Top > Lnamaria-IF_523第04話
HTML convert time to 0.009 sec.


Lnamaria-IF_523第04話

Last-modified: 2008-02-22 (金) 22:31:48





『X-105ストライク! X-105ストライク! ルナマリア! 聞こえていたら……無事なら応答しろ!』
あ。気がつくと、私はコロニーの残骸の中を漂っていた。
「……こちらX-105ストライク、……ルナマリアです」
『はぁ……無事か?』
ナタルさんの安心したような溜息と共にこちらを気遣う言葉が返ってきた。
「はい」
『こちらの位置は分かるか?』
「……はい」
『ならば帰投しろ。……戻れるな?』
また、ちょっと気遣わしげなナタルさんの言葉。
なんか、不謹慎だけど嬉しい。
「……はい」
返事をして、アークエンジェルへ向かう。
……父さん、母さん、無事だよね?……家にあった物、みんなどうなっちゃうんだろう。戦争によって放棄された物は確かジャンク屋組合の物になるんだよね。私の大切にしていた物も、もしかしたら勝手に持ってかれちゃうのかな。なんか、ジャンク屋組合って許せない。
あ! ……あれ、ヘリオポリスの救命ポッド! どうしたんだろう? 漂ってる? 助けなきゃ!




私が持ち帰った救命艇は、ちょっとした騒ぎを引き起こした。
ナタルさんが収容に反対したのだ。
「……認められない!?認められないってどういうことですか!? 推進部が壊れて漂流してたんですよ? それをまた、このまま放り出せとでも言うんですか!? 避難した人達が乗ってるんですよ!?」
「すぐに救援艦が来る!アークエンジェルは今戦闘中だぞ! 避難民の受け入れなど出来る訳が……え? あ、はぁ。ではそのように。ルナマリア、許可が出たぞ。収容急げ!」
「ほんとですか!? ありがとうございます!」


私は早速救命艇を艦内に収容し、ハッチを開けた。
「あら?」
見覚えのある顔が出てきた。
「あ、あー、貴方! サイの友達の!」
「あなたは……確かフレイ・アルスター?」
「ねえ、どうしたのヘリオポリス! どうしちゃったの? 一体何があったの?」
フレイは、心配で混乱した様子だった。冷や汗だかでほつれた髪が首筋に張り付いている。
「ヘリオポリスは、ヘリオポリスはね……」
私は言葉に詰まってしまった。悔しくて涙が出てくる。
「あたし、あたし……フローレンスのお店でジェシカとミーシャにはぐれて、一人でシェルターに逃げて、そしたら……」
「……」
「これザフトの船なんでしょ? あたし達どうなるの? なんであなたこんなところに居るの?」
そうか、それでそんなに心配して……
「安心して。これは地球連合の艦よ」
「うそっ!? だってモビルスーツが!」
「地球軍の試作品よ。この艦にはサイも、ミリアリアもいるのよ。心配しないで? ね?」
フレイはこくんと頷いた。
皆は休憩室にいるとの事だった。一緒にフレイを連れて行く。
サイの顔を見たらフレイは飛び付いて行った。
よっぽど不安だったんだろうなぁ。救命艇、助けてよかった。
ぼりっ。私はデンギル先生からもらったデパスを噛み砕き、その甘さを楽しんだ。




「どこに行くのかな、この船」
「一度、進路変えたよね。まだザフト、居るのかな?」
「この艦と、あのモビルスーツ追ってんだろ? じゃあ、まだ追われてんのかも」
「えー! じゃあなに? これに乗ってる方が危ないってことじゃないの! やだーちょっと!」
え。そうなのかな。私、余計な事しちゃった?
自然と頭が俯く。
ぼりっ。デパス、もう一錠追加。
「ルナ」
「え?」
サイが声をかけて来た。
「その辺で止めとけ。飲みすぎるな」
「ありがとう」
うん、あまり薬に頼りすぎるのも良くないし。もう止めておこう。幸い、ざわめき出した漠然とした不安感は収まった。
ミリィがフレイに言う。
「壊れた救命ポッドの方がマシだった?」
「そ、そうじゃないけど……」
「親父達も無事だよな?」
「避難命令、全土に出てたし、大丈夫だよ」
あ、フラガ大尉だ。
「ルナマリア・ホーク!」
「は、はい」
「マードック軍曹が、怒ってるぞー。人手が足りないんだ。自分の機体ぐらい自分で整備しろと」
「私の機体……? え、ちょっと私の機体って……」
「今はそういうことになってるってことだよ。実際、あれにはお嬢ちゃんしか乗れないんだから、しょうがないだろ」
「それは……しょうがないと思って2度目も乗りましたよ。でも、私は軍人……」
――!
私はザフト。私はザフト。ワタシハザフトノアカフク。
まただ。また声がする。
「いずれまた戦闘が始まった時、今度は乗らずに、自分は軍人じゃないって言いながら死んでくか?」
「……うぅ……」
「今、この艦を守れるのは、俺とお前だけなんだぜ? 君は、出来るだけの力を持っているだろ? なら、出来ることをやれよ。そう時間はないぞ。悩んでる時間もな。……おい、どうした? 大丈夫か?」
私は頭に響く声を抑えようと頭を抱えていた。
「……大丈夫……。降伏、する訳にはいかないんですか?」
そうよ! 向こうには、アスランがいる! アスランならきっといいようにしてくれるはず……
「エイプリル・フール・クライシスの被害を見ろよ。プラントの奴らは何かあるとすぐ血のバレンタインとか言うけどな、被害はエイプリル・フール・クライシスの方が数もパーセントも段違いだぜ。それに、いきなり中立国もなんもお構いなしに地球全土にニュートロンジャマーをぶち込むなんざ、所詮プラントの奴らは、空の高みから、ナチュラル如きと俺達を見下してやがるとしか思えんよ。そんな奴らに自分の身を進んで預けようとは思わないね」
「そう、ですか」
「お前さんが複雑なのもわかる。しかし、ザフトの連中は容赦しちゃくれんぞ」
「……」
「あの! この船はどこに向かってんですか?」
「ユーラシアの軍事要塞だ。ま、すんなり入れればいいがな。ってとこさ」
「じゃ、私行くから」
「おい! ルナ!」
「何? サイ?」
「整備に行く前に、もう一度医務室に行っとけよ!」
「うん、ありがとう」




「え!? なに? 今のどういうこと? あのルナマリアって人、あの……」
どう言えばいいのかな。サイは迷った。
……この場で隠してもすぐばれる。なら正直に言った方がいいか。
「君の乗った救命ポッド、モビルスーツに運ばれてきたって言ってたろ。あれを操縦してたの、ルナなんだ」
「えー! あの人……?」
「ああ」
「でもあの……あの人……なんでモビルスーツなんて……」
「ルナはコーディネイターだからねー」
「え!!」
「カズイ!」
カズイは余計な事を言う……もっと言い様もあるだろうに。サイは腹立たしかった。
「……うん……ルナはコーディネイターだ。でもザフトじゃない」
「……」
「……うん、あたし達の仲間。大事な友達よ」
ミリアリアもそう言ってくれる。だがフレイは
「……そう……」
としか言わなかった。
サイはフレイのコーディネイター嫌いを知っていた。納得してくれたのか、少し不安を感じた。




「……と言う訳で、声が聞こえるんですよ。お前はザフトだ、ザフトの赤服だとか。私、統合失調症でしょうか?」
「うーむ」
避難民の中に医者がいたらしい。その人もやって来た。
やだな。避難民を不安にさせちゃう。
「お前さん、ザフトがよっぽど怖かったんじゃないのかな?」
「はい、それは、怖かったです」
「よほど怖い眼に遭うと、人はその対象に自己を同一化して恐怖を無くそうとする。それかも知れんの。ほれ、ゾンビに追われる位ならゾンビになった方がまし、と言う奴じゃ」
「どうすれば、いいんでしょうか?」
「ザフトの事が怖くなくなればいいんじゃが……自分を磨いて強くなる、自信を持つ、と言うのもひとつの方法じゃな」
「強い薬は、あまり使いたくないですね。デンギル先生?」
「そうじゃの。マイナートランルナイザーで様子を見よう。どうしても生活に不便が生じたら言ってくるんじゃぞ。何かあったら、いつでも来なさい。カウンセリングでもしてあげるからの」
「あ、はい。やっぱり、強いストレスかかるとなるみたいで」
「じゃ、頓服にレキソタン出しておくけど、常用するんじゃないぞ」
「はい」
私は医務室を後にした。やっぱり、ストレスかかってるよね。ここ一日でこんなに環境が急変したんだ。無理も無いと思う。
「自分を磨いて強くなれ、かぁ。モビルスーツが動かせても、戦争が出来る訳じゃないのにね」
でも……そう。でも。あっという間に、こんな生活になじんでる。ううん、昔からしてたような気になるのはなんでだろう。




「遅いぞ! お嬢ちゃん!」
「あ、マードックさん。すみません、医務室に寄ってたもので」
「む、そうか。大事にしてくれよ。まぁ外側の整備はやっといたが、内部の整備はなぁ。やっぱりお嬢ちゃん自身で動かしやすいようにしておいてもらわんと」
「そうですね。今やります」
私はコクピットに上がってキーボードを取り出した。
「ほんとによくこんなOSで実戦に出た物よね。ここで小手先だけでいじってスパゲッティになるより、基礎は一から組んだ方が早いかもね」
私には、なぜか、モビルスーツの基礎OSの完成図が判る気がしたのだ。ナチュラル用のOSまで、そう、まるで何度も授業で叩き込まれたかのように……


『敵影補足、敵影補足、第一戦闘配備、軍籍にあるものは、直ちに全員持ち場に就け! 軍籍にあるものは直ちに……』
アラート音が鳴ったのは、一時間も過ぎた頃だろうか?
「やばっ じゃあここまでとりあえず保存して、組み込みっと」
『ルナマリア・ホークはブリッジへ。ルナマリア・ホークはブリッジへ』
「もういますっての」
「おーい嬢ちゃん!」
「あ、マードックさん」
「根つめるタイプなんだな、嬢ちゃん。パイロットスーツに着替えておいたほうがいいぞ。なんたって、今度は外は真空だ」
「はーい」


『敵影補足、敵影補足、第一戦闘配備、軍籍にあるものは、直ちに全員持ち場に就け! 軍籍にあるものは直ちに……』
『ルナマリア・ホークはブリッジへ。ルナマリア・ホークはブリッジへ』
戦闘……その事が頭に浮かんだ時、ミリアリアが感じたのは恐怖だった。そして、ルナマリアの事が頭に浮かんだ。モビルスーツに乗って、私達を守ってくれた親友。
「……ルナ……どうするのかな」
「あいつが戦ってくれないと、かなり困ったことになるんだろうなぁ」
ミリアリアは罪悪感を覚えた。きっとルナマリアは戦うだろう。自分達を守るために。そんな子だ。
ミリアリアは決意した。
「ねぇトール……私達だけこんなところで、いつもルナに頼って守ってもらって……」
「出来るだけの力を持っているなら、出来ることをやれ……かぁ……」
ミリアリアが見回すと、みんな頷いてくれた。
「行きましょう、私達も!」




「ルナー」
「あ! トール、みんな」
パイロットスーツに着替えに行く途中、みんなに逢った。どうしたの? 地球軍の制服なんて着ちゃって?
「……何? どうしたの?その格好?」
「僕達も艦の仕事を手伝おうかと思って。人手不足なんだろ?」
「ブリッジに入るなら軍服着ろってさ」
「軍服はザフトの方が格好いいよなぁ。階級章もねぇからなんか間抜け」
「生意気言うな!」
「お前にばっか戦わせて、守ってもらってばっかじゃな」
「こういう状況なんだもの、私たちだって、出来ることをして……」
「おーら行け!ひよっこども!」
「じゃあな、ルナ」
「後でね」
そう言ってみんなは向こうへ行ってしまった。
「あー、お前もまた出撃するんなら、今度はパイロットスーツを着ろよ!」
「あ、はい、今着替えに行く所です。みんなに頑張れって伝えてください。チャンドラさん」
「ああ! しっかり伝えるよ! お前さんも頑張れ!」
「はい!」
みんなの気持ちが、嬉しかった。あたしは更衣室に向かってダッシュした!


「ほぉー」
「ぁぁっ」
着替えた所に、フラガさんに出くわした。
「やっとやる気になったってことか。その格好は」
「フラガさんが言ったんでしょ? 今この船を守れるのは、私とあなただけだって。戦いたい訳じゃないけど、私はこの艦は守りたい。みんなが乗っているんだから」
「俺達だってそうさ。意味もなく戦いたがる奴なんざ、そうは居ない。戦わなきゃ、守れねぇから、戦うんだ」
「ええ」
「よし! じゃあ、作戦を説明するぞー」
フラガさんが説明した作戦とは、私が艦を守って時間稼ぎしている内にフラガさんがこっそり敵の艦に近づき、一撃を加えると言う物だった。
「とにかく、艦と自分を守ることだけを、考えるんだぞ」
「は、はい! フラガさんもお気を付けて」
――あ、やだ!
ふと、先の戦いの事を思い出してしまった。
……アスラン…またあなたも来るの?……この艦を沈めに……
もしアスランが来たら、私はどうすればいいんだろう?




「ストライク、発進位置へ! カタパルト接続。システム、オールグリーン!」
フラガさんが隠密先行して、前の敵を討つ。その間私は、後方の敵から艦を守る。うまくいくのかな……
「ルナ!」
「――! ミリィ!」
「以後、私がモビルスーツ及びモビルアーマーの戦闘管制となります。よろしくね!」
「よろしくお願いします、だよ」
「ふふ」
「装備はエールストライカーを。アークエンジェルが吹かしたら、あっという間に敵が来るぞ! いいな!」
「……はい!」


待つ時間は短いようで長く、長いようで短い。私の心臓はどきどきしている。
「前方、ナスカ級よりモビルスーツ発進。機影1です!」
「艦長!」
「お願い!」
「ルナマリア! ストライク発進だ!」
「ルナ!」
「……了解! はぁはぁはぁ……ルナマリア・ホーク、ストライク! 行きます!」


宇宙へ出て、敵のモビルスーツを視認する。
「あのモビルスーツは……アスラン?」
先の戦いと同じ、赤いモビルスーツがそこにいた。
やだっ。アスランとは戦いたくない!
「ルナ! 出撃してきたモビルスーツは奪われたGと判明! PS装甲にビーム兵器付きよ! 気をつけて!」
「了解!」


「ルナ!」
イージスから通信が入る。
「アスラン!」
「やめろ! 剣を引け! ルナ! 僕達は敵じゃない、そうだろ? 何故僕達が戦わなくちゃならない!」
「……アスラン!」
「同じコーディネイターのお前が、何故僕達と戦わなくちゃならないんだ!?」
「あ、アークエンジェルが!」
新たに後ろから接近して来たモビルスーツに攻撃されている!
「止めろ! ルナ!」
「アスラン!」
「お前が何故地球軍に居る? 何故ナチュラルの味方をするんだ!?」
「私は地球軍じゃない!」
「……!?」
「……けどあの船には仲間が、友達が乗ってるのよ! アスランこそ! なんでザフトになんか!? なんで戦争したりするのよ!?」
「……!」
「戦争なんか嫌だって、あなただって言ってたじゃない! そのあなたがどうしてヘリオポリスを壊したりしたのよ!」
「状況も分からぬナチュラル共が……こんなものを造るから……」
「勝手な言い分を! 身を守る武器を持って何が悪いのよ? 忘れてた? 私の親はナチュラルよ! そんな見下した言い方…… あっ!」
……甘い言葉を吐いておきながら……
急に口惜しさが込み上げて来る!
やだ!? また!?




「アスラン! 逃げて!」
「え?」
身体が勝手に放った斬撃は、今度はとっさに後ろにスラスターを吹かせたイージスの右脚を切り飛ばした。
「やだ! もうアスランと戦いたくない!」
「なにをもたもたやっている! アスラン!」
デュエル? ビームライフルを撃ちながらこちらへ向かって来る!
……邪魔よ……
頭の中の声は冷静に囁く。
私はとっさにスラスターを吹かし、デュエルに急突進した。
「にゃにおう!」
ビームサーベルは見事にデュエルのビームライフルを右手ごと切り落とした。
「もう、いやー!」
イージスへの攻撃を再開しようとする身体を押さえつけ、私はアスランから離れようとアークエンジェルを攻撃しているモビルスーツの方へとスラスターを吹かせた。
……攻撃力の割りに動きが鈍いのは、あれ……
私の叫びにお構いなく、頭の中の声は冷静に囁き続ける。
もう、私は心の奥底の声に任せた。
バスター……私に気づくと、右手にリニアレールガン、左手に大型ビームライフルと高出力の砲を撃ってくる!
でも、そんなの今は当たる気がしない!
大型ビームライフルを躱しながら私はビームサーベルで、上からバスターに切り付けた! 盾を持たないバスターはそれを防げず、ビームサーベルはバスターの右腕を切り落とした!


……? 撤退? していく?
あ、アークエンジェルから。特装砲ローエングリンの警告。フラガさんが成功ったの?
私はアークエンジェルに着艦した。


「おーい! こら嬢ちゃん!」
「あ?どうした?」
「いや~、なかなか嬢ちゃんが出てこねぇえんで……」
「おやおや。おーい、何やってんだ!こら!ルナマリア!……!」
「ハァハァハァ……あっ」
「もう終わったんだ。ほら、もう、とっとと出てこいよ。お前も俺も死ななかった、船も無事だ。上出来だったぜ」
……あっ……
アスラン……もう、だめなのかな。私、あんな事を言うあなたは好きになれない。何時の間にか、こんなに互いの心が違ってしまった。
「……ぅうあああぁ……!」
私は、フラガさんにしがみつくと、泣いてしまった。
「あー、こりゃどうしたもんかね?」
「緊張の糸が切れたんでしょう。すごい活躍でしたから。慰めておやんなせぇ。役得役得」
「役得ってね……ほら、もう大丈夫だから」
私は……どうすればいいんだろう。










】【戻る】【