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G-Seed_?氏_第一話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:42:14

「うむ。今日も絶好の修行日和だ」
 無窮の宇宙の闇の中でドモンは呟いた。
 絶対零度と無音が支配する宇宙空間で日和も何もないような気もするがドモンの言葉は口癖のようなものであった。流派東方不敗に、修行日和でない日など存在しない。雨が降ろうが風が吹こうが雹が降ろうが「修行日和」なのである。
 今日、ドモンが風雲再起とゴッドガンダムを駆り、宇宙に上がった理由は、久々に全力を出してみるためであった。
 コロニーの中では論外であるし、
「地球で本気を出したら、師匠に怒られてしまうからな・・・」
 目を閉じ、ドモンは意識を集中した。
 次の瞬間、眩い光が爆裂し、ゴッドガンダムの6枚の翼の後ろに紅い光輪が出現した。ゴッドガンダムが黄金に煌き、光の柱が直立する。
「石破・・・・」
 ゴッドガンダムの両掌の間に、圧倒的なエネルギーが生まれた。だがその膨大なエネルギーを、ドモンは澄みきった心のまま、完全に制御下においていた。
 『明鏡止水』
 ドモンの到達した究極の境地を、人はこう呼ぶ。
 ドモンの両眼が見開かれた。
「天驚ぉ拳!!」
 目の前の空間に向かってドモンはエネルギーの奔流を解き放った。
 その時。
 
 ――世界が捻れた。

「な、何だこれは?」
 周りの景色が捻れ、すさまじい大揺れがゴッドガンダムのコクピットを
揺るがす。そして、

 ――無窮の宇宙の闇の中にドモンはいた。

「ここは・・・。どこだ」
 遠方に見えていた日本列島型のコロニー、ネオジャパンがない。
アメリカ大陸型のコロニー、ネオ・アメリカも、中国大陸型コロニー、ネオ・チャイナもない。ネオ・フランスも、ネオ・ロシアも・・・。
 変わって遠くに見えるのは、没個性的な、砂時計ような形をした巨大建造物だけであった。あんなものは、見たことも聞いたこともない。
 突如、ドモンの両目が鋭く細められ、同時にゴッド・ガンダムが背後を振り向き、何もない空間に向かって構えを取る。
「誰だ! そこにいるのは!」
 通信機の全周波数を開き、呼びかける。
「・・・何故分かった?」
 威厳を感じさせる女の声と共に、空間が陽炎のように揺らめき、鉄の巨
人がぬっと姿を現した。
「気配で分かる。視覚のみで戦うようでは、ファイターとして二流!」
「気配だと? ふっ・・・。面白いことを言う」
 女は愉快そうに笑うと、
「私は、ロンド・ミナ・サハクと言う。私の居住するステーションの近くで桁外れのエネルギー反応が出た。それでやってきてみれば、お前がいたという次第だ。驚かせたようですまなかったな」
 素直に謝罪を口にした。
「いや、謝るのはこちらも同じだ。つい、先に名乗る礼を失してしまった・・・。
俺の名はドモン・カッシュ。知っての通り、ネオ・ジャパンのファイターだ」
「ドモン・カッシュ・・・聞かぬ名だな。それにネオ・ジャパン? ファイター?
どうも良く分からん。ジャパンとは東アジア共和国の一部になっている『日本』のことか?」
 相手の言葉にドモンは驚愕する。
 自惚れるつもりは毛頭ないが、自分の名、そしてこのゴッドガンダムと風雲
再起を知らない人間がいるとは思わなかったのだ。それに、『東アジア共和国』という単語は聞いた事が無い。だが、相手の口調に嘘の響きは皆無であり、それがドモンをより混乱させた。
 沈黙するドモンに、混乱の気配を見て取ったのか、
「・・・どうやら、色々複雑な事情のようだな。ここでこのまま話というわけにも行くまい。どうだ? 一緒に来る気はないか? お前のこと、そしてお前の乗っているそのMS。どちらにも私は、大いに興味がある」
 しばし、ドモンは思考を巡らせる。
 明らかに何かがおかしい。状況を判断するためには情報が必要だった。それに、少し話をしただけだが、目の前のMFに乗った人物は何となく信用できる気がした。
「分かった。あんたについていこう」
「そうか、では行くぞ。・・・ドモン・カッシュ」
 数瞬後、二つの鉄の巨人は並んで飛び立ち、宇宙はまた静けさを取り戻したのであった。