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Ace-Seed_626氏_第07話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 20:50:20

――中継ステーション近く

破壊兵器を目の当たりにしたジュール隊は交戦を開始していた そんな中、一人しらけた思考で淡々と戦っている

≪ディアッカ、バラバラにやってたんじゃアレは落とせん。集中してやれ。≫

隊長さんからの指示が届く…そんなことあの大きさを見れば分かるだろうに…やっと分かったか…
自分がそんな指示を出すとトサカに来るので黙っていた そして待ち望んだ指示が来たのが
隊の2割ほどのものが攻撃し終えた後――"無能"と声に出さず呟きつつ

「了解、ガナー隊、俺の狙った位置を狙え。」

指示を出し、攻撃を開始する 各機の収束したビームが破壊していく…何とかなりそうだ

――破壊作業を終え歓声を上げる連中の無線を聞きながら、考える
仮にここにアントン・カプチェンコがいたならどうしただろうか?
『監視』ということで黙って見ているだけということはしないだろう。
独自にこれが一体何か調べ、調べ上げた後に独断といわれようが、直ちに破壊命令を下したに違いない。
自分のところのは額面どうりの任務を受け、ただ"見ていただけ"だった。

――そういえば、先にカプチェンコと会った時に一緒にいた。
ナチュラル側のリーダーである、ジョシュア・ブリストーが

『"士官候補生とは、今は青年紳士だが、今後10年も経てみると、世界を揺るがせ、国民ののどをかき切っているかもしれない"
 と、A・ビアスの"悪魔の辞典"にあるが、君たちザフトの有能な赤服、
 そして我々"国境なき世界"に参加している士官達に共通していえる皮肉だと思えないか?』

そう言っていたことを思い出す…なるほど、この皮肉は真っ当かも知れない…

カプチェンコの予想どおり、このオカッパはクラインに走るだろう。
"組織"に誘われたのはこの戦争が始まってからだが、彼が人選をしたのはいつからなのだろうか?
恐らく他人に最初に会ったからそういったものを見ているんだろう。そうでなければ、こうもいかない…
見識、先見性、洞察力、何をとっても恐ろしいものを感じざるえない。自分などまだまだだ。

なにはともあれ、この戦争の行く末を見届けて情報を探り"組織"に参加する。
あと少しだろう…こんな茶番は――

――ヴァレー基地

あの破壊兵器をどうにかする作戦に参加するには間に合わないと思っていたが、
帰還したときにアルテミスから頼んでおいた強化パーツが届いていた。…予想よりかなり早い。
ついでに余計なものが付いてきていた。

「君が、いま噂になっている"円卓の鬼神"か?よければ話がしたいのだが、時間は取れるかね。」

毛ナシ頭で少将の階級章をつけた男は、そうオレについて来るように言って基地の上級士官室までつれてきた
そして部屋に着いたとたん、下卑た愛想笑いを浮かべながら、男は態度を一変させる

「…いかがでしたでしょうか?急ピッチで仕上げましたが、ご要望どうりのものが出来たと思います。
 速やかに仕上げるため、いけすかないジャンク屋に…(ブツブツ)…急いでお届けするため貨物船にブースターを…(ブツブツ)…」

長い苦労話だ……――なるほどオレが出て行った家に取り入りたいのか…
あの家は今のところロゴスの一員として世界から追われているが、企業は存命だし何より国の一翼…
それどころか多国籍にわたる企業なのだから、潰れはしない。天下りに上等なものだろう。

半年に一回くらい、父代わりであった叔父に、手紙くらいの連絡はとってはいるが、もう戸籍上、法律上、関係は何もない。
それにロゴス狩りで死んでるかもしれない。何より――こいつがオレの過去を調べたことは契約に反している
ハッキリ言って腹が煮えくり返ったが、ここでこいつの心象を悪くしても、つまらないことにしかならないだろう…

「ええ、すばらしいと思います。"向こう"のほうには話しておきますよ。経費は"全額"、私の報酬から引いてください。
 機体が気になるのでそろそろ失礼します…」

自分が"ナチュラル"としてすごしていた時代の喋り方で応対し、ヤツにとって今後によい先行きが見えるような答えを返し、
その答えに満足した表情を浮かべてるハゲに頭を下げ足早に部屋を出た…。
借りでも作ったつもりだろうが、オレは経費の全額を請求しろといった。借りでもなんでもない。

――反吐が出る やはりどこにもあんなやつが巣食っている。
いくら既存技術の組み合わせといっても、その下心のために余所者がデータに触れる機会を与えている…バカだ。
所詮は口約束、知ったことではない。そもそも、こんなヤツ雇わないだろう。
なんにせよ機体が気になる。マニュアルに目を通しながら、先のことなどすぐに忘れ去っていた。

格納庫に戻ろうと歩いていると
ガルム隊の呼び出しが入った。早速ブリーフィングルームに向かう

「君たちが見たとおり、あの凶悪な兵器はわが国にとっても見逃せるものではない。
 我が軍とプラントとの協議の結果、月面はザフト軍、我々はL1から来るであろうロゴス軍をたたいてもらう。
 その勢力はかなりの規模だという報告も上がっている
 戦艦ハイエルラークを補給艦として用意した。補給が必要な事態に陥った場合は任意で帰還せよ
 加えて先の作戦によるガルム隊の欠員を補充する為、クロウ隊を合流させた。今まで以上の働きを期待する。」

「ガルムの2番機か。…悪くない。」

その声に反応し、隣でガッツポーズしているPJを見る…どういってやればいいのか…

戦艦に乗り込み作戦宙域に向かう途中でも、ハンガーで改修作業が行われていた。
ピクシーの変わりに2番機となるらしい、クロウ隊3番機だったPJは新機体の受領を行っている。
なんでも、オーブ軍"ムラサメ"のフレーム・変形機能に連合軍のウィンダムの装甲、武装を組み合わせたようなものだそうだ。
ようは使える部分のジャンクを混ぜたものだ。

使った装甲の基本塗装は青なのだが、ウィンダムがザフトに落とされまくったジンクスがあるので、
グレーを基調として細かい部分は白に染め上げている。
しかし…目立つ…大丈夫か?
まあ、前乗っていたダガーLもこの色だったから大丈夫だろう。そう思うことにする。
一方で機体の改修は大分進んだようだ…それを眺めていると横にうれしそうな顔をしたPJが来ていた。

「どうですか、俺の新しい機体?でも、名前決まってないんすよ。なんかいい案あります?」

名前?あんまりいい案なんかないんだが…なんか足して割ったようなのしか浮かんでこない

「?欠けた部分をウィンダムの部品で補っただけなんだから『ムラサメ』でいいんじゃないのか…
 どうしてもというなら(ムラサメ+ウィンダム)÷2で「ムラダム」「ムランダム」「マンダム」 ……」

あれ…最後のはなんか違うような気がしてきた…

「あ、いや。もうちょっとまともなの…ないですか?」

――沈黙

「――じゃ、じゃあ。サイファーの機体は?あれはもう、ハイペリオンってものじゃないっすよね
 そっちの名前も考えましょう。」

そう言って、話を切り替えてくれるのは嬉しいが、こっちのはもう決めている

「…"リスタレント"(Restraint)。とつけることにしている…」
「"束縛"…っすか?なんかネガティブな名前っすね……自分の考えてるなら、俺のやつも考えてください。」

その名前、分かってつけているのだがな…。
とりあえず、空気読まずにズケズケ言いやがったコイツをブン投げる。派手にすっ飛び、打ちつけた背中をさすっている。
それにしても…微重力だから飛ぶのは当然だが、飛びすぎだろ…

「…PJ。唐突に浮かんだ。シュライク…『グレイ・シュライク』ってのはどうだ?」
「――おお!いいっすね。それ、いただきます。」

ケロッとした顔でこっちに戻ってきたPJに思いついた名前を告げる
そのうれしそうな顔を見ていると…少し罪悪感が沸いた――言えない、口をあけてすっ飛んで行った時の顔が野鳥のような…
(・∀・)こんな感じだったので、それを連想してつけたなどとは――ゴメンPJ

――――

作戦宙域が近づきパイロットルームで出撃を待つ。
と、目の前にいるPJが自己紹介をしてきた。

「ピクシーは…その…2人と飛ぶ空は もうないんすかね…。
 サイファー、これからはあなたの指揮下に入る戦闘ではいつでもご命令を。
 ちなみに、PJはパトリック・ジェームスの略で…先の戦争中は…」

だが、その最中凹んでいる。…確かに…その名前は…ちょっと…な

「いや、いいから思い出したくないこと言わなくて…
 …いやなことなんか誰でもあるさ…オレがこの世界でこうしているのは家に居れなくなったからだしな…
 あ――また、暗い話しになったな。…まあ、例えば趣味はなんだ?」
「趣味はポロっす あの馬に乗ってやるヤツ サイファーは?」
「オレ?……………なんだろ?」

――沈黙

よく考えれば幼少の頃は何も考えずのんびりと暮らし、10代のころは自分を痛めつけるようなことばかりしてて
17の時に家にいられなくなり、そこを逃げ出すように出ていって…。追われて…。
その後、プラントにいっても、結局は居所にはならなかったので"ナチュラル"、"コーディネーター"の区別が少ない
ジャンク屋――傭兵と居所を変えてばっかりだったから…特にない。

こんな経歴を、真直ぐな人生を歩んできたであろう。PJに言うのは、何となくはばかれる
…どう答えるべきか…本をかなり読んだから読書?
重い空気の中、自己紹介をしていると、艦橋から作戦開始が間近というのが伝えられる

「…まぁいいや サァいくか」

そういって出て行くPJ…
どうもPJの思考というか…その感情表現が自分には苦手だな…と思いつつハンガーに向かった

――――

「ガルム1 エンゲージ PJ、慎重にいくぞ」
≪ガルム2 エンゲージ ガルム1の広い視野 …俺にもできる≫
「PJ…そんなに硬くならなくていいぞ。」

そういいつつ早速、月の方向に向かおうとする部隊に向かう
装備の感触を確かめるためにまずは小手調べにビームを放つ。若干小型化したが威力は前のと変わりない。
接近戦でその銃身に仕込んだレーザーの刃を使用する。先端につけた銃剣もかなりいい。

≪傭兵野郎 まだ稼ぎ足りないのか!≫
≪いい気になりやがって 死んでから語られるのが英雄だ≫

無線が混線してくるが、あの兵器の守りに行かれては困る

背部ウィングを放出し、それでビーム攻撃を受け止め、実弾をビームシールドで受ける
しっかりと機能しているかと思ったら、2、3番のウイングが敵に向かっていってぶつかってしまった…
敵を撃ち落しながら、プログラムの組みなおしだな…そう思いつつ収納のボタンを押す
ビームを受け止めた1、4番が戻ってきた…しっかりとバッテリーに充電されている――上出来だ
それに続き2、3番も一応戻ってきた。無くすと高いからよかった…

――MSをあらかた片付けた後、補給に一回戻り、バズーカー等、重火器に装備を切り替え、L1の中心・世界樹に着いた
?先の戦争初期に落とされたので激しい抵抗だが、いささか統率性に欠いている気がする。

≪デカイ なんて大きさの施設だ。――?なんだ、あの巨大なハンガーは?≫

PJの感想、もっともだ。デカイ…オーブ戦で見たミネルバが2~3隻ほどは入るほどの大きさだ…

≪ハンガーからは全機出ました≫
≪よし、我々の死を以って 作戦の成功となる≫

混線した無線が入ってくる…
何を言っているんだ?とにかくこちらに向け攻撃してくる対空砲火を沈黙させていく

≪敵脅威レベル低下 いいぞ そのまま交戦を続けろ≫

司令部の伝令を聞きさらに攻撃を加える…と、さらに無線した混線から

≪状況報告 施設の損害を確認≫
≪やらせておけ 逆に手間が省ける≫

…やられる事を受け入れている?訳がわからない、不気味すぎる…
疑念を振り払いそのまま攻撃を続け――10数分…

≪攻撃目標を全て破壊 新生ガルム隊 初仕事完了だな≫

司令官の指示で作戦は無事に終了――

≪ふぅ、終わったぁ≫
PJの声を聞きつつ帰還コースを取る

新装備は、思い描いていたとおりのものになっていた。2番機の"グレイ・シュライク"、PJも予想以上の機動を見せていた。
かなりの好感触で新生ガルム隊はスタートしたといえる。

その後、デブリーフィングでの報告でザフトのほうも上手くいったそうであの兵器は沈黙したそうだ…
いろいろあったが、あのジブリールも死んだらしい。
あとは残すところはその残党のみといった所といった認識がオレを含めた皆の感想だった。

気になった巨大格納庫について報告したのだが

「巨大格納庫の利用意図に関しては、続いて情報部が調査を進めている」

と、だけだった。不可解なことに捕虜が出なかったらしい。
気になるが、こういったことは上が考えることだ…自分は雇われているだけの傭兵なのだから。

――L4メンデル はずれの宙域

確信はしていたが、杞憂であればと思っていた――こんなことにならなければ…と
だが、やはり思ったとおりのコトになった…
7番機、現在プラントにいるロレンズからの報告では、ジブリールが逃げた時点で破壊兵器の情報を渡したそうだ。
それでも、やはりあのキツネはプランを演出するために発射を待った。
その危機に申し合わせたかのように、現ザフト最強と言える、ミネルバ隊を中心に出撃し破壊兵器"レクイエム"を落とした。

技術部の者からの報告では、どうやらそれの修復作業に入っているようだ。いよいよプランを実行に移すつもりだろう。
あの、夢想家は夢を見させたままあの世に送ってやろう…狂信者どもと手を組まれても厄介だ。
古来より東洋で言われる戦略…なんと言ったか…"夷を以って夷を制す"その戦略をとらせてもらう
ヤツの望みどおり、一時的とはいえクラインが世界を握る…最後の瞬間、自分の望んだ幻想に酔えるのなら、それは幸福だろう。

ロレンズのほうに連絡を送る。ザフト内のものに連絡するのはやつを通すことになっている
簡潔に命令を送る 

『【真の歌姫が戻る。】これが暗号だ。『クラインに協力しろ。』と紛れている者達に伝え、その後"アヴァロン"に来い。』

数時間前、L1が近頃、噂になり始めた"円卓の鬼神"に攻撃された
開発されていた最新鋭艦はダメかと思ったが、腐れ縁のシェバリエの指示で無事、奪取できたそうだ

これは…動く時が近づいてきたということ…それは空を自分が汚すことになる
――そう思うとむなしさが沸いて仕方がなかった

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