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Lnamaria-IF_赤髪のディアナ_第25話

Last-modified: 2013-10-28 (月) 02:07:40

オーブ防衛戦

パナマ会戦の詳細な情報が入ってきた。パナマにも当然MSを含めた兵力を集めていたのだけど、強力なEMP兵器が使われていっせいにコンピュータ部分がやられて動かなくなってしまったと言うのだ。
モルゲンレーテ始めオーブの人たちは大わらわでマスドライバーや兵器にEMP対策を施している。

6月1日、中立を保つ赤道連合、スカンジナビア共和国、オーブ連合首長国等に対し、地球連合より「ワン・アース」アピールがされた。
もちろんオーブはもう裏で同盟を結んでいるのだけど、赤道連合が同盟を結んでくれればいいと思う。大洋州連合、そしてカーペンタリアからの圧力が減るからだ。

早く地球軍に来てほしいけど、パナマ敗北での打撃からなかなか立ち直れずオーブ派遣軍の編成が遅れているようだ。EPM対策もきっと同じように大わらわでやっているのだろう。

ある日モルゲンレーテから呼ばれた。レッドフレームの修理が完成したから様子を見てくれという。

「完璧に仕上げたつもりよ」

シモンズさんは修理の完了したレッドフレームの前で、胸をそらす。

「じゃあ、ちょっと試させてもらいますね」

あたしはレッドフレームのコクピットに入り込むとOSを立ち上げる。
レッドフレームの左肘を二、三回曲げたり伸ばしたりさせると、左手首を一回転させ、左手を握らせ拳を作り、再び開かせる。そして人差し指から順に小指まで曲げていき、最後に親指を曲げて拳を作る。
全ての動作が壊れる前とまったく同じ反応速度だ。

「OKです!」

コクピットを出ながら、改修された二重装甲部分を見る。

「ここが、PS装甲かぁ」
「正確には、その内側の装甲ね。外側の装甲が破られた時だけPS装甲化するから電力の消費も抑えられるのよ。ちょうど地球軍でも同じ発想の装甲が開発されてトランスフェイズ装甲と言われているらしいわ。特許料を分捕れなくて残念!」
「でも、これで防御力上がって安心ですね!」
「過信はしないでね。着弾時の衝撃までは無効化する事ができないから。現に主任が、それで怪我したでしょう?」
「そうですね。気をつけます」

あたしは、これからもよろしくね、とレッドフレームをポンと叩いた。

◇◇◇

とうとう、大西洋連邦の第4洋上艦隊が南下を開始した。アズラエルさんも陣頭指揮を執っているそうだ。
だが、カーペンタリアにも動きがあるらしい。アークエンジェルは臨戦態勢に入った。民間人の避難誘導も始まった。
カガリの話では、赤道連合が地球連合側になり、カオシュンのマスドライバーとの連絡が取り辛くなったプラントからの圧力が強まっているらしい。もしかしたらオーブのマスドライバーを破壊しようとしているのかもしれない。
パナマでは、ザフトは条約を無視し、投降する兵士たちに発砲し虐殺したと言う。そんな奴らには絶対負けられない!

オーブ近海に近づいたザフト軍は、「地球軍の圧力と首長家の圧政に苦しめられているオーブ人民を救援するため」と言う建前でオーブ領海に進入しようとしていた。
オーブ海軍、そしてアークエンジェルも防衛のために出撃した。フラガさんやキャリーさん、シャムスさんは本土で防衛に当たっている。代わりにオーブ軍のM1アストレイが乗せられている。
連合艦隊がオーブに到着するまで一日!

とうとうザフト軍はディンを発進させ、オーブ領海に侵入してきた。

『合戦ようーい!』

イージス艦から一斉に艦対空ミサイルが発射される。これがオーブ防衛線の始まりだった。

更に戦闘ヘリ、VTOL戦闘機スピアヘッドが、そして空母からスカイグラスパーが発進する!

アークエンジェルからもスカイグラスパーが発進する。あたしとキラもレッドフレームとブルーフレームで出撃する!
戦闘機がディンをかく乱しながら下へ下へと追い込む。そこを下から突撃銃で撃つ!
アストレイも発進する。短距離飛行しかできない彼らは、イージス艦のヘリポートをうまく利用して飛び移りながら戦っている。

あたしも利用させてもらう!ヘリポートを足場にハイジャンプ!周囲のディンに弾をばら撒く!幸いジンより装甲が薄い!あっけなくディンは墜ちて行く。

ひとしきりディンを駆逐した後補給に戻ると、悪い知らせが待っていた。

「ご苦労様。マスドライバーのあるカグヤ島が危ないのよ。上陸されそうなの。ザフトは水中用MSもかなり投入しているみたいよ。ここは本艦とイージス艦、護衛艦と戦闘機で防空できるから、あなたたちはカグヤ島へ支援に向かって頂戴!」
「「はい!」」

やはりザフトの目的はマスドライバーか!遠くから見るとザフトの攻撃がカグヤ島に集中しているのがわかる。
でもよかった。オーブ本島に攻撃がいかなくて。民間人の被害も少ないだろう。
あたしたちは一旦オノゴロ島へ向かう。敵がいなくて幸い!付けられるだけ武装を付け、カグヤ島へ向かう。

島へ向かうと、ザフトの水中用MSとM1アストレイが激しく水際の攻防を繰り広げていた。

「救援よ!空中から敵を掃射する!」

あたしたちはちょうど後ろから敵MSを撃つ事ができた。海岸沿いに飛び、一帯の敵MSを駆逐する。

それからあたしたちは、遊撃として救援に追われる事となった。
なんか、アラスカみたいだ。アラスカで敗退したとは言えパナマに続きオーブ。ザフトの力は侮れない。

「空の悪魔め!お前らみんな許さねぇ!お前らなんか!……ちっ弾切れか!」
「シャムスさん、落ち着いて!救援に来たわ!弾切れなら一旦戻って補給して!ここは任せて!」
「……了解!」

シャムスさんはカグヤ島の臨時防衛本部へ戻っていった。
なにしろ敵MSの数が多い。押されてトリケロスを使うのも一度や二度ではなかった。相手はマスドライバーを狙ってミサイルを撃ってくるのでその迎撃にも忙殺される。
……あ、あれはディン!ここまで防空線が後退して来たの!?
だめかも知れない。そう思った時だった。

強力なビームがディン数機をなぎ払った!
あれは……機体照合……レイダーにカラミティが乗ってる!

「へへ、何遊んでんだよ、お前ら!」

カラミティが飛び降りる。大地に立つと、その圧倒的な火力をディンに向ける!レイダーはその鳥のようなMA形態のまま、ディンを駆逐していく。
やった!とうとう地球軍の増援が来た!

2機のMSに続いてスカイグラスパーの群れがやってきて制空権を確立する!
続いて輸送機がやってきてストライクダガーを次々に降ろしていく。
カグヤ島の防備は完全になった。それを見て、とうとうザフトは撤退していった!

連合艦隊はオノゴロ島付近に停泊した。
アークエンジェルもこちらへ戻ってくるそうだ。あたしたちも一旦オノゴロ島へ戻る。
連合艦隊には、アークエンジェルにそっくりな色違いの黒色の艦も混じっていた。その艦からヘリが飛んで来た。
あ、あれはアズラエルさん!
ホムラ代表と、続いてモルゲンレーテから出てきたアスカさんと握手してる。
あたしたちがMSを降りるとこっちに歩いてきた。

「初めましてと言うべきかお久しぶりと言うべきか。頑張ってくれてるようですね。ルナマリアさん、キラ君」
「は、はい、おかげさまで」
「危なかったようですね。僕も艦隊を急がせた甲斐がありましたよ」

そう言うとアズラエルさんは笑った。

◇◇◇

翌日、ささやかなパーティが開かれた。
まだ戦闘の爪跡もあちこちに残っているのだけど、オーブと連合の紐帯を深めるためには必要な儀式なのだろう。
あたしたちも呼ばれたので、この間カガリの誕生日パーティに使ったドレスを着ていった。

カガリは、アークエンジェル級の二番艦ドミニオンの艦長だと言うロベルト・ゴメスさんと、気が合ったのか話し込んでいる。

「やあ、ルナマリアさん。ここにいましたか」
「あ、アズラエルさん。……結構飲んでますね」
「パーティでは飲むのも仕事の内ですよ。でも、さすがに風に当たりたくなりましたね。どうです、ベランダでもご一緒しませんか?」
「あ、はい」

あたしは、アズラエルさんとベランダに行った。

「いい風ですね」
「はい」
「僕はね、コーディネイターが嫌いです。憎んでいると言ってもいい」

唐突にアズラエルさんが言った。

「……」
「訳を知りたいですか」

アズラエルさんが、何かを吐き出したがっているのはわかった。

「……はい」
「僕がハイ・スクールの時です。仲の良い年下の女の子がいました」
「……」
「物心ついてからこっち――僕には楽しい想い出なんてひとつもなかった。家族の愛情も、心を預けられる友達も。そう、あの子に出会うまでは。僕の窓を開いて、外には眩しい光の世界があることを教えてくれたのは、あの子、エリスでした。花の中で笑ってたあの子……。『一緒に生きよう』と、初めて僕に言ってくれたあの子。人の温もりと愛情を、惜しみなく与えてくれたあの子。幸せってヤツを、ようやく手に入れたと思いました。他には何も要らなかった。なのに、彼女は逝ってしまいました。僕に何も言わずに。ひとりで高い塔の上から飛び降りて。原因がわかったのは数日後でした。彼女はコーディネイターの男に乱暴されていたんです。日記に書かれていました。もう僕とは一緒にいられないと……加害者の男はさっさとプラントへ逃げ出した後でした。罪に問おうにも、優秀なコーディネイターの弁護士が無罪にしてしまった。」
「……」
「……悔しかった。憎みましたよ、コーディネイターを。皆殺しにしてやりたかった。だのに、何故。これは運命の悪い悪戯なのか?突然目の前に現れた君は、なぜそんなにエリスに似ているんです?瞳の色も、口元も、声さえも――」
「……アズラエルさん……」
「……失礼。酔いすぎて埒もない事を言ってしまったようです。忘れてください」

そう言うと、アズラエルさんはパーティの中へ戻っていった。

「お姉ちゃん!ここにいたの?……どうしたの?なにかあったの?」
「なんでもない」

あたしは涙をぬぐった。

◇◇◇

翌日から、あたしたちは出撃の準備に追われることになった。いよいよザフトを地球から追い出すのだ。
MSも改修に入っている。
レッドフレーム・ブルーフレームビームサーベルの位置を調整して、フライトユニットを付けていても使えるようにした。キラにはすごく便利になったと思う。更に、ブルーフレームにビームシールドが付けられた。
ストライクは近接戦闘用にビームサーベルを本体に増設した。
バスターは修理した。これもやはり近接戦闘用にビームサーベルを本体に増設して、サイとトールがとりあえずパイロットの訓練をしている。

……シモンズさんがひどくあわてている。アスカさんも?なんだろう?

「どうしたんですか?あ、ラゴゥヘッド!」
「そうだよ、ルナちゃん。これに、驚くべき情報が入っていたんだ!」

なになに?画面に情報が出ている。MS?

「ドレッドノート……ニュートロンジャマーキャンセラー搭載?核動力!?」
「そうだよ!ほかにも量子通信を利用したドラグーンシステムとか面白い物もあるが、とにかく一番重要なのはニュートロンジャマーキャンセラーだ!その設計図が入っている!」
「へーすごい」
「これで特許料、連合からたっぷり分捕れますよ、主任!」
「特許料……」
「お金は大切なのよ、ルナちゃん」
「そうだ、大切だ。それにエネルギー不足に苦しむ地球にとっては福音となるだろう。さっそくホムラ代表と話していくらぐらいで売りつけるか相談しよう」

アスカさんは嬉しそうにそそくさと出て行った。

「そうそう、これ。レッドフレームで使えるようにしておいたわ。敵陣に切り込む時に使って頂戴。ビームサーベルよりおもしろいわよぉ」
「へ!?」
「ただ置いておいてもつまらないから改造してみたのよ。その過程でなにか重要なデータが入ってるってわかったんだけどね。内側の取っ手を手で握ればコネクトできて、ビームサーベル使えるようになるから」
「あー、でも大抵、左腕には突撃銃握って出撃しますし……」
「残念ねぇ。まあ、最初から切り込むこともあるだろうから、持ってって」
「はぁ……」

ほんとに技術者ってのは、妙なことを考えるものだ。苦笑。

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