Top > Canard-meet-kagari_第25話
HTML convert time to 0.008 sec.


Canard-meet-kagari_第25話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 21:33:43

第25話

「では場所を改めたところで、名前から聞かせてもらえましょうか?」
 場所を士官室に移したマリュー達は事情を聞こうと保護した少女に質問をし始めた。
「ポットを拾っていただいて、ありがとうございました。私はラクス・クラインですわ」
「クラインねぇ~。彼の、プラント現最高評議会議長も、シーゲル・クラインといったが…」
 ムウが見定める様にラクスを見ながら言う。
「はい……シーゲル・クラインは父です」
 それを聞いた三人は大きく息をついた。
 そんな大物がこんな所を漂流してる訳ないだろうと思いながら質問を続けた。
「そんな方が、どうしてこんなところに?」
 ラクスは眉を悲しげに寄せながら事情を説明し始めた。
「ワタクシ、ユニウス7の追悼慰霊の代表を務めておりまして、事前調査の為にユニウス7に来ておりましたの。そうしましたら、地球軍の船とが出会ってしまいまして、臨検と称して私共の船に乗り込もうとしたのを私どもが拒否しましたら、MAで取り囲み、攻撃を加え始めたのです」
「あちゃ~」
 ムウが手で顔を覆いながら答えた。
「それで、その後はどうなったんです?」
「通りすがりの、お声の大きなMSに乗った御方に助けられたお陰で、私はポットで脱出する事が出来たのですわ」
 ラクスが事情を説明し終えると廊下側から声が聞こえてくる。
「おい、何をしている」
「静かにしてろ。よく聞こえないんだから……」
 ナタルが扉のほうへ近づいていき、自動ドアを開けるとバランスを崩したカガリが士官室に倒れこんでくる。
「痛たたたた」
「お前たち何をしている!お前達にはまだ、積み込み作業が残っているだろう!」
 ナタルが怒鳴るとカガリは渋々と退散するがカナードは全く堪えた様子はなく言った。
「ストライクは整備中だ。代わりに出てもらおうとエンディミオンの鷹を呼びに来たところだ」
 事情を理解したナタルはムウに作業艇の護衛を頼む。

「そういう事か……大尉、お願いできますか?」
「仕方ないね」
 ムウが出て行こうとするとラクスが疑問の声を挙げた。
「積み込み作業とは一体何を積み込みますの?」
「それは……その……」
 言い淀むマリューに代わってカナードが答える。
「ユニウス7に残された水と食料だ」
「まぁ!」
「カナード・パルス!!」
 ラクスが小さく驚きの声を挙げ、ナタルが叫びながらカナードを睨みつける。
「事実を伝えて何が悪い?」
 カナードはふてぶてしく笑う。
「あの……これには事情があって……」
 マリューは、顔を俯け押し黙ったままのラクスに事情を説明しようすると、突如ラクスは顔を上げ、真っ直ぐにマリューを見据える。
「お願いがあります。今すぐにその作業を止め、既に積み込んだ物も元の場所に戻してください」
「それは!……出来ないわ」
「ここに眠る人々は貴方方の核攻撃によって命を絶たれました。私はあなた方のその行為を咎めようとは思いません……しかし、どうか此処の人達の眠りを妨げるような行為は、今すぐに止めてください」
 顔を背けるマリューに代わり今度はナタルが言う。
「自分達だけが被害者ぶるのは止めてもらおう、地球連合でもエイプリル・フール・クライシスで多くの死者を出したのだ」
「エイプリル・フール・クライシスは、血のヴァレンタインの悲劇さえ起きなければ最高評議会で議案にすら登らなかったはずですわ」
 ラクスそう言い切るとマリューは顔を悲しみに歪めラクスに懇願する。
「お願いわかって。我々は仕方なく……」
「唯、穏やかに生きたいという思いを踏みにじり、その眠りすらも妨げる……その行為を仕方なくで済ませる理由などがあるのでしょうか?」
 マリュー達はラクスの真っ直ぐで真摯な瞳を見るとそれ以上、言葉を続ける事は出来なかった。カナードはその様子を冷ややかに見ていた。

「イージスを使うのですか!?」
 ヴェサリウスに乗艦しようとするアスランは、クルーゼに再びイージスに乗るように言われて、驚きの声を挙げた。
「現在、我々の保有するMSの中で最も索敵能力が優れている機体だ。使わない手は無いだろう?」
 クルーゼは急遽マイウスのラボから送り戻させたイージスがヴェサリウスに積み込まれるのを見ながら答えた。
「しかし、よく許可が出ましたね」
 幾ら索敵能力に優れている機体で、捜索任務に打って付けの機体でもイージスは、敵の技術を知る為の大事なサンプルだ。
「理由は簡単だ。私とシーゲルの二人が直々に命令を出したからだ」
 アスランは予期せぬ人物の声に驚き振り返る。
「ち、父上!」
 今まで一度として息子の見送りに来た事がないパトリックの来訪にアスランは戸惑う。
「機体の事は気にするな、ユーリの奴も協力してくれたお蔭で、機体の解析はもう済んでるから好きに使え……それに、この機体でなければ倒せない敵が出てくるかもしれん」
「どういう事ですか」
パトリックの言葉をアスランが問いただす。
「実は非公式な事だがラクス嬢の護衛に新型のシグーを一機、護衛に付けていたのだが、これも消息を絶った」
「シグーを!」
 シグーは現在ザフトで量産が進んでいる新型主力機でジン以上の性能を持っている。現在では数が少ない為にエースを中心に配備されているので、乗り手も相当な腕の持ち主である。
 だから事故でデブリに衝突したとは考えられないし、もし撃墜されたのなら、敵はかなりの強敵だという事がアスランには簡単に想像できた。
「そしてラクス嬢が遭難したデブリベルトの近くには、例の戦艦がいる」
「まさか!!」
 クルーゼの言葉でようやくアスランは、イージスを必要とした本当の理由を悟った。
(もしもストライクが相手だったらシグーが倒されたのも納得がいく)
 武装が実弾中心のシグーではストライクに決定打を与える事が出来ないから当然の結果といえる。
「今の我々が動かせるMSで、アノMSの相手を出来るのはイージスだけだ」
 デュエルは現在マイウスのラボで補修と機体解析を行っており、ブリッツとバスターは現在、ガモフがアークエンジェルをロストしているので合流は難しい。
「彼女はアイドルなんだ。頼むぞ、クルーゼ、アスラン」
「ハッ!!」
 父の背中を見送りながらアスランはクルーゼに訊ねた。
「彼女を助けてヒーローの様に戻れと言うことですか?」
「もしくはその亡骸を号泣しながら抱いて戻れ、かな」
 クルーゼが含み笑いと共に答えると、アスランはぎょっとして彼の顔を見る。
「冗談だ。もしもそんな事になったら私も君もプラントの街を歩けなくなる」
(それに彼女がいなくなると、我々の計画は実行段階に移す前に終わってしてしまう)
 クルーゼは一癖も二癖もある、彼の仲間の顔を思い浮かべながらヴェサリウスの乗船口に向かう。
「イザーク!?」
 アスランは乗船口の前で腕組みをして待つ戦友の姿に驚いた。
 イザークの顔には、痛々しい傷跡が斜めに横切っている。現在のプラントの医療技術を使えば、傷跡など簡単に消す事が出来るのだが、それをしないという事は、あえてそうしているのだろう。
「その傷は…」
「傷の事などどうでも良い。アスラン、貴様がラクス・クラインの婚約者ならば、必ず彼女を助け出してみせろ!いいか必ずだぞ」
 イザークは念を押すと、アスラン達に道を譲り立ち去って行った。
「彼は今回の作戦に出れないからな。彼なりに君を激励しているのだろう」
 イザークは、まだ療養中のために今回の作戦には参加しないのである。ラクス・クラインのファンでもあるイザークの心中は推して知るべしである。
「必ず助け出してみせますよ」
そうだ自分は大切な人を二度と失わないようにザフトに入ったのだとアスランは決意を新たにした。

「え~と、ここがこうだから……」
 カガリは食堂で慣れないドライバーを動かしながら、必死にその物体と向かい合っていた。
「全く一時はどうなるかと思ったよ」
「でも何とかなるもんだな」
 サイはトールは、それぞれの恋人に薬を届けると、食事を取るべく食堂へ入ってきた。
「あっ!良い所に来た。ちょっと手伝ってくれ」
 カガリが二人に気づき声を掛ける。
「何々?」
「何なんだい?ソレ」
 サイがカガリの持っているピンクの球体を指差す。
「救助した女の子が持っていたんだけど、ちょっとした事故で壊しちゃって……」
「事故?」
 カガリが申し訳なさそうに言うのを聞くとサイが首を捻る。
「なぁ頼むよ。直すの手伝ってくれよ」
「いいけど、そういうのが得意な奴が……」
「あっ!カズィ!ちょうどいい所に来た」
 噂をすればなんとやら、カズィも食事を取るべく食堂に入ってくる。
「な、なにかな」
 三人が一斉に自分の方を見るのでたじろいだカズィが答える。
「実は……」
 大まかな事情を説明し、直してくれるように頼んだ。
「う~ん……」
 ピンクの球体の壊れた所を見てカズィが唸る。
「どうだ?直りそうか?」
 カガリが心配そうに聞いてくる。
「大丈夫、直せると思うよ……たぶんだけど」
「そうか…良かった」
 カズィが早速、修理に取り掛かるとカナードも食堂に姿を現す。
「カナード!お前もコッチに来いよ」
 カガリが手招きをしてカナードを呼ぶ。

「ああ、コッチもお前に用があって来た。艦長が後でアノ女に食事を持っていけだと」
「わかった。その時にコレも持って行けばいいか」
 カガリはカズィが弄っているピンクの球体に目をやる。
「直るのかコレ?」
 カナードの質問にカズィが手を休めずに答える。
「ジョイントと中のコードが切れただけみたいだからね。もし中のチップとかが壊れていたら、お手上げだったんだけど…」
「やっぱプラント製品は出来がいいんだな」
「うん……オーブでコレを売り出すとしたらコレくらいかな?」
 カズィは片手を広げて四人に見せる。
「五百アードか。安いな」
 カガリが言うとカズィが首を横に振る。
「じゃあ五千アードか!?」
 トールが驚いたように聞く、話題の新型の家庭用ゲーム機と同じ値段だ。しかし、それでもカズィは首を横に振る。
「まさか!」
「五万アードくらいだと思う……」
「ゲェ!!」
 中古のエレカも楽に買える値段だ。
「コイツがな~」
 カナードは、その球体に刻まれたAtoLの文字をしげしげと見る。
「そりゃ、あんな子だからな。高いプレゼントをくれる人がいるんだろう」
 カガリは昔から何か理由を付けては、自分に贈り物をする男を思い出しながら答える。
「ああ、聞いた聞いた!すっごい綺麗な女の子なんだって?」
「ミリアリアに言うぞ」
「ウッ……」
 トールが興味津々に聞くとサイが釘を刺す。
「ちょっと見ただけだけど綺麗というより可愛いかな?カナードはどう思った?」
「さぁな、ただ……気になる女だ」
 カナードは、ポッドから出てきたラクスが自分の顔を見て、まるで、そこに居るはずのない人物を見たような驚愕の表情を浮かべていた事を思い出していた。

 ヴェサリウスの船影が少しずつ小さくなっていく
「頼んだぞ、アスラン」
 シャトルの中でパトリックは、膨大な数の情報に目を通しながら、呟いた。
(お前は、必ず救い出せ。愛する者を失い、怒りと憎しみと絶望の中で生きるのは、この私のだけで十分だ……)
「失礼します」
 紫の軍服に身を包んだパトリックの秘書官が最新の現状を伝える。。
「ビクトリアへの総攻撃に向けての各部隊の再編成は10日までには終わる予定です」
「結構、蛇がその尾を噛むまで、あと少しだな」
「アカデミーの対MS戦を中心とした新カリキュラムは、ユウキ教官が中心となって一週間以内に作成し終える予定です。それと……新型MSの件ですが」
 秘書官は声を潜めて言う。この場で話して良いものかと判断に困ったからだ。
「構わん続けろ」
「次期主力の生産ラインにシグーの代わりに、ビーム兵器を装備した新型MSを乗せる事はアルマフィ議員も賛成したのですが……例のMSについては考えさせてくれと」
「ユーリらしいな。だが心配する必要は無い。アイツは必ず私の思いを理解してくれるよ」
「そうでしょうか」
「アイツは昔から人の痛みには敏感な奴だ」
 そう言うとパトリックは窓の方を見て、かつての自分達の姿を思い出していた。

 マイウスのラボに戻ったイザークは、痛々しい姿を晒すデュエルを見上げる。研究員達と作業員が忙しく行きかう中で、イザークは一刻も早くデュエルが復活する事を願っていた。
「やあ、帰ってたようだね」
 白衣の男が気さくにイザークに話しかける。
「はい、デュエルの方はどうですか?」
「う~ん、昨日はイージスに構ってたせいで、殆ど手付かずだったけど三日以内に修理は終わるよ。しかし本当に、この機体で戦うのかね?」
「スミマセン、自分の我侭のせいで、ご迷惑をかけてしまって…」
 既にビーム兵器搭載型シグーの開発も始まっているようだが、ストライクに受けた屈辱を晴らすのはこの前の機体と同じデュエルでなればいけなかったのだ。
 ほぼ同系列の機体で、あそこまでの差が出たのは機体に慣れてなかったからだという事を証明する為だ。
「いや、そういうつもりではないんだ。立ち話もなんだからコーヒーでも飲みながら話そうか」
 そう言うと、その男はイザークを自分の執務室に通す。
 秘書官にコーヒーを持ってくるように頼むと、イザークに手元のノートパソコンを見せる。
「さっきの話の続きだが、見たまえ」
 画面にはデュエルとストライクのスペックデータが表示されている。
「デュエルとストライクは、同じフレームを使っているが装甲と内部部品との兼ね合いから運動性ではストライクの方が上だ。しかもストライクはバックパックを換装することにより、機体性能を強化する事が出来る」
 イザークは、男の解説に頷く。ヘリオポリスの戦いでは相手の推力に押し負けていた事を思い出したからだ。
「それでも自分はデュエルで戦うしか……」
「まあ、話は最後まで聞きなさい」
 男は素早くキーボドを操作し、イザークに新しい画面を見せた。
「これは!!」
 画面の中のデュエルは、全身を装甲で包み込み、武装が強化されているのが一目で解った。
「アサルトシュラウドを知ってるだろ?アレをデュエル様に調整したのさ」
「そんな事が可能なんですか!?」
「ああ、一部のハードポイントがジンと同じものだったからね。大方、ジンの装備の有用性も調べるつもりだったんだろう」
 イザークは頷いた。連合にはMSの運用ノウハウが無い。
 それ故にGAT-Xシリーズを作り、どんな装備がMSに有効なのかを試していた様なのだ。
「さらに、このアサルトシュラウドの表面にはアンチビームコーティングを施してあるから、ビームライフルの一発や二発なら無効化できるはずだ」
「凄い!」
「もっともコレは研究中の技術だから、あんまり当てにはしないでくれよ」
「いいえ、十分です。本当に何から何まで……ありがとうございます。アマルフィ議員」
 イザークは友人の父親の顔を見上げ、感謝の言葉を出す。
「気にしないでくれ。君には二コルが世話になってるし、エザリアが悲しむ顔は見たくないからね。それに……」
 ユーリは、イザークの手助けをしている本当の理由に気づいて口ごもる。自分がわざわざ現場に出ているのは、イザークの為でも、技術者として機体に興味があるからではない。
 自分は逃げているのだ。
 戦闘用コーディネーターの事、それと戦わざるをえないニコルの事、そしてパトリックから打診された新型MSの動力の事。
 それらの問題について考えるのを避ける為に、自分は現場に出ているのだとユーリは悟った。そして一番に自分の心を悩ませている問題は、新型MSの動力だという事も。
(なぜパトリックはアノ力を欲しているのだ)
 愛する者を奪い去った禁断の力を再び使おうとするパトリックの真意はユーリには理解できなかった。
「どうかしたのですか?」
「いや、何でもないよ」
 ユーリがそう言うと、先程の秘書官が頼まれたコーヒーを持ってくる。出されたコーヒーを飲みながらイザークが言った。

「早速、その機体に慣れたいのでシュミレーターを使わせてもらえますか?」
「ああ、いいとも。思い立ったら直ぐに行動か……全く君はエザリアの若い頃にソックリだな。そういえば昔、MSの操縦をするって言い出した時は大変だったな」
「母上が!?どうして?」
「切っ掛けは些細な事だよ。パトリックと口喧嘩をして、自分のほうが上手くMSを操縦できるって言い出して…」
「そんな事があったんですか!?」
 イザークが信じられないとばかりに言う。
「みんなアノ頃は若かったからね。そうだ良い物を見せてあげよう」
 そう言うとユーリは机の引き出しから一枚の写真を取り出す。
「それは?」
「青春の一ページさ」
 そう言うとユーリはイザークに写真を渡す。
 その写真には数名の若い男女が、赤いMSをバックに写っている。イザークは、その男女の顔が、自分の良く知っている人物達にソックリな事に気づいた。
「そこに写ってるMSは、プラント建設用の作業機にブルーコスモスのテロに対抗する為に機関銃を取り付けた物で、写ってる人物は君が思ってる通り最高評議会のメンバーさ」
 ユーリは目を細めて言う。
「あの頃は毎日が最高だった。みんなで酒を飲みながら完成したプラントの未来について語り合ったものさ。酔ったタッドがエザリアを口説いて投げ飛ばされたり、シーゲルとパトリックが惑星間航行用の宇宙船加速装置について話合ってたり、その隣には…」
 その時ユーリは思い出したパトリックの隣には誰が居たのかを……
 パトリックとシーゲルが、激しく口論している時に感情的なパトリックを抑えたのは誰だっただろう。
 ブルーコスモスの罠に掛り、全身に銃弾を浴びて一週間以上も生死の境を彷徨っていたパトリックを寝ずに看病していたのは、誰だっただろう。
 出合った当初のナイフの様な目のパトリックを変えたのは、誰だっただろう。
 そう何時も彼女は、パトリックの隣に居たのだ。その彼女を失ったパトリックの悲しみは計り知れないものだっただろう。
それでもパトリックは、彼女を奪ったアノ力を使おうとしているのだ。
 おそらく全ては、あの時に皆で語り合った『懐かしい未来』の為に……
「不器用な男だよ……昔からまるで変わってない」
「は?」
 その時にコンコンと部屋の扉がノックされる。
「入りたまえ」
 ユーリがそう言うと、白衣を着た長い髪を結った少女が入ってくる。
「シグー用のビーム兵器の図面が出来たので見ていただけませんか?」
「もう出来たのか。悪いね、もう直ぐアカデミーの卒業試験だってのに……」
「気にしないで下さい。今のアカデミーで教える事は対MS戦で役に立たないでしょうから」
 冷ややかに言う少女にイザークは少々ムッとする。
「アルマフィ議員、彼女は?」
「君やニコルの後輩で、ビーム兵器の開発に協力してもらっている…」
「シホ・ハーネンフースです。お噂は予てから聞いてますわイザーク・ジュール。一期の次席も大した事ないんですね」
「何だと!」
 イザークが声を荒げ目の前の少女を睨みつける。
「今まで私たち二期生は貴方たち一期生と比べられて来ましたが、四人でたった一機のMSを墜とせない様では、一期生の程度が知れるというものです」
「面白い、アルマフィ議員、シュミレーターをお借りします。一期の実力を見せてやる」
「望むところです」
 二人はバチバチと火花を散らしながらシュミレータールームに向かって行く。
 残されたユーリは机の上の写真を眺めながら、コーヒーを飲みつつ願った。彼等の青春が自分達と同じく光り輝くモノであって欲しいと……