Top > Macross-Seed_◆VF791dp5AE氏_第01話
HTML convert time to 0.004 sec.


Macross-Seed_◆VF791dp5AE氏_第01話

Last-modified: 2007-12-25 (火) 19:22:33

C.E.73年
旧ザラ派によるユニウスセブン落下事故、通称ブレイクザワールドを契機に地球連合はプラントへと宣戦布告。
プラントへの攻撃が開始されていた。
対するプラントも宇宙空母ゴンドワナを中心とした戦力で迎え撃った。

「ハッ、甘いんだよ!」
ハイネ・ベステンフルスの駆るオレンジ色のブレイズザクファントムが宇宙を縦横無尽に駆け抜ける。
赤服であり、パーソナルカラーを持つとはいえ、その働きはずば抜けていた。
「お前らブルーコスモス共なんざにプラントをやらせるかってんだよ!」
次々と敵機を撃ち落としながら、彼は敵艦へと向かう。
「貰ったぜ!」
敵艦はCIWSや主砲を必死で撃つがハイネ機は軽々と避けつつ、ビーム突撃銃を撃つ。
艦橋を、次いで機関部を破壊され、敵艦が爆散する。
次の獲物を探し、機体を反転させた瞬間、彼は奇妙な音を耳にする。
(なんだ、この音は?)
今まで聞いてきたどんな楽器の音とも違う、奇っ怪な音。
一定の間隔で聞こえては途切れる、何か鳴き声にも聞こえる音。
そして、共に聞こえる人の歌声。
(誰の歌声だ?
この一緒に聞こえるのは、何の声なんだ?)
頭の中に浮かんだ疑問に自問自答しつつ、新たな獲物へ向かっていく。
ともかく、プラントを守らなくては。この声のことは後で考えればいい、そう自分に言い聞かせて。

同時刻、アプリリウス市某所。
「静かなこの夜に貴方を待って・・・あれ?」
「? どうされました、ラクス様。」
「何か、聞こえない?」
「いえ、特には何も。しいてあげるならば、ラクス様が歌っているはずの曲くらいしか。
 ベースラインも問題ありませんし、曲に雑音が混じっているようには思えませんが?」
非難がましい目線を向けられた少女は、少したじろぎながらも言葉を続ける。
「そ、そうじゃなくて。こう・・・誰かの歌声とか。」
「このビルごと借り上げておりますからほかのブースには誰も入っていないはずですが・・・」
「で、でも確かに聞こえたのよ、誰かの歌声が。
 歌声だけじゃない、動物の鳴き声も一緒に聞こえたわ。そう、今も聞こえてる。」
ハァ、とため息をつきつつ、マネージャーと思わしき女性は答える。
「わかりました、これで結構です。休憩にしましょう。
 一時間後までにねずみ駆除業者も陰陽師も呼んでおきますから、それが終わってから録り直しましょう。」
「ちょっと、ねずみでも幽霊でもないってば!
 だ~か~ら~、ちゃんと聞いてってば、もう。」

「おい、ディアッカ、シホ。先ほどから歌声のようなものが聞こえないか?」
「ああ、こっちでも確認してるぜ。」「こちらもです。」
ジュール隊の面々もまた、プラント防衛のために出撃していた。
しかし、先ほどから奇妙な音が聞こえているせいか、動きが止まっている。
「クッ、この戦況ではどこからの音か特定は難しいか。」
「しかし、何の音でしょう?ジャミングにしては妙ですし。」
「何かの鳴き声のようにも聞こえるな・・・。
 ひょっとして、プラントの危機を見て駆けつけてくれた羽クジラの鳴き声だったりして。
 そんなんだと面白いと思わない、イザーク?」
イザークの疑問にシホはまじめに返すが、ディアッカは茶化す。
「フン、ふざけたことを抜かす暇があったら、敵の一機でも落としたらどうな・・・・
 待て、あれは何だ?前方の宙域を各機確認しろ!」
前方には、敵別働隊と思わしきアガメムノン級を中心とした艦隊。
そして、地球連合の最新鋭機ウィンダム。
背中に背負っているのは、ミサイル搭載型と思われるストライカーパック。そこに見えるのは核のマーク。
「まさか、核ミサイルか!」
すでに母艦から発信し次々とプラントに向かいつつある。
「各機、なんとしてでも撃ち落とせ!奴らにプラントを撃たせるな!!」
しかし、気付くのが遅すぎた。これでは間に合わんか、そう思った瞬間――宇宙がまばゆい光に覆われた。
「クゥッ、間に合わなかったのか「いや、違うぜ」「隊長、何かが来ます!」・・・何だと!?」


核武装したウィンダムのパイロットたちは、ミサイルの発射ボタンを押せなかった。
まばゆい光に目がくらんだ、それだけではなかった。
光を纏った巨体たちが目の前に現れたからであった。
それは、この世界に生きる人間ならコーディネーターであろうとナチュラルであろうと知っているもの。
各々の想像していた姿形とは違うであろうが、まさに<クジラ>と呼ぶにふさわしい巨体。
それに目を奪われ、ただ呆然としていた。

「ま、まさか・・・・信じられん。」
「嘘でしょ・・・理論的にありえないわ」
「おいおい、冗談から駒って奴かよ・・・」
あまりの衝撃に、ディアッカの言葉にイザークもシホもつっこむ事すら忘れている。
それほどの衝撃だった。

「キャー!?嘘、ホントに?これって合成じゃないわよね?」
「いくらなんでもそれは無いかと思いますが・・・私も信じられません。」
陰陽師がくるまで、と見ていた戦争の実況。
そこに現れた巨大なクジラに少女たちもまた驚いていた。

「おいおい、ニュートロンスタンピーザーじゃ無かったのかよ、議長の切り札は・・・。」
ハイネも他に漏れず驚いていた。
「しかも歌いながらの登場とは。ヘッ、俺に対する挑戦状かよ、おい。」
彼らの歌声に刺激されたのか、楽しそうに笑う。

「どういうことだ、これは・・・エヴィデンス01だと!」
プラント議長ギルバート・デュランダル。彼も同様に驚いていた。
核ミサイルを想定してニュートロンスタンピーザーを防衛用に設置しておいた。
予想通りに連合軍は核を使用してきた。ここまでは予想通りだった。
しかしこの状況は予想外にもほどがある。何がどうなったらあれが、しかも複数現れるというのだ。
そして、それとともにやってきた真っ赤な機体。あれは何なのだ。


そう、プラントのあるL5宙域のすべてのものが突如現れたクジラと、赤い機体に目を奪われていた。


―――それは、大きな鳴き声を響かせつつ、光を纏い、この世界へとやってきた。
ひときわ大きな白く輝く巨体と、それを取り巻くように浮かぶ赤く輝く巨体、<銀河クジラ>。

銀河クジラ>とともに大きな音を響かせつつやってきた、真っ赤に染め上げられた一風変わった機体<バルキリー>。
そして、真っ赤なバルキリーのパイロット、<熱気バサラ>。
これは、クジラとともにやってきた一人の歌手、熱気バサラがコズミック・イラの世界で歌い続ける物語である。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY feat.熱気バサラ
第一話 クジラが運んだ風来坊~VAGABOND~