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Lnamaria-IF_523第08話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 07:35:05

「ルナマリアさん、今回の行動について何か言う事はある?」
「ルナマリア、そもそもラクス嬢を人質にすると言う考えはお前が発案だろう。それがなぜ?」
「まぁまぁ、二人とも。二人掛りでわーわーやられちゃお嬢ちゃんもしゃべれん」
「……フレイに頼む時、決めていたんです。一回戦闘を止めてもらったら、私がラクスをザフトに返してあげようって」
「だが、その勝手な行動が、艦の安全をどれほど脅かしたか、理解しているのか?」
「……反省してます。別に月本部に連れて行かれても、殺される訳じゃないのに……私……ラクスが止めてくれなかったらと思うと……」
「……そう。わかっているのね。今度は、もうあんな勝手な事しちゃだめよ? 私だって、ラクスさんにとってよい方向になるように色々考えてたんだから」
「……はい」
「じゃ、これで解散! お嬢ちゃんも、いつまでも辛気臭い顔しないで! もうすぐ第8艦隊と合流なんだからさ!」
「はい。失礼します」


部屋から出ると、サイとミリィが心配そうな顔で待っていた。
「ルナ! 大丈夫か?」
「何て言われたの?」
「お前も、トイレ掃除一週間とか?」
「おーそれいいねー。やってもらおうかなぁ」
あ、フラガさん。続いてナタルさん、マリューさんも部屋から出て行った。
「大丈夫よ。勝手な事はするなって、叱られちゃった」
「そっか。ってことは……俺達だけか」
「ん」
「え?」
「私達、マードック軍曹に凄く怒られたの。お前達は危険て言葉すら知っちゃいねぇのかぁ! って」
「あぅ……ごめん。手伝うよ」
「いいよ。もうすぐ第8艦隊と合流だし、大したことない」
「……ありがとう」
「……正直言うと、少し心配だったんだ」
「……サイ……」
「でもよかった。お前、ちゃんと帰ってきたもんな!」
「……ぁ……
「じゃ、俺、交代だから」
「私も。じゃ、また後でね」
「うん。頑張って」
(きっとだぞ! ルナ! 俺はお前を信じてる!)
私は、ラクスを返す時のサイの言葉を思い出していた。
裏切らなくて、良かった。サイも、ミリィも自分に取っては家族と同じ位大切な存在だ。
……アスランは何度も誘ってくれたけど、コーディネイターだと言うだけで、プラントに行く気は起こらなかった。
ナチュラルに、いい人悪い人がいるように、コーディネイターにだっていい人悪い人がいるだろう。それはどこの社会に行っても同じで……今の私の居場所はここなんだ。
アスラン……あなたが変わっちゃった訳……多分、わかった。おば様が血のバレンタインでお亡くなりになったからね。でも、本当のあなたは優しいままだって信じる。ラクスからアークエンジェルにいるヘリオポリスの避難民の事を聞けば、きっと何かはしてくれるはず……期待はし過ぎないけど。






「…ん?」
アスランはピンクの物体が廊下を飛んで来るのを認めた。
「ハロ、ハロ、アスラーン」
「……おっ……ハァ……ラクス……」
ピンクの物体は、自分が作ったハロだった。本当にラクスはハロがお気に入りなんだな、とアスランは思う。次のまとまった休暇が取れれば、また一体作ろうか?
「ハロがはしゃいでいますわ。久しぶりに貴方に会えて嬉しいみたい」
「ハロには、そんな感情のようなものはありませんよ」
でも、このような物にも感情を見出すのが女性と言う物なのだろうか?
「貴方は客人ですが、ヴェサリウスは戦艦です。あまり、部屋の外をウロウロなさらないで下さい」
「あぁ……」
ラクスは退屈だった。アークエンジェルでは、ルナマリアと言う友人も出来たと言うのに。それ以下だ。
ルナ……彼女を思い出すと心が温かくなる。ルナ……あれでよかったのですわね?
ラクスの言葉で戦闘を止めた時を思い出す。
だって、私達、友達ですもの。
「どこに行ってもそう言われるので、詰まりませんの」
「仕方ありません。そういう立場なんですから」
「……っー………何か?アスラン?」
「あっ、いえぇ……あ、ご気分はいかがかと思いまして……その、人質にされたりと、いろいろありましたから……」
やっぱり、女性と話すのは苦手だ。とアスランは思った。いや。ラクスが苦手なのだ。あまりにも御伽噺に出てくるお姫様みたいで。どうしたらいいかわからなくなる。
「えっへ。私は元気ですわ。あちらの船でも、貴方のお友達が良くしてくださいましたし」
「……そうですか……」
ルナマリア。幼年学校の親友。あいつとなら、気軽に話せたんだがな。
アスランは苦い思いで思い返す。
「ルナはとても優しい方ですのね。そして、とても強い方」
「……あいつはバカです! 軍人じゃないって言ってたくせに……まだあんなものに……あいつは利用されてるだけなんだ! 友達とかなんとか……あいつの両親は、ナチュラルだから……だから……」
「ぁぁ……貴方と戦いたくないと、おしゃっていましたね」
「僕だってそうです! 誰があいつと……」
「……」
「失礼しました。では私はこれで」
「待ってくださいな。アークエンジェルに居られるヘリオポリスの避難民の事はどうなりましたの? ルナも、ルナのお友達も避難民ですのよ。子供もいるとか」
「……アークエンジェルが本当に避難民の事を思うなら、素直に投降すればいい、と言う事です」
「それは、クルーゼ隊長の判断ですの? 貴方はどう思いますの?」
ラクスが問い掛けると、アスランの顔が苦しそうに歪む。
「……」
「辛そうなお顔ばかりですのね。この頃の貴方は……」
「ニコニコ笑って戦争は出来ませんよ」
アスランは出て行った。
ラクスは祈った。
「祈りましょうね、ハロ。どの人の魂も、安らぐことの出来るようにと」






「いろいろあったけど、あと少しだね」
「あー」
「僕達も降ろしてもらえるんだよね、地球に」
「え?」
「だって、ほら……あの時、ラミアス大尉が……」
(事情はどうあれ、軍の重要機密を見てしまったあなた方は、然るべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで、私と行動を共にしていただかざるを得ません)
「あー。だから艦隊が、その然るべき所、とかじゃないの?」
「だよね。でも……」
「……でも?」
「ルナはどうなるんだろう? 降りられんのかな? あれだけいろんなことやっちゃってさ」
「……私。私……残ろうかなって思ってるの」
「なんだって!?」
「なんで!?」


『総員、第一戦闘配備! 繰り返す! 総員、第一戦闘配備!』
「……あぁ!」
「こんな合流間際に! じゃあ、行って来る!」
ラクスからヘリオポリスの避難民の事は伝わっているはずだけど、無駄だったみたいね。
私は戦争と言う物の厳しさを感じた。
「気をつけろよ! ルナ! 今死んだら馬鹿らしいぞ!」
うん、ここまで来て、やられるわけには行かない!


「戦争よぉ! また戦争よぉ! あぁぁ!」
「きゃー!」
あ、お姉様が女の子とぶつかった! フレイは慌てて駆け寄る。
「……うぅぅ……」
「……あぁ……大丈夫? さぁ……」
「ごめんね、お姉様急いでたから……
「……う……うん……」
「うふ……また戦争だけど、大丈夫。お姉様が戦って、守ってくれるからね」
「ほんと?」
「うん。悪い奴はみ~んなやっつけてくれるから」
フレイは、確信していた。また、お姉様に任せておけば大丈夫と。
「さあ、お姉様は行って!」
「ん。じゃっ」
……どうかお姉様が無事でありますように。フレイは祈った。


「ルナ、ザフトは、ローラシア級1、デュエル、バスター、ブリッツ!」
私がコクピットに入るとミリィが情報を伝えて来る。
「あの3機!」
「APU起動。ストライカーパックは、エールを装備します。カタパルト、接続。ストライク、スタンバイ。システム、オールグリーン。進路クリアー。ストライク、発進です」
「ルナマリア・ホーク、行きます!」




ディアッカとイザークは逸っていた。なにしろ、アークエンジェルのモビルスーツにはザフトレッドの自分達が片腕を切られると言う屈辱を味合わされていたのだ。
今度こそは。デュエルとバスターは、外見が変わっていた。切り落とされた右腕はジンの物に変わり、両機とも右肩にレールガンとミサイルポッドが追加装着されていた。装甲とスラスターも追加されていた。
今度こそは。二人は誓う。アサルトシュラウドが貴様に屈辱を晴らす!
「モビルスーツを引き離す! ニコル! 足付きは任せたぞ!」
「了解!」


ははは、奴らは見事に策に嵌まりやがった! こっちに喰らいついてくるぞ!
ディアッカは哄笑する。
「ストライクって言ったっけな。所詮地球軍の奴らなんて……」
……と、哄笑が止まる。
なんで。最初からわき目もふらずにビームライフルも撃たずに俺に突っ込んでくる!? 怖くねえのか!?
その速度は予想よりも若干速く、まずはビームライフルの撃ち合いをする気でいたディアッカの気持ちの余裕を失わせる。この間右腕を切られた時の恐怖が蘇る。
ディアッカは右手に持った突撃機銃を放つ。ミサイルポッドを開放する!
まだまだ足りない、あいつを止めるには! リニアガンも、大型ビームライフルもだ!
ディアッカは左腰に構えたビームライフルも放つ。だが、まずは回避に徹しているらしき相手には当たらない。
……やはり、ディアッカは余裕を失っていたのだろう。スラスターも強化されたバスターで回避すればよかったのだ。だが、恐怖を感じたディアッカの心は、攻撃する事でそれを払拭しようとしたのだ。
「うわあぁ!」
重突撃銃とリニアガンの弾丸も、ミサイルも、ビームも乗り越えて、『それ』はバスターの正面にいた。
「化け物め!」
捨て台詞のように叫ぶディアッカを無視するように『それ』はビームサーベルを振りかぶり、バスターの左腕を切り落とした。
――! やばい! このままじゃあ!
ディアッカの脳がめぐるましく回転する。
反射的に一つのボタンを押す。追加装甲が弾け飛ぶ! 一瞬、敵機が怯む。その隙に、バスターは逃げ出す事になんとか成功した。


イザークは焦っていた。たかがモビルアーマー如きに、拘束されているのだ。
このままでは足付きが第8艦隊と合流するまでの10分などあっという間に過ぎてしまう!
「手こずらせる! モビルアーマー如きが! 邪魔なんだよ! 落ちろ!」
彼は見た。バスターがあっという間にストライクに敗れるのを。
ストライクはすぐさま足付きに取り付いているブリッツへ向かった!
「ニコル! 気をつけろ! ストライクがそちらに……」
「うわああぁぁぁ!!!」
「ニコルー!!」
イザークはストライクに蹴飛ばされたブリッツが姿を消したのを確認した。
ミラージュコロイドで隠れたか……
ここでイザークは苦渋の決断をする。
「ディアッカ! ニコル! 引き上げだ! ガモフに帰還する!」
ようやくメビウスゼロのガンバレルを一撃して振り切ると、ストライクが迫っていた!
「くそう! 次こそは覚えてろ!」
デュエルはビームソードを抜き放つ。
――! イザークは背中に衝撃を覚えた! 一旦は振り切ったメビウスゼロが、攻撃してきたのだ!
「ひっ……」
動きの止まったデュエルの右腕が右肩に取り付けたリニアガンごと断ち切られる!
イザークは死を覚悟し、次の斬撃を待った。
「イザークーーー!」
「ニコルか……!」
突然姿を現したブリッツのレーザーライフルの連射により、メビウスゼロとストライクはデュエルから身を離した!
「今のうちに早く」
「わかっている!」
彼らは悄然としてガモフに帰還したのだった。




とうとうアークエンジェルは第8艦隊に合流した!
みんな、数多くの艦艇が織り成す威容に溜息をついている。
「そう言えばさ。ルナが残るってどう言う訳だよ?」
サイが聞いてきた。
「うん……あのね、もうすぐ、第8艦隊と合流かって、やっと地球に降りられるのかって思った時、何かとてもおかしい気がしたのよ」
「おかしい?」
「うん。これで、もう本当に安心なのかなって。オーブにいて、中立の国だって安心していたけど、本当は連合と組んでて、そのせいでヘリオポリスは崩壊した。もう、否応無く、戦争に巻き込まれているのよ。オーブも」
「そうだな。それで?」
「その後、やっぱりザフトに襲撃されたし、本当に安心なんて戦争が続いているうちは無理だってわかったのよ。……私ね、本当の平和が……本当の安心が……戦うことによってしか守れないのなら。私は戦う。私の力なんか、戦争全体から見ればほんの小さな力だろうけど」
「ルナ……」


「お前さん、残るそうじゃな」
「デンギル先生……これからもお世話になります」
「本当にいいのかね? 言うまでも無いが、危険じゃぞ? 戦争なんぞ大人に任せておけばいいと思うにのう」
「ほんと言うとね、怖いんです。ただの守られるだけの人になってしまう事が。不思議だけど、戦っている時は怖いけど、なんか安心できるんです」
「声はどうじゃね? まだ聞こえるかね?」
「普段は聞こえなくなりました。でも戦闘が激しくなると、まるでどうすればいいか導くように、ついさっきの戦闘の時も聞こえました」
「ふーむ。わしが心配しとるのは、お前さんが戦闘に依存しやしないか、と言う事じゃ」
「戦闘に、依存?」
「お前さんは強い。確かにな。勝てば、味方に賞賛もされる。じゃが、いつか戦争は終わってしまう」
「わかってます! そんな事! 私は戦争を終わらすためにも……」
自分でも、声が小さくなっていくのがわかった。
「私は……」
私は、心の中で戦争が終わってしまう事を怖れていやしないだろうか? いつの間にか、ストライク無しの自分など考えられなくなっていた。
「いつか戦争は終わる」
デンギル先生が繰り返した。
「その時にどうするか、よく考えておく事じゃて」
「はい……」










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