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Macross-Seed_◆VF791dp5AE氏_第12話

Last-modified: 2008-02-08 (金) 21:34:38

「探索任務……でありますか?よりにもよってこんな時に?」
レイと一緒にブリーフィングルームに呼び出されて、アーサー副長から任務の内容を聞いた。
けど、なんだってまたこのミネルバの戦力が低下してるときに?アスランが戻ってからやればいいと思うんだけど。
「司令部からの命令じゃ仕方なかろう?ともかく、もう一度説明しておくぞ。
 地域住民からの情報で、この地域に連合の研究施設らしき建物があるそうだ。
 最近は人の出入りが絶えているが、一昔前には多くの車両や航空機だけではなく、MSまで出入りしていたというからかなりの施設だな。
 君達には明朝、MSと共にその施設を探し出して調査をしてもらいたい」
任務の内容はわかったけど、何でこの付近の押さえとしてここに居るミネルバの貴重な戦力が駆り出されないといけないんだ?
「あの、副長。俺達じゃなく、この基地のMSじゃ無理なんですか?」
「あのねぇ、それが出来ないからこっちにお鉢が回ってきたんでしょうが!」
「え?この基地ってMS置いてないんですか?」
「いや、MSはあるらしいんだ。ただ旧式のグーンとゾノと、後は配備されたばかりの新型アッシュしかないらしいんだよ。
 水陸両用MSとはいうけど、やはり水中での活動に重点を置いたMSだからねえ」
「何だってそんな微妙なMSばっか……」
「連合との小競り合いで何機かあったディンが墜とされちゃったらしくてねえ。
 新型のバビは来週にならないと配備されないっていうし、大人しくあきらめてくれないかい?」
流石ザフト。色々と偏ってるなぁ。

「――という訳だから、頼んだよ」
説明は終わり、と部屋から出ようとするアーサーに向かって叫ぶ。
「ちょっと待てってば、副長。大体なんで俺達二人なんだよ?
 グゥルがあるならルナのザクもいけるし、そもそも飛べるハイネのグフでも別にいいじゃないか」
俺の言葉にあたふたしながらアーサーが理由を話す。
「あー、いや、その二人なら艦長の命令で○ッパに乗って近くの街にまで買出しにいったんだよ、うん。
 だから今、このミネルバで動けるのは君たちしか居ない訳であるからして…」
「だったら俺達がミネルバを離れると色々と不味いじゃないか!ちょっとは考えて命令出してくれよ!
 大体、何でこんな時に二人も買出しになんか行かせたんだよ!?」
「そ、それはそのー……そう、僕の口からはとても言えない様な物を買いに行かせたんだよ、うん」
「言えない様な代物って何だよ!?口からでまかせ言ってるだけじゃ――」
「そのぐらいにしておけ、シン。副長に対して失礼だろう」
レイが口を挟んできた。レイは別にこの任務に文句は無いらしい。
「レイはそういうけどさ、やっぱおかしいだろ」
「ふむ……ならばこう言えばわかるか?
 そのブツは男性である副長の口からは言えない様な物、という事ではないのか?例えばタンポン等といった――」
「あわわ、わかったからそれ以上は言うなって、レイ!」
そんなモノが切れたというんなら仕方ない、腑に落ちない部分もあるが納得するしかないじゃないか。

翌朝、俺のインパルスとレイのザク(グゥルに搭乗)で任務に向かった。
しかし当初指示された位置に施設は無く、ミネルバに戻って補給を繰り返しながら付近をMSで探しまわる事になった。
ようやく目的に施設と思われるものを調査開始できたのは日が沈み始めた頃だった。

「気をつけろ、シン。上空からMSで見た限りでは敵兵の姿は見えなかったが、ブービートラップの類いがあるかもしれん」
「ああ、わかってるよレイ。臆病に、そして大胆に動け、だろ?」
士官学校で頭に叩き込まれたことを思い出しながら、辺りを警戒しつつゆっくりと進む。
瓦礫の影に自動砲台は無いか、地面に何らかの細工が施されていないか等を注意深く探り、時間をかけて施設入り口にたどり着く。
ここまでトラップの類いはなかったが施設の玄関口と思われる場所、ここには罠がある可能性が高い。
多少壊れてはいるがここまで大掛かりな施設に敵が何の罠も仕掛けずに去るはずが無い。

玄関脇に一人ずつ張り付き、生きている監視カメラやセンサーが無いかそっと確認する。見た限りでは無い、だが油断は禁物だ。
続けて石ころを中に投げ込んでみる――これも何の反応も無い。もう一度投げてみるが、やはり反応は無いようだ。
安全は確認できたと判断し、レイが指示を出す。先に突入しろってか。
了解、と頷く。5.4.3.2――よし!
すばやく内部に突入し辺りを見回す―――が何も無いようだ。壊れた鉢植えや割れた蛍光灯、それに壁や天井の一部と思われる瓦礫が転がっているだけだ。
少し奥の天井を見るとひびの入った蛍光灯が点滅をしている、という事は多分非常用電源は生きてるって事かな。
10秒ほど遅れてレイも入ってきたが、ここにも何事も無かったのを疑問に思っているらしい。
「妙だな、正面口にも何も無いとは……シン、奥へ進むぞ」
「了解」

罠に注意しながらしばらく進むと、ひび割れているせいで中が見えないが大きなガラス張りの部屋が見えた。
「研究の内容がわかるかもしれん、中を調べてみよう」
罠が無いか確認し、内部にレイが侵入する。何事もないようなので俺も続けて中に入る。
外窓が無いせいか、部屋の中は酷く暗い。蛍光しているライトでは十分な明かりとはいえないので部屋の電灯を点ける。
と、そこに浮かび上がったのは―――
「何だ、この機械?」
俺には使い方も連想できないような奇妙な機械やカプセルらしきモノが所狭しと並んでいる。
割れたカプセルからケーブルがはみ出ているようで、カプセルの上や下からはコードが機械の方にのびている。
入り口からではよく分からないのでさらに中に入る。それでも俺には何だかわからないんだけどな。

ガタンッと後ろで物音がした―――瞬時に後ろを振り返り音の方向に銃口を向ける。
が、そこにあったのはレイの携行用ライトだった。何だ脅かすなよレイ、とライトを拾ってレイに差し出したが――レイの様子がおかしい。
眼を大きく見開き、いつもなら固く閉じてある口も半開きで、身体はガタガタと震えている!?
「レイ、オイどうしたんだよ、レイ!!?」
「ぁ、ぁああ………ぅうあぁう…………っくぁ、はっ…あぁ!!」
その場に力無くうずくまり、声にならない声を上げ続けるレイ。何だ、一体何が起きたんだ!?
「う、ぅぅあ……はぁっ……ぁ、ッ…ぐぅっ、あうぅ」
酸欠のみたいな状態になってるのか!?ガスか、と思ったが俺に効かずにレイにだけ効くのもおかしい。
そもそもパイロットスーツの生命維持装置から酸素は送られているはずだ。外気が入るはずは無いのにどうして?
とにかくここに居ては不味いと判断し、レイを抱えて外に走る。この際、トラップがあっても構うもんか!
急いでミネルバに応援を求めないと!


その頃、連合・オーブ両軍は地中海の前線基地にて補給と整備を行っていた。

「いやー、前回は散々だったねえ。やっぱ指揮官が居ないと軍隊ってのはちゃんと機能しないもんなんだな」
「そう思うんでしたら次は自重してくださいよ、ロアノーク大佐…」
連合が前回の戦闘で受けた損害はさして多くない。
オーブ軍が乱入してきたフリーダムとAAの目を引き付けていた為、作戦行動にはそれほど問題はない程度の被害だ。
逆にオーブ軍はフリーダムに躍起になって攻撃していたので被害は大きい。
「しかしエクステンデットの三人、どういうわけか前回の戦闘ではまるで役に立っておりませんでしたな。
 敵MSと交戦もせずにフラフラとバッテリーが切れるまで飛んでいただけでしたが、どういうことでしょうか?」
副官がオレの腕に張り付いているステラを白い目で見ながら文句をいってくる。
「それが全くもってわかんないんだよなぁ。
 なあ、ステラ。前の戦闘であいつの歌を聴いた時、戦闘中なのにどうして踊ったんだ?」
「ん……うたきいたら、ステラ、たのしくなった、から?」
「そっかそっか、楽しかったからか。楽しかったならしょうがないな」
「うん、しょうがないの」
踊った本人に事情を訊いてもいつも以上に要領を得ない答えが返ってくるだけだ。
アウルとスティングにも訊いてみたが、あの二人もよく分かってないらしい。
アウルが言うには「なんてーか、こう、ブワーッと身体の中から熱い何かが迸ってきちまったんだよ」らしい。
思わず「なんだ、下半身から出る白いヤツか」と聞き返したら、ブーメランフックで殴られた。
オレもブラッククスクリューで反撃してやりたかったが、悶絶していたので出来なかった。畜生め。
スティングも「あの歌を聴いたら、戦争するより俺も一緒に歌いたくなった」と言っていた。
青少年特有のアレだと思い「欲求不満ならオレの秘蔵コレクションを貸してやろうか?」と善意で言ったら、ジーグブリーカーを喰らった。
本気で肋骨が砕けるかと思ったぞ、人の善意を無駄にするなんて酷いヤツだ。
まぁ、記憶にある黒いヤツみたいに「こんなもん?もっといい本ないのかよ、オッサン?」とか言いながら本を汚して返すよりマシだけどな。

「まあ、こんな感じで本人に訊いてもこの有様だし、全然わかんないわけよ。
 モニターでチェックした限りだと、歌が流れると精神的に不安定になるんだが、そうかと思うと急に安定したりする。
 はっきり言って研究員もお手上げ状態だ」
「大佐、このままこいつらを次の戦闘に出撃させていいんですか?
 あの紅いMSが歌いだすと制御不能になるようでしたら、こいつらの出る意味が無くなりますが…」
「ステラ達はなんだかんだいってデリケートだからなあ。
 ま、向こうから攻撃は脅威じゃないし、普通のパイロット達にはほぼ影響が出ないだけマシだと思うしかないかねえ」
前回紅いMSがこちらに撃っていた弾は、スピーカーを内蔵させた特殊な弾で殺傷能力は限りなく低いので、コックピットへの直撃でなければ喰らっても問題はないようだ。
ちなみにコックピットに喰らったパイロットは肉体的ダメージはなかったが『Fire Bomber』の大ファンになってしまったらしい。
うむ、個人的には彼らのファンが増えるのは喜ばしいことだ。

「でしたらあの紅いMSを墜としてしまえば…」
「それこそ無理だって。映像で見たが、あんな動きの機体を普通のパイロットに墜とせなんてのは無茶な命令だぞ。
 前回フリーダムが出てくるまで囲んで攻撃してたが、全部避けられるかシールドで防がれていたんだろう?
 フリーダムだって、出てきてからオーブ軍に攻撃する以外ほぼアイツを攻撃してたが全然駄目だったろ?
 ああいう手強いのを墜とすはずのステラ達が使えない以上、どうしようもなくないか?」
「ならば、大佐が出撃して墜とすというのは?」
「おいおい、さっき自重しろと言ったばっかじゃないか。
 つーか、どうあがいてもあのMSは落とせんよ。MSの操縦技術ならステラ達にも負けないと自負してるが、ありゃ無理だ。
 お前さんも前の戦闘で見てわかってんだろ、こっちと動きが違いすぎるんだよ」
しかし副官にはよく分かっていないらしい。
「はぁ…どこが違うというのですか?」
「経験から言わせて貰うとな、あんな曲芸技、まともな人間が出来る動きじゃねえのさ。
 演習でふざけてやるくらいならわかるが、戦場じゃ無理だ。少なくともまともな思考の人間ならな」
急加速に急停止、変形機構を利用した空力制御、MAでのまるで航空ショーかと錯覚するアクロバティックな動き。
どれをとってもあんな動き方はコックピットへのGがきつすぎて普通のパイロットなら意識がぶっ飛ぶ。
それを歌いながらやってのけてる時点でまともな人間じゃないって、ナチュラルでもコーディネーターでもエクステンデットでも無理に決まってる。
いや、まぁ、そもそも戦場で歌ってる時点でまともな人間じゃねえとは思うけどな。色々な意味で。
「あのMSは一体何なのでしょうか?」
「普通に考えればザフトの次世代機だが、カオスとかと比べると進化しすぎているように感じるな。
 アレだけの動きが出来るのは機体のG軽減機構が恐ろしくいいのか、それとも熱気バサラの肉体がパイロットとして優れているのかはわからん。
 ともかく、オレ達はあのMSには手を出すべきじゃないな」

「はぁ、我々ではなくオーブにやらせるおつもりですか?」
「まぁな。次の戦闘でも連中は先陣を切りたいと言っている。
 先陣を任せるって事は、敵MS部隊を任せるって事だからな。こっちとしてはありがたいんだが――」
そう、前回の戦闘でオーブが受けた被害はかなりのものだったにもかかわらず、また先陣を申し出てきたのだ。
てっきりセイラン家のお坊ちゃんがジブリールに恩を売ろうとしてかと思ったが、どうも違うらしい。
ユウナ・ロマではなく、タケミカズチのトダカ一佐らの提案だという。
トダカ一佐ってのは慎重派の筆頭だと聞いていたんだが、いつの間に主戦派に変わったのだろうか。
前にこっちが出向いた時にはユウナ・ロマとはあまり親しくなかったようだったが、先程見た時はえらく親しげに話しかけていた。
同じ戦場に立って一体感が出た、とかそういった雰囲気には見えなかったが、一体何があったんだろうか。

「何かキナ臭いですな。別にこの戦場では大した利権の臭いはしませんが――」
「奴らには大事なもんがあるって事だろうさ。
 確か、隠してはいるがカガリ・ユラ・アスハ代表(一応)はフリーダムとアークエンジェルにさらわれたはずだ。
 その怨みでも晴らそうって言うのかねえ」
「そういえば誘拐したとは聞きましたが身代金を要求した、と言う話は聞きませんな」
「身代金要求がないのは、誘拐はアスハ代表とその一味が仕組んだオーブの政権がらみの騒動とか。
 その事実が露見したから報復としてAAとフリーダムごと海に沈めようとして―――いや、あの様子だとそれはないか」
少し離れたところに停泊してあるオーブの軍艦から『カガリ様奪還!カガリ様奪還!』という叫び声が聞こえる。
なんだ、普通に攫われた姫君を救出したいだけか。
自分で『姫君』と言っといてなんだが、あのアスハ代表じゃ『姫君』って言葉は似合わねえな。
適切な言葉は『女部族長』とかか?単純に『アマゾネス』でも悪くはないが、ひねりが聞いてないなぁ。

とかオーブ軍に聞かれたら殺されそうなことを考えていると慌しく通信兵が入ってきた。
ずっとくっつきっ放しだったステラを剥がして、報告を聞く。
「それが、どうもロドニアのラボがザフトに見つかったらしく――」
「ロドニアのラボ?あそこは確か、ジブリール卿が閉鎖を命じていたはずだろ?」
「それなんですが、研究資料の強制処分には成功しましたが完璧な閉鎖は失敗したらしいのです。
 さらに間の悪いことにザフトに施設の存在を嗅ぎ付けられたと言うことです」

おいおい、資料を強制処分後の完璧な閉鎖って事は―――しかもそこをザフトに嗅ぎ付けられただと?
「あー、ったく何やってくれちゃってるのかねえ、ジブリール卿は。で、俺たちにどうしろと?」
「爆撃でもして施設をザフト軍もろともに粉砕せよ、だそうです」
また無茶を言う。
「ジブリール卿は支援もなしにザフトと一戦やらかしに行けと言われたのか?
 艦を動かすにも時間がかかるし、MSで行くにもついた頃には推進剤がきれっちまうぞ」
「さぁ、そこまで詳しくは命令されておりませんで――」
「んー、こっちは陽動のみで爆撃はスエズの部隊にでもやってもらうか。副官、スエズへ連絡を」
「しかし、ジブリール卿は我々にやれと命じておりましたが――」
「そこまで動けないんじゃ、しょうがないだろ。
 スエズになら長距離爆撃機とかあったはずだ、それを使わせろ。
 ブリッジか、こちらはロアノークだ。ウィンダムを何機か近くのザフト基地へ――ああそうとも、威力偵察さ、軽く飛ばすだけでいい。
 あくまでも陽動が目的だ、何なら高速艇も何隻か使ってかまわんが、こちらに被害は出すなよ。
 ――そうだ、オーブを動かす必要は無い。先陣を切ってもらうんだから偵察くらいこっちにやらせろとでも言っとけばいい。
 すぐにそちらへ戻る。それまでにすぐ動かせる小隊のリストを頼んだぞ」


ネオがステラを置いてどっかに行ったのでしょんぼりしていると、スティングとアウルがいっしょにもどろうと声をかけてきた。
どうせここに居てもつまんないのでいっしょに行くことにしよう。

そういえば、ネオが『ろどにあのらぼ』とか話していたような?
「ろどにあのらぼ、ってなに?」
わからないのでスティングたちに聞いてみた。
「ロドニアのラボ?ああ、そういやこの近くだったな」
「俺達が昔居たところじゃねーの、それがどーした?」
「なんだ、懐かしくなって里帰りでもしたくなったのかステラ?」
ん……あ、思いだした。あのいっぱい痛かった場所だ。
帰るのか、というスティングの問いに首をふって話をつづける。
「間のわるいことにザフトが、って。さっきネオとだれかがいってたの」
「ぁ?おいおい、マジかよ」
「ッ、この馬鹿ステラ、何でそういうことをもっと早く言わねえんだよ!?」
アウルが急にさけんだ。なんで?
「おい、アウル。少し落ち着けって。
 ステラの言う事を一々気にしてたら身が持たないだろうが」
「落ち着けるわけがないだろ、コレを聞いて慌てないなんてスティングの方がどうかしてんだろ!」
「ステラの聞き違いかもしれねえだろうが!
 ともかく落ち着け、ネオに聞いてみりゃわかるはずだから、な?」
「うるさい、離せ!」
スティングとアウルが取っ組み合いのけんかじょうたいになっちゃった。

こういうときはじょうきょうを整理しよう。
えと、ロドニアのラボの話になったとたん、アウルが凶暴化した。
それをおさえようとしてスティングも凶暴化した。
これだけ凶暴化したのは前に『Fire Bomberの歌でどれが一番いいか』でもめたとき以来だ。
そのときはネオが「んな事でいちいち揉めんな、どれも良い曲に決まってんだろうが!」とさけんでおちついたはず。
そのあと「そんなことよりオレの歌を聞くんだ!」と変なかえ歌を歌いだしてスティングとアウルになぐられてたけど。

………よし、ステラが二人をとめよう。
「もめる必要なんてない、どれも、みんないいきょく」
「「は?」」
うん、二人ともとまった。みっしょんこんぷりーと。
「えーと、ちょっと待てステラ。誰がそんなことで揉めてたんだ?」
「…? スティングとアウル、じゃないの?」
「なぁ、ステラ。一体何でこうなったと思ってんだ?」
「……あれ?Fire Bomberのきょくでどれが一番いいきょくか、じゃないの?」
「誰が今Fire Bomberの話をしてたんだよ、お前は何を聞いてたんだ!?
 第一、その話は『突撃ラブハート』が一番ってことになっただろうが!」
スティングもアウルもさらに凶暴化した。…ざんねん、みっしょんふぉーるど。

「はぁ?何言ってんだよ『PLANET DANCE』が一番だろうが!」
「馬鹿言え、あの最後の一番と二番のサビの繋がった部分を聞き返してみろよ、最高だろうが!」
「馬鹿なのはそっちだろ、PLANET DANCEの前奏から歌い出しにかけての盛り上がりがいいんだよ!
 あそこの前奏の良さがわからないなんてどうかしてんぜ!?」
二人がFire Bomberでもり上がっているので口を出す。
「ねえ、はーらんそーは?」
「馬鹿、はーらんそーじゃない、『HEART & SOUL』だろうが!いい加減、お前はまず曲名を憶える所からやり直してこい!」
「そーだそーだ、幾らそう聞こえっからって曲名間違えんのは熱気バサラに失礼だろうが!」
「うぅ…」

二人に言い返せないのがくやしかったので、さっきもめていたことをむし返してみる。
「――――けっきょくロドニアのラボ、ってどうなったの?」
そのセリフに二人ともしばらくかたまって――わざわざ声をかける前のじょうたいにもどってから続きをさいかいした。
「ロドニアに行くんだよ、とめるなスティング!」
「落ち着けって、ネオに確かめてからでも遅くはないだろ?」
「落ち着いて居られるわけないだろ!?あそこには母さんが―――ッ!」
「チィッ、地雷踏みやがってこの馬鹿野郎が、しっかりしねえか、オイ!」
なんでか母さん、ということばにアウルが反応したみたい。
「か、かぁ…かあさんが、母さんが……」
「馬鹿、それ以上しゃべんじゃねえ。とにかくしっかりと気を保て!」
ロドニアのラボの、母さん―多分むかしアウルがよく話してた女の人?―がどうしたの?
「母さんが………死んじゃうじゃないか!!?」

「――――しぬ!?」
死ぬ。死ぬ、死。
死ぬともう動けない。もうわらえない、あそべない。
だんだんつめたくなっていく、もうあったかくならない。
うまくやってもほめてもらえない。どこかにごみのようにもっていかれるだけ。
ダメ、やめて。しぬは、ダメ。
こわい。いや、しぬのはいや。
『――俺が護るから!』
だれかがいってた。おれが、まもるって。
まもられてるとあったかい。つめたくならない。
じゃあ、かあさんもまもれば、しなない?
「……ロドニアの、ラボ、母さん………まもる」

気づくとガイアの近くに来てた。強いし速い。これでラボを、母さんをまもる。
開いていたコックピットに飛び込んで機体を動かす。周りが騒がしいが気にしない。
「さっさとハッチを開けろ、開けないとブッ壊す!」
警告をしたが開ける気配はない。慌ててどこかに連絡を取っているらしい。
遅い、もう待ちくたびれた。どうせ開ける気なんかないんだろう。
なら遠慮はしない―――ブッ壊して外に出るだけ!
ハッチをこじ開け、ガイアを大きく跳躍させて基地の外に出る。
目指すのはロドニアのラボ、アウルの母さんだ。
「ロドニアのラボも、母さんも、ステラが――まもる!」


ミネルバが施設に到着すると、すぐに対化学兵器装備の陸戦兵が内部に調査に入ったようだ。
俺はシンに連れられてミネルバの医務室で検査を受けた。
ドクターはシンも検査したらしいが、どちらからもウィルスなどは見つからなかったと言う。
当たり前だ。俺が倒れたのはウィルスが原因じゃない。
コレは俺が、いや俺やラウのような存在だけが解る直感の様なものだ。
その直感が告げている―――この施設は俺達と同じ、人間であって人間ではない存在を作る為の施設だ、と。
いや、ここの場合は育てると言うべきだろうか。
ともかく正気を保った人間が生きていけない場所、と言うことだけは確かだ。

幼い頃に見た、あの施設の記憶が蘇る。
ラウとギルが機械を見ながら難しい事を話している。時折、俺に視線を向けるがすぐに悲しそうな視線を機械に戻す。
幼い俺には二人の話している事は難しく、一言も理解は出来なかったが、言い様の無い恐怖と不安をあそこに抱いていたな。
正体の解らない恐怖に不安がるのを、ラウもギルもしっかり抱き締めてくれた。
アレは非常に心強かった。不安に押しつぶされることは絶対に無いと言わんばかりの安心感だった。
――いや、今、昔を思い出して感傷的になる必要性は無い。
あの施設には精神的な理由で入ることは出来ないが、それでもMSパイロットとしてやるべき仕事もあるだろう。
仕事がある以上、いつまでも寝ている訳にはいくまい。今の俺はザフトの軍人だからな。

ドクターに礼を言い、ミネルバの外で指示を行っている艦長に報告へ向かう。
シンは「まだ寝てるべきじゃないのか?」と気遣ってくれるが、気持ちだけありがたく貰っておいた。
外に出ると丁度アスランとセイバーが戻って来たらしい。
とりあえずタルキウスに居なかったミネルバを追いかけてきた、というだけの様だ。

帰還したアスランの動向は気にせず、設営された仮設テントで同じ任務についていたシンと共に艦長に報告する。
「――以上が我々が調べた結果であります。報告が遅れてしまい申し訳ありません、艦長」
「気にしなくてもいいわ。同様の…といってもレイほど緻密ではなかったけど、シンから報告を受けていたことだしね。
 それよりも、体調はまだ優れないの?」
「ハッ、どうもこの施設に個人的な精神的外傷を思い出させられた様です。
 それ以外では特に身体的異常はありません。この度はご迷惑をおかけしました」
「そう、なら良かったわ……って、トラウマを思い出させて良かったってのも変ね、ごめんなさい。
 この後私はシンとアーサー、それと今帰還したアスランと共に施設の実地検分に行くことになっているわ。
 貴方はその間、もしもの時の連合の襲撃に備えてミネルバ艦内で待機しておいて」
暗に艦長はこちらを気にせずに休めと言っている。ま、艦内での待機も立派な任務か。
「了解致しました、お気をつけてください」

テントから連れ立って出て行く艦長と副長、それにシンが続こうとするが少し呼び止める。
「シン、中で見たものをよく覚えておけ。
 俺達が議長の下で戦っている相手と言うのは、こういうことを平気で行う奴等だと言うことをな」
「え、それってどういうことだよ?」
「施設の奥に行けば解る。ただし、しっかり覚悟を決めてから行け。
 この先にあるものは―――――地獄絵図だろうからな」


「何だよ、コレ……一体、何なんだ!?」
内部で目にしたものは惨劇、という言葉が相応しい光景だった。
無残に折り重なった殺れた研究員と子供の死体とそれらから出る腐臭だけではない。
それ以上に目を背けたくなるのは、水族館のようにカプセルで展示されているモノ。
身体を切り刻まれ至る所へチューブやケーブルを埋め込まれた子供だ。
一人や二人ではない、数えたく無いほどのそういった子供が水槽の中を漂っているのだ。
さらに奥へ進むと、人間の脳が壁一面に展示された悪趣味の度合いを超えた部屋まである。
レイが地獄絵図といったのもわかる。間違いなく、ここは地獄だ。
この部屋の端末はまだ生きていたらしく、艦長がデータを調べている。
「コレは……子供達の施設への入出記録?『C.E64 11 6入所3廃棄』…完全に人として扱ってないわね」
人の命を、何だと思っているんだ。
ふざけてる。ここを作った奴も、始末した奴も。
激情に身を任せて、この部屋もこの施設も跡形も無く破壊したくなる。

そんな身を焼き尽くしてしまいそうな破壊衝動を必死で抑え、施設の外へ出る。
「コーディネーターは自然の摂理に反しているとか言いながら、自分達はコレかよ!?
 遺伝子弄るのは駄目でも、薬やマインドコントロールならいいってのかよ、ここを作った奴らは、ブルーコスモスってのは!!?」
どうしてもこの気持ちを我慢できなくなって近くに居たアスランに食って掛かる。
アスランは気まずそうな顔をして何も答えてくれない。
「あんなの狂っているとしか言いようが無いじゃないか、何なんだよ、あいつらは!?
 コレが、この惨状が議長が言っていたブルーコスモスの、いやロゴスのやり方ってことなんですか!?」
艦長や副長にも聞いてみるが、何も答えない。
この怒りをどこにぶつけたらいいのか、判断に困っているとミネルバから緊急連絡が入った。
MSが一機、この区域に向かっているというのだ。それも、奪われたガイアが。
ちょうどいい、このやり場の無い怒りを連合の奴らにぶつけさせてもらう。

急いで待機させてあったインパルスに乗り込み、迎撃に向かう。
アスランもセイバーで迎撃に出るようだ。機動性で劣るレイのザクはそのままミネルバの守りにつくらしい。
「シン、一機だけでこの施設を破壊しに来たのなら何か特別な爆弾などを持っているかもしれない。
 施設に近づけないためにも、出来ればスラスターや脚部を狙え」
アスランが変な指示を出してきた。
「ハァ?なんだってそんな事を?
 施設に近づけないようにするんなら、この場で墜とせばいいじゃないか!」
「それはそうだが…とにかくコックピットへの直撃は避けろ、パイロットを捕らえてこの施設のことを尋問するからな」
「わかったよ、クソッ」

ガイアがこちらに射撃を仕掛けてくる。
一発目、二発目と避け、こちらも撃ち返そうとするが、ガイアの突進で吹っ飛ばされる。
チィッ、クソ、やっぱコイツは強い。
吹き飛ばされながらインパルスを立て直してビームライフルで牽制する。
ガイアが軽々と避け、MAになって地面を走ってこちらへ突っ込んでくるが、こっちの狙い通りだ!
上空からセイバーがプラズマビーム砲でガイアの足を撃ち抜き、さらに体勢が崩れたガイアへ斬りかかる。
しかしセイバーからすれば必殺のタイミングであるはずの斬撃をシールドで防ぎ、逆襲と言わんばかりにセイバーに斬り込む。

セイバーへの対応に追われて完全にこっちへ背を向けたな、今ならやれる!
「うおおおぉぉぉー!」
セイバーと斬り結んだ後ろからインパルスで突っ込むが、こっちにも反応して半身を向けてきた。
「シールドで防ごうってんだろうけどな、この衝撃までは防げないだろ!」
そのまま斬りかからずにインパルスのシールドを叩きつける。
流石にこれは予想外だったのかガイアは対応が遅れ、コックピットの部分に直撃を喰らい吹っ飛ばされる。
パイロットが脳震盪でも起こしたのか、ガイアはそのまま起き上がってこない。ふぅ、これで何とかなったか。

油断せず、ガイアに近づいているとアスランがまた文句を言ってきた。
「シン、お前またそんな無茶苦茶な戦い方を……
 何とかなったからいいが、そのまま斬り掛かられたらどうする気だったんだ!?」
「そん時はそん時でなんとかしますよ。
 別にいいじゃないですか、なんとかなったんだから。
 そんな事より、ガイアがまた動き出さない内に四肢でもぶった斬っておきましょうよ。
 あと、さっきの衝撃でコックピットハッチが開いたみたいですから、パイロットも―――」
モニターの解像度を上げてガイアのコックピットを見る。
パイロットスーツではなく、ピンク色の連合の女性用制服を着た女の子?
ちょ、ちょっと待てよ。
あれは、あの子はディオキアであった―――

「―――ステラ?」

何でステラが強奪されたはずのガイアに乗っているんだよ?
なぁ、おい、誰か教えてくれよ!?

機動戦士ガンダムSEED DESTINY feat.熱気バサラ
第12話 幼き記憶


次回予告

ハイネ「ラボを破壊しようとしたガイアに乗っていたのは、なんとディオキアで出会った少女ステラだった。
    シンはステラに必死で語りかけるが、彼女はシンの事を知らないという」
シン 「どうしちゃったんだよ、ステラ。俺だ、シンだよ、あの時の事を覚えていないのか?」
ハイネ「戸惑うシンに知らされたのは、ステラがエクステンデットであると言う事実。
    薬か何かで記憶を失ったステラにはシンの声は届かないのか?
    次回、機動戦士ガンダムSEED DESTINY feat.熱気バサラ 第13話 二人の約束に――」

バサラ「過激にファイヤー!」