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Lnamaria-IF_赤き月の鷹_第14話

Last-modified: 2013-10-28 (月) 02:46:19

ディオキアの休日

お茶会が終わり、あたしたちはこのホテルに泊まっていくよう勧められた。

「ほんとに、よろしいんですか?」
「ええ、休暇なんだし。議長のせっかくの御厚意ですもの。お言葉に甘えて今日はこちらでゆっくりさせていただきなさい。
確かにそれくらいの働きはしてるわよ、あなた方は」
「そうさせていただけ。シンもルナマリアも。艦には俺が……」
「艦には私が戻ります。隊長もどうぞこちらで」
「いやそれは……」
「いや、艦には俺が残ろう、レイ。いやなに、こんな高級なホテルなんざ、何か起きそうで却って眠れん」
「でも、ショーン……」
「これでも俺は皆より少しだが年上だ。年上の言うことは聞くもんだ。お前らにはこんな所に泊まるのもいい思い出なるかもしれん。
気が咎めると言うなら、今度隊長に一杯おごってもらうさ。な、隊長」

「アスラン!」
「ん?」

あ、廊下の向こうから走ってくるのはラクス・クライン?

「あはは」
「ミーぁ……」
「これはラクス・クライン。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「ぁッ!」

ラクスはアスランに抱きついた! いくら婚約者だからってこんな人前で!!

「ホテルに御出と聞いて急いで戻って参りましたのよ」
「な…ミー…ァはぁ…」

この女! 人にぶつかっておいて!

「今日のステージは?見てくださいました?」
「え?あぁまぁ……」
「本当に!?どうでしたでしょうか?」
「ぁ…ああええ…ま……」
「ふん」
「彼等にも今日はここに泊まってゆっくりするよう言ったところです」
「ぇ?ぁ!」

ラクス・クラインも泊まるんだ。そりゃそうか、ここ、街で一番いいホテルだもんね。

「どうぞ久しぶりに二人で食事でもなさってください」
「ま~!ほんとですの!それは嬉しいですわ!アスラン、では早速席を」
「ああ、その前にちょっといいかな?アスラン」
「ん?」

議長とアスラン、ラクス・クラインは別の所へ行ってしまった。

あたしたちは部屋に案内された。
ビジネスホテルなんかとまったく違う部屋。広い!ベッドも広い。二人は寝れそうな広さ。
広いだけじゃなくて年月を重ねた物だけが持つ空気。
もったいない、メイリンと一緒に泊まれたらよかったな……
なんて思ってしまう

「ルナー」

あ、ゲイルが呼びに来た。

「みんなで夕食に行きましょ」
「いいわね! こんなホテルの食事なんて楽しみ!」

ホテルのレストランではジビエ料理をお勧めされた。
プラントに住んでるあたし達にとって、まるで縁のなかった料理。
それが食べられる! あたし達は迷うことなくジビエのコース料理を選んだ。

前菜は生ハム&旬のフルーツだ。

「ねぇ、なんで生ハムとメロンって一緒に食べるの?」
「それはね、ルナ。生ハムとメロンを一緒に食べると、メロンの青臭さが気にならず、甘味も増し、生ハムの塩味も和らぐからよ。
栄養学的に見ても、この食べ合わせは理に適っていると言うわ」
「ゲイルって物知りねー」
「不思議な食べ合わせは、他にも、イチジクとサラミとか、洋ナシとゴルゴンゾーラチーズ、ペコリーノチーズの蜂蜜がけなんてのもあるらしいわ。
ま、あたしもほとんど耳学問だけどね」

と言ってゲイルはウインクして舌を出した。

その後も、ブリュターニュ産ウズラのフリット バルサミコソース サラダ添え、トンブ産うさぎのラグーのフェットチーネ、ダマ鹿のロースト 黒胡椒風味、と、次々運ばれてくる料理を満喫した。

お腹一杯になったあたしは幸せな気持ちで眠りに付いた。

◇◇◇

「おはようございます、アスラン! お目覚めですか?よろしければダイニングにご一緒にと思いまして」

翌朝、あたしはアスランを起こしに行った。昨夜は一緒に食べられなかったから、今朝は一緒に食事したいな。

「ぁぁあーあー、ぇっと…えぇ?ぁ…」
「アスラン?」
「あ、ああ!」
「ぁ…」

え、ラクス・クライン!? それにこの格好!

「ありがとう。でもどうぞお先にいらしてくださいな。アスランは後からわたくしと参りますわ」

アスランはラクス・クラインの後ろで

「ぁぁ…」

とか呻いてる。情けない!

「え…あぁの…ぇ…ぁはい…………」

あたしもよくわからない返事をしてしまった。目の前で無常にも扉が閉まる。はぅ。

結局、ゲイルと食事をした。何を食べたかは、覚えてない……

ラウンジに降りていったらシンに会った。

「え?議長もう発たれたの?」
「ええ。お忙しい方だもの。昨日ああしてお話しできたのが不思議なくらいでしょ、ほんと」
「あ、まあ……」
「はぁ……」
「……ルナ、どうしたの?」
「別に」
「お前達、昨日のミネルバのひよっ子だろ?もう一人のフェイスの奴はどうした?」

あ、昨日案内してもらったフェイスの……

「失礼いたしました、おはようございます」
「あッ…え…」
「ふふ」
「ザラ隊長でしたら、まだお部屋だと……あ……」

噂をすれば……アスランはラクス・クラインといちゃつきながら降りてきた。

「なるほどね。分かった分かった、サンキュウ。おはようございます、ラクス様」
「あーら、おはようございます」
「昨日はお疲れ様でした。基地の兵士達もたいそう喜んでおりましたね。これでまた士気も上がることでしょう」
「ハイネさんも楽しんでいただけましたか?」
「はい、それはもう。昨日はゴタゴタしててまともに挨拶も出来なかったな」
「あ……」
「特務隊、ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしくな、アスラン」
「こちらこそ。アスラン・ザラです」
「知ってるよ、有名人」
「ん?」
「復隊したって聞いたのは最近だけどな。前はクルーゼ隊にいたんだろ?」
「ぁはい」
「俺は大戦の時はホーキンス隊でね。ヤキン・ドゥーエでは擦れ違ったかな?」

「ラクス様。ラクス様には今日の打ち合わせが御座いますので申し訳ありませんがあちらで」
「ええ~!」
「お願いします」
「は~い、仕方ありませんわね。ではアスラン、また後ほど」
「ああ、はい……」

ラクス・クラインは去って行った。

「仲いいんだな、けっこう」
「え?ぁぁいやぁそんなことは……」
「いいじゃないの、仲いいってことはいいことよ?うん」
「はいまぁ……」
「で、この5人と昨日の右頬に傷のあるやつの全部で6人か、ミネルバのパイロットは」
「ぇ?はい」
「インパルス、ガイア、グフ、ザクファントム、セイバー、そしてあいつがザクウォーリアかぁ」
「ん?」
「はい」
「で、お前フェイスだろ?艦長も」
「はぁ……」
「戦力としては十分だよなぁ。なのに何で俺にそんな艦に行けと言うかね、議長は」
「え!?」
「ミネルバに乗られるんですか!?」
「ま、そういうことだ。休暇明けから配属さ。艦の方には後で着任の挨拶に行くが、なんか面倒くさそうだよな、フェイスが三人っては」
「いえあの……」
「ま、いいさ。現場はとにかく走るだけだ。立場の違う人間には見えてるものも違うってね。とにかくよろしくな。議長期待のミネルバだ。なんとか応えてみせようぜ」
「はい、よろしくお願いします」
「「よろしくお願いします!」」

その後しばらくして、アスランと一緒にラクス・クラインがヘリコプターで去るのを見送った。

「さ、どうしよっかなぁ今日はこれから」
「ん?どうって?」
「街に出たい気もするけどショーンにも悪いから艦に戻ろっかなー」
「せっかくの休暇だ。のんびりしてくればいい。艦には俺が戻るから気にしなくていいぞ」
「そっか!隊長はもういいですもんねー。ラクス様と十分!ゆっくりされて!」
「ぇ!」
「そうですよ、どうせならラクス様の護衛に就いて差し上げれば良かったのに」
「ルナマリア!」
「隊長はフェイスですもん。そうされたって問題はないでしょ?」
「ちょっと待て!ルナマリア!」
「ふー」
「みんな、先に行ってくれ」
「あ、はい」
「叩きます?」
「はぁ…今朝のことは、俺にも落ち度があることだから言い訳はしたくないが。君は誤解しているし、それによってそういう態度を取られるのは困る」
「誤解……」
「……」
「誤解も何もないと思いますけど。分かりました。以後気をつけます。ラクス様がいらしている時は!」
「いやだから……」
「大丈夫です。お二人のことは私だってちゃんと理解してるつもりですから」
「だから! 目が覚めて気がついたらいたんだってば!」
「はい。そう言う関係ですものね。婚約者」
「もう……はぁ……」

結局アスランは艦に帰っていった。
あたしも艦に帰ってショーンやゲイルとこの街をぶらついた。
メイリンはヴィーノやヨウランと出かけるらしい。姉離れって事かな。少し寂しい気もする。

「こうして普通の格好をして街の人の会話を聞いてみろ。おもしろいぞ」

あたしたちは昼間からやっていたレストラン『AVANTI』のウェイテイングバーに入った。

「マスター! ヴェスパーを頼む。ご婦人にはダイキリを」

ショーンが頼んでくれたカクテルを飲みながら聞き耳を立てる。

「いやーしかし驚いたよ。プラントの議長が来てくれるとはよ」
「ああ、なんか同じようにこの辺の街、少し回っていくんだって。ラクス・クラインも」
「前の戦争ん時は敵だ敵だって戦ってさ、それが今じゃこうだもんな。ほんと分からねえもんさ」
「コーディネイターなんてやっぱりちょっとおっかない気もするけどさあ、あの乱暴者の連合軍に比べたら全然マシだよ。ちゃーんと紳士じゃないか」

「プラント、評判いい見たいね」
「ああ、きちんと行儀よくしてるみたいだな。それに比べて連合軍はかなり行動が乱暴だったらしいな。統制が取れていないのかも知れん。
それから、ラクス・クラインの名をこんな所の人も知っているって事もわかる」

カクテルを飲み終えると、あたしたちはバーを後にした。

「ごちそうさま、マスター」
「いってらっしゃいませ!」

なかなかいい雰囲気だった。面白い話も聞けたし。また、来て見たいな。ここに。

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