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機動戦士ガンダム00 C.E.71_第41話 の変更点


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 第八艦隊と合流してから暫く経ち、 
 アークエンジェルの居住区では連合軍による民間人への説明が行われていた。 
 漸くオーブに帰れる算段が付いたともあって、長い艦内生活で疲労の溜まっていた民間人達も 
 希望に満ちた表情で士官の説明に耳を傾けている。 
 そんな中、彼らとは別の問題を抱えた者が集まってこれからの事を相談していた。 
 「どうなるんだろう僕達・・・」 
 「降ろして貰えるさ。そういう約束だっただろう?」 
 心配そうに俯くカズイの肩をトールが叩いた。 
 他の民間人と違い軍服を着込んだ彼ら学生組は艦の仕事を手伝った事で、 
 正規では無いとはいえ軍人として活動してきた事になる。 
 軍のルールが今一分かっていない彼らは、自分達が他の民間人と
 同様の扱いが受けられるのか気掛かりなのだ。 
 「でも、そんな簡単に軍って辞められるものなの?」 
 「・・・・・・」 
 ミリアリアの呟きに、座る面々の間に重々しい沈黙が流れる。 
 とその時、他の士官と比べても一際目立つ佐官の軍服を着込んだホフマンが一団の前にやってきた。 
 軍人特有の高圧的な態度の彼に、悪い知らせかと体を強張らせた一団だったが、 
 ホフマンが持って来た知らせは、意外にも彼らにとって良い知らせであった。 
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 「除隊許可書?」 
 トールが頭を捻る。 
 1枚ずつ配られた書類には、良く分からない文字の列が延々と続いていた。 
 「君たちは正規では無いとはいえ志願兵としての記録が残っているからな。 
 これはその記録を終わらせるパスポートと思ってくれて構わない」 
 「じゃあ、これにサインすれば普通に・・・」 
 「機密の公言など、発言に多少の制限がかかる事になるが、オーブ本国へ帰る事が出来る。
  ・・・そういえば、キラ・ヤマト少尉とカマル・マジリフ曹長はいないな」 
 「あ、ここには」 
 「まぁいい。これは少尉と曹長の分だ。後で渡してやれ」 
 「はい」 
 ホフマンはキラと刹那の分の除隊許可書をトールに手渡すとそのまま去って行った。 
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 トール達がホフマンから除隊許可書を受け取っている頃、 
 キラはストライクのOSを弄る為にハンガーに来ていた。 
 OSに掛けたロックを緩くする為である。 
 もし除隊の決定からここを去るまでの時間が無かった場合、
 OSの正常化が時間的に間に合わない可能性がある。 
 だから予めロックを緩くしておく事で、連合の人間でも簡単にOSを正常化出来る様にするのだ。
 「キラか」 
 「あ、カマルさん」 
 ストライクのキャットウォークに上ろうとすると、横から刹那が話し掛けてきた。 
 刹那は今までジンメビウスの調整を行っていた様で、未だにパイロットスーツのままであった。 
 「飛ぶ鳥跡を濁さず、か」 
 「まだ、分かりませんけど」 
 「帰れるさ」 
 不安げなキラに、刹那が笑い掛ける。 
 その表情はまるで他人事の様で、キラは考えていた事を思い切って質問する事にした。 
 「カマルさんはどうするんですかこれから」 
 「・・・まだ考えて無いな」 
 「ええっ!?そんな、他人事じゃないんですよ?」 
 予想通り他人事の様に言う刹那にキラは頭を抱えた。 
 頼り甲斐はあるが、やはりこの人は何処か抜けている。 
 表情を変えない刹那に、キラが更に言葉を重ねようとすると思わぬ人物が現れた。 
 「どうしたねそんな声を上げて」 
 「じゅ、准将さん」 
 突然現れたハルバートンに、何故ここにいるんだという目を向ける2人。 
 周りの整備士達も責任者がいない為か顔が引き攣っている。 
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 「いや、やっと煩い副官を撒いた所でな。是非君達と話をしてみたかったのだよ」 
 「僕達と、ですか?」 
 不思議に思うキラにゆっくり頷くと、 
 ハルバートンはストライクを見上げながら口を開いた。 
 「このMSは、ジンに対抗する為に作られた。 
  パイロットの質でナチュラルがコーディネーターに劣るのは分かっていたのでな、 
  だからPS装甲やアンチビームシールドで防御を固めたのだ」 
 「はぁ」 
 話が見えないキラは首を傾げながら曖昧な相槌を打つ。 
 「しかし皮肉な物だ。ジンに対抗する為の物も、君達コーディネーターが乗るとそれを圧倒してしまう。 
  これが量産されれば若者が死なずに済むと考えたのに、
  偶然とはいえ搭乗者も子供とは我ながら無力な物だ」 
 「それは・・・」 
 目を細めるハルバートンに、キラは言葉に詰まった。 
 巻き込んだ責を彼に押し付けるのは簡単だが、それは同時に、 
 自分のコーディネーターとしての優位性を示す様で、口にするのが憚られた。 
 「済まない、詰まらない話をしたな。・・・カマル君だったか」 
 「はい」 
 話の相手を移したハルバートンがキラの後ろに立っている刹那に顔を向けた。 
 「君は本当にナチュラルかね?」 
 「はい」 
 唐突に放たれた質問にキラは一瞬ヒヤリとするが、刹那は表情を動かさずに即答した。 
 その様子を吟味する様に眺めるのも一瞬、ハルバートンは満足げに頷いた。 
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 「いやスマンスマン。 
  ウチの副官がどうも君をコーディネーターのスパイと疑っている様でな。 
  試させて貰った。うむ、間違い無く君はナチュラルだ。私が保障する」 
 ドンと自分の胸を叩いて見せたハルバートンに刹那は若干の罪悪感を感じたが、 
 彼らの分類に依れば刹那は間違い無くナチュラルであった。 
 「だが、なら何故ジンを動かせる?実験用の機体とはいえ、 
  コーディネーター用のOSしか積んでいない筈だが」 
 ザフトでしかMSが普及していないのは、操縦の複雑さから来る 
 制御の難しさを克服出来るのがコーディネーターだけという理由がある。 
 これは脳の処理能力でコーディネーターがナチュラルに勝る証左でもあった。 
 つまり、技術の未発達から来るOSの未熟さを、コーディネーターという人間の
 性能の高さで補っているという事である。 
 刹那の考えでは、C.EにとってMSはオーパーツなのだ。 
 本来なら完成出来ていない新たジャンルの兵器を、コーディネーターというチートを使って
 無理矢理実用化している。 
 だからこそ、今までMSはコーディネーターの兵器として君臨してきた。 
 連合もオーブの力を借りてやっと実用一歩手前まで漕ぎ着けた訳だが、 
 それでもまだナチュラル用のOSの完成には至っていない。 
 ハルバートンの疑問は、それをG計画の責任者として誰より痛感しているからこその物だった。 
 刹那も真顔の彼に真剣さを感じ取り、慎重に口を開く。 
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 「何も、MSは他と隔絶した超兵器では有りません。 
  MAに手足を取り付けたのがMSで、OSはそれに応じて複雑になっているに過ぎない。 
  つまり、MAを2機同時に操作できればナチュラルでもMSは扱える。 
  私は他人より少し器用なだけです」 
 一気に言い終えると、刹那はまた元の仏頂面に戻った。 
 それを聞いたキラは良く分からないという顔をし、ハルバートンは腕を組んで唸った。 
 「ふ~む。理論上、一点においてナチュラルがコーディネーターを超える事はあるからな。 
  君がそれと仮定しても、やはり他の兵に置き換えられるモノではないなぁ」 
 「お役に立てずに申し訳無い」 
 ファーストコーディネーターであるジョージ・グレンが 
 オリンピックで銀メダルに終わった事から見ても、 
 才能有るナチュラルならコーディネーターを上回るのは可能である。 
 しかしそれはあくまで才能のある一点であり、 
 それこそナチュラルの世界で1、2位を争う様なハードルの高さが求められる。 
 その理論を万人が扱う兵器に持ち込むのは些か無理があった。 
 「いや、君はこれからの人生でその才能を存分に生かしてくれれば良い。 
  戦う戦わないは別としてな」 
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 「閣下!」 
 話が終わった辺りで、ハンガーの出入口から第八艦隊の士官が焦った様子で駆けてきた。 
 ハルバートンはそれに応え、士官から耳打ちを受けて静かに頷いた。 
 「君達の除隊許可書は、ホフマンがサイ君達に渡したそうだ。後で受け取ると良い。 
  それをどうするかは、君達の判断に委ねる、ではな」 
 軽く敬礼すると、踵を返したハルバートンは堂々とした背中を見せながら去って行った。 
 「本当に、これで艦を降りられる・・・降りても良いんでしょうか?」 
 「それは各自で決めろ、准将はそう言ってた。 
  とりあえず受け取りに行こう。サイ達と相談すれば良い」 
 「そうですね」 
 去り際のハルバートンの言葉に、複雑そうな顔で呟くキラ。 
 しかし刹那の応えに幾分表情を和らげた。 
 「ところで・・・」 
 「ん?」 
 「カマルさんしっかり敬語使えたんですね。びっくりしました」 
 「・・・そんな風に見えるのか俺は・・・」 
 居住区へ向かおうと歩き始めた矢先に言われた言葉に、若干傷付いたという顔をする刹那。 
 これまでの人生の中で敬語を使った事が殆ど無いのは事実だったが、 
 一応CBの訓練の一環で敬語は正確に使える。 
 これからは積極的に敬語を使っていくべきかと悩む刹那であった。 
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 学生組の面々は、ホフマンから除隊許可書を貰った場所で未だに思考の渦の中にいた。 
 いざ除隊出来るとなると、なんだか尻込みしてしまうというのが大多数の思考であった。 
 しかし、1人の発言でその沈黙は終わりを迎える。 
 「俺は・・・俺は連合に残る」 
 「サイ・・・」 
 決心した様に立ち上がったサイが宣言した。 
 メガネ越しに見えるその目に最早躊躇いは無かった。 
 「でも、それじゃあフレイはどうするの?」 
 「・・・フレイにはまだ保護してくれる親族の人が沢山いる。 
  裕福な人ばかりだから、キチンとした所で静養させてくれる筈さ」 
 アルスター家は代々の名家である。 
 フレイの父、ジョージ・アルスターが大西洋連合事務次官である様に、 
 他の親族の人々も社会的地位は高く、余裕のある暮らしをしていた。 
 それに、もし共に帰ったとしても許婚関係は親が決めた事である。 
 その親であるジョージが亡くなった今、許婚という関係が無くなる可能性もあった。 
 「理由はなんだよ?まさか復讐・・・」 
 「違う!フレイがあんな目に遭ったのもこの戦争のせいなんだ。 
  だったら、同じ様な子を生み出さない為にも、俺に出来る事をしたい。そう思ったんだ」 
 サイの言に、場が沈黙した。 
 皆が彼の戦う理由を聞き、再度考える時間を必要としたからだった。 
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 「・・・俺も残るぜ」 
 「トール、いいのか?」 
 「愛着っていうのかな、俺達が降りた後にこの艦が沈んだら、なんか良い気しないからな」 
 頬を掻きながら立ち上がるトールにサイが不思議そうな顔をする。 
 てっきり自分以外は降りると思っていたのだ。 
 「トールが残るなら、私も残るわよ」 
 「僕も・・・1人だけ降りるんじゃ情けないし」 
 残る2人もトールに続いて立ち上がる。 
 この仲間内でのサイのリーダーとしての存在が大きかったのも事実だが、 
 彼らそれぞれに些細ながらも理由があるのも事実だった。 
 「そういえば・・・キラは、降りるのかな?」 
 ふと思い出したのか、カズイが小さく言った。 
 「降りるだろアイツは。ていうか降りて欲しいよ。 
  あんなに辛そうなキラ、もう見たくねぇ」 
 それは皆が共通して思う所だった。 
 アークエンジェルに来る前、カレッジに通っていた時の彼は、こんなキャラでは無かった。 
 やろうと思えば何でも出来るけれど、努力は嫌い。 
 人と話すのは若干苦手だったが、それでも根暗という訳ではなく。 
 不思議と誰とでも仲良くなれる中庸な人間だった。 
 そんなキラが、様々な重い問題に直面して擦り減っていく様な姿は、もう見たくない。 
 だから、キラがアークエンジェルを降りる時は、精一杯明るく送り出してやろう。 
 そう決心した4人だった。 
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 刹那とキラが居住区に通じる通路に入ると、そこは既に民間人の列でごった返していた。 
 聞けば、もうアークエンジェルから降りる 
 シャトルへの搭乗が開始されているとの事だった。 
 サイ達も既にそちらに行っているかもしれない。 
 ここで彼らを探しても入れ違いになる可能性がある。 
 キラはそう判断し、シャトルの発着用ハンガーでサイ達を待つ事にした。 
 「来ないな」 
 「まだ乗っていない筈なんですけど・・・」 
 シャトルに民間人が乗り込んでいくのを見送りながら、 
 キラは少し焦り気味に辺りを見渡す。 
 搭乗口の士官に話を聞いても、サイ達はまだ乗っていないという話だった。 
 すると、待ち惚け状態のキラの下に列からまだ幼い女の子が駆け寄ってくる。 
 その後ろから女の子の母親らしき女性もやってきた。 
 「お兄ちゃん、今まで私達の事守ってくれた人だよね」 
 「えっ」 
 「これ」 
 女の子はキラが応える前に手にあった物をキラに手渡した。 
  
 「もう、この子は・・・あの子もオーブに帰るんだから、今渡さなくても良いのよ?」 
 「え~そうなのぉ?」 
 母子の会話を聞きながら、キラと刹那は女の子が手渡した物に視線を落とす。 
 「花ですかね」 
 「ああ、上手く出来てるな」 
 キラの手の中には、折り紙で織られた黄色い花が咲いていた。 
 渡されたキラより、何故か刹那の方が嬉しそうだった。 
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 母親に連れられて列に戻る女の子と手を振り合って別れる。 
 思わぬ贈り物にキラが花を見入っていると、後ろから見知った声が自分を呼んだ。 
 「キラ」 
 「あ、ミリアリア」 
 振り向くと、フレイも加えた学生組が揃っていた。 
 「これ遅くなったけど、カマルさんの分も」 
 ミリアリアが手に持った除隊許可書を2人に手渡した。 
 渡されたそれを眺め、キラはある事に気付く。 
 サイ達は誰1人として除隊許可書を持っていない。 
 「サイ達は、どうするの?」 
 はっきりと聞くのが怖くて、遠回りに聞いてみる。 
 すると、サイがフレイに先に列に並んでいる様に言い、フレイが列に行ったのを確認して口を開いた。 
 「俺達、残る事にしたよ」 
 「えっ・・・」 
 衝撃の一言に、キラは言葉に詰まった。 
 「どう・・・して?」 
 やっとそれだけ言うと、トールがワザとらしい明るさで口を開いた。 
 「アークエンジェル補充要員無しなんだってよ。人手不足なんだよ。 
  だから、俺達は残る訳、この先沈んだりしたら、後味悪いしさ」 
 そう言って、キラを列の方に押しやった。 
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 『ザフトMS確認、総員戦闘配備、各員第一種戦闘配備・・・』 
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 艦内放送からナタルの緊迫した声が響き、民間人の列からざわめき声が上がるが、 
 カズイは構わずトールの言葉を継ぐ。 
 「キラは降りなよ。君には休息が必要だろ?」 
 何時もの親友らしくない、明るい言葉にキラは何も言えなかった。 
 そうこうしている間に民間人の列が無くなり、搭乗口の士官がこちらに声を掛けてくる。 
 「おーい、もう出るぞ!」 
 「あっ、待って下さい。コイツもお願いします!」 
 応えたサイがキラを押し出すと、彼らは反対側の出入口に去って行く。 
 「元気でいろよ!」 
 「ザフトにだけは入んないでくれよ!」 
 それぞれが別れの言葉を口にして、キラが何も言う暇も無く視界から消えて行った。 
 静かになった発着用ハンガーに、キラと刹那だけが残される。 
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 「・・・・・・」 
 沈黙したまま動かないキラの背中に、困惑二文字が浮かぶ。 
 不用意に話し掛けるべきでは無いだろうと考えた刹那も、 
 その背中を見守りながら沈黙を守った。 
 すると段々とキラの肩が震えだし、腕に力が入いるのが分かった。 
 辛うじて折り紙の花を潰す事は無かったものの、 
 その姿からは十分に怒りの感情が伝わってくる。 
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 「みんな・・・みんな勝手だ。僕が戦ってる理由も知らないで、勝手に・・・」 
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 顔は見えないが、やっと発せられた声は涙声で。 
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 「そんな勝手な奴らは置いていくか?」 
 「そんな、そんな事・・・出来る訳無いじゃないですか!」 
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 刹那の方に振り向いたキラは、自分を抜きで勝手に軍残留を決めた友人達への怒りと、 
 気を使われた嬉しさ、寂しさがない交ぜになった、何とも複雑な表情であった。 
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 「なら、行くのか?戦場に」 
 「・・・はい」 
 見間違いかと思うほど一瞬迷いを見せ、しかし力強く答えたキラが、 
 そのままMSハンガーへと向かった。その背中を、刹那は寂しげに見送る。 
 こうなる事も、運命なのかもしれない。刹那の感情で言えば、 
 キラにも他の学生組にも、戦場になど出向いては欲しくない。 
 しかし、彼らの意思を否定する事は、刹那が自身に課した誓いに反する事になる。 
 彼が出来る事は、キラ達の背中を押してやる事だった。 
 「君はいいのか?」 
 シャトルのハッチが閉じる。刹那が振り向くと、そこには赤髪の少女が立っていた。 
 「ダメですか?」 
 「いや」 
 意地になった子供の様な表情のフレイに、刹那は首を振って続けた。 
 「だが、サイが悲しむぞ?」 
 「だって、何も話さないで、私だけ降ろそうなんて・・・そんなの勝手よ。 
  だから、私がここに残ったって、私の勝手よ」 
 「そうだな」 
 その通りだ。サイが残る事を決めたのをフレイに言っていないのは直ぐに分かった。 
 同時に、フレイが列の合間からこちらを覗いていた事も。 
 「・・・マジリフさんも、残るんですか?」 
 「ああ。君達を、放っておけないからな」 
 そう言って、刹那もMSハンガーへと歩いて行く。 
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 何かと気掛かりな少年とその仲間をそのまま置いて行く事は出来ない。 
 それが刹那の、アークエンジェルに残る理由だった。
 
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