Top > Ace-Seed_626氏_第12話
HTML convert time to 0.004 sec.


Ace-Seed_626氏_第12話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 21:13:38

―――B7R・プラント側方面

「司令部 もう一度聞く。ターゲットはクラインに寝返った者ではなく、"フッケバイン"でいいんだな?」
≪そうだ、あんな烏合の衆どうとでもなる。"フッケバイン"は別だ。これは特Aクラスの命令だ!急げ!!≫

――何度聞いても同じ答えだった…
先の戦争から名を馳せているあの男ならば、指揮能力の高さから2~3倍の兵力差でも戦況を覆すに違いない。
現にプラントからここまで、逃亡ルートの尻尾をつかませなかった。
自分たちはこのあたりにそれらしいのがいた。その報告で来ただけといっても過言ではない。
そう考えれば、ただのカリスマでしかないクラインなどよりもはるかに厄介だろう。

だが、"フッケバイン"は一人…何よりザフトが戦っているのは、ラクス・クライン率いるクーデター軍だ。
普通ならば裏切り者を処分するのが先のはずだ…しかし特A?何かしらの作為を感じる…

納得いかないことばかりだが、この"円卓"に入るならば生半可で挑む訳にはいかない
――いつもどおり狩りを楽しもうじゃないか

「シュヴァルツェ・リーダーより各機、逃走を図った機体がここに逃げ込んだ。相手はあの"フッケバイン"だ。油断するな」

ザフトに属する者にとって最悪の援軍が突入した

―――

自分たちの横をかなりのスピードでザフト機が通り過ぎていった

≪うわぁ!!なんだぁ!?≫
「…いま通り過ぎた機体は…ディンだったよな?」
≪え?ええ…なんだってあんな型遅れした機体が来たんすかね?――別のがきた!?≫

10機ほどがこっちに向かってくる。
一見、ハイマニューバー2に近い黒と赤で染められたジン――しかし、その肩にレーダードームを付けている…
今まで見たことのない機種だ――それに混じって何機かいる…

交戦は避けられないだろうが、バッテリーなどは大丈夫だろうか?――機体のチェックをする
最初に使っていたライフルブレードは限界が近い、腰の予備とビームサーベルしかない。
ウィングは最初に使った3、4番のジェネレーターが限界
駆動系に若干ガタが来ている様な反応を示すが、負荷をかける位置の変更で回復――異常なし バッテリーも問題はない。
PJのほうはどうだ?――射程圏内に入る前に確認する

「司令部、状況を確認したい――」
≪ガルム隊、あの機体を使った部隊はザフトにはひとつしかない!"ハゲ鷹"だ 注意せよ≫
≪ソーサラー隊よりガルム隊、残念だがこっちはバッテリー切れだ――離脱する≫

ソーサラー隊が離脱していく…こっちが来るより前から戦っていたのだから当然か――
状況が恐ろしい勢いで悪くなっていく

「PJそっちの状況は?」
≪こちらPJ、実弾系の残弾が厳しい以外は大丈夫っす。バッテリー残量は5~6割≫
「…分かった…ひとまず、味方の密度の高いところまで逃げるぞ」

そういってバーニアをふかし、そのままディンの飛んでいった方向を目指す

≪サイファー、逃げるんすか!?≫
「『臨機応変な戦い――やってやる』だったか?PJ、いまは様子を見るときだ。」

そういいながら後方の様子を確認する――"ハゲ鷹"といわれる部隊以外はこちらには来ない
…ならば敵は八機…そう勘定していると

≪貴様がここで英雄になってもらっては困るのだよ!"フッケバイン"≫

さっき飛んでいったディンとウィンダムが、趣味の悪いカラーのジャスティスと戦っている――"フッケバイン"!?

≪――サイファー、いま"フッケバイン"って…≫
「ああ、だがどうする?後ろの八機もいるんだぞ?」
≪…あの人には先の戦いで助けられました 見捨てたくありません≫

この非常時にこんなことをいえるとは――非常識だがオレも同感だ

「わかった、オレがあっちの援護に行く。後ろのやつ相手にどれだけ持つ?」
≪――1分です≫

それと同時に後ろのヤツラが追いついてきた、とアラートが鳴る
思ったよりかなり速い

「――ガルム2 自由戦闘に入れ! その足を遅らせるだけを目的にしろ 残弾を使い切ってもかまわない」
≪了解です≫

オレが"フッケバイン"のいる宙域のほうにさらに加速をかけ、PJのグレイ・シュライクが此処にとどまった

―――

≪――追いついたぞ、貴様がここで英雄になってもらっては困るのだよ!"フッケバイン"≫

先の大戦からある種の戦場伝説とも言える機体――ジャスティスに乗るグラーバク1:アシュレイが
脱走したディンを攻撃し始めた…

その光景は近くにいたハートブレイクワン:ジャック・バートレットには理解できないものだった。
『英雄になってもらっては困る』そんな理由で味方を撃つ――即、通信をつなぎライフルを撃ち放つ

≪"凶鳥フッケバイン"だったか?こちらハートブレイクワン。援護する≫
≪ウィンダム――連合のパイロットか…邪魔だ失せろ≫

そういってジャスティスが突撃をかけようとしたところで、その片足が付け根からふき飛ばされる。
弾が飛んできた方向を見ると、ディンがマシンガンを構えていた

≪アシュレイ、こちらに背を向けるとは余裕だね?PS装甲に守られていないところから分解しようか?≫

並みの者、あるいは血の気の多い若者なら、その言葉に翻弄され"凶鳥"の戦術にハマリ、この即席チームにやられているだろう。
だが、マルキオ、デュランダル達の思惑を知りつつ、影から彼らに悟られることなく"SEEDをもつもの"
を支援している「灰色の男たち」のトップであるアシュレイには通じなかった。

瞬時に自機の脅威となるビームライフルを持つ、ウィンダムに回避行動をとりつつ攻撃を入れ戦闘不能に――
そしてシールドでガードしつつ一気にディンとの距離をつめ撃墜する

だが、両機ともコックピットへの直撃を避けられたうえで脱出されたようだ…
連合のパイロットのほうはいい――だが、"フッケバイン"はマズイ――そう考え、そのパイロットスーツの索敵の操作に集中し始める
だが、それによって接近してくる"鬼神"の機体への対応が一瞬遅れ、
その攻撃で片腕を失った機体を駆ることになった彼もまた、先の二機と同じ運命を辿った…

―――B7R 戦闘宙域はずれ

≪よう"凶鳥"、大丈夫か?≫
≪何とかね……すまなかった…私がもっと速くここに来ていれば、あの攻撃で死ぬ人間を減らせたものを…≫

その言葉に何も言わず、バートレットは近くの大破した戦艦に"フッケバイン"を連れて行く。
エアロック地区に入り空気が抜けきっていないことを確認し、ヘルメットを取り宇宙服の入ったロッカーをあさりながら

「別に気にしちゃいねえよ――戦争してるんだ…仕方がない。ただ、アンタはもうプラントに戻れないだろ?
 ――これを着ろ、アンタはこれからピーター・N・ビーグル特務少尉だ。この戦艦に乗っていた気前のいい整備兵だ」

そういいながら宇宙服を放る

「君は何を言っているのかね…」

そう訝しがるのをよそに

「いいやつだったよ…ハーフコーディだってコトをまるで鼻にかけず、周りと打ち解けてさ…
 …でも、ここにこれがあるってことは、着るのが間に合わなかった。ってことだ…アンタがその名前を名乗れよ…。
 気のいい仲間を失うのはたくさんだ…俺はジャック・バートレット中尉。アンタは?」

「ウォルフガング・ブフナー…」

そう途中まで言いかけたところで

「違うだろ!ピーター・N・ビーグル特務少尉、よろしく」
「…ありがとう」

そういってきた、自分より十歳以上年下の仲間思いで、不器用なナチュラルの男と握手をしていた

】【戻る】【