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Lnamaria-IF_523第15話

Last-modified: 2008-02-22 (金) 23:23:39

「ソナーに感。7時の方向。モビルスーツです」
「間違いないか?」
「数は?」
「音紋照合、グーン2、それと、不明1ですが、間違いありません!」
「このインド洋上でしつこい! 総員、第一戦闘配備!」
『総員、第一戦闘配備! 繰り返す! 総員、第一戦闘配備!』
「魚雷接近!弾数8!」
「離水! 上昇!」
「くっ……くっ!」
「底部イーゲルシュテルン、迎撃開始! バリアント、照準、てぇ!」


また離水した! この前の、水中用モビルスーツ?
私は格納庫に走った。バズーカが役に立たなかった事で、私も考えた事があった。
「ソードストライカーで?」
「はい! ビームを切れば、実剣として使えますから!」
「分かった!」
どのくらい役に立つかはわからない。でも、アーマーシュナイダーと合わせれば3つの武器になる。それにロケットアンカーも!


「少佐、頼みます!」
「オーケー。CIC、敵母艦の予測位置は?」
「痕跡から割り出した、予測データを送ります!」
「了解! じゃ、ジョン少尉、さ~と行って奴らの母艦、やっつけようぜ」
「はっ!」
「スカイグラスパー1号、フラガ機、発進位置へ!」
「出るぞ!」
「ジョン機発進、どうぞ!」
「出ます!」
「ストライク、どうぞ!」
「ルナマリア・ホーク、出るわよ!」
スラスターを吹かして飛び立つ! 海上に顔を出したグーン目掛けて私は海に飛び込んだ!


「どうにか足を止めないと…あ! うっ!」
対艦刀を構えたものの、また、魚雷攻撃に押されてる!
あ、あれはゾノ! 格闘戦も可能な水陸両用モビルスーツ!
ロケットアンカー射出! ……簡単に弾かれる。
「うっ」
なんてパワーなの!?
突っ込んできたゾノに、完全に押されてる。


「回避しつつロール20!」
「グーンを取り付かせるな!バリアント、てぇ!」


「うわぁ!」
衝撃で艦が揺れる。
取り付かれたか……ナタルは焦る。グーンは何の邪魔も無くこちらにミサイルを撃ち込んできている。
「ストライクは? 何をしている!」
「えぇい! 上部の砲の射線が取れれば!」
「ぅぅ……ノイマン少尉! 一度でいい、アークエンジェルをバレルロールさせて!」
「えぇ!?」
「艦長!」
「ゴットフリートの射線を取る。一度で当ててよ、ナタル」
「ぁ! ……分かりました」
「ノイマン少尉! やれるわね?」
「はい!」
『本艦はこれより、360度バレルロールを行う。総員、衝撃に備えよ。繰り返す!本艦はこれより、バレルロールを行う!」
「グーン2機、来ます!」
「ゴットフリート照準、いいわね!」
「行きますよ? くっ!」
……ゴットフリートは見事、グーンを撃ち抜いた!


「ええーーい!」
海上で起こった爆発に乗じて私はゾノに対艦刀を突き刺した。でも!? ゾノは止まらない。
クローに抱え込まれ、押し付けられる!
フォノンメーザーの砲口が光る。
「こんな至近距離で!? やられてたまるもんですか!」
両手でアーマーシュナイダーを取り出し! 突き刺す! 突き刺す!
クローの力が弱まった!
「あっちへ行っちゃえ!」
ゾノを蹴飛ばす。一瞬の後、爆発。
「はぁはぁはぁ……。この所ずっとあなたに助けられてばかりね」
アーマーシュナイダーを見つめる。
ありがとう。




幸い敵の襲撃がない日が続く。
私は毎日マリューさん、フラガさん、ナタルさんから交代で講義を受けた。
「もうお嬢ちゃんにはわかってると思うがぁ、色々教える事はあるが、とりあえず生き残る事を考えろ。……生き残ってさえいれば、やり直すのも、続きを楽しむのも、どちらも出来るからなぁ」
「はい」
「俺が『エンデュミオンの鷹』なんて異名をもらっちまったのは、地球軍上層部がエンデュミオン・クレーターでの惨敗を糊塗するためだが、それにしたって生き残ればこそだからなぁ。俺はあぶないと思ったらガンバレルのスラスターを一まとめにして、すたこらさっさと逃げたもんだ」
「ふふ。コーヒー、いかがですか」
「……お、インスタントじゃない本格的なのはうまいねぇ。バナディーヤで仕入れたのか?」
「虎に、お土産にもらったんですよ」
「アンドリュー・バルトフェルドか」
「ちゃんと飲んであげないと成仏しなさそうで……ふふ。お蔭で最近コーヒーの味がわかるようになってきました」


「私は、お前に戦争のやり方を教える。だがそれは、殺し方を教えているのではない。お前が生き残るために教えるのだ。一人の学兵への教育と、それに与える装備の値段を考えれば、お前が一生働いても払えない額がかかる。で、あれば、まずは無駄遣いしないことが、戦争に勝つ基本だ。死なないで粘る事が、国とお前自身とが得をする訳だ。自己犠牲の精神は大切だが、むやみに使うな。あっさり死なれたら後が困る。国が求めるのはしぶとい兵だ……」


「ふぅ、ここまでにしましょうか。」
マリューさんが教本を閉じる。
「コーヒーどうぞ」
「ありがとう。頂くわ」
マリューさんは微笑んだ。
「それにしても、あなたは本当に飲み込みが早いわね。他の皆も驚いていたわ」
「ありがとうございます」
「コーディネイター、だからかしらねぇ。あらごめんなさい。他意はないのよ?」
「ええ。わかってます。不思議ですね。自分でも昔からこんな事……軍人やってたような気が気がするんです」
「フラガ少佐が言っていた、あなたの夢って物?」
「ええ、夢でも、学校で軍事教練したり、授業受けたりしてる事があります」
「そう……でも、それが今のあなたを助けているとしたら、むやみに悩まず、素直にありがたがった方がいいわ」
「はい。最近は開き直って、そうしてます」
「うん。いいわね。じゃ、そろそろ再開しましょうか……」




「や! ルナ」
「あ、カガリ」
私が休憩室で休んでいるとカガリがやって来た。
「なんにもなくて暇じゃない?」
「そんな事ないぞ。色々艦をうろつくだけでも面白い」
「そう。このままずっと何もなければいいのにね」
「だが、赤道連合の範囲に近づけば、島もいっぱいあるし、カーペンタリアにも近づく。ザフトは必ず仕掛けて来るぞ」
「そうよねぇ。……ねぇ、アラスカに行く途中、オーブには寄れないのかなぁ」
「お前もそう思うか。みんな――お前の友達もそう言ってた」
「やっぱり、みんなもそう思うよね」
両親は、ハルバートン提督から無事だって知らされたけど、もう長い間会ってない気がする。さみしい。
「オーブは一応中立だからなぁ。でも、いざと言う時は私の名前を出してでも入ろうと思ってるけどな」
「それ、まずいんじゃない? 何かあったら見捨てるって言われてるんでしょう?」
「うーん、そうか。じゃ、どうすればいい」
「ヘリオポリスの避難民を乗せています――とか?」
「それがいいかもな。オーブは領海に不審船が近づくとマスコミも飛んで来るんだ。無視できないだろう」
うんうんとカガリは納得したようだった。
「うまく行くかな? まぁ行かない様ならカガリの名前出せばいいか」
「話は変わるんだけどさ」
カガリが、上目遣いで話してきた。
「なあに?」
「私がオーブに戻っても、友達でいてくれるよな? 私は、同年代の友人なんていなかったから……」
不安げな顔でカガリは言う。
「馬鹿ね! 前にカガリが言ったでしょう? ルナはルナだって。カガリはカガリよ」
「よかった」
ほっとしたようにカガリが笑う。あ、なんとなく涙ぐんでる。
う~、可愛い!
ハグしちゃう!
「ル、ルナ!?」
「大丈夫、大丈夫よ。大丈夫だから。大丈夫。大丈夫」
「……落ち着くな~」
「でしょ。不安な時、お母さんによくやってもらったんだ」
「よし、私もやってやる」
「え?」
カガリの手が私の背中に回される。
「よしよし。大丈夫だ。大丈夫だから。大丈夫だ。大丈夫……」
「ふふ。安心する」
いたわる気持ちが嬉しくて、キスを交わすより身体は暖かい。このまま少しカガリに甘えていよう……




マラッカ海峡――スエズ運河・パナマ運河と並び世界のシーレーンの中でも最重要な場所である。
「とうとうここまで来れたわね。結局インド洋では一度襲撃を受けただけ……インド洋のど真ん中を行くと言う判断が当たってよかったわ」
マリューは感慨深そうに溜息をつく。
「ほんとだねぇ。お蔭でしばらくのんびりできたよ」
「ああ、そうだな」
キサカは感情の揺らぎを見せずに答える。
本当にこの男は何者なのだろう。マリューは改めて思う。ただのレジスタンスではないわね。訓練された軍人?
「でも、結局、赤道連合への補給要請は断られてしまったわね」
「ええ……。ですが、この海峡の通行許可を得られただけでも幸運と思わねばなりません」
ナタルが前向きに言う。
「今後の進路はどうすればいいかしら?」
「ボルネオ島、ミンダナオ島の間を抜け、ニューギニア島の北部を通りウェーク島に出る航路が良いと思います。カオシュンとカーペンタリアの勢力圏内ギリギリを通過する事になりますが、現状ではこれ以上のルートは無いかと思われます」
「そうね、その航路で良いわ。後は補給の問題ね……オーブからの返答は?」
「ダメです、未だ返答ありません」
「どちらにしろ、もう後戻りは出来ません。オーブと交渉を行いつつ前進しましょう」
「ああ、ザフトにやられていざと言う時はかまわずオーブ領海内へ突進しても構わんだろう。例え艦が沈められたとしても命だけは助かる」
キサカが断言する。
オーブの関係者かしら? そうなら、いざと言う時は彼に表に出てもらうべきかしら。ここらへんで補給が受けられなければ、後2・3回襲撃を受ければ艦があぶない……。マリューはオーブ政府との交渉が気がかりだった。




海峡の中程に差し掛かった時だった。
「レーダーに反応! 1時の方向に艦影です!」
「ライブラリ照合確認! ボズゴロフ級潜水母艦です!」
「くっ……伏せられていたか!?」
「確かに『中立』のようね、赤道連合も……。総員、第一戦闘配置!」
『総員、第一戦闘配置! 総員、第一戦闘配置!』
「フラガ少佐!」
「なんだぁ?」
「幸い、今回は潜水母艦が最初から姿を現してくれています。この前と同じように、最優先で撃沈を!」
「おーけー!」
フラガは駆け出して行った。
「レーダーに反応! 前方にディンと思われる反応が3!」
「ソナーに感! これは……音紋照合、グーン8!」
「これはこれは。盛大に歓迎してくれるわね」
「艦長! フラガ少佐かジョン少尉を本艦の護衛に当たらせた方がよいのでは?」
「だめよ! まず潜水母艦を叩かなければ、この海峡を突破する事はできないわ! 二人が潜水母艦を撃沈して戻るまで、なんとしてでも耐えるのよ!」
「了解しました!」


離水する感覚……また敵に水中用モビルスーツが?
水中戦ではいつもぎりぎりの戦いだった。私は不安だった。でも、今デパスを飲む訳に行かない。鈍くなるから。
胃が痛くなったような気がする……
不安を抱えながら私は走った。
「エールを装備して! エールを!」
コクピットに乗り込むと、私は叫んだ。
「エールでいいのかい? お嬢ちゃん」
「エールだって、滑空くらいは出来ます!」
「わかった」
正直、海には入りたくなかったのだ。空から狙撃できればその方が……
「APU起動。カタパルト、接続。ストライカーパックはエールを装備します。エールストライカー、スタンバイ。システム、オールグリーン。ストライク、どうぞ!」
「ルナマリア・ホーク、出ます!」


いるいる! ひょこひょこと海面にグーンが顔を出している。
ミサイルを絶え間なくアークエンジェルに撃ち込んでいる。
スラスターを吹かして横から狙う! 一機撃破!
グーンの内3機がこちらへ向かってミサイルを放って来る! 何発か当たってしまう。
やばい! スラスターを吹かしてアークエンジェルに着艦する。もう一度、ジャンプ!


潜水母艦に向かうフラガとジョンは、ディン3機に行く手を阻まれた。
「くっそー! このままじゃアークエンジェルがやられちまう!」
「どうします!?」
「まず一機、なんとか片付けよう! 一旦離脱して襲え! 後は俺がやる!」
「はい!」
圧倒的に速度に勝るスカイグラスパーがディンを振り切るのは容易だ。そしてターンしてジョンはディンに突っ込む!
旋回性に優れたディンがジョンの攻撃を避けるのは簡単だった。だが、避けた所にフラガ機からのアグニが撃たれる! 機体の半分を失い、ディンは海面へと落ちて行った。
そのままの速度でフラガはディンを振り切り潜水母艦に突っ込む。アグニと同時に対艦ミサイルが放たれる!
「ひゃっほー!」
アグニと対艦ミサイルで開いた破孔から怒涛のように海水が流れ込み、潜水母艦は海面下に没していった。




「ストライクはだめか」
次々と撃ち込まれるミサイルに傷ついてゆく船体。ナタルの頬を冷や汗が流れる。
「グーン一機、撃破しましたが、以後は……」
「グーンの半分の攻撃を引き付けてくれているのですもの、意味はあるわ」
また着弾だ。艦が揺れる。グーンが7機もいてはこの前のように360度バレルロールを行う訳にも行かない。
マリューは焦れた。……白波が立っている。あれは岩礁? 浅瀬に繋がっている。
数多くの岩礁と浅瀬――マラッカ海峡を難所としている原因――
「そうだわ! 浅瀬に、浅瀬に上がって!」
「浅瀬に、ですか?」
「グーンは陸上でも行動できますよ?」
「いいから早く!」
アークエンジェルは一面に白波が立っている岩礁地帯へと突っ込んだ。
グーンも浅瀬に上がって来る。ミサイルの撃ち込みは、止まない。


「チャーンス!」
私はグーンが浅瀬に上がって行くのを見た。あそこなら!
エールストライカーを吹かし、グーンに突っ込む! ビームサーベルを抜き放つ!
「まず一機!」
少しだけ海面に突き出た岩礁を蹴り次へ向かう。
「2機!」
残ったグーンは慌てて海中へ戻ろうとする。
「させないわ!」
ビームライフルを3射。立て続けにグーンが爆発する。
「海から出れば、あんた達なんてこんな物よ!」
残ったグーンは海中に2機。どうしよう。ソードストライカーに替えて来ようか?
その時キーンと言う飛行音と共にスカイグラスパーがやって来た!
「やった!」
グーンが海面に顔を出した時、スカイグラスパーのキャノン砲とアグニが突き刺さる。
海面には、グーンの破壊された跡が浮かんで来た……







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