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Canard-meet-kagari_第08話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 21:29:46

第8話

 機体の腕をゆっくりと地面に下ろし手を開く。
「まったく、何ということだ」
 士官服の女はこの様な結果になってしまった事が腹立たしかった。
「まあ、良いじゃないの……どのみちココから逃げるのに戦力は必要なんだから」
 そう男が慰めていると機体のコックピットが開き、中からカナードが出てくる。
「機体の整備をしておけ」
 そう言うとコックピットから飛び降りる。カガリが黙ったまま彼に近づいてくる。
「お前か……礼ならいらんぞ。お前には借りが」
「このバカ!」
「何がバカだお前にバカ呼ばわりされる理由が」
「理由ならある、私達を見捨てようとした」
「助かったんだから良いだろう」
「そういう問題じゃない」
「大体、俺の言う事を聞かなかったから人質になったんだろうが」
「悪いのは私達だと言うつもりか!」
「事実だろ」
「お前というヤツは!!」
 カガリが激怒し、カナードに掴みかかろうとする。そんなカガリを脇から見ていた金髪の男が
「おい、待てって!止めろ!ストップだ!」
カガリの肩を男が掴む。
「触るな!」
 カガリがその手を払いのける。
「おいおい、そうカッカするなよ……自己紹介がまだだったな俺はムウ・ラ・フラガ、階級は大尉だ。よろしく」
 その名前にカナードは聞き覚えがあった
「エンデュミオンの鷹か」
(たしか月面で白いハイマニューバと戦っていたな)
 カナードは記憶の糸を辿り、月面での赤いMSとの激戦の最中に目撃したメビウス・ゼロと白いジン・ハイマニューバの戦いを思い出す。
「よく知ってるな、まあ敗戦隠しの為に祭り上げられたエースだがな……んで今までお前さんが捕まえていたのが」
「ナタル・バジルール少尉だ、貴様なんぞを頼らなければ成らない事は極めて遺憾だがよろしく頼むぞ」
 士官服の女が自己紹介をし、最後に作業服の女が手を差し伸べつつ
「マリュー・ラミアスです。貴方達とはいろいろ遭ったけど、今はこの状況を協力してこの状況を打開しましょう」
「協力など必要ない」
 カナードが突き放すように言い放つ
「外にいるのはエース揃いのクルーゼ隊だぞ」
「何処の誰だろうが関係ない、あのガンダムと俺の腕があれば」
「ガンダム?」
 聞きなれない単語にフラガが首をかしげ、それをマリューが補足する。
「『G』の事です大尉、この少年達が勝手に名前を」
「ふ~ん、ガンダムかカッコいい名前じゃないか。けどそのガンダムが向こうに四機在るとしたら?」
「四機?アノ赤いのだけじゃないのか!」
「格納庫に在ったのは二機だけど、他に輸送中だったMSが三機ザフトに奪われたわ……」
「間抜け揃いだな」
「貴様!口を慎め」
「良いのよ少尉、悔しいけれど事実だわ……でもだからこそ協力して欲しいのよ、『G』の強力さは実際に操縦したアナタが一番良く知っている
 はずよ」
「何度でも言わせるな、俺に手助けは必要ない!」
 そう言うとカナードは格納庫から出て行った。
「はぁ~、駄目だな丸きりこっちの言うことを聞きやしね、これじゃあクルーゼの野朗とやり合ったって、勝てないな」
 ムウが深いため息をつき、現在の状況を悲観する。
「何とかならないのでしょうか?」
「せめて俺のゼロがあればな……」
「修理はできないのですか?」
「ガンバレルがヤラレたんだ、いくらモルゲンレーテのコロニーたって予備パーツが在る訳がない」
 メビウス・ゼロに装備されているガンバレル。この兵装を扱うには高い空間把握能力を必要とし、現在地球軍で扱えるのはムウ位の者である。そんな限られた人間しか扱う事の出来ない装備の予備はいくらヘリオポリスと言えど有るはずは無かったのだが
「大尉、それでしたらストライカーパックの試作機の中にガンバレルを搭載した物が在ったはずです。それを使えばもしかしたら……」
「本当かい、ラミアス大尉?」
 マリューが言った言葉にムウの顔が輝き、マリューに問いかける
「ええ、本当です。他のストライカーパックと一緒に工場区にあったはずです」
「人が必要だな……」
「あと、整備をする人間もです」
「けど整備班もストライクの整備で手一杯だし……」
 三人がウーンと唸っていると
「あのー、チョット良いですか?」
 今まで殆ど忘れられていた、ヘリオポリス学生のリーダー格のサイが手を上げて立っていた。

「みんなで相談して決めたんですが……僕達にも手伝わしてくれませんか?」
「えっ……でも」
 マリューが戸惑いながら答える
「こう見えてもカトウ教授のゼミにいました……整備とか出来ることがある筈なんです」
 カトウ教授、オーブでのMS研究に関しては著名な人物であり、サイ達は知らないことだがナチュラル様OSの開発の第一人者である。
「けど君達は民間人なのよ、戦闘に出すわけには……」
「いえ、大尉協力してもらいましょう」
 マリューが止めようとするがナタルが賛成する。
「少尉!」
「今しがた我々が彼らにしたことをお忘れですか?今さら民間人だからという理屈は通じません。それに人手は必要です」
「そうだけど……」
 それでも迷うマリューにサイが手伝おうと言った根底にある感情を吐き出す。
「今は迷ってる場合じゃないでしょう?僕達は助かりたいんです!」
「決まりだな、じゃあそのトレーラーで俺のMAを回収に行くか、車の運転ができるのとクレーンの操作が上手いヤツ付いて来い!」
「はい」
 ムウに呼ばれサイとトールがトレーラーに乗り込みエンジンをかける。
「カズィは整備班の手伝いだ……自信持てよ、お前ならできるって」
「うん……わ、解った」
「ミリィもラミアスさん達から何か出来る仕事を手伝わしてもらえ」
「オッケー」
 トラックが走り出し、その後ろ姿がどんどん小さくなっていく。そんな彼らを見ていたカガリも手伝う気になり、マリューに仕事を聞きに行く。
「えーと、ハウさんとシモンズさん?でしたっけ」
 マリューがミリアリアとカガリの事を呼ぶ。
 カガリは最初不思議そうな顔をしたが、すぐに自分の事だと解った。
「えっ!!ああっそうだが、カガリでいい」
「じゃあハウさんとカガリさんは食料の搬入を手伝って頂戴」
「解った」
「解りました」
 今彼らを一つにしているのは、自分一人の力では決して生きて残れないという事実だ。しかし、カナードはあえて自分だけの力で生きていこうとする。
 彼が信じれるのは自分自身の力だけであった。