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Lnamaria-IF_523第01話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 07:01:08

「ジャスティス! アスラン!?」
「インパルス! ルナマリアか!?」
私は一瞬の内に走馬灯のように思い出していた。アスランとの思い出を。
だが! 今は敵だ! 脱走して、望んで敵になったのだ。よりにもよって愛する妹、メイリンまで巻き込んで!
気を引き締めろ!


「アスラン……でも、何で貴方がメイリンを……よくもメイリンを!」
「チィ! やめろルナマリア! お前も!」
「逃げるな!」
「えぇぃ、くっそー!」
「ぁ!」
とっさに胸部のCIWSで弾幕を張り牽制する。
……一瞬の内に片腕をやられた。やっぱり腕の差かしらね。アスラン、やっぱりあなたは……英雄――
折れそうになった心にアスランの言葉が響く。
「邪魔をするな! 君を討ちたくなどない!」


手を、抜かれていた。その事をあらためて自覚した時、折れそうになっていた心が激高する!
「何をっ!」
「時間を掛けたくないんだ!」
「ああぁぁ!」
ジャスティスが、ビームブーメランを放った。それに反応する間も無く。そして、衝撃が来た。
私の意識は深海へと沈んでいった。
















「……ぃ」


……なにか、声が聞こえる。


「おーい、ルナ!」
「ルナ、起きなさーい!」


ぼんやりした闇の向こうの遠くから聞こえる声に反応する間も無く。そして、衝撃が来た。
「いったーい、なによ、ミリィ。人がせっかく……」
あれ? どうしたんだろう? 私は今までアスランと戦って……
え? どうして私とアスランが戦わなきゃいけないの? 
アスランはコペルニクスの幼年学校で仲が良かった友達だ。
連絡がなくなってしまったのはいつからだろう。
私はそれを少しさびしく思った。






――違う!
頭に声が響く。誰の声? 自分の声だ。
アスランはヤキンの英雄で、憧れの人で、でも妹を連れて私を裏切った――
口惜しさが胸中に満ちる。
なんで? なんで?
「……私に妹なんていないじゃない。なんなのよ、もう……」
「……あれ!? ルナ? おかしいな、そんなに強く叩いた訳じゃないのに」
見上げると、見知らぬ少女があたふたしていた。
――え? 見知らぬもなにも? 私の親友のミリィじゃない。
そしてその隣には、ミリィのボーイフレンドのトールが心配そうにこちらを見ている。
「ごめーん。なんか調子悪いみたい」
「カトー教授が悪いんだよ。いくらルナがプログラムが得意だからって、なんでもかんでも押し付けて」
「そうよ。今日もね、ルナ見かけたらすぐつれて来てくれって」
「えー、昨日渡された分もまだ終わってないのに」
「俺達も手伝うからさ」
「ありがと、トール。じゃ、行こうか。え?」
スタンバイ状態にしようとしたパソコンから、緊迫したアナウンサーの声が聞こえる。
「カオシュンか。先週でこれじゃそろそろ墜ちそうかな。連合は何やってんだ」
「オーブ本土は大丈夫よね。中立だもん」


――オーブは焼かれたわ。私達も攻めたじゃない。オーブを。オペレーション・フューリーを忘れたの?


まただ。胸の奥底から声が聞こえる。
医務室へ行って、薬でももらおう。そう決めると、私は手早く荷物をまとめ、ミリィの後に続いた。




「あ、ルナマリア。やっと来たか」
しばらくしてカトーゼミに着くと、ひょいとゼミの仲間のサイが顔を出した。
「うん。カトー教授は? また私を呼んでるって聞いたけど」
「ああ、ルナマリアに宿題残して出て行っちゃったよ。忙しい人だね。あの人も」
「うへー。あ、そうだ。デパス持ってない?」
「レキソタンなら。調子、悪いのか」
サイは私の左手を心配そうに見やる。
「ラッキー。医務室に行く手間が省けたわ。うん、ちょっとね」
サイからレキソタンの5ミリ錠をもらって、ゆっくり口中で溶かす。
目覚めてから胸の中でざわざわしていた物が静まり、不安が消えてゆく。


「ふう、楽になったわ。ありがとね。あれ?」
心が落ち着いて私が部屋を見渡すと、部屋の壁にうつかって、帽子をかぶった見知らぬ少年がいた。
「誰? あの子?」
「さぁ? 教授のお客さんだって」
カズィが答える。帽子を被った少年が、少し顔を上げる。
――せっかく静まった心がざわめき始める。


「……アスハ代表……」
……忘れる物か、あの顔。


え? 私の知らない私が勝手に声を出す。
見知らぬ少年は、びっくりした顔をすると、向かって来た!
「ちょっとお前!」
「え、ちょっと、なんなのよ、もう!」
強引に、部屋の外に連れ出されてしまった。




「はぁ。どうして知ってるんだ? いや、確かに私はアスハ家のカガリ・ユラ・アスハだが。いや。ともかく、秘密にしてもらえないか。お忍びなんだ。あーあ。もっとしっかり変装しとけばよかったかな」
「え!? 代表首長のアスハ家のお嬢様の!?」
「? ……おい、お前、名前はなんと言う? さっきアスハとか言ったじゃないか。あれは何だったんだ」
「ルナマリア・ホークです。ああ、そう言えば、言いましたね。自分でも、なんでか、ふと口に出ちゃったんです」
「潜在意識にでも残ってたのかな。私もまったく露出が無いわけじゃないからな。ともかく秘密に頼むぞ」
「はい。カガリ様」
私は素直に答えた。再びざわめきだした、心に何か引っかかる物を感じながら。
「カガリ様はやめてくれ~。カガリでいいよ。カガリで。その方が気楽だ」
「ええ、じゃ、カガリ」
「うん、いいな。こっちもルナマリアって呼ぶから」




私達は部屋へ戻った。
さーて、宿題をやっつけますか!
キーボードを可能な限りの速さで叩き出す。まったく。
落ち着いて昼寝も出来やしない。カトー教授ったら!
カガリ様は、カズィがロボットを操縦し始めると、面白そうに話しかけてる。
ふふ。あんなとこは、普通の女の子と同じよねぇ。




――突然、衝撃が来た。




「キャー!」
「何? 隕石でもぶつかった?」
「まさか! 衝突しそうな隕石やらデブリやらは、とうの昔にわかっているはずだ!」
部屋の明かりが消え、そして非常灯に切り替わった。
「とにかく、避難しよう」
「ええ!」
部屋を出ると、職員の人たちもぞくぞくと階段を上がって避難していた
「いったい、どうしたんです!?」
「知らんよ」
「ザフトに攻撃されてるんだ! コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!」
「「「「え!?」」」
「君達も早く!」
……なんで?
ザフトは味方。ミカタ。私はザフト。ワタシハザフトノレッドデス……
胸の奥がざわめき出す。脳裏に写る光景。私の知らない私が、ザフトの軍服を着て戦っている。
「なんなのよぅ、もう、いやぁ」
「しっかりするんだ! ルナ!」
サイが私の頬を軽く叩く。
「……ぁ……」
「しっかりしなきゃな。最上級生だろ、俺ら」
「……うん」




「あ、君!」
え? 顔を上げるとカガリ様が、みんなとは逆方向へ走っていく!
まさかほっておけるはずも無い。
「私が追うわ! みんな先に行ってて!」
「気をつけろよ」
「わかってる! みんなも!」




「何してるんです、カガリ様! そっち行ったって……」
「何で付いてくる? そっちこそ早く逃げろ!」


――! 近くで爆発が起こり、カガリ様の帽子が吹き飛ばされる!


「ほら! カガリ様、あぶないですって!」
「いいから行け! 私には確かめねばならぬことがある!」
「……もう、遅いですよ」
私は後ろを振り向き指し示す。カガリ様も振り向く。
走ってきた通路は、瓦礫で塞がれていた。
「……だから言ったんだ、付いてくるなと……」
「大丈夫ですよ、カガリ様! 工場区に行けばまだ避難シェルターがあるはずです!」
カガリ様の手を握って走り出す。カガリ様は抵抗しなかった。
大きな空間に出た時、下に大きなロボットが横たわっていた。
え!? あれってまさかインパルス!?
……インパルスって何よ。私は知らない!
なんであれがモビルスーツだってわかっちゃうのよ!?




「はぁ…やっぱり…地球軍の新型機動兵器……うっ……お父様の裏切り者ー!」
カガリ様の叫び声に気づいて、下からオレンジ色の服を着た女性が撃ってきた!
運よく外れて、ラッタルが甲高い金属音を立てた。
その女性が、ちっと舌打ちする様子まで見て取れた。


「カガリ様、ここも危険です! 早く逃げましょう!」
「ぅっ……うっ…」
カガリ様は泣いている。先に泣いた方が勝ちよね。私も何がなんだかわからなくて泣きたいのに!
「でも、オーブが地球連合と組んでたとしても、しようがないかもしれませんよ。独立を守るには」
「……ぅぅ……え?」
「旧世紀のスイスなんか、もっと悪どかったらしいですから。ナチスドイツに協力したり、戦後なんの関係も無い日本から賠償金取り立てたり。まぁ、もう独立は破れてユーラシア連合になっちゃいましたけどね」
「……私が、子供なのかな……」




ふぅ、なんとか避難シェルターに着いた。
「ほら、ここに避難してる人が居る」
『まだ誰か居るのか?』
「はい。私と友達もお願いします。開けて下さい」
『二人!?』
「はい!」
『もうここはいっぱいなんだ! 左ブロックに37シェルターがあるからそこまでは行けんか?』
「なら一人だけでもなんとかお願いできませんか!?」
『一人か……分かった。一人だけ入ってくれ。すまん』
「カガリ様だけでも、入って!」
「え? なにを!? 私は!」
「いいから早く! 私は左ブロックのシェルターに行ってみますから!」
「待て! お前!」
カガリ様を強引に押し込むと、エレベーターは下がって行った。
私は左ブロック目指して走り出す。










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