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LOWE IF_小ネタ_01

Last-modified: 2007-11-11 (日) 23:19:42

注:本SSは元々熱血スレに投降されたものですが、
当スレのM2a2eh6/s6さんの投降の現型という事もあって掲載させていただきました。

熱血バカピンク

「その方の姿に惑わされないでください」

オーブの全世界へ向けた放送を乗っ取り、デュランダルはミーアを使ってロゴス打倒の正当性を主張しようとするが、そこへオーブにいるラクスが現れ、事態は一変する。

『わたくしはラクス・クラインです』
「馬鹿な…彼女が何故オーブに…」

驚愕するデュランダルとミーア。また、世界中も二人のラクスに驚き混乱する。
そんな中、一人のノーマルスーツを着たザフト兵がなにやら丸いものを連れて排気ダクトを通って放送局へ進入しようとしている。そして、ついにデュランダルがいる場所の真上までたどり着いた。

「あらあら…どうやら少し遅れてしまったようですわね~」
「チコクチコク!」
「ピンクちゃんここを開けますわよ」
「マカセロテヤンディ!」

なにやら緊張感のない会話だが、当人としてはあせっているようだ。ピンクちゃんと呼ばれた物体が排気ダクトの出口の鍵を外した。ザフト兵は少し起き上がり、少し、というより思いっきり頭をぶつけて痛がった後、気を取り直してダクトの出口を持ち上げた。

『ですが、わたくし、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではアークエンジェルと共に戦いましたわたくしは、今もあの時と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります』

その最中、ラクスの演説は進み、ミーアやデュランダルの顔色はどんどんと悪くなっていく。

「わ、わたくしは…」
『わたくしはデュランダル議長の言葉と行動を支持してはいません』
「こちらの放送を止めろ!」
「いや、しかし…」
「良いから早く!奴らの思惑にのせられるぞ!」
「はっ!」

デュランダルの指示を受け、ザフトの将校達は慌てて作業を開始する。その時、一人の将校が妙なロープに気がついた。

「何だ?これ…」
『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?』
「上に…?って…」「どいてくださいましー!」
「うわぁぁ!」
『それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネイターでもない、悪いのは彼等、世界、貴方ではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください!…?』

将校と先ほどのザフト兵の悲鳴により、あたり一面、いや世界中が静まり返った。ロープから勢いよく降りて、いや落ちてきたザフト兵の下敷きになって、将校は気絶してしまった。心なしか、その顔は幸せそうな表情だった。
それを素直にお礼を言うのだから、その場にいる全員がずっこけそうになるのは無理もない。だが、本当に驚いたのはこの後だった。

「ご、ごめんなさいませ!急いでいたものですから…ってああ、ちょっと!待って下さい!」
「誰だね、君は」

下敷きにしてしまった将校に謝るザフト兵を他の将校たちが銃を構えて囲む。それを手を前に突き出して制止させるザフト兵。
心なしか、どこかで聴いた事のある声だ。バイザーの所為で微妙に聞こえづらいが。
そんなザフト兵の前に、デュランダルが立つ。その表情は少し怒りに満ちているようにも見える。確かにこれではザフト側の放送は唯の滑稽なコントだ。
そんなデュランダルを見て、すぐに立ち上がって敬礼をして慌てて弁明するザフト兵。

「し、失礼しています!えっと…あれ、ここじゃなくて…あらあらどうしましょう…」
「ここだろ?」
「あ、ありがとうございます」

慌ててヘルメットを外そうとして外せないザフト兵を見かねて将校はヘルメットのロックを外す。
それを素直にお礼を言うのだから、その場にいる全員がずっこけそうになるのは無理もない。
だが、本当に驚いたのはこの後だった。

「ふう」

ザフト兵がヘルメットを外すと、そこからはラクス・クラインと瓜二つの顔が現れたのだ。よく見ると、顔にいくつか傷があって、それがオーブにいるラクスと同一人物ではないと物語っていた。
それにはその場にいた全員はおろか、未だ流れているザフト放送を見ている民衆、そしてオーブにいるはずのラクスやカガリも驚愕した。
特にラクスに関しては何か恐怖を感じているかのような震えもかすかに見せていた。

「ハロハロ。テヤンデイ!」
「あらあら。ピンクちゃん遅いですわ。さてっと…議長、私はただのザフトの一兵に過ぎませんが、少しこの場をお借りしてよろしいでしょうか?」
「あ、ああ…」
「ありがとうございます」

丁寧に一礼したラクスはカメラの位置を確認して喋り始めた。

「ええっと、何から言えば良いでしょうねー。困りましたわぁ。あ、とりあえず。私はラクスです」
「(ええぃ!どうなっているんだ、一体…。ラクス・クラインが2人だと?)」

困惑するデュランダルを尻目に、二人のラクスの論争が始まろうとしていた。

「私は彼女によって亡き者にされそうになりました。それを救ってくれたのはこのピンクちゃんのわけですが…。それはさて置き、もう一人の私。あなたは何をしているのですか?何をしたいのですか?」
『あなたが何者かは知りませんがお答えしましょう。私は人々の未来を守るために戦っています。未来は一人一人に自由に与えられたものです。しかし、デュランダル議長が目指す世界はその自由を奪い、
私達を唯滅亡を待つだけの存在にします。そんな世界を許すわけには行きません』
「何を根拠に?」
『彼の切り札、デスティニープラン。人の運命を遺伝子によって決める。そんな世界は人々の未来を奪うのみです。だから…』
「それは根拠ではないですわ。デスティニープランが不幸を呼ぶかどうか、それは執行されなければわからないことではないでしょうか?
それに、デスティニープランを実行する事が議長の選んだ「自由の未来」であればあなた達はそれを潰すしているわけですが…」
『それは…』

オーブのラクスは反論できなかった。プラントのラクスは続けた。

「私はあまり頭がよろしくないので、政治の事についてはよくわかりません。ですが、これだけはわかります。貴方達のやっている事はただ事態を混乱させているだけだと。自分達の言っていることとは矛盾した事をしている事」
『…』
「えっと…あとはぁ…そうですわね、愛が足りません。愛があってこそ、世界は平和になりますわ」

何を急にとオーブのラクス、いや周りの全ての者達が思ったが、ラクスは返答する。

『愛?愛はあります。私達は全ての人を敬愛しています』
「ならば、そこにいる歌姫のように戦っている人たちも愛してください。憎しみを抱く人たちを愛してください。ただ戦っているものたちは悪者ではいけないのです。全ては愛のためなのですから」
「ラブー!ラブー!」

ピンクのハロが飛び回って機械的な声を発する。それを愉しそうな表情で見つめるプラントのラクス。そして、カメラのほうを向きなおしていった。

「あれもラブ、これもラブ、全てはラブ。全ての人は愛のために何かをします。愛しているもののところへ帰るために。愛するものが帰ってくるため。
愛するものを失い、愛するものために力を得るため。愛していたから復讐する。愛ゆえに、人は戦う、人は祈る。それらを拒否してはいけないと思います。肯定し、理解し、それから間違ったところがあれば指摘する。
唯肯定しているだけでも、唯拒否しているだけでも、駄目です。愛はお互いが理解してこそ愛ですから。それを、私は戦争を肌で感じる事で理解しました。そしてそれこそ、この戦争を終わらせる手段の一つだと。
『…では、デュランダル議長が見せる未来は愛があると?』
「少なくともあなた方の未来よりかは。議長は愛が何であるかを理解している方だと思っておりますから」
『…では私達はそれを全力で止めなければいけません。そのような愛は間違っています。そして、貴方はだまされています。本当の愛はデュランダルにはありません、さあ…』

そこでオーブのラクスの音声は途切れた。何時の間にやらピンクのハロがカメラに取り付き、その電源を落としていた。

「ツタエタ!ラクスエライ!」
「ありがとう、ピンクちゃん。さてと、申し訳ございません、こんな勝手な真似をしてしまって。減棒でも銃殺刑でも受けますわ」

全てを伝えたというのか、目の前にいるラクスは申し訳なさそうではあるが満足そうな表情でデュランダルを見る。
そんな彼女を見てデュランダルは言った。

「いやそれには及ばない。ところで…君は本当にラクス・クラインなのか?ではオーブのあれは…」
「さあ?それは然程問題ではないのではありませんか?偽者であるか、本物であるか。そんな事よりも、ね」
「…そうだな。ところで、本当に君は私に賛同してくれるのかね?」
「正直に言えば、賛同できませんわ」
「…そうか、やはりな。君の言う、愛が私にも足りないのかな?」
「貴方様の場合、あえて愛を無視しているようにも見えます。でも…」
「でも?」
「信じてますから。貴方は愛を知っている方だと。でなければ、プラントを立て直せはしません」
「そうか…。君はすごいな、さすが本物だ。偽者とは比べ物にならん」
「別にすごくはないですわ。…絶望しないでくださいね。まだまだ、人には可能性があるのですから」
「そうだな。私も考え直してみよう。その、愛とやらでね」
「はい!…ところで、議長。私をミネルバに所属させてください。あそこなら、キラ様やアスランに会えるチャンスもありますし」
「許可しよう。ラクス・クライン。君は今からミネルバ所属だ。宜しく頼む」
「はい」
「一人MSパイロット要員を増やすとミネルバに伝えてくれ」
「ははっ!」

ラクスはヘルメットを被りバイザーを降ろそうとした。と、その前にミーアの元へと歩み寄り、言った。

「えっと…お名前は?」
「み、ミーアです!ミーア・キャンベル!」
「ミーア様。いいお名前ですわ。もっと自信を持ってくださいませ。貴方様は「ラクス」としてではありますが、
早く平和が訪れるように祈りながら歌ったのですから。私も、一度基地で見ていましわ」
「え!?」
「ほほほ…ではごめんあそばせ」

まるで嵐のように現れ、嵐のように去っていったラクス。そんな彼女に呆気をとられつつも、ミーアは感謝していた。

「しかしまあ、彼女の機体はバビ、しかもピンクカラーか。またハイセンスな…」
「か、可愛い…」
「む?」

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