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Lnamaria-IF_523第26話

Last-modified: 2007-11-16 (金) 22:59:42

『軌道上から5つの降下物体を確認! 気をつけろ!』
オーブ軍から知らせが入った。
あ……唐突に頭の中に先生の声が――
『グングニール――この兵器は強力な電磁パルス(EMP)を発生させ、電子部品だけを破壊する兵器だ。C.E.71年5月25日のパナマ攻略戦で使用された。このザフト軍兵器に利用されている「EMP」つまり「Electomagnetic Pulse=電磁衝撃波」は電離層の乱れを引き起こし、通信や精密機器等を使用不能にする。使用側であるザフト製兵器(MSを含む)がEMP対策を万全に施していたのに対し、地球連合製兵器(MSを含む)及び施設が一応、施しているものの、強力すぎて対抗しきれず使用不能になり、パナマ基地陥落の最大の理由となった。なおこの兵器により、基地にあったマスドライバーもEMPに対し無防備であったため破壊された――』
「こいつだわ! パナマが陥落した原因は! 強力なEMP兵器よ! 破壊して! ザフト軍をそいつに近づけさせないで!」
「わかった!」
『わかった!』
『わかった!』
オーブ軍からも地球軍からも応答がある。


まず一つ! 空中で、私とフラガさん、スウェンさんで仕留めた。
『墜ちたのはあそこだ! 行くぞ!』
「「はい!」」
ザフトのディンが! 向かっている。
スピードなら、負けない!
ビームサーベルを抜き、ディンを切り裂く。
『行け! お嬢ちゃん』
「はい!」
私はグングニールの近くに舞い降りると、ビームライフルで撃った。爆発。
ひとつづつ、オーブ軍、地球軍が破壊したと報告が入る。
後ひとつ!


『うわー! あ、あれは赤い悪魔だ!』
『誰か! 誰か来てくれ! 救援を!』
私達に救援要請が入ったのはその時だった。
『ちょうど、残るひとつが落ちた所だ。行くぞ!』
「「はい!」」


「アスラン! 残りの四つはやられたようですけど、この一つだけでも、マスドライバーは効果範囲に入るはずです!」
「ああ、ニコル! しかし、こいつらしつこい! なかなか近づけん! なんとか破壊されないうちに突破しないと……」
地上の地球軍のモビルスーツはじりじりグングニールに近づいていく。
「行きますよ! フルバースト!」
ニコルのフリーダムのフルバーストの一撃で5機を超える敵のモビルスーツが撃破される。だが、地球軍は雲霞のように湧いて来る。
相手もここが勝負どころとわかっているのだろう。撃ち上げられてくるビームがまるでシャワーのようだ。
――! 飛んで来る物がある。あれは地球軍の新型機か!?
ニコルはビーム砲をそちらに向ける。
「ああ! ビームが!?」
「どうした!? ニコル?」
「あのモビルスーツに撃ったビームが曲がりました! 気をつけてください! アスラン!」
「ああ。あ! あれは鳥か? いや違う、モビルアーマーだ!」
『お前の相手はこっちだよ! あはあは』
鳥の形状をしたそのモビルアーマーは、背中からバスタータイプのモビルスーツを降ろすと、こちらに向けて何かを放ってきた!
「あはぁ、こ、これは鉄球か!?」
『ちっ、外しやがった。もう一回行くぜおらー! 滅殺!』
「なんて攻撃を! くっ、こいつら、強い!」
そう言っている間にも、下からバスタータイプのモビルスーツがビーム砲を連射してくる。
「アスラン! あれはストライクじゃ?」
「何!?」
アスランが見ると、確かにパナマで見覚えのある、赤いストライクを含めた3機のモビルスーツが飛行してくる。
「くっ。ルナマリアか!?」
そのストライクは真っ直ぐグングニールを目指して降下して行く。
「やらせませんよ! フルバースト!」
だが、ストライクは急激な機動をして躱す。
『あはは! お前の相手はこっちだー!』
「くっ。しつこいですね!」
ニコルはレールガンを撃とうとするが、そのモビルスーツは強大な推力を生かしてフリーダムの上へと移動する。
「これでは……ビームしか使えない! 厄介な!」
隙を見て素早くビーム砲を撃つが、相手も素早く対応して背部の装甲を被る。
「うわぁ!」
「どうした! ニコル!?」
「ビームをこちらの方向に曲げられて……廃熱板をやられました」
爆発音がする。とうとう最後のグングニールもやられたようだ。
「この調子じゃ、俺達だけでマスドライバーを破壊するのは無理だ! ストライクが攻撃に参加してくる前に引くぞ!」
「……仕方ありませんね。せっかく期待されて核動力機を託されたのに、悔しいです」
「いくら核動力でも、質は量が無限に増えれば潰されると言う事だろう。俺も悔しいが、仕方がない!」


アスランだろうジャスティスと、ザフトの砲撃戦用のモビルスーツ――フリーダムと言う名前が頭に浮かんで来た――は、私達が最後のグングニールを破壊すると、撤退して行った。
「あの子達、強いね」
「ああ。追っていったがあの分なら、心配はいらんだろう」
最後のグングニールを破壊して程なく、ザフトは撤退を始めた。
「撤退する所を叩くぞ! ここでしっかり叩いておけば、オーブも当分は安全だ」
「「はい!」」


――! ジャスティス! フリーダム!
とうとう海岸まで敵を追い詰めると、そこには紅白ニ機の機体が暴れまわっていた。ザフトの潜水母艦を潰そうと、スピアヘッドが次々に飛んで来るけど、次々に落とされている。
フリーダムのビーム砲2門、レールガン2門のフルバースト、ジャスティスの針ねずみのような火器の射撃は容易に近づけない。
「行くぞ! お前ら!」
「「はい!」」
あの子達は……? いない――! やられたの? まさか!?
フリーダムは引き続き潜水母艦の護衛に当たるようで、ジャスティスだけがこちらに突っ込んできた。
くっ、パワーが違う! ビームサーベルで攻撃を仕掛けるものの、ジャスティスもビームサーベルを抜き、打ち合う。
押しやられる!
「お前らコーディネイターを相手に何をちんたらやっている! さっさと殲滅しろ!」
え? 見知らぬストライク、いいえ、あれはジェットストライカーを付けた105ダガーがビームライフルを撃ちながら突っ込んでくる!
ジャスティスはすっと一気に私から離れた。そしてブーメランを投擲した。それは突っ込んできた105ダガーの背中を襲い……真っ二つにされた105ダガーは海岸に落ちて行った。
「エミリオの馬鹿が。逸りやがって」
スウェンさんが呟くのが聞こえた。
どうやらザフトの潜水母艦が収容を終え撤退を開始したようだ。フリーダムとジャスティスが海上へと飛び去って行く。
「深追いは、やめとくか」
フラガさんがぽつりと言った。




「いやいや、お見事でした。流石ですな、サザーランド大佐」
「いえぇ、ストライクダガーは良い出来ですよ。オーブでアズラエル様が苦戦されたのは、お伺いした、予期せぬ機体のせいでしょう」
「まだまだ課題も多くてねぇ。こっちも。しかしよもや、カラミティ、フォビドゥン、レイダーで、ああまで手こずるとは思わなかった」
「さすがはプラントの技術力、と言う事でしょうか」
「どちらにしろあれは何とかしなきゃねぇ。手に入れられるかな」
「それでご自身でカーペンタリアへと?」
「ああ、カーペンタリア、そこで出て来なきゃ宇宙へ上がってプラントを叩けば、防衛のために必ず出てくるでしょう? あの二つの機体もしかしたら、核エネルギー、使ってるんじゃないかと思ってさ」
「なんですと!?」
「確証はないけど。でもあれだけのパワー、従来のものでは不可能だ」
「ニュートロンジャマーも、コーディネイターの作ったものですからなぁ。確かに奴等なら、それを無効にするものの開発も可能でしょうが、それが本当なら由々しき事態ですな」
「おいおい、国防産業理事の僕の目を疑うのかい?」
「いえ……そのようなことは……」
「大体我々は弱い生き物なんだからさ。強い牙を持つ奴は、ちゃんと閉じこめておくか、繋いでおくかしないと危ないからさぁ」
「宇宙に野放しにした挙げ句、これでは、ですな」
「頑張って退治してくるよ。僕も」

「しかし、さすが『煌めく凶星「J」』ですね!」
アークエンジェルへ帰還する道すがら、トールはキャリーに声をかけた。
「感心しました。本当にお強いですね」
サイも、ため息と共に感嘆の言葉を掛ける。
「本当にさぁ。ほとんど一撃で倒してるんだもんねぇ」
ミューディーも感心したように言う。
「なに……」
だが、キャリーはちょっと困惑したような、不本意そうな声で応じる。
「どうせ殺すなら、できるだけ苦しませずにと思っているだけだ……」
その驕らぬ態度に、トール達は一層尊敬の念を新たにした。


アークエンジェルは、僚艦ドミニオンとさほど距離を置かずに海岸に乗り上げていた。
私は、アークエンジェルに降りる前にドミニオンに着艦した。
海岸で見かけなかった、あの子達の事が気になったからだ。
「あ、ホーク中尉! ご無事で!」
エイムズさんが話し掛けて来た。
「そうよ。あの子達は無事?」
「あの子達?」
「そう、確かクロトとか、オルガとか、シャニとか言ってた」
「あー。あの妙な子達かー」
「知ってるの!? 無事?」
「彼らは無事ですよ」
後ろから声が掛かった。
「アズラエルさん!」
「あなたもご無事なようですね。よかった」
そう言うとアズラエルさんは微笑んだ。
「よかった……ジャ……いえ、ザフトの新型機ニ機と戦っていたはずなのに姿が見えなくなっていたから、心配していたんです」
「そうですか」
……? アズラエルさんの顔が歪む。
「……まぁ、いいか」
「え?」
「来なさい。こちらだ」
私はアズラエルさんに着いて行った。
向こうから呻き声が聞こえて来る。声の元へ向けて私は走った。
そこでは、あの子達が頭を抱えてごろごろ転がりまくって呻いていた。
「これは!」
「貴方達、ルナマリアさんが貴方達の事を心配してわざわざ見に来てくれましたよ」
その声に、3人が頭を上げる。
「よ、よお、おねーちゃん」
クロトがなんとかと言った様子で返事をした。
「どうしたんです? これは? どこか怪我でも!?」
「いや……時間切れさぁ……くっ」
「アズラエルさん、時間切れって……?」
「この子達には、コーディネイターに対抗するために、常人をはるかに超える能力を引き出す薬が与えられています。その薬の禁断症状ですよ」
「そんな、事って、まるで麻薬じゃないですか……!」
きっとなってアズラエルさんを振り向くと、そこには、泣いているような表情のアズラエルさんがいた。
「勝つために必要だったんです。家は伝統的に反コーディネイターでしてね。こんな研究も昔からやっているんですよ」
なら、なんで貴方はそんな、泣いているような顔をしているの?
気がつくと、私はアズラエルさんの頬に手を当てていた。
「なっ! なにを!」
アズラエルさんは後ずさった。
「ごめんなさい。なんだか泣いているように見えたものだから」
「泣いている!? 僕が? はは!」
「アズラエルさん……この子達を元に戻す研究はやってないんですか?」
「そんなもの、やってませんよ」
「じゃあ、やってください。戦争は、地球の国のほとんど全てが地球連合に参加しているんだから、もうすぐ戦争は終わるのでしょ?」
「小さな小競り合いは、いつの世もありますよ」
「そうしたってこんな……!」
「大人の世の中は汚い物ですよ。そして、汚い事をしなけりゃ成し遂げられない事もあるんです」
悄然とした私を、アズラエルさんはストライクルージュの所まで送ってくれた。


やっぱり嫌われたかな。ははは。なんでわざわざ、露悪的な事をしてしまったんだろう。
アズラエルは自嘲する。
肩を落として歩く彼女を抱きしめてやりたくなる。
だが、自分にはその資格はないのだ。こんな汚れた手をした奴に、資格なんてあるものか!
……そうか。それをはっきり自覚するために、こんな事をしたのか。
「じゃあ……送って頂いてありがとうございます」
その俯いた暗い顔を見て、つい、言ってしまった。
「検討してみますよ」
「え?」
「彼らの治療法の研究、検討してみますよ。まぁ薬物依存の治療法にも応用できるでしょうしね」
「ほんとですか!?」
検討する――どうとでも取れる言葉だと言うのに。
ああ、ルナマリア。なんてまぶしい顔で君は――
「ありがとうございます!」
いいさ。その笑顔を見れただけで僕は。






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