Top > Lnamaria-IF_56第01話
HTML convert time to 0.004 sec.


Lnamaria-IF_56第01話

Last-modified: 2008-08-26 (火) 06:47:38

「よろしく、シン!」
 ハスキーボイスを装って差し出した右手は、奇妙な顔で迎えられた。
「……何? ン――何だよ?」
「いや……アンタの声が似てるって思って」
 適当に散らした黒い髪と対照的に、色素のない赤い瞳が遠慮なくこちらを見ている。


「それってお前の弟かよ?」
「いいや……妹」
「何――手前ぇ!入学初日でホームシックか!?」
 同室の奴がか弱い奴では困る。私はこいつを利用し、そして協力しなければならないのだ。
 ――何としてでもザフトレッドになるために。


「いや……会えるもんなら会いたいけどさ、妹はオーブに残してきたんだ」
「あ……そうか」
 その気になれば直にでもメイリンに会える私とは違うんだ。そう思うと、
歯に物の詰まったような喋り方をする、オーブ生まれの彼に悪い気がした。


「でもさ、家族に会いたくなっても確り頼むぜ? 当然"赤"を目指すんだろ、シン=アスカ?」
「ああ……勿論だ。えっと……名前?」
「レナード=ホーム。親しい奴はなんでかレナって呼ぶ。入学式で名前呼ばれてたろ?
プラントじゃあ、名前は一回で覚えるもんなんだ」
「そうか、有り難う……レナ」
 そこでようやく、私達二人は手をがっしりと握り合った。
 そう、先ずはシン=アスカ、こいつを騙さなければいけないのだ。


 本名で呼ばれたときに返事をしてしまっても、聞き間違えたと言い訳が聞くように
イントネーションの似た偽名にした。


 回りくどい事をしたのには、当然理由がある。私はなんとしてでも、こうして自分を偽ったまま
"赤服"に袖を通すのだ。ホークの名に頼ることも、女というだけで特別扱いされる事も無く、
ザフトレッド――ザフトのトップガン――の地位に登りうるのだと明らかにする為に。






「しかしアンタ、滑らかっていうか女の子みたいな手してるよな?」
「女の子みたいって言うな!」
 ゴッ――!
 殴ったシンは翌日の起床時間まで気絶していた。デリカシーは無かったけど、
本当はシンは悪くないのよ。御免ね。


戻る】【