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第17話~アスランの影~ の変更点


 1 
 
 
 「やっぱり、お兄ちゃんは凄いね♪」 
 「そんなこと無いよ」 
 MS戦の指導を終え、お迎えに来たマユちゃんとの帰り道、マユちゃんに褒められた僕はご機嫌だった。 
 「もうオーブのMS部隊は世界最強だって、お兄ちゃんのお陰だって、馬場さんも言ってたよ」 
 「馬場さんは大げさだから……」 
 謙遜はするが、自信はある。オーブのMS隊は質では最強だと……でも、数がね……やっぱり、連合が 
 攻めてきたら、数で圧倒される。それに実戦の経験が無い事が痛い…… 
 このままだと……僕は隣を歩くマユちゃんの頭を撫でた。シンの苦しみが今なら分かる…… 
 「ん?」 
 「守ってあげるから」 
 マユちゃんを死なせはしない。そのためにも、やれることをやろう。 
 最大の弱点は数の少なさ。それは1人1人が戦闘時間を延ばすことで……スタミナのトレーニングを… 
 …ダメだ。いくらパイロットの体力が上がっても、バッテリーが持たない。 
 もう1つの弱点、経験不足……出来れば、オーブ解放作戦の前に実戦を経験しておきたいけど…… 
 「あ!」 
 「ん? どうしたの?」 
 「いや、別に……」 
 そう言えば、もうすぐ、アークエンジェルがオーブに到着する予定じゃ?…… 
 改めて記憶を検索……もう少し時間はあるな。 
 この世界の僕……は、あまり役にはたたない。未熟すぎる。今頃フレイを泣かせてるだろう。 
 それよりも追ってくるはずの……彼等の方が…… 
 「お兄ちゃん……達磨笑いしてる」 
 「え?……ご、ごめん」 
 マユちゃん曰く、僕が悪企みをしている笑い方……先日の件、忘れてないようだ。 
 気を取り直して、でも実戦の目処が立った。丁度良い相手だ。 
 そう言えば、アークエンジェルが来るって事はフレイ…………何とかしたいな。 
 彼女を思い出そうにも、僕は辛そうな顔しか思い出せなかった。 
 出来れば、もう1度やり直しが出来たら………… 
 それで、焼きもち焼いたマユちゃんと、僕を取り合いで…………女難の予感♪ 
 「お兄ちゃん、また達磨!」 
 
 
 
 
 
 第17話~~アスランの影 
 
 
 
 
 2 
 
 
 事件発生! フレイが行方不明です。 
 まあ、オーブの手前にはカーペンタリアが。おそらくはそこから出撃した潜水艦の部隊と交戦した。 
 で、水中用のMSをやっと倒した俺が帰艦すると、スカイグラスパーで出撃したフレイが撃墜された 
 らしく帰ってこないとの報告が待っていた。 
 ちなみにフレイがザフトの潜水艦を沈めてる。それなのに、何で? 誰にやられた? 
 悩んでてもしょうがないから、俺は夜を徹して捜索した。しかし、見つからない…… 
 「で、見つかったんですか?」 
 マードック曹長からフレイ発見の報告。 
 「ああ、無人島に墜落したってよ」 
 うん。あっさり解決。夜が明けると簡単に見つかった。で、今はアークエンジェルで迎えに行っている。 
 「お、着いたみたいだぜ」 
 「じゃあ、俺はストライクでスカイグラスパーを拾ってくれば良いんですね?」 
 「まあ、そうだが、顔くらい見せてやれや」 
 そう言うなら……たしかに初めて撃墜されたんだショックが大きいだろう。まあ、普通はショックの 
 前に死ぬ可能性の方が高いんだけど…… 
 「お、戻ってきたな」 
 迎えに行ったバジルール中尉と一緒にフレイが帰ってきた。俯いてるし落ち込んでるんだろう。 
 あるいは恐怖で……パイロット辞めるかな?  
 まあ、俺は明るく出迎えてやろう。 
 「フレイ、おか……ど、どうしたんだ?」 
 「あ? キラ…」 
 何か予想と違う。確かに疲れてる。元気は無い。でも何か違う。そう、ゲンナリって感じだ。 
 「だ、大丈夫か?」 
 「…………一緒だった」 
 「へ?」 
 何か溜息吐いたら、今度は意味不明な言葉…… 
 「…………アスラン……」 
 アスラン? アイツも地球に来たのか? え? 一緒だった。 
 「え~と?……」 
 フレイは憔悴しきった表情と弱々しい声で、ポツポツと語り始めた。 
 「えっとね、まず最初は、私が輸送機を見つけて撃ち落したのよ」 
 何か喋りかたが変……幼児退行してるのか? 
 「そしたらさ、そっからイージスが出てきて……撃たれちゃった」 
 イージス? つまりアスランに撃たれた? そんで生きてるって? フレイ、アンタ凄いよ。 
 「で、何とか機体を制御して、近くの島に不時着したんだけど、そこにイージスが……」 
 「追ってきた? いや、イージスは飛べないから、向うも不時着したら、たまたま…」 
 「正解……で、中から人が出てきて……私、びっくりして銃を構えたんだけど…………はねたの」 
 「は?……跳ねた?」 
 「こう………びょ~ん、って」 
 ああ、アレか、アスランジャンプ。…………うん。あれはビックリする。 
 「私、怖くて……ゴメン」 
 「え?」 
 「その……ついね……悲鳴上げて、一緒にアンタの名前を…」 
 「い、いや……気にするな」 
 顔を赤くして、そんなこと言われたらドキドキするから止めて。 
 「それがいけなかったの……それが悪夢の始まり……」 
 「へ?……悪夢?」 
 「凄い形相で、キラを知ってるのか! って……それで、一緒の船に乗ってるって言って、でね 
  取り合えず、アンタの悪口を言ったんだけど…」 
 ……まあ、何で悪口なのか、あと内容にも興味があるが、今は黙っておこう。 
 「そしたらさ、違う! キラはそんな奴じゃ無い! って怒って」 
 うん。俺も似た様なこと言われた事ある。 
 「で、今度は、キラにも良いとこあるって褒めたんだけど……今度は、お前にキラの何が解る!って」 
 「え~と……」 
 「朝まで…………キラの素晴らしさについて、朝まで語り始めた……」 
 「ご、ごめん」 
 「眠くて、私眠いのに……眠ろうとしたら、俺の話を聞け!って……」 
 以前はそこまで酷くなかったはずだが……俺の所為か? 
 まさか、ユニウス7での台詞が効果ありすぎた? 
 俺は、取り返しの付かない事をしてしまったのか? 
 
 
 
 「それで、眠い頭で一生懸命考えたの。どうすればコイツは満足するのかって…………ゴメン」 
 「いや、いきなり謝られても……」 
 「何であんなこと言ったんだろ?………ごめんなさい。許して……あんな事になるなんて……」 
 「な、なに言ったんだ!?」 
 「トリィ……」 
 「え? トリィ?……そう言えば、アレどうしたんだ?」 
 「何故か私に懐いて、一緒に居る」 
 「そ、そうなんだ……」 
 そう言えば、フレイが乗った救命ポッドから出てきたんだよな。どうでも良いから無視してたけど、 
 フレイのとこに居たんだ。 
 「あれ……アスランが作ったんだってね。なんか自信満々に言ったの」 
 「あ、ああ。実はそうなんだよ」 
 「……流れから言って、キラが放置してるって言い辛くて……」 
 「う、うん気持、わかる」 
 そんなこと言ったら嘘だって暴れるだろうな…… 
 「それで、凄く大事にしてる。時々、トリィに向かってアスランって呼んでるって…」 
 「ちょっと待て!」 
 「ゴメン! 失敗だった。もう、本気で後悔した」 
 「ど、どうなった?」 
 「何か照れてた……はにかみながら……そ、そうか…って、…………キモイ」 
 うわ……何でだろ、その気持悪い表情が容易に想像できる。 
 「それでね……今度は、その時の様子を教えてくれって……」 
 「まさか……」 
 「……い、今更、ウソなんて言えなくて……」 
 「話……作ったんだな?」 
 「ごめん」 
 「さ、参考までに……」 
 「眠くて、頭死んでたから……」 
 「大丈夫、怒らない」 
 「ホント?」 
 「本当」 
 「でも……」 
 「言えや!」 
 そして、フレイの口から語られるキラとトリィの日常…………とても説明できない。 
 あえて言うなら、アスランは凄く喜んだ。 
 「お、お前ってやつは……」 
 「反省してる。許して……」 
 普段だったら、例え女でも殴ってるところだが、こうも弱っていては怒るに怒れない。 
 「あとね……」 
 「まだ、あるんだ?」 
 「うん……彼ね、隊長になったんだって」 
 「え? 隊長?」 
 「うん。ザラ隊」 
 アイツを隊長にするなんて……ザフトを潰す気か?……そうか、任命したのはクルーゼだな。 
 本気で世界を滅亡させる気だな。 
 「でも、ザラ隊って語呂が悪いから、ヤマト隊にしようかと悩んでたんだって」 
 「……アイツは正気か?……」 
 「絶対に変……と、とにかく、悩んでたんだけど、決心がついたって……」 
 「な、なあ……ウソだろ?」 
 「今度から俺はヤマト隊を名乗るからって、アイツに伝えてくれって……」 
 「も、もう良い……疲れたんだろ。眠ってきな」 
 「うん………お休み」 
 フラフラしながら、自分の部屋に戻るフレイ……何でこんなことに…… 
 ま、まあ、俺もスカイグラスパーを拾いに… 
 「え?」 
 俺がストライクに乗り込もうと後ろを振り返ると、大勢の同情の眼差しが待っていた。 
 「そ、その……頑張れや」 
 「すまなかったな……あの時、貴様を止めずにイージスを破壊すべきだった」 
 「と、とにかく、スカイグラスパー拾った後は、休んで良いぞ」 
 うん。優しさが見に染みる…… 
 
 
 
 
 
 3 
 
 
 「これで良いかしら?」 
 「ええ……」 
 こ、これが来たか……僕がシモンズ主任に依頼したモノ……M1用のビーム以外の武器。 
 改めて品目に目を通す。 
 ちなみに、希望したのは長距離からの砲撃武器。中距離での射撃武器…希望としては取り回しに優れ 
 速射製のあるもの。そして接近戦で使用出来る格闘用装備。 
 それに対してシモンズ主任が持ってきたサンプルが、長距離攻撃用ライフルタイプの115mmレールガン。 
 中距離攻撃機関砲に30mm径6銃身ガトリング機関砲。格闘用装備の9.1m対艦刀。 
 ……どっかで見た事あると思ったら、固定式から手持ちタイプになったため、変わっているが細部は 
 I.W.S.Pの装備と同じだった…… 
 やっぱり、作ってるかな?……まあ、そんな事より、使う人に確認。 
 「馬場一尉、どうです?」 
 「素晴らしい! 問題ありません!」 
 「これが使えるなら、ある意味ありがたいわ。テストにもなるしね」 
 これらを必要としたのは、シュライクを装備した弊害でM1の稼働時間が短縮したから。 
 簡単に言えば、武器までビーム兵器を使ったら、すぐにバッテリー切れを起こしてしまう。 
 まあ、パワーエクステンダーの改良も進めているから、そっちが上手く行けば問題は無いんだけど、 
 現場のパイロットにとっては、完成の見込みが不透明な強化より、確実なものが望ましい。 
 つまり実弾兵器の使用を選んだ。 
 そして、開発側もあっさりと同意した。
 最初は開発側はパワーエクステンダーの改良をしてるんだから無駄なことだと反発すると
 予測してたんだけど、これを見て納得。
 M1の強化だけで無く、I.W.S.Pの装備の実験もあるんだな。 
 「これで、我が軍のパイロットは10年戦い続けられます!」 
 「いや、無理だから……」 
 「いや、心意気を言ったまでです」 
 馬場さんが言うと、本気で補給無しで10年戦い続けそうだから怖い。 
 「それで、M1の方には腰のサイドアーマーを改造して、マウント出来るようにするけど……」 
 「え!? サイドアーマーと言う事は、携帯できるのは2つまでですか?」 
 驚く馬場さん……多分、この武器を全部装備させる気でいたんだな。しかも、ビームライフルも含めて。 
 「ええ、一応は最初に手持ちしていた分は含まないんだけど、そうしたら持ち替えがね……希望があれば、 
  ガトリング砲は盾に装備できるけど、バランスが悪くて使いづらいわよ?」 
 「むむむ……」 
 不満そうに唸る馬場さん。ここは宥めるべきなんだけど……この手があった。 
 「ところでシモンズ主任」 
 「え? 何かしら?」 
 「ガトリング砲の弾数は?」 
 僕の記憶が確かなら、大した数は込められなかった。元々、実弾を望んだのはオーブ軍は仮想敵国の 
 連合やザフトに比べると、どうしても数で劣勢になるからだ。まあ、当たり前だけどね。 
 だから、どうしても1機が長時間戦闘するしかない。
 それなのにすぐ弾切れを起こすようだったら、最初から重い実弾兵器なんか持たないほうがマシ。 
 「さっき言ったシールド装備型で無いならカートリッジに1万発」 
 「カートリッジ?」 
 「ええ、あそこの円柱の部分。弾が切れたら交換できるわ」 
 ……で、でかい……あんなものを予備で持つのは大変だと思うけど? 
 「あれも、サイドアーマーに装着出来るようになるけど?」 
 「どうやってです?」 
 「専用のカバーにカートリッジを3つまで付けられるわ」 
 う~ん、ってことは… 
 「ならば中近距離装備として、基本装備にガトリング砲とシールド。サイドアーマーにカートリッジと 
  対艦刀。その装備を中核に……」 
 悩みだす馬場さん。よし、乗ってきた。最近、彼の扱いが分かってきた。 
 根っからの軍人だから、与えられた情況で最善の結果を出す努力をする。要するにシンと同じタイプ。 
 「やれますか?」 
 「お任せを!」 
 「では、シモンズ主任。急いで量産を」 
 「そんなに慌てなくても……」 
 「お願いします。出来るだけ急いでください!」 
 「まあ、出来るだけ急がせるけど……」 
 あまり、ゆっくりは出来ない。もうすぐ、アークエンジェルが到着する頃だ。それまでには…… 
 フフフ……アスラン、イザーク、ディアッカ、オーブ軍の実戦トレーニングに付き合ってね♪ 
 大丈夫。実弾だから多分死なないと思うよ♪ 
 
 
 
 
 続く 
 
 
 
 
 
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