくれ。他の軍医や看護婦には見せるな。たとえ起きても、お前以外の人間と無闇に接触させるな。」

それがあの男の命令だ。どっからどうかんがえても普通ではない。

「全く・・・・・・困ったものだわ・・・・・」

全くあの男に目をつけられてしまったのが運の尽きだろう。自分も、そしてこの子も。そう考えてまた彼女はため息をついた。



「三機の戦闘機の合体分離変形!コイツは・・・・」

ネオは“エグザス”のコックピットで呻く。いくらMAクラスのものとはいえ、ビームの直撃を何発くらってもくたばらない化け物装甲に、時折見せる異様な機動性。しまいには三機の戦闘機への分離。常識はずれもはなはだしい。


「こいつはいよいよ見逃すわけにはいかないな・・・・」

いったんガンバレルを戻して、三機の戦闘機を追尾する。三機は複雑な動きでこちらを翻弄しようとしてくる。だが・・・・・・・



「その程度の動きで俺から逃れられると・・・・!」

複雑な軌道で宇宙を駆けていた三機の戦闘機は、互いに急接近をする。おそらくまた合体するのであろうが・・・・・

「むっ!」

どうもさっきとは様子が違う。まず、白い機体に赤い機体が背後より接続する。

続けて、白い機体が形状を変化させ、二本のあしのようなものと、一本の尻尾のようなものになる。

さらに、赤い機体に真上から黄色い機体が突き刺さった。

顔が出てくる。そして、二本の凄まじく長い黄色のアームが飛び出してきた。

「さっきの白いのとは別か!くっ、とんだ奇天烈ヤロウだな、君は!」

目の前の期待のその驚異の機構に驚くネオ。だが、その姿を観察するにつれて戸惑いを感じる。何故なら・・・

「この状況で何故そんな形態をとる?」

目の前の機体の脚部はキャタピラなのだ。その鈍重そうな外見から察するにこの機体のコンセプトは“カズウート”のような砲撃戦用、さらに言えば地上戦用の機体だ。今のような宇宙空間における高速機動戦闘においてはまったく向かない機体だった。敵の意図が読めない。


「それとも・・・・苦戦してきてボロがでたか・・・いずれにしろ・・・」

火力で押してくることも考えられるが、だとすれば敵はコチラをMAだと言ってなめているようにしか思えない。少しばかり火力で押し込まれたからと言って、負ける自分では無い。


「叩かせてもらう!」

“ガンバレル”を開放して攻撃しようとしたその時、

「っ!ぬおおおおおおおおおおおおお!」

冗談にならない数のミサイルの群れがこちらに迫ってくる。“黄色いやつ”の脚部が展開しそこからミサイルが噴き出してきたのだ。その予想外の数に一瞬面食らうが、

「はああああああああああああああ!」

錐揉み飛行しながらそれを避ける、避ける、避ける!そして、全てのミサイルを避けきったと思ったその時、目の前に黄色い腕が飛び込んできた。



「よーし!うまくいったぁ!」

はっきり言って一か八かだったがうまくいったらしい。ゲッター3の持ち味である通常兵器の大火力で敵を翻弄し、誘導し、この凄まじく長く延びるアームで捕える。敵は超一流だが、いくらなんでもこの常識外れの戦法には対応できなかったようだ。当然といえば当然だ。空間戦闘において高速で飛行するMAをこれだけ離れた距離から“手”で捕まえるなど、少なくともMSにはできない芸当だ。


「このままっ!」

今、ゲッター3の手の中にあるMAをそのパワーでひねりつぶそうとしたその時。

ゲッター3の胸部、つまりイーグル号の部分の表面が突如爆発した。

「っ!がああああああああっ!・・・・・しまった!」

コックピットにもろに伝わってきた衝撃に翻弄されるシン。思わず、MAを掴んでいた手を放してしまう。この一瞬の隙を逃さず、MAはその場所から離脱した。

「くっ・・・・・あいつらかぁ!」

いつの間に接近されていたのか、二機の黒い“ダガータイプ”がこちらに肩に担いだバズーカの砲口を向けている。恐らく、さっき打ち込まれたのもこれと同じものだ。

続けて、次の弾も飛んでくる。

「なめるなああああああああああっ!」

即座にオープンゲットをする。そして、瞬く間にゲッター1にチェンジした。

「宇宙空間じゃ遠慮はいらないな!ゲッタアアアアアアビィイイイイイイイイイイイム!」

ゲッター1の腹部の一部が割れ、中から赤色のレンズのようなものが出てくる。

そこから、蛍光ピンクの光の線が、凄まじい勢いでほとばしる。二機の黒いダガーのうち、一機は、とっさに回避に成功するが、もう一機は、その光の爆流に飲み込まれ、跡形もなく消滅する。相も変わらず凄まじい威力。自分で撃ったとはいえ、思わず唾をのむ。


敵もその威力に驚いたらしく。遠巻きにビームライフルを放ってくる。それだけでは無い。

別の方角から、さらにもう一機のダガーが高速で接近ながら、ビームを放ってくる。

例のMAはどうも撤退したらしい。残った“ダガータイプ”二機が、遠巻きにビームを放ちながら、連携して攻撃してくる。

「くっ!・・・うっとおしい!ゲッタァアアアアアアアアアウィイイイイイング!」

ゲッター1の両肩に付けられた鎧の肩あてのような部分の一部が、まるで翼のように伸びる。ゲッター1の飛行、あるいは高速移動用機構、ゲッターウィングだ。

「うぉおおおおおおおりゃああああああああああああ!」

ゲッター2にこそ及ばないものの、それでも凄まじいスピードでゲッター1は宇宙空間を一直線に駆ける。瞬く間に通常色のダガータイプとの間合いを詰めると、ゲッター1はそのままダガーの懐に突っ込んで、拳をダガーの腹部、コックピットのあるあたりに叩き込む。どれほどの衝撃なのか、その一撃だけでダガーは解体寸前の機体のようにあちこちがきしんで壊れる。コックピットは完全につぶれ、ダガーは宇宙の暗闇の中に一直線に突っ込んでいく。


「ゲッタァアアアアアアアアアアアアトォマホォオオオオオオオオオオオク!」

左肩から通常の実体型ゲッタートマホークが飛び出す。

「トォマホォォォクブゥゥゥゥゥゥゥメラン!」

それを振り向きざまに、背後に迫っていた黒いダガータイプに投げつける。

とっさに回避する黒いダガー。しかし、そこが一瞬のすきになる。

「もらったああああああああああああ!」

一瞬で黒いダガーの目の前まで急接近したゲッター1はいつの間にか両手で握っていたゲッタービートマホークを振りかぶって、そのまま振り下ろす。黒いダガーは真っ二つになって爆散した。




「イザワ少尉のダガーL、ホシ中尉のダークダガーともに沈黙!」

「くっ、奴はバケモノかっ!」

オペレータの伝える惨状におもわず、“ガーティ・ルー”艦長イアン=リー少佐は呻いた。モニターに映っているのは、文字どおり悪鬼のごとき強さをみせた赤い鬼だ。ついさっき全速力で帰艦してきた“エグザス”もかなりガタが来ていた。撃墜されなかっただけでも儲けものだし、なによりもそれを最初のうちは押していた自分の上官の力量に舌を巻く。そきほど撃墜された二機のパイロットもかなりの腕前だったにも関わらず、まるで木偶人形のごとく粉砕されてしまったというのに。


「・・・っ、こいつは・・・」

「どうした?何があった!」

突然うめき声をあげたオペレーターに問うイアン。

「せ、戦艦と思しき熱源接近!類別不能!レッド58マーク80デルタ!」

「例の新型艦かっ!くそっ、こんな時に!」

「状況はどーなってんだ!」

イアンが新手の登場に舌うちしていたちょうどその時、仮面の大佐がブリッジに戻ってくる。

「イザワとホシがやられました。さらに敵の新造戦艦が救援に出てきた模様です。」

「くそっ!戦艦はともかくあのゲテモノマシンをなんとかせんことには・・・・」

ネオがどうこの状況をどう切り抜けたものか思案していると、イアンがおもむろに口を開いた。

「大佐・・・・特別仕様のHSフォースストライカーパックが一つ余っています。

本来はホシ中尉の物でしたが、彼が死んだ今、使い手がいません。予備のダガーLにそれを装備して、もう一度出てもらえませんか?」

「イアン?」

突然何か言い出した部下に怪訝な様子を見せるネオ。

「申し訳ありません。囮になって、あの赤い機体を少しばかり抑えていてほしいのです。上官にこのような事をいうのは常識外とは自覚しておりますが、今、アイツを抑えれるのは大佐、あなただけなのです・・・・」


本々真面目な軍人のイアンだが、その硬い表情をさらに硬くして、真剣な目でネオの顔を見据える。それに対しネオは・・・・

「何か手があるのか?」

「はい、少しばかり時間を稼いで下されば、その間にあの戦艦を何とかします。

大佐を必ず回収すると約束します。」

暫く見つめあう二人。最も、ネオの表情は仮面に隠れて見えなかったが。

「・・・・いいだろう!ここはまかせたぞ!」

「はっ!大佐ご武運を!」

ネオは格納庫へと走り、イアンは自分の席に戻った。





「ミネルバっ!出てきたのか。」

ダガー二機を瞬く間に屠った後、敵の母艦を探していたシンの目に白亜の戦艦が飛び込んでくる。

ゲッターチームの母艦、ミネルバだ。

<シン、聞こえているか!俺だ!聞こえてるなら返事をしろ!>

突然無線から聞き覚えのある、いやありすぎる声が飛び出してくる。ゲッターロボの開発者にして、ゲッター線研究の第一人者、“NISAR”局長、そしてゲッター2のパイロット、ハヤト=ジンだ。


「はっ、はい!聞こえています。」

<よし!いいか、俺達が出たらすぐにオープンゲットしてジャガー号とベアー号をミネルバに戻せ。

そして俺とレイと合体しろ。>

「了解!」

すぐにジャガー号、そして続けてベアー号がミネルバから飛び出してくる。

シンはそれを確認すると、

「オォォォプゥンゲットォォォォォ!」

ゲッター1は直ちに三つの戦闘機に分離し、そのうち二機は、ミネルバから出てきた二機とすれ違う様にミネルバに戻っていく。

<シン、行くぞ!>

「はいっ!チェエエエエエエエエエエエンジ!」

シン、ハヤト、レイの機体が縦に一直線に重なる。

「「「ゲッタアアアアアアアアアアアア!ワン!」」」

三つの機体は一つとなって、強く邪悪な赤い鬼となる!



「“ボギーワン”より出撃した新たな機影確認!MS、“ダガータイプ”一機です!」

索敵担当、バート=ハイムの声がCIC(戦闘指揮所)に響く。

「一機だけ?後続は?」

「今のところ確認できません!」

この状況で、一機のみ。囮だろうか。

しかし、ゲッターの戦闘能力を目の当たりにした敵が、戦力の出し惜しみをするとは考えにくい。

タリアは敵の意図を考える。

「ジン隊長、聞こえていますか?」

<聞こえている。一機来たな、どうする?>

「敵の意図が気になります。とりあえずゲッターで押さえておいてください。

可能ならば撃墜を。こちらは母艦をたたきます。」

<了解した。聞いたな、シン、レイ!行くぞ!>

<<はいっ!>>

「よし!本艦は、“ボギーワン”に攻撃を開始する。」

タリアが高く声を上げる。

「“トリスタン”一番二番、“イゾルデ”起動!照準、“ボギーワン”!」





「こ、コイツ、速い!」

目の前の新たに出てきた“ダガータイプ”のスピードに驚くシン。

MAクラスとまではいかないにしても相当なスピードだ。

<シン、俺に任せろ!ゲッター2にチェンジだっ!>

「了解っ!レイ合わせろ!」

<ああ、いくぞっ!>

「「「オォォォプゥンゲットォォォォォ!チェェエエエエエエンジ!ゲッタァアアアアアアア!トゥウウウ!」」」

赤い鬼は三つに分かれ、敵のビームを凄まじいスピードでよけながら再び一つの白い獣となる。

<速さでゲッター2に勝てると思うなっ!マッハの戦いを見せてやる!>

敵の撃ってくるビームをシンの単独操縦時とは比べモノのならない速さ、身のこなしで避けるゲッター2。

シンにはわるいが、やはりハヤトとはゲッター乗りとしての年季が違う。

ドリルを高速回転させながら、まるでUFOのようなジグザグ高速飛行でダガーに突っ込んでいく。

敵もビームライフルを連射して、こちらの突撃をとどめようとするが、ゲッター2にはかすりもしない。

手数勝負のつもりかミクロミサイルの群れを放ってくるが、ハヤトは頑丈なドリルでそれを薙ぎ払いながら突き進む。

<おおおおおおおおおおおおおおおっ!>

ゲッター2はダガーに急速接近し、ドリルを前に突き出した状態で敵のコックピット目掛けて突っ込む。

ダガーは間一髪でそれを回避し、ゲッター2の頭部を蹴って、間合いを取り、そのまま全速力で離れる。

だが、ハヤトもただでは逃がさない。額のひし形の装飾が展開し、低出力のゲッタービームがほとばしる。

ダガーは重傷は避けたが、左腕を持っていかれる。そしてまた、極限の“鼬ごっこ”が始まった。



「“ボギーワン”、船体の一部を分離しました!」

「!・・・・・・・」

タリアは考える。これからの逃走のために重量軽減か?やはりあのダガータイプは時間稼ぎ役か?そう思っていた時、切り離された物の形状が目に入ってくる。

突き出た支柱の先端に噴射口のようなものを備え、基部近くでタンクが支柱を取り巻いている・・・

「!!・・・・撃ち方まてぇ!」

その正体に気付いてタリアは叫んだ。

「面舵10!機関最大!」

避けられるかっ?タリアの命令に従い、ミネルバは舵を切ろうとするが・・・間に合わなかった。



「!!!!!!」

衝撃。二基のタンクが炸裂し、その衝撃がミネルバを襲ったのだ。大きく揺さぶられるブリッジ。

敵の切り離したのはおそらく予備の推進装置。その中に詰められた推進剤を機雷のように破裂させたのだ。

「各ステーション!被害報告!」

「バート、敵艦の位置は?」

「待ってください!まだモニターが・・・!」

「くっ!・・・・CIWS起動!アンチビームばくら・・・・・!」

敵の予期できぬ奇抜な攻撃に混乱するブリッジ。それでもタリアは懸命に指示を出すが・・

「!・・・うわあああああああああ!」

「っっっっ!・・うろたえるなぁ!」

再び船体が揺れる。敵の放ってきたビームがミネルバの船体をかすめたのだ。

情けない叫び声をあげるアーサーをタリアが叱責する。

「モニターはまだ回復しないの!」

「・・・・見えました!レッド88マーク6チャーリー!距離500!」

「馬鹿な・・・・・この状況で・・・・」

敵の意外な行動に呻くタリア。

「逃げた・・・・」



「っ!ミネルバが!」

一瞬、モニターによぎった光景。敵の攻撃を受けているミネルバの姿が映ったのだ。そして・・・・

「っ!コイツ!逃げる気かあ!」

凄まじいスピードでこの宙域からりだつしていくダガータイプ。だが・・・

「隊長!なぜ追わないのですか!」

<落ち着け、シン。深追いは禁物だ。それに、あの状態でミネルバをほおっておくわけにはいかんだろう。>

なぜか追撃しないハヤトに叫ぶように尋ねるシン。それにこたえるハヤト。

「し、しかし・・・」

<落ち着け、シン。冷静に状況を見ろ。炉心が過熱しすぎている。深追いしすぎるとこっちも危険だ。>

「・・・・・・」

レイの冷静に諭す声に、シンもようやく落ち着いてくる。

「・・・くそぉ!」

毒づくシン。そして、彼は、敵の消えていった星屑の海をじっと睨みつけるのだった。










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