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EVAcrossOO_第4使徒ラッセル ◆vm4K0BVuy. 氏_01話

Last-modified: 2014-03-28 (金) 17:39:50
 

第一話   Edit

『特別非常事態宣言発令されたため、現在、全ての通信回線は不通となっております』
「………」
1人の少年が公衆電話の前で佇んでいる。
髪は黒く、ボサボサしており、肌は少し日焼けしている。
服装は学校で見かける夏服の上に赤いマフラーを首に巻いているという、何とも奇妙な格好だ。
その少年、刹那・F・セイエイは何度も同じ言葉を繰り返す受話器を戻した。
「……待ち合わせ時間を完全にオーバー。葛城ミサトは未だ確認できず」
腕時計を見ながら確認する。
数日前、自分の父親から届いたメッセージによれば写真に写る人物『葛城ミサト』と自分は既にこの場で合流しているはずだ。
しかし、未だに葛城ミサトは現れず、セミの声が聞こえるばかりだ。
「現状では待ち合わせは不可能と断定…生命保護を最優先とし、シェルターに避難する…」
周りを見渡す。
坂道の道路、自動販売機、街路樹、別にどこでも見かけるような見渡しのいい通り。
それを見てると、ふと何かが見えた。
「……?」
少女が1人歩いていた。
空のような青い髪、白磁のような白い肌、血の色をそのままにしたような赤い瞳をした少女が。
「………」
別に少女自体には不明な点はない。
強いてあげるなら、青を基調としたセーラー服を着ている点ぐらいだ。
だが、刹那は彼女に何故か奇妙なものを感じた。
例えるならこれは…既視感?いや…懐かしさ?

 

そう思って見ていると地面が音を立てた。
「…!?」
大きな音。それもズシンズシンと巨人が大地を歩くかのような音が辺りに響いた。
そして、バラバラという聞きなれた音も。
「これは…?」
ふと頭をあげる。
「なっ……!?」
巨人がいた。

 

―――――――――――――――第3新東京市 直上 「使徒、襲来」―――――――――――――――――――――――――

 
 

黒い巨体に仮面のような白い顔、細長い腕を持ち、胴体には赤い球体。
巨人。それ以外の何者でもない。
それを取り囲むヘリコプターの数々。
ヘリコプターが数十にも及ぶミサイルを巨人に向かって発射した。
「…!!」
刹那は反射的に身を低くし、店の影に隠れる。
身を隠した瞬間、大きな爆発音が辺りに響く。

 

「チィッ…」
刹那が第一に考えたのは「ミサイルが」とか「あの怪物は」という類のものではなかった。
「あの少女はどうなった?」だった。
なぜ、あの少女をそこまで気にかけるのかは刹那自身も分からない。
それでも、あの巨人に対する爆発の余波で少女が怪我をしなかったのか、と確認しようとした。
「なっ…」
その少女は先ほど自分が見た通りからは姿を消していた。
避難したのか?数秒で坂を上って?幻か?あれほど鮮明な?
少しの間、混乱したが巨人の事を思い出してハッとする。
再び上を見た。
「……何!?」
巨人は健在していた。それも全くの無傷で。
経験上、ミサイルの威力を熟知している刹那にとって直上の状況は驚きのものだった。
ヘリは完全に弾を撃ちつくした状態で巨人の周りを囲んでいる。
刹那の本能の鐘がなった。
再び店の影に体を隠れさせる。

 

何かの発射音が聞こえた後、先ほどのミサイルの爆発音と比べ物にならない爆発音、そして熱風が体を叩き付けた。
「ぐぅぅ…!!」
余りに大きな熱風に体が少し浮いた。
もし店の影に隠れなかったら少し吹き飛ばされていたかもしれない。
そう思わせるほどの熱風だった。
その時、急に通りに車がやってきた。
「刹那・F・セイエイくんね!ゴメン、お待たせ!」
「アンタは…!」
サングラスをかけた若い女性が車の扉を開けて顔を覗かせた。
「私はミサト!葛城ミサト!あなたを迎えにきたの!乗って!」

 

刹那とミサトが車でジオフロントに向かう間、刹那はミサトから話を聞いていた。
「ネルフ……」
「そう。国連直属の非公開組織よ」
刹那はミサトから渡されたネルフの資料に目を落とす。
「碇ゲンドウはそこで働いているのか」
「え…そ、そうよ。お父さんの仕事について何か知ってる?」
刹那の父親に対する呼び方にミサトは驚きつつ、雑談を続けようとする。
しかし、
「いや。ゲンドウから職務は機密事項だと言われたので聞いていない」
「……そっか」
刹那のあまりに感情の伴わない言葉に話が続けにくかった。
2人の間にしばしの沈黙が流れる。
「………」
「………」
「………」
「……ねぇ」
「なんだ」
(き、気まずい…!!)
ミサトは悟る。この空気、この感じ。
この子は間違いなく自身の上司である碇ゲンドウの実子だと。
書類上では彼は碇ゲンドウの養子にあたる。
しかし、間違いなくこれは実子だ。性格的な意味で。

 
 

ミサトはさっきから気になってる事を聞いてみる。
「刹那くんってさ、お父さんを名前で呼ぶのね」
「………?」
「偽名なんでしょ、『刹那・F・セイエイ』って。お父さんが付けてくれたの?」
「……ああ」
ふいにミサトから投げられた質問に刹那は訳が分からないまま頷く。
「お父さんの事、苦手?」
「…………」
「……」
再びしばしの沈黙。だが、今度は刹那が沈黙を破った。
「分からないな」
「え?」
「俺のこの、ゲンドウに対する感情が好きというものか、嫌いというものかが分からない」
「…そうなんだ」
「ただ…」
「?」
刹那はミサトの方に顔を向ける。
「俺は碇ゲンドウの命令には従おうと思っている。どんなものでも。自分の意思で」
「刹那くん……」
刹那は最後の2つを特に強調してミサトに言い放った。
その目には何か強いものが秘められているようにミサトは感じた。
「そっか。お父さんが好きなのね…うらやましいかも…」
そうミサトが言ったと同時に、車がジオフロントに到着した。

 

「予定時刻を20分もオーバーしてる。何をやっていたの?」
エレベーターでミサトが言う『見せたいもの』の方まで向かう中、
途中でエレベータに乗ってきた白衣を着た金髪と黒眉の女性がミサトに声をかけた。
「ゲッ…リツコ…」
「あんまり遅いんで迎えにきちゃった」
「ごっみーん!許してーん!」
「はぁ…」
ミサトの悪びれない態度に金髪の女性はため息をつく。
それを見ていた刹那に金髪の女性も気づいたようだ。
「彼が例の子?」
「そう。刹那・F・セイエイくんよ」
紹介されたと同時に、刹那は軽い会釈をする。
あら、と軽い声を出した後、金髪の女性も軽い会釈をしながら自己紹介をし始めた。
「赤木リツコよ。よろしくね、刹那・F・セイエイくん」
「…あぁ」
エレベーターが到着した。

 
 

エレベーターが到着した通路は暗かった。
なんとか歩き回れる程度の明るさはあるものの、目が慣れるには時間が要りそうだ。
「着いたわ」
リツコの言葉に刹那は反応する。
正面に何も見えないが、巨大な何かの存在を感じる。
自分は何を見せられるというのだろうか。
「刹那くん、これが貴方に見せたかったものよ」
ミサトがそう言った瞬間に周りの照明が入った。
その瞬間、目の前の物が目に入る。
これは――――――
「これは汎用型ヒト型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン、その初号…刹那くん?」
リツコが正式名称を説明しようとする前に刹那の様子に気づいた。
「え?」
ミサトも刹那の今までに無い様子に気づいた。

 
 

刹那は眼前の巨人の前で立ち尽くしていた。
紫の鎧を纏い、角、口、目を持つ巨人の前で。
「………ぐっ」
巨人は何も語らない。
少年は小さく呻く。
少年の中に何かがフラッシュバックする。
大きな、光を纏った女性の姿が…
「ぐぁぁぁぁ……」
再び少年は小さく呻く。
白き巨人はそれを見つめている。
何も言わずに、動かずに、ただ見つめている。
見つめて見つめてみつめてみつめてみつめてみつメテ―――
「刹那くん!」
「っ!!」

 

刹那はしゃがみこんでる自分、そしてその自分の背中に手を当て、自分を見つめるミサトに気づいた。
「……俺は…」
「大丈夫?具合が悪いの?」
「…心配ない」
心配するミサトの手を払い、立ち上がって意思を示す。
「刹那くん、話を続けたいけどいいかしら?」
「ちょっと!さっきのこの子の状態を見なかったの!?無理に決まってるでしょ!」
「私達には時間が無いのよ!今でも彼らがここに攻めてくるかもしれないの!具合が悪いじゃ済まされないわ!」
リツコが話を進めようとした瞬間、ミサトが反論するがリツコに一喝される。
だが、話が見えてこない。これではまるで…
「よく来たな」
「っ!!」
1人の男の声が聞こえた。

 
 

上を向くと黒い服と眼鏡をかけた黒髪の男が立っていた。
刹那はその男の名を呼ぶ。
「碇ゲンドウ……」
「久しぶりだな」
「あぁ」
刹那はただジッとゲンドウを見る。
ゲンドウはその様子を見てフッと微笑んだ。
「刹那、お前がやらなければならない事、分かるな?」
「…!」
その言葉で刹那は自分が何故、ゲンドウに連れてこられたのか、何故エヴァンゲリオンを見せられたかを瞬時に理解する。
そして、何故、リツコやミサトがそれを説明しなかったのかも。
「戦え」
「分かった」
刹那は頷く。
ゲンドウが言ったその一言で自分が納得したからだ。
「さっきの巨人と戦え」とゲンドウが言うなら戦う。
少なくとも自分の意思で。あの時とは違うと。
「…本当にあっさりと納得したわね、彼」
リツコがボソリと呟く。
「赤木リツコ。操縦方法と機体能力、装備について教えてくれ」
いきなりフルネームで話を振られたリツコだが、さして驚く事無く答える。
「緊急配備されたから装備はプログレッシブナイフのみ。操縦方法は…」
「構わん。このまま乗せろ」
リツコが軽い説明を行おうとしたがゲンドウがそれを拒否した。
「っ!碇指令!?」
ミサトの反論とも取れる声をゲンドウは流し、刹那を見る。
「刹那、乗るなら早く乗れ」
「……了解」
「なっ……!」
ゲンドウの言葉に刹那は肯定の意を示し、リツコの方へ向かう。
「碇指令!今、彼を失うのは得策ではありません!せめて操縦方法だけでも…」
「問題ない。全て奴に任せておけ」
ゲンドウはそう言ってその場を去った。

 

『停止信号プラグ、排出終了』
『了解。エントリープラグ挿入。脊髄伝達システムを開放、接続準備』

 

様々なアナウンスが刹那の耳元で鳴る。
現在、刹那はマフラーを外した姿でエヴァンゲリオンのコクピット、エントリープラグの中に入っていた。
「考える…」
刹那はコクピットの操縦桿を握る。
赤木リツコは自分に考えるだけで動くと言っていた。
それだけ。考えるだけで動かせる。だが、そこからは自分で何とかしなければならない。

 

『エントリープラグ、注水』

 

「これは・・・!?」
エントリープラグ内に謎の液体が注水される。
『大丈夫よ。LCLが肺に直接、酸素を取り込んでくれるから』
「LCL………」
エントリープラグの中がLCLで満たされる。
大量の水の中で呼吸するのは少し慣れなかった。

 

『発進準備』

 

『第一次接続開始』
『第一ロックボルト解除、アンビカルブリッジ、移動開始』
『第二ロックボルト解除、第一拘束具除去。同じく第二拘束具を除去』
『第一番から十五番までの安全装置を解除』

 

初号機をロックしていた全てのシステムが外れ、わずかに初号機が揺れる。

 

『現在、初号機の状況はフリー』
『内部電源充電完了。内部電圧異常なし』

 

初号機が射出口に向けて動き始める。

 

『エヴァ初号機、射出口へ』

 

初号機が射出口へ到達。リフトにセットされる。
リフトの上にある数多の扉が全て開き始めた。

 

『発進!』

 

ミサトの声と共にリフトが初号機を乗せて加速し始めた。
「……っ!!」
リフトのスピードにより、刹那の体にGが体を打つ。
それは大きなものではないものの、初めてGに打たれる体には少々堪えたようだ。
そのまま一気に外に出る。
外はいつの間にか夜だった。
そして目の前には…あの巨人が。

 

『最終安全装置、解除!エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!』

 

リフトの安全装置が解除され、エヴァ初号機は完全にフリーの状態で使徒の前に立ちはだかった。

 
 

「………」
刹那は目の前にいる使徒を見る。
仮面が2つになっている。
大きなダメージでも受けたのだろうか、わずかだが血らしきものが流れているのも見えた。
『刹那くん、今は歩くことだけを考えて』
赤木リツコの声が聞こえる。
刹那は赤木リツコの声を反芻する。
「考えるだけで…いい…」
『そうよ。考えるだけで…えっ!?』
リツコは刹那が素直に歩き始めるものだと思ったが違った。
いきなり初号機は使徒に向かって走り始めたのだ。
『何を考えてるの!?いきなり走るなんて危険だわ!』
刹那はミサトの声を無視して使徒を殴ろうとし始めた。
だが、突然謎の壁に阻まれる。
「チィ……っ!!」

 

「駄目です!使徒はATフィールドを展開!使徒にダメージはありません!」
作戦室ではマヤがさきほどの使徒の状態を伝える。
ATフィールド。使徒が、エヴァが、そして人が持つ他者と分かつ心の壁。
何人も侵されぬ聖なる領域。使徒が通常兵器のほとんどを無力化していたのは、この力である。
「くっ…駄目か…」
ミサトは拳を止められた初号機を見て悔しそうに呟く。
「でも、驚いたわ…初めて乗ったのに、シンクロ率も30を超えてるし、いきなり使徒に向かって走り始めるなんて…」
リツコは目の前の出来事にかなり驚いていた。
動き自体は遅いものの、刹那のエヴァは使徒に向かって走り、そして殴った。
エヴァの操作は考えるだけでいい…確かにそうだ。
だが、考えるといっても体を動かすイメージをすぐに出せといわれて出せる人間などそうはいない。
ましてや死ぬかもしれないという極限の緊張状態の中なら尚更だ。
それを初めて乗った人間が、いきなり動けといわれて躊躇せず走る動作を展開するのは、リツコとしては信じがたいものだった。
「彼は一体・・・」
リツコは手元にある刹那・F・セイエイの資料を覗き込む。
そこには「経歴抹消済み」と大きな文字で書かれていた。
「刹那くん!」
ミサトが大きな声をあげた。

 
 

刹那は自分の拳が謎の壁に阻まれたと認識し、戸惑った。
その隙に使徒がエヴァの腕を掴み始めた。
「っ!!」
突然、刹那の左腕に大きな激痛が走る。
「ぐあああ!!」
『刹那くん!』
ミサトの声が聞こえる。
「ぐっ・・・!」
刹那は左腕の激痛を無視し、使徒に右足の蹴りをいれようとする。
だが、それもATフィールドに阻まれる。
「くっ・・・」
その時、ビキッという声が聞こえた。
エヴァの左腕が折られた。激痛が刹那に走った。
「がああああああああ!!」
『刹那くん!折られたのはエヴァの腕なのよ!あなたの腕じゃないの!』
ミサトが大声で声を送るが、刹那に届かない。
そのまま使徒は刹那の頭を掴んだ。
「っ!!」
『刹那くん!避けて!』
残った右腕で使徒の左腕を握るが突然、頭に衝撃が走った。

 

使徒の左腕から出た、光の杭の様な物は、何発も初号機に打ち込まれた後、ビルまで初号機を吹き飛ばした。
「刹那くん!」
「頭部破損!損害不明!」
「制御神経が次々と断線していきます!」
「パイロット反応ありません!生死不明!」
「初号機、完全に沈黙しました!」
次々と挙げられる報告からミサトはこれ以上は無理だ、と判断する。
「作戦中止!パイロットの保護を最優先!プラグを強制射出して!」
だが・・・
「駄目です!完全に制御不能です!」
「何ですって!」
頭部が壊れた影響か、エントリープラグは排出不可能となっていた。
その間にも使徒は初号機に忍び寄る。
ミサトの頭に最悪の光景が浮かんだ…その時。

 

「ウオオォォォォォォ……」

 

獣が、吼えた。

 
 

初号機が目に怪しい光を灯し、立ち上がった。
「エヴァ・・・再起動・・・そんな…動けるはずありません!」
信じられないという表情でマヤがミサトに報告する。
その時、再び初号機が口を開けて吼えた。
「ウオオオォォォォォォォ……」
初号機が飛び上がる。
その動きは速く、明らかに先ほどまでとは比べ物にならない動きだった。
「シンクロ率は!?」
リツコが我に返って訊ねる。
「以前、マイナスです!」
「まさか・・・暴走!?」
日向の答えからミサトは1つの結論を出す。
エヴァによる暴走。
エヴァはただの機械ではない、魂を持つ器なのだ。
故にエヴァは意識を持ち、パイロットとシンクロすることにより凄まじい力を発揮する。
逆にシンクロ率が低い場合、それでも動くのはパイロットの意思ではない。エヴァの意思。
つまりは、暴走。
それを別の場所で見ていた2人は呟く。
「勝ったな…」
「あぁ・・・」

 

飛び上がった初号機に向かって、使徒はビームのような物を放つ。
だが、暴走した初号機は体を空中で捻ってビームを全てかわした。
「初めてエヴァに乗ったのに…あんな複雑な動きはできるはずないわ!」
リツコが声をあげる。
地面に着地した初号機は使徒に向かって駆け出した。
しかし、使徒に触れるかという直前で、再びATフィールドに阻まれる。
「使徒、ATフィールドを展開!」
「・・・駄目か!」
だが、暴走した初号機も別の動きを見せていた。
「初号機もATフィールドを展開!相違空間でATフィールドを中和していきます!」
初号機がATフィールドを侵食。そして、わずかに穴が開いた部分に手をいれ、ATフィールドを無理矢理こじ開けた。
「凄い・・・」
誰に言うわけでもなく呟くミサトの言葉。
その間にもエヴァは行動していた。
使徒の腕をお返しとばかりにへし折り、胸の赤い球体を殴り続けていた。
だが、その時、誰もが予想もしなかった事態が起こる。
『う・・・く・・・』
通信から音声が入った。

 
 

「パイロットに反応が!」
日向は報せるまでも無く、ミサトは通信で呼びかけていた。
「刹那くん!」
『こ…これは…!?』
モニターが映らないことによりプラグの中の様子は分からないが、刹那が今の状況で混乱しているのは間違いない。
「刹那くん!今は・・・」
「使徒に反応!」
「!?」
再び日向の報告でモニターを見る。
すると使徒が急に球体となって初号機を包み込んでいた。
「自爆する気!?」
『!!』
刹那の方も事態がわずかだが飲み込めたようだ。
「使徒に高エネルギー反応!」
「刹那くん!」

 

エントリープラグで意識が戻った刹那は混乱していた。
(これは・・・なんだ?なぜ、勝手に手足が動いている?なぜ使徒は俺の下に倒れている?なぜ・・・おれは・・・)
そう思っていると使徒が急に自分を包み込んだ。
「!!」
辺りが真っ暗になる。
死。
頭の中に1つの言葉が過ぎった。
(死ぬ?死ぬのか?何も出来ぬまま・・・何も返せぬまま・・・)
様々な思いが一瞬のうちに刹那に駆け巡る。
そして、走馬灯が駆け巡る。
戦争によって様々な物が朽ち果てた街。
そこで佇む幼い自分。それに手を差し伸べる女性―――
「死ぬか・・・」
まだ自分は何も返せてない。何もやっていない。
少なくともまだ、死ねない。
「死ぬものかぁぁぁぁぁぁ!!」
少年は雄たけびを上げた。

 

使徒が爆発した。

 
 

第3新東京市に天まで届くかというほどの、高い炎の柱が上がる。
その炎の柱は、数秒経つまで消えず、その間、ネルフの作戦本部は静寂を保っていた。
「使徒・・・殲滅を確認しました・・・」
「エヴァは!?」
ミサトの問いを聞き、焦るように日向が反応を探す。
だが、モニターでは既にエヴァの様子が捉えられていた。
悠然と立つ、エヴァ初号機の姿が。
「あれが・・・エヴァの本当の姿・・・」
再び、ミサトが呟いた。
「パイロットの生存、確認しました!」
青葉の報せを聞き、ハッとする。
「刹那くんとの回線、つないで!}
「回線繋いでます!」
「刹那くん!」
ミサトは刹那に呼びかけるが、刹那の方からは返答ではなく、呟きが聞こえていた。
『俺は生きている・・・生きているんだ・・・生きているんだ・・・』
「・・・刹那くん?」
『俺は・・・俺が・・・』
その声は小さく、そしてはっきりと
『俺が・・・エヴァンゲリオンだ・・・』
ネルフ施設に静かに響いた。

 

 


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